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ちくちく
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「『仙桃の実』でも駄目なのか‥‥‥‥」
落ち込む三人をよそに、桃ちゃんを食べて気分が戻ってきたのか、お姫さんはご機嫌になってきた。
『これって桃だよね?』
『ちょっと特殊だけどね。まあ、ちょと元気になる甘い桃ちゃんってところが正解かな』
いろいろ端折ってはいるが、概ねそんなところだ。─────だいぶ端折ってけど、説明がめんどくさい。
『ところで、なんでコレ被ってたの?』
クリスティーナ姫が最初被っていた、虫のたれ衣モドキを手に取りながら、聞いてみる。
『あ~それは、お城にいる時みんなの視線がやっぱ厳しくって‥‥‥‥。今では少なくなったんだけど、ベールで顔を隠す文化は残ってるんです。それでやってみたんだけど‥‥‥‥』
─────頭の大きさで、より怖いことになった。‥‥‥‥うん。
そこで思い出したのが、アニメかなんかで見たお出かけ用の小道具。それをこちら風に再現してみたという。
最初は奇異な目で見られたらしいが、布地を変えたり、ワンポイントで飾りをつけたりしてなるべく気を遣ったらしい。
『この砦にいる人達は、いい人ばかりで被らなくてもいいって言ってくれるんだけど、そのままってのはやっぱりちょと‥‥‥‥』
そりゃそうかな。人気者だった分、反動はきついだろう。
『この顔見ても普通に会話できるお姉さんは、ちょっとスゴイと思うんだけど』
『─────ああ、そりゃあ。おかめさんを知ってし、コスプレOKの日本人だもん』
あはははは、と笑い合う二人に、ラングは不思議そうに割って入ってきた。
「二人は何語を話してんだ?」
今まで黙ってたのに、とうとう好奇心にかられて訊ねてきた。
「なにって、若い女の子同志が使う言葉よ」
私は、さらっと誤魔化すが。
「お前、そんなに若─────」
─────ゴッ!ドシャ‥‥‥‥
『‥‥‥‥めっちゃ重そうな回し蹴り‥‥‥‥痛そうだけど同情はしないかな‥‥‥‥』
撃沈したラングをお姫さんは、ツンツンする。
「学習能力がないようね‥‥‥‥」
「─────俺等は言ってないぞっ!」
残りの二人は全力で否定する。ラングの上に積み重なるのは、イヤだ!と訳の分からない事を言われた。
『‥‥‥‥私、思うんだけど。お姉さんも転生チートだよね?』
『‥‥‥‥まあ、その部類に入るかも‥‥‥‥?』
『お姉さんなら、「解呪」出来るんじゃないかなぁと‥‥‥‥』
おかめ顔に期待を込めて見つめられるが、それは自分もチラッと思ったけど。どうなんだろう‥‥‥‥。
『やった事がないから、何とも言えない』
ここ異世界に来てからのイライラをブチかまし、その煽りが彼女にいってしまった罪悪感でチクチクするが─────やった事がないから、判らないが正直なところだ。
『そっか~』
お姫さんは一応理解はしているようだが、ビシビシビシビシっと意識を飛ばしたラングの頭をつつく指が止まらない。自分が沈めておいてなんなんだけど、可哀想だからやめてあげて?
『ステータス』で確認する?あれを出すのか‥‥‥‥。う~んと考えを纏めていると、シロ君が閉められたドアの方を気にして、尻尾がしたーんしたーんと揺れている。どうやら扉の向こうで、なにやら騒ぎがおこっているようだ。
「─────なんだ?」
副隊長さんが確認のために部屋から出ていくと、さらに声は大きくなった。
─────俺達にも会わせてくれっ!
─────お慈悲をっ!
─────ニルスだけなんてずるいっ!
「なんの騒ぎだ?」
隊長さんが大きくドアを開けると、そこには光輝く頭がいくつも並んでた。
─────眩しっ!
でも声には出さないよっ! 空気読めるからねっ
落ち込む三人をよそに、桃ちゃんを食べて気分が戻ってきたのか、お姫さんはご機嫌になってきた。
『これって桃だよね?』
『ちょっと特殊だけどね。まあ、ちょと元気になる甘い桃ちゃんってところが正解かな』
いろいろ端折ってはいるが、概ねそんなところだ。─────だいぶ端折ってけど、説明がめんどくさい。
『ところで、なんでコレ被ってたの?』
クリスティーナ姫が最初被っていた、虫のたれ衣モドキを手に取りながら、聞いてみる。
『あ~それは、お城にいる時みんなの視線がやっぱ厳しくって‥‥‥‥。今では少なくなったんだけど、ベールで顔を隠す文化は残ってるんです。それでやってみたんだけど‥‥‥‥』
─────頭の大きさで、より怖いことになった。‥‥‥‥うん。
そこで思い出したのが、アニメかなんかで見たお出かけ用の小道具。それをこちら風に再現してみたという。
最初は奇異な目で見られたらしいが、布地を変えたり、ワンポイントで飾りをつけたりしてなるべく気を遣ったらしい。
『この砦にいる人達は、いい人ばかりで被らなくてもいいって言ってくれるんだけど、そのままってのはやっぱりちょと‥‥‥‥』
そりゃそうかな。人気者だった分、反動はきついだろう。
『この顔見ても普通に会話できるお姉さんは、ちょっとスゴイと思うんだけど』
『─────ああ、そりゃあ。おかめさんを知ってし、コスプレOKの日本人だもん』
あはははは、と笑い合う二人に、ラングは不思議そうに割って入ってきた。
「二人は何語を話してんだ?」
今まで黙ってたのに、とうとう好奇心にかられて訊ねてきた。
「なにって、若い女の子同志が使う言葉よ」
私は、さらっと誤魔化すが。
「お前、そんなに若─────」
─────ゴッ!ドシャ‥‥‥‥
『‥‥‥‥めっちゃ重そうな回し蹴り‥‥‥‥痛そうだけど同情はしないかな‥‥‥‥』
撃沈したラングをお姫さんは、ツンツンする。
「学習能力がないようね‥‥‥‥」
「─────俺等は言ってないぞっ!」
残りの二人は全力で否定する。ラングの上に積み重なるのは、イヤだ!と訳の分からない事を言われた。
『‥‥‥‥私、思うんだけど。お姉さんも転生チートだよね?』
『‥‥‥‥まあ、その部類に入るかも‥‥‥‥?』
『お姉さんなら、「解呪」出来るんじゃないかなぁと‥‥‥‥』
おかめ顔に期待を込めて見つめられるが、それは自分もチラッと思ったけど。どうなんだろう‥‥‥‥。
『やった事がないから、何とも言えない』
ここ異世界に来てからのイライラをブチかまし、その煽りが彼女にいってしまった罪悪感でチクチクするが─────やった事がないから、判らないが正直なところだ。
『そっか~』
お姫さんは一応理解はしているようだが、ビシビシビシビシっと意識を飛ばしたラングの頭をつつく指が止まらない。自分が沈めておいてなんなんだけど、可哀想だからやめてあげて?
『ステータス』で確認する?あれを出すのか‥‥‥‥。う~んと考えを纏めていると、シロ君が閉められたドアの方を気にして、尻尾がしたーんしたーんと揺れている。どうやら扉の向こうで、なにやら騒ぎがおこっているようだ。
「─────なんだ?」
副隊長さんが確認のために部屋から出ていくと、さらに声は大きくなった。
─────俺達にも会わせてくれっ!
─────お慈悲をっ!
─────ニルスだけなんてずるいっ!
「なんの騒ぎだ?」
隊長さんが大きくドアを開けると、そこには光輝く頭がいくつも並んでた。
─────眩しっ!
でも声には出さないよっ! 空気読めるからねっ
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