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光の柱

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─────びっくりした。
 
 何かしらリアクションがあると思ったが、まさか返事が返ってくるとは思わなかった。男とも女ともとれる声。あのピンク頭共とは、あきらかに格が違うであろう者が呼びかけに答えた。
 そして今、巨大な光の柱が、まさに字のごとく、目の前に降り立ったのだ。
 こちらの世界の人間ではない自分にも、この柱が只事ではないことは、肌で感じる。

─────どえらいの来たわ。

 陽の光に反応してチラチラと光りだし、やがて陽を取り込んだかのように眩しく光りだす。
 あ、やべ。何度目かの光の暴力。自分の目はとうとう、とどめを刺されるらしい。
 半眼どころか糸目になった。
 
 フワフワうろうろ、あちらこちらに迷子になっていた光玉は、吸い寄せられるように柱に群がっていく。
 ─────ああそうか、ああやって光の柱に入って、上がっていくんだ。

『コレ アゲル』

 突然、耳元で女性の声がして、こちらの意志関係なく、何かを手に押し付けてきた。
 思わず受け取ってしまったものを確認すれば、何やら細かい細工が施された、指輪だった。

「─────おおぃ!アカンやろっ!持っていきなよっ!」

   持っていけるんだから、持っていきなよっ!手を伸ばして返そうとするが。

『アタシ モ』
『オレモ ヤル』
『ボクモ アゲル~』

 ぼとぼとぼとぼとぼと、と自分の周りにネックレスやら、タグのようなもの。皮で出来たブレスレットやら挙句の果てには、鋼の鎧なんかも降ってきた。あと誰ですか、抜き身の剣落とした奴。足元に刺さったんですけど。

  アカンやつじゃんっ!というか、どっから出したんだよっ!何このファンジー仕様!あげるって言われても、どう考えても遺品だよね。どうしろっていうの。
 ひとりパ二くっているうちに、光玉は柱の中に吸い込まれ、仕事は終わったとばかり、柱はさっさと上へあがって消えた。

「ええぇぇ~~」

  すっかり元に戻った青空。今日もいい天気そう。───あ、四季ってあるのかなぁ‥‥‥‥花見とかしたい。

「どうするんだ、これ?」

 白陽の鼻面には、子供用の人形が乗っかっていた。

 浄化の炎が消えた後は、その場を綺麗に埋め戻した。
 墓石なんて物はなんか違うかなって、いつかのフェンリル母さんを『治癒』した時の要領で、その場を一面花畑に変えた。あの時と違うのは、咲き開いた花はすべて白銀のように白い。陽に当たって、キラキラとほんのり輝いていた。

「徹夜仕事やん‥‥‥‥」

「別にお前にとっては大した事じゃないだろ」

「気分の問題なの」
 
 せっかくシロ君の尻尾に包まって、寝ようと思ってたのに‥‥‥‥。
 登ってきた陽の反射で、眼下に大きな川があるのが見えた。

「シロ君っ!魚の気分だから、あそこで魚狩りしよっ魚っ!」
「俺は焼いた肉がいい」

 魚だ、肉だと言いながら川を目指したはずが、「あっ!松茸発見っ!」の一言で、またしても『松茸狩り』が始まったのである。
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