聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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「ということでぇ~貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」

「やった~待ってました!」

「現地で貴方はぁ~『聖女』としての役割をしてもらいますぅ」

「まあ当然よねっ!」

 ‥‥‥‥‥ なんの会話をしてるんだろう‥‥‥‥
 痛い女と思われる声と、妙に間延びするイラッとする喋り方の女の声。
声はするけど姿が見えない。なんだかぼんやりした、ふわふわした感覚だけがある。

‥‥‥‥あれ?私ここで何してるんだろう?

‥‥‥‥私どこにいるんだろう?

「能力は申し分ないようにしてあるのでぇ~思う存分『聖女』活動してくださぁ~い。その際『アンヘ・ファータ』様の加護と宣伝してくれるとぉ~なおいいですぅ~」

「いいわっ!この私にまっかせなさいっ!」

‥‥‥‥えぇ~なんかこの痛い子、安請け合いしすぎじゃない~?だいじょうぶかぁ~
あれ?なんか私もへんな喋り方がうつったみたい~夢かなぁ~

「待ってなさいっ剣と魔法の異世界よっ!この私が救ってあげるわ!」

 ‥‥‥‥ますますヤベーよこの子。 世界は一人じゃ救えないよ~

「ビルから飛んだかいがあったわっ!これで逆ハーレムでウハウハねっ」

 「はい~いってらっしゃ~い。その際は『アンヘ・ファータ』『アンヘ・ファータ』をよろしく~~」

  ‥‥‥‥‥‥は?今 なんて いった ‥‥‥‥

「は~~行った行った。まったく、あの世界の人間は単純で助かるわぁ~ちょっと囁くだけでホイホイこの世界に来るんだからぁ~まあこれで私の女神ポイントが上がるってことですわぁ~なんって人族ってのは単純なんでしょっ!」

 さっきと打って変わった声色で人間を格下扱いしているのがわかる
  女神ポイントって何だ?いやそれよりも‥‥‥‥
‥‥‥‥ビルから 飛んだ‥‥‥‥

「さてと、『聖女』は送り込んだけどコレはどうするかな~まったく面倒なことしてくれるよね~」

 フワフワした感覚が突然不自然に傾いた。背中をどつかれた感覚にびっくりするが痛みは来ない。

「あの子一人で来てくれればよかったのに、予定外の人間巻き込むとかないわ~送り込む魂の数には決まりがあるのにさ~」

 今度は右に飛ばされる。え、何これ?

「余分な魂来ちゃった事がバレると減点よね~どうしよっかな~」

 今度は左に転がされた‥‥‥‥なんてことだ。手足の感覚がない、ただ浮いているような丸い玉のような事に気が付いた。
 それとともに、ここに至る最後の記憶が思い出される
 
 私は仕事終わりに駅へ急いでいたはずだ。
 はやる気持ちを押さえこんで、待ちに待ってたこの日を待ち望んで、残業を頼みそうな上司の声かけも今日は見事な程にスルーして、早く会場にたどり着かねばっ!と一心不乱に駅に向かって‥‥‥‥

 「あはははは! これから私の時代がはじまるのよ─────!」

 どこか遠くで誰かが叫ぶ声がする。だいぶ病んでるようだが今の私には関係ないっ!

「あっあぶないぞ─────っ!」

 見知らぬサラリーマンの男が上を見ながら叫ぶ。

「え?」

 釣られて見上げようとした私は次の瞬間、地面に叩きつけられた。
 
────暗転。
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