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第2章
第11話 無双超人ホリー
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朝、目覚めるとホリーと抱き合いながら寝ている。今日も昨日と同じく、テントの中は夜伽で発生した男と女の匂いで充満している。いつもなら夜伽の後、《クリーン/清浄》をかけて寝るのだが、それをかけずに寝てしまったからだ。魔法をかける精神的余裕が無かったというのが正解である。ホリーとの夜伽勝負の結果がどうなぅたのか。
ーーはっきり言おう、また負けた。しかも完膚なきまでに……だ。彼女は仰向けに寝るオレの上で騎乗し、荒ぶる神のごとく蹂躙されてしまった。この娘に夜伽で勝てる男は絶対にいないのではないだろうか?
初体験をすませて自信がつき、積極的になったホリーは、とてもオレの手におえる存在ではない。騎乗位で無双されてしまったのだ。処女だったときですら、あれほど凄まじい快楽だった。今回は前回とは比較にならないエクスタシーの極みにいるような感覚に陥り、快楽の海に溺れてしまったのである。
彼女が自分から上下に腰を振ってきた騎乗位の破壊力は核兵器並みだった。オレが主導権を握りスピードを調節したり、果てないようにピストン運動を止めたりなど出来ないため、何回も何回もホリーの膣内で果てさせられ、何度か意識が遠退いたくらいだった。性愛魔法の《マカ/精力絶倫》があるから、果ててもすぐに一物がホリーの膣内で復活することが、連続射精を加速させてしまう。正直言って、何回、神液を彼女の膣内に出したか記憶がない。もはや無双超人ホリーだな。
ある意味では、この訓練はオレにとって良かったといえる。アリシアが引き継ぎを終わらせてフェロニア市に来て合流したあと、この連続射精で彼女の能力をあげるつもりだったからな。
アリシアの膣内にパックの性愛魔法《センシティビリ/感度上昇》をかけ、彼女の膣内に一物を挿入し連続神液吸収させるつもりだったのだ。3年という短い期間で龍を倒すことのできるレベルまでステータスを上げるためには、この方法しか思いつかなかった。
しばらくホリーの体を使い、連続神液吸収の練習をするかな。彼女の穴はスキルの影響で天に昇るような気持ちよさだしな。ぐふふふ♪
何回神液吸収させたのか、《探査マップ/神愛》で見てみよう。
●名前:ホリー
●年齢:16歳
●種族:ハーフ神族
●所属:ステュディオス王国フェロニア市、粉砕のミョルニル
●身長/体重:148/43
●髪型:茶髪ゆるふわ系ポニーテール
●瞳の色:黒色
●スリーサイズ:75/55/78
●カップ/形:C/皿型
●経験:セシルのみ、神液吸収223回、第2次進化まであと777回吸収
●状態:睡眠
●職業:戦士
●レベル:12
●HP:318+708=1026
●MP:288+492=780
●腕力:156+347=503
●体力:162+361=523
●敏捷:148+330=478
●知力:142+316=458
●魔力:146+325=471
●器用度:158+352=510
●スキル
戦鎚術2、戦闘技2
●エキストラスキル
ヘリングロゥシーリング/数の子天井
やはりホリーはハーフ神族に進化してしまっていた。昨夜の夜伽だけで133回も彼女の膣内で出してしまったとは、《センシティビリ/感度上昇》を使わないノーマル状態なのにここまでとはどんな穴をしているのだよ! もはやホリーは誰にも絶対に渡さない! 数の子天井付きオレ専用オナホールだな。ぐふふふふ♪
それにしてもだいぶ強くなったな。下級職のレベル12戦士なのに、ここまでの強さとはな。アリシアたちが来るまでの3ヶ月の間に、魔龍討伐のメンバーが1人出来上がっちゃうんじゃないか? 寵愛どころか加護もない娘なのにな。
ステータス上昇値を腕力で見てみよう。彼女の本来の腕力は156だ。神液吸収を223回したので、223%アップの347がプラスされる。156+347=503が今のホリーの腕力というわけだ。腕力だけでなく、他のステータスでも同じ事が起こっている。夜伽スキル持ちとはいっても驚異的な伸びだ。
「うん……あ、店長おはよう……ございます」
「うむ、おはよう。昨日はよく眠れたかな?」
「はい、よく……眠れました。夜伽の最後は気持ち良くて……意識がなくなってしまいました。すいません。私……ちゃんと出来ていたでしょうか?」
「もちろんだ! それどころかお前は一生オレのところに、良ければいてほしい! お前がいてくれないとオナホ……いや、いてくれないと困るのだ。良いだろう?」
「嬉しい……そんな風に言ってくれたのは……店長がはじめてです……ふぇ、ふぇぇぇえええええええええ!」
ホリーが大泣きしはじめた。長引く戦争の余波で税金が上がったため、口べらしで売春宿に売られそうになったと言っていたしな。きっと実家でも邪魔者扱いだったのだろうな。彼女の鳴き声でパックも起きてきた。
「ど、どうしたの? ホリー泣いちゃって。セシルが泣かせたの? 女の子には優しくしなきゃダメじゃないのさ~」
「そうじゃない……です。こんなに優しくされたのは……私、はじめてで……嬉しくて嬉しくて……ふぇぇぇえええええええええ!」
「ま、そういうことだ。オレは女の子には紳士だぞ」
ホリーが泣き止んで落ち着いたら、朝ごはんを食べることにする。食べながら今日の目標を2人に話す。
「今日は地下2階に降りて、レベルあげをすることにした。目標はレベル15だな。お昼くらいには地上に戻って、カフェを開業するための土地探しをするぞ」
「承知~」
「はい……分かりました」
《探査マップ/神愛》で地下2階に降りるための階段に向かう。途中にコボルト2匹と通路で遭遇したが、今のホリーなら、魔法の助けがなくても、余裕で倒せるまでに成長した。地下2階層に降りる階段がある、玄室の前にいる。
『ギィィィイイイイイイイ』
鉄扉を開けると、中央に5体の人型モンスターが立っている。ホリー1人で倒せるか《探査マップ/神愛》ですぐに確認をする。
●魔物名:オーク
●状態:平常
●脅威度:F
●レベル:5
●HP:127
●MP:129
●腕力:65
●体力:62
●敏捷:60
●知力:60
●魔力:69
●器用度:53
●スキル
槍術1
これならホリー1人で大丈夫だな。レベルも12と昨日よりも上がっているし、なにより神液吸収の効果がだいぶ出ていて強くなった。自分本来のステータスの3倍程である。オークはオレたちに気がつくと襲いかかってきた。
~~~戦闘開始
◎オーク×5(5)
イニシアティブを取ったホリーはウォーハンマーを構えると、オークに攻撃を仕掛ける。今回は5体と少し数が多いのでスキルを使うようだ。腰を深く落としウォーハンマーを腰側まで回してためを作る。
《烈風剣》
『ズバッ!』
「「「グギャ!」」」
『ドシャッ、ドシャッ、ドシャッ、ドシャッ、ドシャッ』
ホリーは戦闘技スキル烈風剣を繰り出した。烈風剣から出る1メートル弱の長さの衝撃波1発をオークに叩きつけると、490のダメージをオークに与え、全てのオークは即死した。烈風剣から繰り出された衝撃波で首が弾け飛んだオークや胴体が真っ二つになったオークなど、玄室内の床はオークの血で染まる。
~~~戦闘終了
「たった1日でマジで強くなったな。地下2階への入口はホリーが1人で切り開いたんだぞ」
「そうだよ! もっと誇ってもいいんだよ。オイラはホリーの実力を認めているよ!」
「2人とも……ありがとう……嬉しい」
人見知りだから言葉少なだが、満面の笑みを浮かべて喜ぶ姿は、まだ若く16歳の女の子だな。とっても可愛いから、あとでご褒美にたっぷりと、全力でイカしてやろう。ぐふふふふ♪ まだ彼女は一度もオレのテクニックで性的絶頂をむかえていない。一方的にオレだけが発射させられている。
くそう! 魔法の力を借りないと、イカセられないのかよ! この娘だけは魔法の力を借りずにイカしてやるぞ!
階段の前に来ると、地下2階層から不気味な生暖かい風が吹き、どこかに武器と武器がぶつかる音が聞こえる。長い階段を降りると広さも薄暗さも地下1階層と変わらないが、人の行き交いが上の階層より少ないので、カビ臭が若干強い気がする。GランクとFランク冒険者が冒険者ギルド全体の半分近くを占める。そのため2階層にいるのは大抵Eランク冒険者以上になるので、必然的に探索している者が少なくなるのだ。
「いよいよ地下2階だね! 瘴気が濃いっていうのかな? 殺伐感が増えるよね!」
「少しだけ……怖いです」
「オレがいるから何があっても大丈夫だよ。安心して探索しよう」
「……はい」
《探査マップ/神愛》で地下2階層を調べる。やはり冒険者の数が地下2階層からは一気に激減している。1階は数万人の冒険者が探索をしていることがマーカーの数で分かったが、2階は数千人の冒険者が探索しているようだ。この階は最大で脅威度ランクFモンスターが10匹も出るから、探査推奨レベルがパーティーでレベル10以上のブロンズプレート、ソロで15以上のカッパープレートとなっている。この国の平均レベルは8前後の一桁だから、それよりも上ということになるのだ。
1階層と同じく、北の方が冒険者の活動が少ないので、北側に向かって通路を進んで行く。今回は数度戦ったら地上に戻るので近場の玄室に入った。
『ギィイイイイイイイイイ』
玄室内になだれ込むと、6体の人型モンスターが立っており、オレたちに気がつくと襲いかかってきた。
~~~戦闘開始
◎レベル10ドワーフファイター×3(3)
◎レベル9盗賊×1(1)
◎レベル10魔術師×1(1)
《威圧》
イニシアティブを取ったホリーが大きく息を吸い、敵を睨みつけた。レベル2戦闘技、威圧を使うと敵5体は威圧のレジストに失敗したので失神し、戦闘意欲を失った。威圧とは闘志を敵にぶつけることで萎縮させる効果があるが、レジストに失敗すると失神するスキルだ。
『ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ』
~~~戦闘終了
敵は全員失神してしまい、戦闘は終了した。その後はウォーハンマーで敵の喉を突いて殺害し戦闘を終了させる。気弱なホリーが威圧を使う戦闘を選ぶとは驚いた。だが威圧は敵に損傷を与える事なく、無力化する事が出来るという使えるスキルだった。
「あ……店長宝箱です」
「楽しみだね! 今度は何が出るかな? 今度はちゃんと罠解除をやってよセシル!」
「分かった分かった。オレに不可能はない、任せておけ」
《識別》
ーー石つぶて
「今度の罠は石つぶてだな。今度は慎重に……あ」
「わっ! またセシルが蓋を直接開けた! なんで解除しないのさ!」
『バシュッ』
罠の解除に失敗すると、宝箱の中から石つぶてが飛び出しオレに直撃をした。石つぶては、毒ガスやガス爆弾といったパーティー全体に攻撃する罠と違い、罠を解除した本人のみにダメージを与える最も威力の低い罠だ。
「痛っ……くはない。オレの防御膜は突破出来なかったみたいだ」
《鉄貨58枚と鎧? が宝箱の中に入っていた》
パーティーメンバーの頭の中にメッセージが流れる。
「あ! レアアイテムが出たね!」
「本当……ラッキー」
鉄銭と鎧? を宝箱から取り出すと、鉄銭はアイテムボックスに入れた。残った鎧? を持ち上げて色々な所を観察する。鍛冶のスキルは持っていないため、何の鎧かは全く分からなかった。確か神聖魔法にアイテムを識別する魔法があったな。あの魔法を使ってみよう。
「運がいいな。早速、識別してみるか」
《レコグナイズ/識別》
ーー鉄製のレザーアーマー
「うん、分かった。鉄製のレザーアーマーだったよ」
「なんだ、普通のレザーアーマーか。使わないから売るしかないね」
「そうですね……でも初レアアイテム……ゲットです」
「だな。この調子で探索を続けよう」
その後も軽く2時間ほど地下2階を探索してから、お昼前には1階の出口に向かう。昼ごはんを食べてから、カフェオープンの土地探しに行こう。
1日ぶりに地下迷宮を出て外の空気を吸ったのだが、やはり空気が気持ちいいな。地下迷宮の中はカビ臭くて、場所によっては鼻が曲がりそうなところもあるのだ。モンスターやヒューマンの遺体が小一時間で迷宮に吸収され、なくなるといっても血や魔法で肉が焦げた臭いは残るためだ。
「いらっしゃいいらっしゃい! これ一枚で迷わず安心、地図屋だよ!」
「後衛の方、矢の買い忘れはありませんか!」
「タンク役が出来るメンバー1人募集だよ!」
建物の出口を出ると、迷宮で必要なものやらの販売員のセールストークや、冒険者が足りないメンバーを募集する声が聞こえる。
強者といえど、実はオレもホリーと一緒で地下迷宮デビューだったから多少は緊張をしていた。迷宮入口付近は、今から地下迷宮に潜る何十という冒険者パーティーが仲間待ちで待機しており、活気であふれている。彼らを見ると地上に帰ってきたと安心する。
「あ、旦那さん今帰りですかい?」
情報屋のグルキュフが声をヘラヘラと笑いながら気軽にかけてきた。モンスターに食い千切られたのか、片足の膝から下がないのが痛々しい。
「ああ、そうだ。昨日は依頼のこともあってな、迷宮で一泊したんだ。グルキュフの情報は助かったぞ。例を言う」
「はははっ、そうでしたか。そう言ってもらえると照れヤスな。早速ですが、旦那さん情報を買わないかい? 旦那さんにも関係のある情報ですぜ。銀貨5枚でお命に関わる情報が入りますぜ」
命に関わることはないが、そこまでグルキュフが言うなら何かが起きたのだろう。興味が湧いたのでアイテムボックスから銀貨5枚を出すとグルキュフに渡す。
「情報を買おう、ほら銀貨5枚だ」
「毎度あり~。それでは早速ですが、旦那さんが仲良くしているオーディン傭兵団の幹部が、昨日迷宮で襲われ、命に関わるほどの重傷をおったそうです。仲間を大事にすることで有名な団長のルーファスが激怒し、事件の犯人を探しているのでゲス。
その重傷をおった幹部は上級職の忍者なんですが、上級職の忍者を倒すような相当強い迷宮賊を追い払った冒険者がいるのです。ぶっちゃけ、昨日迷宮地下1階をうろついている上級職である冒険者っていったら、旦那さんくらいなんでゲスよ。オーディン傭兵団幹部を助けたのは旦那さんでゲショ?」
「ああ、迷宮賊がオーディン傭兵団の知り合いを迷宮の通路で殺害しようとしていたのでな。逃げたらほっておくつもりだったが、生意気にもスピアで突いてきたので虫のようにブチュッと潰したな、ブチュッとな」
「やっぱりそうでしたか。今、フェロニア市では三大将軍が傭兵団のトップに来ているのは旦那さんもご存知だと思います。フェロニア市の西を縄張りとしているダビド・エヴァンズ率いるスタードラゴン傭兵団。北を縄張りとしているルディ・アルベール率いるレッドウィング傭兵団。南を縄張りとしているクララ・ビュレル率いるアフロディーテ傭兵団。北東を縄張りとしているルーファス率いるオーディン傭兵団。南東を縄張りとしているバハカン・ライダー率いるポイズンファング傭兵団。
支配地域はそうなんですがね、前からポイズンファング傭兵団がオーディン傭兵団の縄張りを欲しがっていやして、情報屋の間で近々攻撃を仕掛けるのではないかと噂されていたんでゲス。東側全体を縄張りにできると一気にフェロニア市で優位にたち、4人目の大将軍になることが出来ますからね。ワクワクしやすな」
グルキュフはこれからはじまるオーディン傭兵団vsポイズンファング傭兵団の戦いにウキウキしているようで、声を弾ませて話している。
「そこで旦那さんにも関係のある情報ですが、旦那さんがブチ殺した襲撃犯なんですが、ポイズンファング傭兵団の最高幹部の1人だったんです。オーディン傭兵団の裏側を操作しているニコルを殺害して、情報戦で優位にたとうという作戦だったようでゲス。
その縄張り争いに旦那さんが巻き込まれると予測したのでゲス。すでに旦那さんが殺ったファンザという猛者の上司で、ライダーの右腕でもあるキリオスが旦那さんを探しているという情報が入ってきやしたので、夜道など十分に気をつけてください」
そういえば、ファンザという傭兵を殺した時にキリオスと呼ばれたやつがキレていたな。情報屋グルキュフはオレの命がキリオスに狙われているから、気をつけろと警告をしてきたのである。
「でもセシルが襲われたからやっつけただけで、オーディン傭兵団に入っている訳じゃないのにね。確かに流れ的にセシルも傭兵団の勢力争いに巻き込まれそうだね~」
「まあ、どちらでもいいさ。ポイズンファング傭兵団がオレと勝手に敵対をし、攻撃を仕掛けて来たら叩き潰すだけだしな。それこそ虫のようにブチュッと潰すだけだから、まったく問題ないな。むしろオレがやったことだとグルキュフが情報を裏の世界に流すと、問題が早く終息するだろう」
「旦那さん、それはいくらなんでも危険すぎヤス。ポイズンファング傭兵団は所属する冒険者が1万人を超えるほどの、人数だけならフェロニア市で3番目に大きい傭兵団なのでゲスよ。
それに麻薬の売買と闇の性奴隷、それに奴隷剣闘士を密かに復活させていたなど、裏の世界でもやりたい放題、暗殺などの請け負いも普通にやっている奴らでゲス。敵対した勢力は、まず生き残ることはできやせん」
グルキュフは心配して言ってくれているのだが、1万人の冒険者といっても半分以上がレベル一桁だろうから、オレに傷をつけることは不可能だ。それこそ寝ている間に棒か何かで一晩中叩かれてもHPは1も減ることはない。
「それよりグルキュフに1つ頼み事がある。オレは寵愛持ちの女の子を探していてな。どの国の女の子でもいいから探してくれ。探しているのは女の子で、男の寵愛持ちは知らせなくていい。今、知っているのは、パルミラ教皇国のアリシア・クレスウェル、ヴァルビリス帝国のシャロン・グランディエの2人は知っている。報酬は1人につき白金貨10枚だ。嘘情報は勘弁してくれよ」
グルキュフはあまりの好条件に舌舐めずりをすると目が輝いた。目に$のマークでも書いてあるようだな。
「マ、マジですか! そんな好条件に断れるわけありやせんぜ! 分かり次第旦那さんに伝えに行きますぜ」
「グルキュフ頼んだぞ。じゃあな」
オレからの美味しい儲け話に嬉しそうにしているグルキュフと別れて、カフェの土地探しに出かけることにした。
ラティアリア大陸では土地はどうやって買うのだろう? ホリーに聞くと、販売している土地に立て札が刺さっているので、その土地の売買をしている者に直接交渉に行くのが普通らしい。不動産のような商売をしている人が異世界でもいるのだな。
適当に歩いて探していると、教会の敷地の中に土地を売ります、と書いてある看板を見つけた。そこで看板に書いてある住所に、土地を売ってもらえるよう交渉をしに行くことにする。その住所に到着すると、見た目はごく普通の民家だった。土地売りますなどの看板もないから、土地の売買をやっているとは分かりにくいので、現地人のホリーがいて助かった。
『ガラン、ガラン』
ドアを開けて民家の中に入ると、テーブルとイスが乱雑に置いてあり、土建屋のオフィスといった感じだ。中には強面の男性が7人おり、オレたちが事務所に入ると一斉にこっちを見た。ホリーが怖かったのかビクッとなり、オレの腕にしがみついてきた。パックはニコニコ笑顔で左肩に座っている。
「……いらっしゃい、何かご用で?」
右目に切り傷のある男が睨みをきかせながら、質問をしてくると、立ち上がり近づいてくる。こういう系の仕事をしている人って、やんちゃな人たちが多いイメージだ。日本にいた時なら、男の強面ぶりにビビるところだが、今のオレは神レベルの強さを持つので怖くもなんともない。
「ああ、教会の土地を販売しているという立て札を見つけたのでな。問題ないならば売ってほしいのだが、料金などの詳細を教えてほしい」
「教会の土地ですかい? まずは椅子にお座りください。あそこの権利書を持ってくるので」
男は教会と聞き、眉の辺りがピクッと動いたが、急に不気味な笑顔を作り出した。あの教会はいわく付き物件だとか、何かあるのだろうか? 椅子に座って待っていると、男が部屋の奥でゴソゴソしていたが、羊皮紙の書類を持ってきた。
「こちらがあの土地の所有権利書でして、料金は金貨5枚となっているのですが、1つ問題がありましてね。あの土地にはまだ住んでいる者がいまして、立ち退きが終了次第、引き渡しとなります」
「料金はそれでいいぞ。ただし、いつ頃に引っ越しが終わるなどは分からないのか? 確実に引っ越し日が分からなければ買わないぞ」
「確かにそうですね、ちょっと待ってくだせえ」
右目に切り傷のある男は仲間の男たちの方に行き、ゴショゴショと小声で相談をはじめる。しばらく話していたが、結論が出たようで戻ってくると、椅子に座った。
「すぐに購入いただけるなら、今から立ち退きのお願いに行きますがどうでしょう?」
「分かった。すぐに引き渡しをしてくれるならば、即金で土地を買おう」
「承知しやした。すぐに準備をしますので、少々お待ちください」
不動産の男たちと一緒に先ほどの教会に行くことになったのだが、なぜか男たちは6人全員が棍棒を持って武装をしはじめた。なぜ武装するのだろう? 嫌な予感がビンビンするぞ。
「ねえねえセシル。これってもしかして教会の人たちを強制立ち退きでもしに行くんじゃない?」
「確かにオレもそんな気がしてきたな。だが人を疑ってはいけないぞ。暴力を教会の修道士にふるうことが確実になるまでは大人しくしておこう」
「……なにか、怖いです……店長」
その後、全員で不動産屋の事務者を出て、教会に向かった。
ーーーステュディオス王国フェロニア市、ポイズンファング傭兵団主城ザルツブルク
「な、なんだと! ファンザが殺られただと! それは事実なのか? くそう、誰だ……誰が殺りやがった!」
ポイズンファング傭兵団団長バハカン・ライダーは執務室で仲間が殺されたことを知り、頭をハンマーでかち割られたような衝撃を受けていた。
「それは……最近、オーディン傭兵団と一戦交えた者です。単体なのに凄まじい強さを持っていて、ルーファスに手を引かせた野郎です」
「あのルーファスに手を引かせただと! わしがエリュシオンに行っている少しの間にそんな事があったのか」
「へぇ、このまま舐められたんじゃ団のメンツにも関わります。急いでヤツの居場所を探しております」
ライダーは苦虫を噛みしめるようにし、自制できないほどの怒りに身を震わせた。ファンザはポイズンファング傭兵団の金庫番をしており、傭兵団にとって重要な人物だったからだ。麻薬の製造と販売、奴隷の売買、娼館の運営などを手がけていたのだった。彼は金の錬金術師だったのだ。
「そうだ。見つけ次第、仲間ごと消せ。それと……ルーファス襲撃作戦の準備はどうなっている?」
「へぇ、その件ならバッチリでさ。あとはルーファスが公爵邸に向かったらこうなります」
キリオスは自分の首を、親指で横方向に斬る動作をしてニヤリと薄笑いを浮かべた。
ーーはっきり言おう、また負けた。しかも完膚なきまでに……だ。彼女は仰向けに寝るオレの上で騎乗し、荒ぶる神のごとく蹂躙されてしまった。この娘に夜伽で勝てる男は絶対にいないのではないだろうか?
初体験をすませて自信がつき、積極的になったホリーは、とてもオレの手におえる存在ではない。騎乗位で無双されてしまったのだ。処女だったときですら、あれほど凄まじい快楽だった。今回は前回とは比較にならないエクスタシーの極みにいるような感覚に陥り、快楽の海に溺れてしまったのである。
彼女が自分から上下に腰を振ってきた騎乗位の破壊力は核兵器並みだった。オレが主導権を握りスピードを調節したり、果てないようにピストン運動を止めたりなど出来ないため、何回も何回もホリーの膣内で果てさせられ、何度か意識が遠退いたくらいだった。性愛魔法の《マカ/精力絶倫》があるから、果ててもすぐに一物がホリーの膣内で復活することが、連続射精を加速させてしまう。正直言って、何回、神液を彼女の膣内に出したか記憶がない。もはや無双超人ホリーだな。
ある意味では、この訓練はオレにとって良かったといえる。アリシアが引き継ぎを終わらせてフェロニア市に来て合流したあと、この連続射精で彼女の能力をあげるつもりだったからな。
アリシアの膣内にパックの性愛魔法《センシティビリ/感度上昇》をかけ、彼女の膣内に一物を挿入し連続神液吸収させるつもりだったのだ。3年という短い期間で龍を倒すことのできるレベルまでステータスを上げるためには、この方法しか思いつかなかった。
しばらくホリーの体を使い、連続神液吸収の練習をするかな。彼女の穴はスキルの影響で天に昇るような気持ちよさだしな。ぐふふふ♪
何回神液吸収させたのか、《探査マップ/神愛》で見てみよう。
●名前:ホリー
●年齢:16歳
●種族:ハーフ神族
●所属:ステュディオス王国フェロニア市、粉砕のミョルニル
●身長/体重:148/43
●髪型:茶髪ゆるふわ系ポニーテール
●瞳の色:黒色
●スリーサイズ:75/55/78
●カップ/形:C/皿型
●経験:セシルのみ、神液吸収223回、第2次進化まであと777回吸収
●状態:睡眠
●職業:戦士
●レベル:12
●HP:318+708=1026
●MP:288+492=780
●腕力:156+347=503
●体力:162+361=523
●敏捷:148+330=478
●知力:142+316=458
●魔力:146+325=471
●器用度:158+352=510
●スキル
戦鎚術2、戦闘技2
●エキストラスキル
ヘリングロゥシーリング/数の子天井
やはりホリーはハーフ神族に進化してしまっていた。昨夜の夜伽だけで133回も彼女の膣内で出してしまったとは、《センシティビリ/感度上昇》を使わないノーマル状態なのにここまでとはどんな穴をしているのだよ! もはやホリーは誰にも絶対に渡さない! 数の子天井付きオレ専用オナホールだな。ぐふふふふ♪
それにしてもだいぶ強くなったな。下級職のレベル12戦士なのに、ここまでの強さとはな。アリシアたちが来るまでの3ヶ月の間に、魔龍討伐のメンバーが1人出来上がっちゃうんじゃないか? 寵愛どころか加護もない娘なのにな。
ステータス上昇値を腕力で見てみよう。彼女の本来の腕力は156だ。神液吸収を223回したので、223%アップの347がプラスされる。156+347=503が今のホリーの腕力というわけだ。腕力だけでなく、他のステータスでも同じ事が起こっている。夜伽スキル持ちとはいっても驚異的な伸びだ。
「うん……あ、店長おはよう……ございます」
「うむ、おはよう。昨日はよく眠れたかな?」
「はい、よく……眠れました。夜伽の最後は気持ち良くて……意識がなくなってしまいました。すいません。私……ちゃんと出来ていたでしょうか?」
「もちろんだ! それどころかお前は一生オレのところに、良ければいてほしい! お前がいてくれないとオナホ……いや、いてくれないと困るのだ。良いだろう?」
「嬉しい……そんな風に言ってくれたのは……店長がはじめてです……ふぇ、ふぇぇぇえええええええええ!」
ホリーが大泣きしはじめた。長引く戦争の余波で税金が上がったため、口べらしで売春宿に売られそうになったと言っていたしな。きっと実家でも邪魔者扱いだったのだろうな。彼女の鳴き声でパックも起きてきた。
「ど、どうしたの? ホリー泣いちゃって。セシルが泣かせたの? 女の子には優しくしなきゃダメじゃないのさ~」
「そうじゃない……です。こんなに優しくされたのは……私、はじめてで……嬉しくて嬉しくて……ふぇぇぇえええええええええ!」
「ま、そういうことだ。オレは女の子には紳士だぞ」
ホリーが泣き止んで落ち着いたら、朝ごはんを食べることにする。食べながら今日の目標を2人に話す。
「今日は地下2階に降りて、レベルあげをすることにした。目標はレベル15だな。お昼くらいには地上に戻って、カフェを開業するための土地探しをするぞ」
「承知~」
「はい……分かりました」
《探査マップ/神愛》で地下2階に降りるための階段に向かう。途中にコボルト2匹と通路で遭遇したが、今のホリーなら、魔法の助けがなくても、余裕で倒せるまでに成長した。地下2階層に降りる階段がある、玄室の前にいる。
『ギィィィイイイイイイイ』
鉄扉を開けると、中央に5体の人型モンスターが立っている。ホリー1人で倒せるか《探査マップ/神愛》ですぐに確認をする。
●魔物名:オーク
●状態:平常
●脅威度:F
●レベル:5
●HP:127
●MP:129
●腕力:65
●体力:62
●敏捷:60
●知力:60
●魔力:69
●器用度:53
●スキル
槍術1
これならホリー1人で大丈夫だな。レベルも12と昨日よりも上がっているし、なにより神液吸収の効果がだいぶ出ていて強くなった。自分本来のステータスの3倍程である。オークはオレたちに気がつくと襲いかかってきた。
~~~戦闘開始
◎オーク×5(5)
イニシアティブを取ったホリーはウォーハンマーを構えると、オークに攻撃を仕掛ける。今回は5体と少し数が多いのでスキルを使うようだ。腰を深く落としウォーハンマーを腰側まで回してためを作る。
《烈風剣》
『ズバッ!』
「「「グギャ!」」」
『ドシャッ、ドシャッ、ドシャッ、ドシャッ、ドシャッ』
ホリーは戦闘技スキル烈風剣を繰り出した。烈風剣から出る1メートル弱の長さの衝撃波1発をオークに叩きつけると、490のダメージをオークに与え、全てのオークは即死した。烈風剣から繰り出された衝撃波で首が弾け飛んだオークや胴体が真っ二つになったオークなど、玄室内の床はオークの血で染まる。
~~~戦闘終了
「たった1日でマジで強くなったな。地下2階への入口はホリーが1人で切り開いたんだぞ」
「そうだよ! もっと誇ってもいいんだよ。オイラはホリーの実力を認めているよ!」
「2人とも……ありがとう……嬉しい」
人見知りだから言葉少なだが、満面の笑みを浮かべて喜ぶ姿は、まだ若く16歳の女の子だな。とっても可愛いから、あとでご褒美にたっぷりと、全力でイカしてやろう。ぐふふふふ♪ まだ彼女は一度もオレのテクニックで性的絶頂をむかえていない。一方的にオレだけが発射させられている。
くそう! 魔法の力を借りないと、イカセられないのかよ! この娘だけは魔法の力を借りずにイカしてやるぞ!
階段の前に来ると、地下2階層から不気味な生暖かい風が吹き、どこかに武器と武器がぶつかる音が聞こえる。長い階段を降りると広さも薄暗さも地下1階層と変わらないが、人の行き交いが上の階層より少ないので、カビ臭が若干強い気がする。GランクとFランク冒険者が冒険者ギルド全体の半分近くを占める。そのため2階層にいるのは大抵Eランク冒険者以上になるので、必然的に探索している者が少なくなるのだ。
「いよいよ地下2階だね! 瘴気が濃いっていうのかな? 殺伐感が増えるよね!」
「少しだけ……怖いです」
「オレがいるから何があっても大丈夫だよ。安心して探索しよう」
「……はい」
《探査マップ/神愛》で地下2階層を調べる。やはり冒険者の数が地下2階層からは一気に激減している。1階は数万人の冒険者が探索をしていることがマーカーの数で分かったが、2階は数千人の冒険者が探索しているようだ。この階は最大で脅威度ランクFモンスターが10匹も出るから、探査推奨レベルがパーティーでレベル10以上のブロンズプレート、ソロで15以上のカッパープレートとなっている。この国の平均レベルは8前後の一桁だから、それよりも上ということになるのだ。
1階層と同じく、北の方が冒険者の活動が少ないので、北側に向かって通路を進んで行く。今回は数度戦ったら地上に戻るので近場の玄室に入った。
『ギィイイイイイイイイイ』
玄室内になだれ込むと、6体の人型モンスターが立っており、オレたちに気がつくと襲いかかってきた。
~~~戦闘開始
◎レベル10ドワーフファイター×3(3)
◎レベル9盗賊×1(1)
◎レベル10魔術師×1(1)
《威圧》
イニシアティブを取ったホリーが大きく息を吸い、敵を睨みつけた。レベル2戦闘技、威圧を使うと敵5体は威圧のレジストに失敗したので失神し、戦闘意欲を失った。威圧とは闘志を敵にぶつけることで萎縮させる効果があるが、レジストに失敗すると失神するスキルだ。
『ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ』
~~~戦闘終了
敵は全員失神してしまい、戦闘は終了した。その後はウォーハンマーで敵の喉を突いて殺害し戦闘を終了させる。気弱なホリーが威圧を使う戦闘を選ぶとは驚いた。だが威圧は敵に損傷を与える事なく、無力化する事が出来るという使えるスキルだった。
「あ……店長宝箱です」
「楽しみだね! 今度は何が出るかな? 今度はちゃんと罠解除をやってよセシル!」
「分かった分かった。オレに不可能はない、任せておけ」
《識別》
ーー石つぶて
「今度の罠は石つぶてだな。今度は慎重に……あ」
「わっ! またセシルが蓋を直接開けた! なんで解除しないのさ!」
『バシュッ』
罠の解除に失敗すると、宝箱の中から石つぶてが飛び出しオレに直撃をした。石つぶては、毒ガスやガス爆弾といったパーティー全体に攻撃する罠と違い、罠を解除した本人のみにダメージを与える最も威力の低い罠だ。
「痛っ……くはない。オレの防御膜は突破出来なかったみたいだ」
《鉄貨58枚と鎧? が宝箱の中に入っていた》
パーティーメンバーの頭の中にメッセージが流れる。
「あ! レアアイテムが出たね!」
「本当……ラッキー」
鉄銭と鎧? を宝箱から取り出すと、鉄銭はアイテムボックスに入れた。残った鎧? を持ち上げて色々な所を観察する。鍛冶のスキルは持っていないため、何の鎧かは全く分からなかった。確か神聖魔法にアイテムを識別する魔法があったな。あの魔法を使ってみよう。
「運がいいな。早速、識別してみるか」
《レコグナイズ/識別》
ーー鉄製のレザーアーマー
「うん、分かった。鉄製のレザーアーマーだったよ」
「なんだ、普通のレザーアーマーか。使わないから売るしかないね」
「そうですね……でも初レアアイテム……ゲットです」
「だな。この調子で探索を続けよう」
その後も軽く2時間ほど地下2階を探索してから、お昼前には1階の出口に向かう。昼ごはんを食べてから、カフェオープンの土地探しに行こう。
1日ぶりに地下迷宮を出て外の空気を吸ったのだが、やはり空気が気持ちいいな。地下迷宮の中はカビ臭くて、場所によっては鼻が曲がりそうなところもあるのだ。モンスターやヒューマンの遺体が小一時間で迷宮に吸収され、なくなるといっても血や魔法で肉が焦げた臭いは残るためだ。
「いらっしゃいいらっしゃい! これ一枚で迷わず安心、地図屋だよ!」
「後衛の方、矢の買い忘れはありませんか!」
「タンク役が出来るメンバー1人募集だよ!」
建物の出口を出ると、迷宮で必要なものやらの販売員のセールストークや、冒険者が足りないメンバーを募集する声が聞こえる。
強者といえど、実はオレもホリーと一緒で地下迷宮デビューだったから多少は緊張をしていた。迷宮入口付近は、今から地下迷宮に潜る何十という冒険者パーティーが仲間待ちで待機しており、活気であふれている。彼らを見ると地上に帰ってきたと安心する。
「あ、旦那さん今帰りですかい?」
情報屋のグルキュフが声をヘラヘラと笑いながら気軽にかけてきた。モンスターに食い千切られたのか、片足の膝から下がないのが痛々しい。
「ああ、そうだ。昨日は依頼のこともあってな、迷宮で一泊したんだ。グルキュフの情報は助かったぞ。例を言う」
「はははっ、そうでしたか。そう言ってもらえると照れヤスな。早速ですが、旦那さん情報を買わないかい? 旦那さんにも関係のある情報ですぜ。銀貨5枚でお命に関わる情報が入りますぜ」
命に関わることはないが、そこまでグルキュフが言うなら何かが起きたのだろう。興味が湧いたのでアイテムボックスから銀貨5枚を出すとグルキュフに渡す。
「情報を買おう、ほら銀貨5枚だ」
「毎度あり~。それでは早速ですが、旦那さんが仲良くしているオーディン傭兵団の幹部が、昨日迷宮で襲われ、命に関わるほどの重傷をおったそうです。仲間を大事にすることで有名な団長のルーファスが激怒し、事件の犯人を探しているのでゲス。
その重傷をおった幹部は上級職の忍者なんですが、上級職の忍者を倒すような相当強い迷宮賊を追い払った冒険者がいるのです。ぶっちゃけ、昨日迷宮地下1階をうろついている上級職である冒険者っていったら、旦那さんくらいなんでゲスよ。オーディン傭兵団幹部を助けたのは旦那さんでゲショ?」
「ああ、迷宮賊がオーディン傭兵団の知り合いを迷宮の通路で殺害しようとしていたのでな。逃げたらほっておくつもりだったが、生意気にもスピアで突いてきたので虫のようにブチュッと潰したな、ブチュッとな」
「やっぱりそうでしたか。今、フェロニア市では三大将軍が傭兵団のトップに来ているのは旦那さんもご存知だと思います。フェロニア市の西を縄張りとしているダビド・エヴァンズ率いるスタードラゴン傭兵団。北を縄張りとしているルディ・アルベール率いるレッドウィング傭兵団。南を縄張りとしているクララ・ビュレル率いるアフロディーテ傭兵団。北東を縄張りとしているルーファス率いるオーディン傭兵団。南東を縄張りとしているバハカン・ライダー率いるポイズンファング傭兵団。
支配地域はそうなんですがね、前からポイズンファング傭兵団がオーディン傭兵団の縄張りを欲しがっていやして、情報屋の間で近々攻撃を仕掛けるのではないかと噂されていたんでゲス。東側全体を縄張りにできると一気にフェロニア市で優位にたち、4人目の大将軍になることが出来ますからね。ワクワクしやすな」
グルキュフはこれからはじまるオーディン傭兵団vsポイズンファング傭兵団の戦いにウキウキしているようで、声を弾ませて話している。
「そこで旦那さんにも関係のある情報ですが、旦那さんがブチ殺した襲撃犯なんですが、ポイズンファング傭兵団の最高幹部の1人だったんです。オーディン傭兵団の裏側を操作しているニコルを殺害して、情報戦で優位にたとうという作戦だったようでゲス。
その縄張り争いに旦那さんが巻き込まれると予測したのでゲス。すでに旦那さんが殺ったファンザという猛者の上司で、ライダーの右腕でもあるキリオスが旦那さんを探しているという情報が入ってきやしたので、夜道など十分に気をつけてください」
そういえば、ファンザという傭兵を殺した時にキリオスと呼ばれたやつがキレていたな。情報屋グルキュフはオレの命がキリオスに狙われているから、気をつけろと警告をしてきたのである。
「でもセシルが襲われたからやっつけただけで、オーディン傭兵団に入っている訳じゃないのにね。確かに流れ的にセシルも傭兵団の勢力争いに巻き込まれそうだね~」
「まあ、どちらでもいいさ。ポイズンファング傭兵団がオレと勝手に敵対をし、攻撃を仕掛けて来たら叩き潰すだけだしな。それこそ虫のようにブチュッと潰すだけだから、まったく問題ないな。むしろオレがやったことだとグルキュフが情報を裏の世界に流すと、問題が早く終息するだろう」
「旦那さん、それはいくらなんでも危険すぎヤス。ポイズンファング傭兵団は所属する冒険者が1万人を超えるほどの、人数だけならフェロニア市で3番目に大きい傭兵団なのでゲスよ。
それに麻薬の売買と闇の性奴隷、それに奴隷剣闘士を密かに復活させていたなど、裏の世界でもやりたい放題、暗殺などの請け負いも普通にやっている奴らでゲス。敵対した勢力は、まず生き残ることはできやせん」
グルキュフは心配して言ってくれているのだが、1万人の冒険者といっても半分以上がレベル一桁だろうから、オレに傷をつけることは不可能だ。それこそ寝ている間に棒か何かで一晩中叩かれてもHPは1も減ることはない。
「それよりグルキュフに1つ頼み事がある。オレは寵愛持ちの女の子を探していてな。どの国の女の子でもいいから探してくれ。探しているのは女の子で、男の寵愛持ちは知らせなくていい。今、知っているのは、パルミラ教皇国のアリシア・クレスウェル、ヴァルビリス帝国のシャロン・グランディエの2人は知っている。報酬は1人につき白金貨10枚だ。嘘情報は勘弁してくれよ」
グルキュフはあまりの好条件に舌舐めずりをすると目が輝いた。目に$のマークでも書いてあるようだな。
「マ、マジですか! そんな好条件に断れるわけありやせんぜ! 分かり次第旦那さんに伝えに行きますぜ」
「グルキュフ頼んだぞ。じゃあな」
オレからの美味しい儲け話に嬉しそうにしているグルキュフと別れて、カフェの土地探しに出かけることにした。
ラティアリア大陸では土地はどうやって買うのだろう? ホリーに聞くと、販売している土地に立て札が刺さっているので、その土地の売買をしている者に直接交渉に行くのが普通らしい。不動産のような商売をしている人が異世界でもいるのだな。
適当に歩いて探していると、教会の敷地の中に土地を売ります、と書いてある看板を見つけた。そこで看板に書いてある住所に、土地を売ってもらえるよう交渉をしに行くことにする。その住所に到着すると、見た目はごく普通の民家だった。土地売りますなどの看板もないから、土地の売買をやっているとは分かりにくいので、現地人のホリーがいて助かった。
『ガラン、ガラン』
ドアを開けて民家の中に入ると、テーブルとイスが乱雑に置いてあり、土建屋のオフィスといった感じだ。中には強面の男性が7人おり、オレたちが事務所に入ると一斉にこっちを見た。ホリーが怖かったのかビクッとなり、オレの腕にしがみついてきた。パックはニコニコ笑顔で左肩に座っている。
「……いらっしゃい、何かご用で?」
右目に切り傷のある男が睨みをきかせながら、質問をしてくると、立ち上がり近づいてくる。こういう系の仕事をしている人って、やんちゃな人たちが多いイメージだ。日本にいた時なら、男の強面ぶりにビビるところだが、今のオレは神レベルの強さを持つので怖くもなんともない。
「ああ、教会の土地を販売しているという立て札を見つけたのでな。問題ないならば売ってほしいのだが、料金などの詳細を教えてほしい」
「教会の土地ですかい? まずは椅子にお座りください。あそこの権利書を持ってくるので」
男は教会と聞き、眉の辺りがピクッと動いたが、急に不気味な笑顔を作り出した。あの教会はいわく付き物件だとか、何かあるのだろうか? 椅子に座って待っていると、男が部屋の奥でゴソゴソしていたが、羊皮紙の書類を持ってきた。
「こちらがあの土地の所有権利書でして、料金は金貨5枚となっているのですが、1つ問題がありましてね。あの土地にはまだ住んでいる者がいまして、立ち退きが終了次第、引き渡しとなります」
「料金はそれでいいぞ。ただし、いつ頃に引っ越しが終わるなどは分からないのか? 確実に引っ越し日が分からなければ買わないぞ」
「確かにそうですね、ちょっと待ってくだせえ」
右目に切り傷のある男は仲間の男たちの方に行き、ゴショゴショと小声で相談をはじめる。しばらく話していたが、結論が出たようで戻ってくると、椅子に座った。
「すぐに購入いただけるなら、今から立ち退きのお願いに行きますがどうでしょう?」
「分かった。すぐに引き渡しをしてくれるならば、即金で土地を買おう」
「承知しやした。すぐに準備をしますので、少々お待ちください」
不動産の男たちと一緒に先ほどの教会に行くことになったのだが、なぜか男たちは6人全員が棍棒を持って武装をしはじめた。なぜ武装するのだろう? 嫌な予感がビンビンするぞ。
「ねえねえセシル。これってもしかして教会の人たちを強制立ち退きでもしに行くんじゃない?」
「確かにオレもそんな気がしてきたな。だが人を疑ってはいけないぞ。暴力を教会の修道士にふるうことが確実になるまでは大人しくしておこう」
「……なにか、怖いです……店長」
その後、全員で不動産屋の事務者を出て、教会に向かった。
ーーーステュディオス王国フェロニア市、ポイズンファング傭兵団主城ザルツブルク
「な、なんだと! ファンザが殺られただと! それは事実なのか? くそう、誰だ……誰が殺りやがった!」
ポイズンファング傭兵団団長バハカン・ライダーは執務室で仲間が殺されたことを知り、頭をハンマーでかち割られたような衝撃を受けていた。
「それは……最近、オーディン傭兵団と一戦交えた者です。単体なのに凄まじい強さを持っていて、ルーファスに手を引かせた野郎です」
「あのルーファスに手を引かせただと! わしがエリュシオンに行っている少しの間にそんな事があったのか」
「へぇ、このまま舐められたんじゃ団のメンツにも関わります。急いでヤツの居場所を探しております」
ライダーは苦虫を噛みしめるようにし、自制できないほどの怒りに身を震わせた。ファンザはポイズンファング傭兵団の金庫番をしており、傭兵団にとって重要な人物だったからだ。麻薬の製造と販売、奴隷の売買、娼館の運営などを手がけていたのだった。彼は金の錬金術師だったのだ。
「そうだ。見つけ次第、仲間ごと消せ。それと……ルーファス襲撃作戦の準備はどうなっている?」
「へぇ、その件ならバッチリでさ。あとはルーファスが公爵邸に向かったらこうなります」
キリオスは自分の首を、親指で横方向に斬る動作をしてニヤリと薄笑いを浮かべた。
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