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第2章

第5話 迷宮都市フェロニア

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「チュンチュン、チュンチュン」

鳥の鳴く音で目が覚めると、隣で失神イキしていたはずのアンナはすでに姿をくらませていた。

尋問を終わらせた後、抜かずの5発をアンナの膣内に神液吸収させた。同じ体位ではエキサイティングに楽しめないので、彼女が逃げないようにレベル3暗黒魔法《パラライズ/麻痺》で麻痺らせ、さらに違う体位で10発、膣内に神液吸収させた。彼女は魔法で動くことが出来ないので、リアルなダッチワイフといったところだったな。オナホールの代わりにアンナは欲しい、ぐふふふ♪

異世界では上級職であるレベル30忍者は達人クラスと自負があったアンナは、《パラライズ/麻痺》のレジストを失敗したことに驚いていた。レベル30の加護持ちとレベル143の聖寵持ちでは勝ち目など最初からアンナにはないのだ。

そして、その後も朝まで責め続け、結局28発の神液を彼女の膣内に思いっきり出してスッキリしたぁ~。朝にはアンナの全身は神液でドロンドロンになっていた。オレの女と違いステータスをあげることを考えなくていいから、顔でも胸でもお腹でも、どこにでも神液をぶちまけちゃったよ。ぐふふふ♪

これだけ出したらしばらくはたぎりまくっている16歳の体も落ち着くかもな。特に今回はオレを殺そうとした罪、白金貨2枚を受け取っておきながら、キスで終わらそうとしたボッタクリ罪も加わって、温情の余地がない分、容赦しなくても良心はまったく痛まないな。

「ふぁ~、セシルおはよう! 昨日は頑張ったね! 1人にする夜伽の中では、今までで1番激しかったんじゃない?」

「彼女は罪が多かったから、神罰という意味もあって、好きなだけ思う存分にパンパンと、突いて突いて突きまくっての中出しをしてみたんだよな。パックの魔法で痛みも発生しなかっただろうしな」

「アヘ顔っていうのもはじめて見たけど、楽しかったね! でも責めの激しさに、今までの女の子に優しいセシルと違いすぎて、人が入れ替わったんじゃないかとオイラは思ったくらいだったよ! アンナももう堪忍してぇ~って何度も喚いていたしね! うひひひっ、あの言葉を聞くとオイラ、もの凄く興奮するんだ!」

女の子が何度も何度もイカされ、強い快楽に耐えきれずに堪忍してと懇願する姿で興奮するとは、パックはSっ気がある妖精なのだな。さすが変態妖精パックだ。

「パルミラ教皇国にいたときは、神の化身として周囲の者から見られていた。オレの行動が全てエロース神様の行ったこととして、パルミラ教皇国、またはラティアリア大陸の歴史に刻まれる事になるから、あまり羽目を外せないだろう。今のオレが素のオレだ。ティムガット市の事件もオレに影響を与えたということもある。やはり悪党は滅しないと、善人が苦労をするということを改めて認識したんだよな。ポートフォリオを倒さなかったら、カミラたちのような良いヒューマンが死んでいた」

「そうだよね。セシルがほっといたらティムガット市が、秘密結社の剣と骸骨に乗っ取られていたよね。その後、ティムガット市に起こる不幸は目に浮かぶね!」

「だからこれからは悪党は捕まえるのではなく、滅ぼしていくことにした。それは神の化身としての責務だと思う。ただ、アンナの罪は死罪というほどではなかったので、中出しの刑で終わらせたよ」

オレは平和な日本生まれの人間だから、この異世界で生きていくには考え方が甘かったのだということに気がついた。それを獣耳人の奴隷とポートフォリオに学ばせてもらったということだ。

「あと関係ないけど、アンナって幸薄そうな女の子だったね!」

「確かに! オレもなんとなくアンナの微妙に運が悪そうな、得体のしれないダークなオーラのようなものを感じたな。オレの第六感ではサゲマン臭な気がする」

幸薄い女の特徴というと、基本的に3つの要素があると言われている。
①体調が悪いんじゃないかっていうくらい色白である。
②口角が下がり、笑い顔ではなく、常にムスッとした印象のある顔である。
③清潔感、透明感、があるが、一重で顔の線が薄い

アンナはかなりの美女であるが、美人薄命を所々で感じさせる節がある。綺麗な顔立ちをしているものの、どこか儚く悲しい雰囲気を全身に纏っている。だが、本当に幸薄いわけではなく、あくまでそんな感じがするというだけである。

その後、男の楽園を出発し、南下して行くと巨大な都市上空に到着した。

「この大きな都市がフェロニア市かな?」

《サポート》
眼下にある市の情報を教えて?

【ステュディオス王国フェロニア市。1000年ほど前に聖フェロニアが聖魔大戦のあとに築いた市である。
ステュディオス王国の最北部に位置し、首都となっている。北には強大なヴァルビリス帝国があり、東にはパルミラ教皇国がある。
500年ほど前にラティアリア大陸最大の地下迷宮が発見されてからは、地下迷宮から得られる多くの恩恵により、フェロニア市は大繁栄をしてきた。
地下迷宮は10階層まであり、最下層に足を踏み入れたものは聖ヴァルビリスだけである。だがダンジョンマスターはまだ存命であり、攻略されてはいない。人口は1500万人弱で世界最大クラスとなっている】

やはりここがフェロニア市だったか。巨大な都市で、神都ベネベントも大きいと思ったがそれ以上だな。《フライ/飛行魔法》を使えることが周囲の者に知られると大騒ぎになるので、東側城門の手前で地上に降りて歩いて行くことにする。

東門に着くと、検問所までの長蛇の列があった。やはり大きな市だから2、3時間は軽く待ちそうだ。時間を持て余したので、アイテムボックスから珈琲とクッキーを出しパックと飲食しながら待つことにした。パックにはお気に入りの、猫をモチーフにしたカップを出す。そのカップは猫が大きく口を開けていて、猫の口の中に珈琲を入れ、尻尾が後頭部まで延びていて取手となっているシュールなものだ。《クリエイトシリコン/創造》で作ってくれとパックにせがまれたのだ。たまにパックの趣味が分からないときがある。

飲食をしていると焼き立てクッキーの甘い香りに誘われて、いつの間にかオレの周囲に女の子の人だかりができている。アイテムボックスに入っている物は時間が止まるので、焼き立てをそのまま食べる事が出来るのだ。そのうちの1人が話しかけてきた。

「とても良い香りですわね。私ははじめてみるのですが、それはなんという食べ物なのですか?」

「これはクッキーという食べ物でな、オレが自分で作った手作りだ。こっちの飲み物は珈琲といって、異国の飲み物だ。少し苦いので好みが別れるところだがな。ちょっと食べてみるか?」

食べてみるか? ここにいる10名ほどの女の子はその言葉を待っていたようだ。

「「「はい、いただきます!」」」

皆が口裏を合わせたように同時に返事をしてきた。アイテムボックスから、クッキーを3枚ずつ渡すと珈琲カップを作る。

《クリエイトシリコン/創造×10》

空中にモコモコモコっと雲のような物体が現れ、カップの形になって固まる。

「え、今の魔法ですか? 私、色々な所を旅してきましたが、見たことがない魔法です。マジで凄いんですけど!」

「魔法でカップを作った。それじゃ、珈琲も飲んでみてくれ。口に合わない女の子には紅茶を出そう」

皆がクッキーを一口パクリと口にいれると、パァっという晴れやかな顔をし、全員が満足したようで笑みがこぼれる。

「な、なんですか! こんな美味しいものは食べたことないです!」

「ラティアリア大陸中を隊商を組んで取引を行ってますが、これほど美味しいものには出会ったことがありません。これはなんなのですか?」

「最大の賛辞をありがとう。珈琲はどうだ?」

「えっと、飲む前に漂ってくる香りが素晴らしいです。この香りは食欲が湧いてくる感じです。苦味は一口目は微妙でしたが、飲むうちに心地よいものに変わってくるとハマりそうな味です。クッキーの甘さが加わることでより珈琲の苦味が心地良いものとなっております」

珈琲はラティアリア大陸にはなかったので、苦味が苦手な人もいるかと思ったが、意外にまだ苦手という人はいない。珈琲は甘いケーキには抜群に合うから、フェロニア市でカフェを出店した時は、紅茶、ロイヤルミルクティと珈琲の3つを出して勝負だ。

「でもね、セシルの本気はこんなものじゃないよ! オイラは食べたけど、ケーキというとんでもなく美味しいものがあるんだ! ミアフラウラのショートケーキは、一面に並べられたスライスされたミアフラウラが特徴なんだ。まず、見た目の美しさが目を引くんだけど、食べてみてさらにビックリするよ! 均一に並べられたミアフラウラのバランスがよくて、最初から最後まで、スポンジと生クリームとミアフラウラの絶妙のハーモニーが楽しめるんだ! ミアフラウラの甘さとフレッシュさが秀逸なのさ。柔らかな上質の生クリーム。しっとりしていながら、フワフワのスポンジは、口に含むと、ミアフラウラと生クリームと一緒に口もなかでとろけていくんだよ!」

まさかあのパックが、ここまで気に入って語るとは意外だったな。ミアウラフラのショートケーキが好きだとは知っていたがな。

話を聞いていた女の子たちは、口を半開きにして涎が垂れそうな勢いだ。こらこら、女の子がそんなはしたない顔をしちゃいけませんよ。物凄く食べたそうな思いは伝わってくる。異世界も女の子は甘いものに目がないのだなと、改めて気がつく。

「セシルさんとおっしゃられましたね。今の妖精さんの話に出ていたミアフラウラケーキというものを食べさせていただくというわけにはいきませんか? もちろんお代は払わせていただきます」

「私も払うから食べさせて!」

「私もお願いします!」

ぜひ食べたいという女の子がドンドン人が増えてくる。パックも彼女たちを煽るから、困ったものだ。

「分かった。そこまで言うなら食べていただこう。近々フェロニア市のどこかにラヴィアンローズというカフェをはじめるから、その時にお店に来てくれれば特性ケーキを差し出そう」

「メッチャ美味いから絶対に来てね! オイラもそうだったけど、脳天にトンカチで打たれたような衝撃が走ることは間違いないよ!」

「ははっ、そうだな、ん?」

突如として《探査マップ/神愛》に赤いマーカー数点が、オレたちのいる方向に向かい移動をしてくるのが見える。そのマーカーをタップするとミニウインドウが左下に出現し、赤いマーカーの正体はモンスターが全力で走っている映像が映った。数体のモンスターの前を1台の馬車が猛スピードで逃げている。

『カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンッ!』

ラヴィアンローズの開業日について話していると、突然、城の監視塔から鐘を打ち鳴らす音が聞こえる。そして城門上にある、監視所の警備兵が大声を張り上げている。

「ライマン! 隊商がモンスターに襲われていて、城門近くまで逃げてきている。巻き込まれるから、緊急措置で市内に手続きが終わっていないものも全員入れろ!」

「はっ! 隊長、承知しました! 検問待ちの人は緊急な処置として市内に入ってください。急いで!」

次々に市内に入る人々、割りと混乱なくスムーズに進んでいっ行った。一般人なのにも関わらず、慣れ過ぎていておかしいと思いクッキーを食べさせた女の子に聞いてみた。すると魔龍が数年前にエデイルネ王国に現れてから、フェロニア市にモンスターが襲いかかってくるということは頻繁に起きているという事だ。
オレたちと入れかわりに、15人の守備兵がモンスター迎撃に出ると、隊商の馬車が市内に突入してくる。守備兵とすれ違うときに御者が声をあらげる。



「ポ、ポイズンジャイアントだと! 脅威度ランクBのモンスターじゃないか! おい、すぐに冒険者ギルドに行ってランクAのオーディン傭兵団を呼んでこい!」

「はいっ!」

守備兵が急いで冒険者ギルドに走っていく。城門前ではワータイガー10体とポイズンジャイアント1体の戦闘がはじまる。

●魔物名:ポイズンジャイアント
●状態:怒り
●脅威度:B
●レベル:45
●HP:2162
●MP:2180
●腕力:1069
●体力:1093
●敏捷:1151
●知力:1065
●魔力:1115
●器用度:1061
●スキル
毒のブレス4、毒の爪4

ポイズンジャイアントは紫色の肌を持ち、身長が8メートルを越える巨人族だ。毒のブレスは冒険者にとって生死に関わる驚異となる。皮膚も固く防御力を抜ける者は多くはいない。

●魔物名:ワータイガー
●状態:怒り
●脅威度:D
●レベル:25
●HP:1198
●MP:1180
●腕力:607
●体力:591
●敏捷:587
●知力:595
●魔力:585
●器用度:557
●スキル
物理無効、毒爪3、神聖魔法1

ワータイガーは、ヒューマンの様に立ち上がる虎型モンスターだ。ヒューマンと違い、強力な牙と毒爪を備えている。装備を何もつけていない状態で噛まれると真っ二つになるほど強力な牙を持つ。生意気にも神聖魔法レベル1を使用できる。物理攻撃が効かないという特徴があるので、魔法攻撃、魔法の剣を使用するか、武器に《ホーリーウェポン/聖なる武器化》か《エンチャントウェポン/魔法武器化》をかける必要がある。ただし、圧倒的な破壊力の前では物理無効は効果を発揮できない。

「ゴァァァアアアアアアアアアア!」

守備兵は防戦一方だ。次々に10体のモンスターに無双されている。そもそも魔法の武器を持っている兵士が15人のうち2人しかいない。もともと勝ち目などなかった。守備兵の平均レベルは19で、1番強い兵士でもレベル22戦士だった。これでは全員死亡するのも時間の問題だった。

「セシルどうする? このままじゃあ兵士が全員殺られちゃうよ!」

オレが神クラスの強さを持っていることを知られると、地元の有力者や政治家などに勧誘され邪魔が入るかもしれない。そうなると龍を討伐するレベルまで仲間を育てる目標を達成することが困難になる。だが助けられる命を見捨てることは人として出来ない。面倒だが協力してやるか。先程、守備兵がランクAの傭兵団が来ると言っていたから、それまで敵を倒さずに攻撃を適当にかわしながら待つとするか。

「そうだな、守備兵が死んだら可哀想だから助けてやるとしよう。パックは優しいな」

オレは城門上まで階段で行き、20メートルはある城壁から飛び降りると、戦っている守備兵のもとに向かった。

「お前、死ぬ気か! 戻れ!」

後ろから守備兵の叫び声が聞こえるが無視だ。まず、ヘイトを集めるために軽く敵全員を攻撃するか。

~~~戦闘開始

◎ポイズンジャイアント×1(1)
◎ワータイガー×9(9)

イニシアティブはオレが取り、魔力を1体につき500ほどつぎ込み魔法の詠唱をはじめた。

《イグニッション/点火×10》

『ボガガガガガガガガガガッ!』

「「「グゥォォォォォオオオオオオオ!」」」

ポイズンジャイアントに3500の魔法ダメージを与え、残りのHPが842となった。ワータイガーには1500の魔法ダメージを与え、残りのHPは878となる。ステータスを確認してつぎ込む魔力を決めたから、モンスターは予定通り大ダメージを与えたが、死んではいない。次点のポイズンジャイアントとワータイガーは大ダメージをくらい、怯んで動けなくなった。

「兵士たちは1度全員引いて体制を立て直せ! 敵の攻撃はすべてオレが引き受ける!」

「1人でモンスター10体と渡り合うとは!? 凄まじい強者だな。すまないが少しだけ逃げに徹してでも持ちこたえてくれ! すぐ戻る!」

隊長がそう叫ぶと、兵士たちは一斉に城門付近に引き上げた。体制を整えるため、ポーションを飲んだり、応急手当てをはじめる。

~~~2ターン

◎ポイズンジャイアント×1(1)
◎ワータイガー×9(9)

イニシアティブを取ったが、これ以上攻撃するとモンスターが死んでしまうので、ヘイトを集めることだけに集中した。

「ほら、全員こっちに攻撃してこい!」

《クリエイトウォーター/水創造×10》

『ビシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ』

さらに叫んだ後、魔法でヘイトを集めるため水鉄砲をモンスターに軽くかけた。正直、ただの嫌がらせだ。水鉄砲を顔面にかけられると、割とイライラしてくるのは、ヒューマンもモンスターも変わらないはず。その甲斐あってモンスター10体は苛ついてオレに突進してくる。

「「「グゥルルルルルルルル!」」」

ワータイガー9体の毒爪が、1体につき発で6発が飛んでくるが、51発はステップを使い綺麗にすべてをかわす。3発のクリティカルヒットをくらい、1発ごとに594のダメージがあったが、198007の防御力ですべて打ち消した。毒爪の毒もすべてレジストに成功する。

『ゴォオオオオオオオオオオオ!』

次に不気味な顔色のポイズンジャイアントが頭を一度後ろに引き、それを戻しながら毒のブレスを吹いてきた。オレはポイズンブレスを左にあっさりとかわした。

「オーディン傭兵団はまだ来ないのか? 早く来ないとそこで1人戦ってくれている勇気ある若者が死んじゃうぞ!」

後方で守備兵が騒いでいる。今の戦いを見て、オレの方が不利だというなど、ずいぶんレベルの低い兵士だな。モンスターも体制を整え、再攻撃を加えてきた。ヘイトは完全に掌握したようで、モンスターは守備兵など気にも求めていない。オレは腰にある短剣を中段に構えると、10体の攻撃を短剣で弾きながら待つことにする。オーディン傭兵団とやらが、来るまでこれでしのいで待つとしよう。

1度引いた兵士はポーションで回復は終わったものの、10体1の戦いに入ってこれず、傍観者と化している。この中に入ってきても怪我をするだけだと分かっているのだろう。悔しさに耐えるように唇を噛む仕草が、彼らの心情を表しているのだろう。

3ターン、4ターンと適当に流しながら戦っていると、後方から黄色い大声援が聞こえた。

「「「きゃああああああ! ルーファス様が来られたわ!」」」

「「「ルーファス様ぁ~! 愛しているわぁ~!」」」

「「「ティナ様ぁ~! お姉様ぁ~! ティナ様ぁ~! お姉様ぁ~!」」」

『ギィイイイイイイイイイイ』

鉄の城門が開き、鉄と鉄がこすれる音が後方から聞こえる。《探査マップ/神愛》を見ると、50人の完全武装した兵士が城門から馬に乗ってぞろぞろと出てきた。

「お、おい! あいつを見ろよ! 10体1でモンスターと短剣で殺りあっているぞ。しかも強い! ほとんどかわしているぞ」

「へっ、なんでぃ、逃げ回っているだけじゃね~かよ」

「相当強いわよ! あの数とやりあっているのに余裕さえ感じるもの」

「…………………………」

先頭を走る黄金色のプレートアーマーに黄金色の兜、黄金色のガントレットに黄金色のブーツ、そして青いマントを装備した男が、スピアを頭上に掲げる。ずいぶん鎧が派手なやつだな。

「オーディン傭兵団出る! みんな私に続け!」

「「「オオオオオオオオオオ!」」」

団長らしき男が叫ぶと一斉にオレの方に向かってくる。団長を中心によくまとまっている傭兵団で、走りながらも隊列を組みながらオレとモンスターの間に突入してきた。

『ギャリーン、ズバッ、ガーン』

傭兵団との戦闘がはじまったので、オレは後ろで高みの見物と行くことにする。連携などを見ているが、こいつらはなかなか練度が高く強いな。何よりも傭兵団全体に熱気というか、やる気がみなぎっている。どのようなやつらなのか気になるので、《探査マップ/神愛》で団長と呼ばれる女の子にモテモテ男のステータスを見てみよう。

●名前:ルーファス
●年齢:23歳
●種族:ヒューマン
●所属:ステュディオス王国フェロニア市、オーディン傭兵団、団長
●身長/体重:182/74
●髪型:金髪巻き毛ロングヘアー
●瞳の色:青色
●経験:多数
●状態:平常
●ベースレベル:65
●職業:レベル35サムライ
●HP:2572
●MP:2552
●腕力:1260
●体力:1312
●敏捷:1290
●知力:1290
●魔力:1262
●器用度:1290
●スキル
暗黒魔法4、槍術5、弓術5、盾術5、生活魔法
●通り名
フエロニアの貴公子
●装備
神槍グングニル、銀製のヘルム+3、銀製のプレートアーマー+3、銀製のガントレット+3、銀製製のブーツ+3、銀製のマント+3

おお! わりと強いな。それに神話に出てきそうな超絶的美男子だ。女の子のファンがたくさんいて、黄色い声が出ることも理解できる。眉目秀麗とは彼のような男のためにあるのだろう。オレはノーマルだが、それでもゾクッとするような、不思議な感覚に陥るヤバい男だ。経験も多数、だと! リア充死すべし! 男の敵であることには変わりはないがな!

そんなことを考えていると、前線で戦っていた3人が後方に引いてくる。怪我人が出たようだな。ポイズンブレスを食らって、腕が毒々しい色に変わっている。

「いてててて、しくじったな。早く解毒ポーションをかけないと、腕が腐っちまうぜ」

《ハイリカバリー/上位回復魔法×3》
《キュア/状態異常回復×3》

「おお! 神聖魔法を使えるのか? あんちゃんサンキューな」

「マジでサンキュー!」

男たちはまた戦闘に復帰する。突然、鋭い視線を感じ、その方向を見ると、団長ルーファスの視線だった。美男子のジト目とは、なんだろう。ま、まさかゲイボーイだったりしないだろうな。オレはノンケだから男は無理だぞ。

『ズガガガガガガガガガガッ!』

「グォォオオオオオオオオオオオオオ!」

『ドズゥーン』

Aランク傭兵団といえど、脅威度ランクBモンスターは時間がかかるようだが、ついにルーファスの10連突きが炸裂し、ポイズンジャイアントの息の根を止める。ポイズンジャイアントは絶命すると大きな音をたてながら倒れる。ワータイガー9体も他の傭兵が倒すことに成功した。

「「「キャアアアアアア、ルーファス様! 素敵よぉ~」」」

「「「私と結婚してぇ~!」」」

「「「フェロニアの貴公子様ぁ~!」」」

どさくさ紛れにとんでもないことを口走っている女の子もいるな。オーディン傭兵団は街の脅威を軽く払い、戻ってくると女の子の黄色い声がさらに大きな声援となる。超絶イケメン団長のカッコいいところが見れて喜びマックスだ。
オレはさっさとこの場を離れると、パックと場内に入る。

「力をセーブして戦うとか大変だね~」

「そうだな、あまり強いのがバレると傭兵団やパーティーの誘いなどしつこそうだからな。カッコいいところを取られたのは悔しいが、神クラスの武力を持つオレはこれぐらいでいいのだよな」

戦闘現場を見ると、オーディン傭兵団の団長ルーファスが神槍グングニルを頭上に突き出し、勝ち名乗りをあげてこの場を盛り上げている。
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