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第1章
第39話 ティムガット市へ
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朝、目覚めるとサーシャは横でスゥスゥと吐息をたてて寝ている。昨日は処女をオレに捧げ、散々、前から後ろから一物で突いた。疲れて寝ているところが可愛く感じて青髪を何度か撫でると、目が覚めてオレを見る。昨日の情事を思い出したのか、真っ赤になってサッと目をそらした。
「お、おはようございます! セシル様」
「うむ、おはようサーシャ。昨日はナイスな絞まり具合でとてもよかったぞ」
わざと昨日のことに触れて卑猥に褒めてみる。サーシャは耳まで赤く染めて目が挙動不審になり、うぶで可愛い反応をする。女の子はこうでなくっちゃな。
AVに出演する女性など自分で陰部を拡げるなど、もう興醒めするからな。男たちがドン引きしているのにセクシーだと勘違いしている女性は結構いる。あれを喜ぶのは変態的な趣味を持っているか、性欲が異常に強いか、ヤンチャ系の人だよな。
そうだ! 次回にサーシャと夜伽をすることがあったら、自分で陰部を広げさせてみよう。は、恥ずかしいですと、いい反応が見れること間違いなしだな。ぐふふふ♪ プロのAV女優がやるのと羞恥心の強い素人娘がやるのとでは意味が違う。超興奮しそう。しばらくはアレクシス市には戻ってこないから、そのときの楽しみにとっておこう。
「おはよー。うしし、セシルは好き者だね~」
挙動不審なサーシャを見てニタニタするオレを見て、すぐに意図に気がついた変態妖精パックがいた。そっち系だけはマジで敏感なのだからな。だがパックはそこが良い!
探査マップ/神愛にマーカーが2つ庵に近づいてくる。ティベリアとエリスが食事をもってきたようだ。
『コンコン、ガチャッ』
「セシル様、3人分のお食事をお持ちいたしました。パックも一人前でよろしかったのですよね」
「うむ、ありがとう。パックも一人前食べるからな。ああ見えて大食漢なのだよ。サーシャ、恥ずかしがっていないで朝食を食べるとしよう」
「はい、セシル様」
3人で食事をしている。サーシャに食べさせてもらおうかと考えたが、あまり刺激を与えすぎて、反応をする新鮮さが損なわれても嫌なので、今回はこれ以上の刺激は控えておく。
「このあと、オレはティムガット市に向かう。サブラタ村の女たちのことを頼んだぞ。彼女たちにはレーモンクッキーという神界の食べ物の作り方を教えたから、それで商売をさせて自立できるようにしたい。国家の暴挙による性被害者だから、よく目をかけてあげてくれ。オレはサーシャを全面的に信用している。上級修道士たちにいうことを聞かせるためにこれをお前に授ける。困ったときはオレの名前を出すがいい」
ラヴィアンローズの紋章をサーシャに渡す。それを手に取り、とっても嬉しくて頬がほころんでいる。両手で紋章を抱きしめ、愛おしそうだ。そんなに喜んでもらえると嬉しいな。
「私をここまで信用していただけるとは光栄です。サブラタ村の件、承知いたしました。私の命を懸けてやり抜きます」
サーシャはアレクシス市の司教の顔になっている。意外に仕事をやってくれそうな気配がする。ティベリアが話に加わってきた。
「セシル様、お付きの修道女はどうされますか? もし必要でしたらここにいるエリスではいかがでしょうか? もちろん孕ませてしまっていただいても構いません。エリスが孕んでしまった場合、フェロニア市のエロース神殿に預かってもらえるように手配をいたします」
「ああ、気を使ってくれるのは嬉しい。聖女アリシアにも散々お付きの者を連れていけと催促されたが断ったのだ(嘘だけどな)。ここから先は暗黒魔法フライ/飛行魔法で飛んで行くことにした。パックと2人の方が楽だからな。もう1人連れていったら、お付きの女を抱えて飛ばなければならない。それに昨日も言ったが、神界では16歳未満は抱くことが禁じられているのだ」
本当の理由は違う。神の化身としての行動を見られていると、それがそのまま伝説となって未来永劫にわたってラティアリア大陸の人々に語り継がれるだろう。エロとか楽しみたいし、多少は日本でやってこなかった変態的なプレイもしてみたい。それがエロース神の化身セシルの伝説とか、言い伝えになるとか嫌だからな。
神の化身はエロだった! とか修道女を縄で縛るド変態だった! などあの世に帰ったときに、エロース神様に怒られそうだ。
すでにこの異世界にパイパンの文化を伝えてしまった。ティベリアはそれを神殿作法に取り入れると意気込んでいた。それを見ていてヤバイなとかんじたのだ。性病のカンジタは魔法で治るが、人の記憶の操作はできない。
そのような理由もあり、アリシアたちと迷宮都市フェロニアで合流すると、好き勝手なことができなくなるかもしれない。
オレの修道女たちは非常に真面目だし、特にアリシアは嫉妬深いのが判明したこともある。合流後は女性関係を制限されて、監視をされるとかありえる。修道女たちに色々な変態行為がバレたらジト目どころか、最低な男だと嫌われることは避けたい。だからそれまでは、異世界生活を自由に楽しむことにした。
ーーー数時間後
もう少しいてくださいという誘ってくる修道女3人と別れを告げてアレクシス市を出発する。
「みんなまたね~。またオイラたちは遊びに来るから! 特にサーシャにね!」
《ホーリーシールド/聖なる盾》
《フライ/飛行魔法》
手を振りながら急上昇する。探査マップ/神愛が上空2キロメートルを表示している。この高度までくると、アレクシス市がだいぶ小さく見えてくる。ラティアリア大陸には飛行機や飛行船はない。空は魔法のフライ、空中歩行で飛ぶしかないため、空はレベル40以上の強者の独占状態となっている。ただ、稀だが竜騎士がいるようだ。これは大国への防衛のために少数がいるらしい。
空中歩行を使える強者とはまだ出会ってはいないが、空中に足場を作り、その足場を蹴って飛ぶらしい。
アレクシス市でのパルマとの約束を守れたことだし、ミッションコンプリートだな。次はいよいよアリシアの故郷、ティムガットだ。馬車だと10日の距離だが、オレのスピードで飛んでいくと小1時間ほどで着く。
探査マップ神愛でティムガットを確認しながら、道端沿いに進む。北は広大なバレンシアの森が拡がっている。このラティアリア大陸の7割がバレンシアの森だから、その他の森も会わせると、人が住んでいる土地は2割くらいだ。
街道には馬車が多数行き来している。ティムガットの先は小さな村や小規模の街があるだけで、隣国ストゥディオスに最も近い大きな街とあり、貿易が盛んになっている。
1時間ほど飛行すると、遠くの方に市の城壁が見えてくる。見えたといっても、馬車だとここから2、3時間はかかる距離だが。ん?
『ギャリーン、ギィンギィ』
戦闘する音が聞こえてくる。地表を見ると冒険者だろうか? ヒューマン10人が狼と戦っている。そのうちの1頭は……デカイ! 5メートルくらいはあるかもしれない。
●魔物名:ダイアウルフ
●状態:怒り
●脅威度:B
●レベル:50
●HP:1557
●MP:1584
●腕力:772
●体力:785
●敏捷:752
●知力:760
●魔力:824
●器用度:750
●スキル
噛みつき3、ポイズンブレス3、毒針4
おお! 狩りをしている! VRMMOを極めた者としては、心が踊る。ただ、モンスターと戦闘中に割り込むと、横殴りのマナー違反だから見るだけにしよう。
「パック、インビシブル/透明化を頼む」
「あいよ! インビシブル/透明化だね。狩りを見学するの?」
《インビシブル/透明化》
この魔法は装備ごと消えるからとても便利だ。フライ/飛行魔法で飛びながら移動すれば歩く音も出ないし、完璧に気配を消せる。
以前にテュルダ村で戦ったウォーグ34匹と初見のダイアウルフが1匹いる。ダイアウルフはウォーグよりもだいぶ大きく強そうだ。群れのリーダーだな。
対するヒューマンは、マーカーによると、狩りというよりは、騎士が訓練をしているようだ。全員ヴェルチェッリ騎士団というところの所属だ。戦いなれているようで、なかなかの連携だ。敵の数が3倍以上いるので深追いせずに、1人が斬り込んで数回メイスを叩き込むとバックステップをして回避する。間髪いれず弓を持っている騎士が追ってきたウォーグに弓矢を射つ。徐々にウォーグの数が減っていく。余裕で勝てそうだな。残りが15頭になったところでボス狼ダイアウルフが出てくる。
「グウォォォォォォォォォォォォ」
巨狼の怒りの咆哮だ。ボス狼のすぐ上の空中に浮いて、騎士団の戦いが見やすい位置に来ていたので、ダイアウルフの咆哮が目の前で唸られ、耳が少しだけキーンとする。咆哮が終わると、騎士たちに向けてダッシュで攻撃を加える。遠吠えは暗黒魔法のフィアーと同じ効果があったはずだが、騎士団の3人はレジストに成功した。残りの7人はレジストに失敗して、その場でガタガタ震えて動けなくなっている。咆哮のレジストに失敗をしたから、騎士は恐慌状態に陥り、しばらく何も行動できなくなる。
ダイアウルフは真っ先にレベル38聖騎士リーダーの喉を食い破ろうと襲いかかる。攻撃の要はリーダーであるとすぐに気がついたようだ。意外に頭が切れる。実はその通りで、盾役をやっている2人の騎士が敵に圧力を加えてヘイトを稼いでいる間、攻撃する位置を次々に移して、嫌な角度から矢を放っていたのだ。
さすが驚異度ランクBモンスター、ダイアウルフも負けてはいない。盾役を弾き飛ばして前線を突破すると、リーダーを目掛けて突進する。リーダーはバックステップで距離をとろうとするが、木に足をとられて転倒してしまう。
リーダーがヤバイ。オレはとっさにアイテムボックスからエロースの弓を取り出す。魔力を弓に込めると、玄と光の矢が発生した。ダイアウルフの左足に狙いを定めて、撃ち放つと見事にターゲットを撃ち抜いた。さすがに40万の器用度だな。ただ、光の矢が強すぎてダイアウルフを貫いたあと、そのまま木々をなぎ倒しながら、数百メートルの溝が地面にできている。
光の矢じゃなくて、普通の木の矢を用意しておかないと、強すぎるのがバレるから不味いな。
「グゥォォォォオオオオオ」
脚が吹き飛ばされた痛みで叫び声をあげるダイアウルフ。リーダーはすぐさま立ち上がり、連続で矢を放つ。矢が大量に刺さったダイアウルフに、恐慌状態が解けた騎士がメイスを次々に叩き込んでは、回避している。やはり連度が高く、なかなかの連携だ。
その後10分ほどで、ダイアウルフはついに息絶えて倒れる。ボス狼が殺られたので残りのウォーグは一目散に逃走した。
おお~。なかなかの戦闘を見せてくれたな。まさに想像したリアルな戦闘シーンだ。こういう手に汗握る戦いがしたかったが、オレにはエロース神様のギフトがあるから、敵を蹂躙するだけだ。迷宮都市フェロニアに着いたら、どこかの弱いパーティーに入って、弱い盗賊の不利をして適当に雰囲気を楽しむこととしよう。
設定は賢者……は不味いか。メコンガの所でこの設定はドン引きされたからな。僧侶から盗賊に転職した冒険者だな。魔法職は絶対数が少ない、特別な職業だから引く手あまたに違いない。
このラティアリア大陸において、魔法職は誰でもなれるものではなく、神様の加護を得られた者だけがなれるのだ。どんなにレベルがあがっても魔法職にはなれないのだ。
ただスキルは使えるようになる。だから加護を得られない者は、戦士から上級職の狂戦士になるか、盗賊から上級職の忍者になるしかない。
暗黒魔法と神聖魔法の両方使える賢者など、さらに数が激減する。魔術師の1%もいない。特別な加護なのだ。
ダイアウルフとの壮絶な戦闘が終了したあとは、倒したモンスターの剥ぎ取りがはじまった。結構グロい、皮を剥ぎ、血を抜き、肉と骨を切り分ける。
うん、もういいや。吐き気がしてきたから、もうそろそろお暇してティムガット市に入ろう。胸踊る戦いを見せてもらったお礼に金貨を1枚ダイアウルフの足下におく。
上昇してティムガット市に向かう。森を抜ける手前で降りて、歩いて城門に向かうことにした。フライ/飛行魔法はレベル5暗黒魔法だ。そんな魔法を使うものが来たら大騒ぎになること間違いなしだ。そのレベルだと気分次第で市を壊滅させることなど、たやすいからだ。
自分の住む街に、いきなり核兵器搭載戦闘爆撃機が飛んで来たらどうなるか? 人々の恐怖が分かるだろう。そもそもレベル40台のものは少なく、市に1人いるかいないか、というのが常識だ。多くの高レベル修道士がいた神都ベネベントは珍しいケースなのだ。
城門の入口から続いている列の最後尾についた。さすがに隣国に繋がる最西端の大きな市だから、100人以上並んでいる。市に入るのは2、3時間はかかるかな。
「お、おはようございます! セシル様」
「うむ、おはようサーシャ。昨日はナイスな絞まり具合でとてもよかったぞ」
わざと昨日のことに触れて卑猥に褒めてみる。サーシャは耳まで赤く染めて目が挙動不審になり、うぶで可愛い反応をする。女の子はこうでなくっちゃな。
AVに出演する女性など自分で陰部を拡げるなど、もう興醒めするからな。男たちがドン引きしているのにセクシーだと勘違いしている女性は結構いる。あれを喜ぶのは変態的な趣味を持っているか、性欲が異常に強いか、ヤンチャ系の人だよな。
そうだ! 次回にサーシャと夜伽をすることがあったら、自分で陰部を広げさせてみよう。は、恥ずかしいですと、いい反応が見れること間違いなしだな。ぐふふふ♪ プロのAV女優がやるのと羞恥心の強い素人娘がやるのとでは意味が違う。超興奮しそう。しばらくはアレクシス市には戻ってこないから、そのときの楽しみにとっておこう。
「おはよー。うしし、セシルは好き者だね~」
挙動不審なサーシャを見てニタニタするオレを見て、すぐに意図に気がついた変態妖精パックがいた。そっち系だけはマジで敏感なのだからな。だがパックはそこが良い!
探査マップ/神愛にマーカーが2つ庵に近づいてくる。ティベリアとエリスが食事をもってきたようだ。
『コンコン、ガチャッ』
「セシル様、3人分のお食事をお持ちいたしました。パックも一人前でよろしかったのですよね」
「うむ、ありがとう。パックも一人前食べるからな。ああ見えて大食漢なのだよ。サーシャ、恥ずかしがっていないで朝食を食べるとしよう」
「はい、セシル様」
3人で食事をしている。サーシャに食べさせてもらおうかと考えたが、あまり刺激を与えすぎて、反応をする新鮮さが損なわれても嫌なので、今回はこれ以上の刺激は控えておく。
「このあと、オレはティムガット市に向かう。サブラタ村の女たちのことを頼んだぞ。彼女たちにはレーモンクッキーという神界の食べ物の作り方を教えたから、それで商売をさせて自立できるようにしたい。国家の暴挙による性被害者だから、よく目をかけてあげてくれ。オレはサーシャを全面的に信用している。上級修道士たちにいうことを聞かせるためにこれをお前に授ける。困ったときはオレの名前を出すがいい」
ラヴィアンローズの紋章をサーシャに渡す。それを手に取り、とっても嬉しくて頬がほころんでいる。両手で紋章を抱きしめ、愛おしそうだ。そんなに喜んでもらえると嬉しいな。
「私をここまで信用していただけるとは光栄です。サブラタ村の件、承知いたしました。私の命を懸けてやり抜きます」
サーシャはアレクシス市の司教の顔になっている。意外に仕事をやってくれそうな気配がする。ティベリアが話に加わってきた。
「セシル様、お付きの修道女はどうされますか? もし必要でしたらここにいるエリスではいかがでしょうか? もちろん孕ませてしまっていただいても構いません。エリスが孕んでしまった場合、フェロニア市のエロース神殿に預かってもらえるように手配をいたします」
「ああ、気を使ってくれるのは嬉しい。聖女アリシアにも散々お付きの者を連れていけと催促されたが断ったのだ(嘘だけどな)。ここから先は暗黒魔法フライ/飛行魔法で飛んで行くことにした。パックと2人の方が楽だからな。もう1人連れていったら、お付きの女を抱えて飛ばなければならない。それに昨日も言ったが、神界では16歳未満は抱くことが禁じられているのだ」
本当の理由は違う。神の化身としての行動を見られていると、それがそのまま伝説となって未来永劫にわたってラティアリア大陸の人々に語り継がれるだろう。エロとか楽しみたいし、多少は日本でやってこなかった変態的なプレイもしてみたい。それがエロース神の化身セシルの伝説とか、言い伝えになるとか嫌だからな。
神の化身はエロだった! とか修道女を縄で縛るド変態だった! などあの世に帰ったときに、エロース神様に怒られそうだ。
すでにこの異世界にパイパンの文化を伝えてしまった。ティベリアはそれを神殿作法に取り入れると意気込んでいた。それを見ていてヤバイなとかんじたのだ。性病のカンジタは魔法で治るが、人の記憶の操作はできない。
そのような理由もあり、アリシアたちと迷宮都市フェロニアで合流すると、好き勝手なことができなくなるかもしれない。
オレの修道女たちは非常に真面目だし、特にアリシアは嫉妬深いのが判明したこともある。合流後は女性関係を制限されて、監視をされるとかありえる。修道女たちに色々な変態行為がバレたらジト目どころか、最低な男だと嫌われることは避けたい。だからそれまでは、異世界生活を自由に楽しむことにした。
ーーー数時間後
もう少しいてくださいという誘ってくる修道女3人と別れを告げてアレクシス市を出発する。
「みんなまたね~。またオイラたちは遊びに来るから! 特にサーシャにね!」
《ホーリーシールド/聖なる盾》
《フライ/飛行魔法》
手を振りながら急上昇する。探査マップ/神愛が上空2キロメートルを表示している。この高度までくると、アレクシス市がだいぶ小さく見えてくる。ラティアリア大陸には飛行機や飛行船はない。空は魔法のフライ、空中歩行で飛ぶしかないため、空はレベル40以上の強者の独占状態となっている。ただ、稀だが竜騎士がいるようだ。これは大国への防衛のために少数がいるらしい。
空中歩行を使える強者とはまだ出会ってはいないが、空中に足場を作り、その足場を蹴って飛ぶらしい。
アレクシス市でのパルマとの約束を守れたことだし、ミッションコンプリートだな。次はいよいよアリシアの故郷、ティムガットだ。馬車だと10日の距離だが、オレのスピードで飛んでいくと小1時間ほどで着く。
探査マップ神愛でティムガットを確認しながら、道端沿いに進む。北は広大なバレンシアの森が拡がっている。このラティアリア大陸の7割がバレンシアの森だから、その他の森も会わせると、人が住んでいる土地は2割くらいだ。
街道には馬車が多数行き来している。ティムガットの先は小さな村や小規模の街があるだけで、隣国ストゥディオスに最も近い大きな街とあり、貿易が盛んになっている。
1時間ほど飛行すると、遠くの方に市の城壁が見えてくる。見えたといっても、馬車だとここから2、3時間はかかる距離だが。ん?
『ギャリーン、ギィンギィ』
戦闘する音が聞こえてくる。地表を見ると冒険者だろうか? ヒューマン10人が狼と戦っている。そのうちの1頭は……デカイ! 5メートルくらいはあるかもしれない。
●魔物名:ダイアウルフ
●状態:怒り
●脅威度:B
●レベル:50
●HP:1557
●MP:1584
●腕力:772
●体力:785
●敏捷:752
●知力:760
●魔力:824
●器用度:750
●スキル
噛みつき3、ポイズンブレス3、毒針4
おお! 狩りをしている! VRMMOを極めた者としては、心が踊る。ただ、モンスターと戦闘中に割り込むと、横殴りのマナー違反だから見るだけにしよう。
「パック、インビシブル/透明化を頼む」
「あいよ! インビシブル/透明化だね。狩りを見学するの?」
《インビシブル/透明化》
この魔法は装備ごと消えるからとても便利だ。フライ/飛行魔法で飛びながら移動すれば歩く音も出ないし、完璧に気配を消せる。
以前にテュルダ村で戦ったウォーグ34匹と初見のダイアウルフが1匹いる。ダイアウルフはウォーグよりもだいぶ大きく強そうだ。群れのリーダーだな。
対するヒューマンは、マーカーによると、狩りというよりは、騎士が訓練をしているようだ。全員ヴェルチェッリ騎士団というところの所属だ。戦いなれているようで、なかなかの連携だ。敵の数が3倍以上いるので深追いせずに、1人が斬り込んで数回メイスを叩き込むとバックステップをして回避する。間髪いれず弓を持っている騎士が追ってきたウォーグに弓矢を射つ。徐々にウォーグの数が減っていく。余裕で勝てそうだな。残りが15頭になったところでボス狼ダイアウルフが出てくる。
「グウォォォォォォォォォォォォ」
巨狼の怒りの咆哮だ。ボス狼のすぐ上の空中に浮いて、騎士団の戦いが見やすい位置に来ていたので、ダイアウルフの咆哮が目の前で唸られ、耳が少しだけキーンとする。咆哮が終わると、騎士たちに向けてダッシュで攻撃を加える。遠吠えは暗黒魔法のフィアーと同じ効果があったはずだが、騎士団の3人はレジストに成功した。残りの7人はレジストに失敗して、その場でガタガタ震えて動けなくなっている。咆哮のレジストに失敗をしたから、騎士は恐慌状態に陥り、しばらく何も行動できなくなる。
ダイアウルフは真っ先にレベル38聖騎士リーダーの喉を食い破ろうと襲いかかる。攻撃の要はリーダーであるとすぐに気がついたようだ。意外に頭が切れる。実はその通りで、盾役をやっている2人の騎士が敵に圧力を加えてヘイトを稼いでいる間、攻撃する位置を次々に移して、嫌な角度から矢を放っていたのだ。
さすが驚異度ランクBモンスター、ダイアウルフも負けてはいない。盾役を弾き飛ばして前線を突破すると、リーダーを目掛けて突進する。リーダーはバックステップで距離をとろうとするが、木に足をとられて転倒してしまう。
リーダーがヤバイ。オレはとっさにアイテムボックスからエロースの弓を取り出す。魔力を弓に込めると、玄と光の矢が発生した。ダイアウルフの左足に狙いを定めて、撃ち放つと見事にターゲットを撃ち抜いた。さすがに40万の器用度だな。ただ、光の矢が強すぎてダイアウルフを貫いたあと、そのまま木々をなぎ倒しながら、数百メートルの溝が地面にできている。
光の矢じゃなくて、普通の木の矢を用意しておかないと、強すぎるのがバレるから不味いな。
「グゥォォォォオオオオオ」
脚が吹き飛ばされた痛みで叫び声をあげるダイアウルフ。リーダーはすぐさま立ち上がり、連続で矢を放つ。矢が大量に刺さったダイアウルフに、恐慌状態が解けた騎士がメイスを次々に叩き込んでは、回避している。やはり連度が高く、なかなかの連携だ。
その後10分ほどで、ダイアウルフはついに息絶えて倒れる。ボス狼が殺られたので残りのウォーグは一目散に逃走した。
おお~。なかなかの戦闘を見せてくれたな。まさに想像したリアルな戦闘シーンだ。こういう手に汗握る戦いがしたかったが、オレにはエロース神様のギフトがあるから、敵を蹂躙するだけだ。迷宮都市フェロニアに着いたら、どこかの弱いパーティーに入って、弱い盗賊の不利をして適当に雰囲気を楽しむこととしよう。
設定は賢者……は不味いか。メコンガの所でこの設定はドン引きされたからな。僧侶から盗賊に転職した冒険者だな。魔法職は絶対数が少ない、特別な職業だから引く手あまたに違いない。
このラティアリア大陸において、魔法職は誰でもなれるものではなく、神様の加護を得られた者だけがなれるのだ。どんなにレベルがあがっても魔法職にはなれないのだ。
ただスキルは使えるようになる。だから加護を得られない者は、戦士から上級職の狂戦士になるか、盗賊から上級職の忍者になるしかない。
暗黒魔法と神聖魔法の両方使える賢者など、さらに数が激減する。魔術師の1%もいない。特別な加護なのだ。
ダイアウルフとの壮絶な戦闘が終了したあとは、倒したモンスターの剥ぎ取りがはじまった。結構グロい、皮を剥ぎ、血を抜き、肉と骨を切り分ける。
うん、もういいや。吐き気がしてきたから、もうそろそろお暇してティムガット市に入ろう。胸踊る戦いを見せてもらったお礼に金貨を1枚ダイアウルフの足下におく。
上昇してティムガット市に向かう。森を抜ける手前で降りて、歩いて城門に向かうことにした。フライ/飛行魔法はレベル5暗黒魔法だ。そんな魔法を使うものが来たら大騒ぎになること間違いなしだ。そのレベルだと気分次第で市を壊滅させることなど、たやすいからだ。
自分の住む街に、いきなり核兵器搭載戦闘爆撃機が飛んで来たらどうなるか? 人々の恐怖が分かるだろう。そもそもレベル40台のものは少なく、市に1人いるかいないか、というのが常識だ。多くの高レベル修道士がいた神都ベネベントは珍しいケースなのだ。
城門の入口から続いている列の最後尾についた。さすがに隣国に繋がる最西端の大きな市だから、100人以上並んでいる。市に入るのは2、3時間はかかるかな。
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クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
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