神聖娼婦を中出し育成してハーレムを作ろう

天将

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第1章

第36話 種馬セシル!?

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隊商はその後も問題なく進めていく。あと1日でアレクシス市に着くというところにサブリタ村という小さい村がある。そこで一泊してアレクシス市を通過する予定となっている。

幸い日没前に宿泊予定地、サブラタ村に着く。ランクFモンスターのソードボア15体の来襲以外は、街道沿いということもあってか、特に危険なモンスターは出なかった。
サブラタ村は木でできた柵が、モンスター避けのため村の周囲を囲んでいる。馬では乗りこえられないが、力が強いモンスターならば破壊できるような強度であった。Fランクモンスター程度にしか意味がないくらいの柵である。

隊商が門のところで守備兵のチェックが終わり、村の中に入ると、大勢の村人が迎えてくれた。村長が挨拶のため、前に出てくる。テルツァという、なんと若い女性の村長だった。

「サブラタ村へようこそいらっしゃいました。村を上げて歓迎いたします」

「こちらこそ歓待いただき感謝する」

村長テルツァは満面の笑みで、隊商のリーダーメコンガと握手をして友好をアピールしている。テルツァは

●名前:テルツァ
●年齢:26歳
●種族:ヒューマン
●所属:サブラタ村の村長
●身長/体重:172/54
●髪型:金髪ミディアムヘアー
●瞳の色:青色
●スリーサイズ:88/60/86
●カップ/形:B/半球型
●経験:あり
●状態:罪悪感
●ベースレベル:28
●職業:レベル28盗賊
●HP:677
●MP:658
●腕力:336
●体力:341
●敏捷:341
●知力:340
●魔力:318
●器用度:352
●スキル
忍術3、剣術3、投擲術3
●称号
サブラタ村の村長、サブリタ盗賊団のリーダー
●装備
ショートソード、レザーアーマー

テルツァは目がやや吊りあがり気味のぱっちりとした金髪美女だ。髪型はミディアムヘアスタイルで肩がつくかつかないかの長さから鎖骨までの長さがある。肌は農作業などでもしているからなのだろうか。若干荒れてはいるものの、美しい女性だった。彼女の美貌に隊商の男たちは目がハートになっている。

「ひゃ~、村長は綺麗な女性とはね! セシルも修道女たちと別れて数日経つし、そろそろ一物が寂しくなるんじゃないの? うしし」

村長が女性ということでパックが驚いている。この異世界では女性がトップを張るということは本当に珍しいのだ。日本のように法律と警察がしっかりとしている社会と違って、このがラティアリア大陸では、法律などはあってないようなものだからな。結局、レベルと職業がものを言う社会だ。

こんなひなびた村に美女がと、違和感を感じていた。が、ステータスを見て納得した。彼女は盗賊団のリーダーだった。頭の女じゃなく、彼女がリーダーなのだった。

それにこの村に入ったときに感じた違和感の正体が分かった。探査マップ/神愛で村人をタップし、盗賊団の村にはどのような人がいるのかと調べていた。サブラタ村は200人弱の人工で、中年と老人が60人、若い女が110人、あとは子供が40人だった。結果としてこの村には中年と老人と子供、若い女しかいないのだった。
女たちだけが集まって盗賊団をやっているなど聞いたことがない。なぜこのようなことになっているか理由を知りたくなった。その辺りがハッキリするまでは暴れるのは控えて様子をみることにする。

「パック、この村にいる者は、全員盗賊団だから、そのつもりでいるようにな。食べ物や飲み物は口にいれないほうがいいぞ」

他のみんなに聞こえないようにして、パックに小声で言うと、パックはぎょっとした顔をし、真剣な顔で頷いた。

しばらく大広間で雑談しながら寛いでいた隊商の仲間だが、村娘が来て食事にするということで移動を開始する。食堂に移動中、違和感を感じて周囲を見回すと、多くの村人女性がオレに注目して、穴が開くほど見られている。
さすが女子はこういうことには鋭い生き物だ。すぐに気がついたケイラとエディタがニヤニヤと笑っている。

「あはは。セシル、あなたこの村の女性に気に入られたみたいよ」

「まあ、顔の作りがいいものね。体の線が細いのもいいわよね。マッチョは実は女の子には好かれないものね」

女子2人はすぐに視線の正体に気がついてオレをからかってきた。女子って恋話には敏感だな。

「おいエディタ。俺の筋肉に何か不満でもあるのか?」

部隊長のラシャドが自慢の筋肉を剥き出しにして不満をのべた。

「女の子の本音っていうわけよ。ねぇ~ケイラ?」

「同感よ。筋肉がカッコいいって思ったことは……一度もないわね」

ケイラからもダメ出しをくらい、ラシャドはしおしおとうなだれ、気分が落ち込んでいるようだ。

「うしし、ここでもセシルはモテるね~」

「それはとても光栄だが、オレは好きな女の子がいるからな」

まあ、クリエイトキャラクターで作られたアバターだから自慢にならないよな。顔はモンスターバスターで、ボディはエロース神様の肉体だ。本当のオレはフツメンの貧弱ボディだしな。ぶっちゃけ並以下だ。

隊商36名は食堂に連れていかれて、そこでまとめて食事をすることになっている。準備が整うまで酒を飲んでいてくださいと、蜂蜜酒のミード酒を渡される。ミード酒を探査マップ/神愛ごしに見る。やはりマーカーが示す現実は残酷だ。睡眠薬がしっかり全員のミード酒に入っている。盗賊団のアジトで宴会をしているのだから、当然そうなるよな。虎の口のなかに入っていくと食べられる、と同意語だ。

馬車の仲間と楽しくおしゃべりしながら飲んでいると、突然、コップを落として倒れるキュリス。やはり3番の馬車にいる守備兵では、1番レベルが低いのでレジストできなかったようだ。

「キュリス、どうしたの? あれ? あたしも頭がクラクラしてき……」

その後も次々と倒れる隊商のものたち。オレはもちろんレジストしたので、問題なかったのだが、適当に倒れる振りをして目をつぶる。パックもオレの腹の上にポトッと落ちてきた。

つけっぱなしの探査マップ/神愛は便利だ。目をつむっていてもウインドウは見ることができるから、そこで状況をみていた。

「な! お前たち酒に何か入れたのか!?」

「ふふ、そうよ。ゆっくりと眠りな。でも殺しはしないから安心しなさい」

「くぉお!」

さすがにメコンガだけはレジストに成功して1人反撃をしている。女盗賊団の数名が斬られて倒れている。メコンガは動きやすいように扉を破壊して部屋の外に出ると、ロングソードを上段に構えて周囲の女盗賊たちを威圧する。

●名前:メコンガ
●年齢:34歳
●種族:ヒューマン
●所属:パルミラ教皇国バミドール商会守備隊長
●身長/体重:192/88
●経験:多数
●状態:半睡眠状態
●ベースレベル:28
●職業:レベル28戦士
●レベル:28
●HP:649→449
●MP:667→467
●腕力:309→209
●体力:340→240
●敏捷:358→258
●知力:328→228
●魔力:339→239
●器用度:364→264
●スキル
盾術2、剣術3
●装備
銀のロングソード+3、銀の短剣+2

う~む、やはり人間の血はエグいな。死んではいないようだが、女盗賊が血を流して呻いているのを見ると気持ちが少し悪くなる。グロ注意だ。メコンガは強いがさすがに多勢に無勢、100人の女盗賊たちに囲まれているから敗北は時間の問題だろう。ある意味ハーレム状態だな。ははは。

「待て! お前たちは手を出すな」

サブリタ盗賊団リーダーのテルツァが、部下を下がらせる。武器を手に外に出てきた。武器はなんとムチだ! 可愛い顔でムチとかいい♪ レベルは互角だから、五分五分と言いたいところだが、メコンガは疲労と半睡眠のバッドステータスの影響で少しふらついている。こりゃ負けたな。

~~~戦闘開始

◎テルツァ×1(1)

イニシアティブはギリギリテルツァが取った。ムチの特性を活かすために中距離に距離を取った。棘が所狭しと付いているムチをメコンガに放つ。

『ビシィビシィビシィビシィギィン!』

テルツァが繰り出すムチのスピードにメコンガは5発中4発が命中し312のダメージを受けた。棘が防具を着ていないメコンガの皮膚を切り裂き、血しぶきが舞う。ギリギリ意識を失う最大HP10%以下までは削られなかった。

メコンガは血まみれの体でロングソードを両手で持ち、己の人生をかけ剣を振るう。負ければ隊商は全滅、盗賊団のリーダーが生かすといった以上、全員が奴隷になり売られるのは明白だったからだ。

『ギィンギィンズバッギィンギィン!』

メコンガの攻撃は5発中1発が命中し、73のダメージをテルツァに与えた。テルツァは一撃を受け、一瞬よろけるが、すぐに態勢を立て直す。

激しい戦いが繰り広げられている。ムチの隙間を縫って一撃をいれようとするメコンガに、遠距離から筋肉を切り裂くムチで接近されないように攻撃するテルツァ。ムチがしなるたびに肉がえぐれ、どんどんメコンガの体力が落ちてきている。ムチ強ええ!
そして体力が尽きかけたメコンガの剣をかわしきったテルツァが勝った。屈強な戦士メコンガも膝を地面につき、ついに諦めたようだ。

~~~戦闘終了

「もうあなたの体力は限界でしょう。諦めるなら命までは取らないけど、どうかしら?」

「くっ! 好きにしろ!」

メコンガは地面にザクッと剣を刺して降伏をした。こんな戦いがあるのか。目から鱗だ。今度女の子と戦ったときは、オレもクリエイトシリコン/創造で作ったムチで戦ってみよう。ムチを振るうたびに、女の子の服をビリビリに切り裂いてとか、エロくて萌える♪ チラッと乳首が見えちゃったりして、女の子が手で見えないように胸を押さえる。そこでオレが言うのだ。大事なところが見えてしまっているぞ♪ ぐっふっふ♪ 
エミリアを天井から吊り下げてムチでうったときは、攻撃モードにならなかったから、オレにとってムチは攻撃じゃなく、SMプレイ設定なのだ。

隊商の男たちは手足を縛られて牢屋に入れられた。女性は牢屋ではなく、別室に手を縛られて連れていかれる。なぜかオレとパックだけ牢屋ではなく別の部屋にいる。すぐそばに盗賊団リーダーテルツァが椅子に座っている。
起きたふりをして相手の出方を探ってみることにした。

「う~ん、オレはここで何を……お前は?」

完全に棒読みだ。演技センスゼロだな。まあ、起きたアピールできればいいか。

「もう目が覚めたのですね。予定より大分早いです」

「お姉さんはサブラタ村、村長のテルツァさんだよね! オイラたちは何でここにいるんだい?」

「残念ながらあなたたちの身柄は、私たちが捕まえました。隊商の皆さんは牢屋にいます」

「ええ! なぜそのようなことをするのですか? テルツァさんは犯罪者になってしまいます。オレたちをどうするつもりなのですか?」

「ごめんなさい。お気の毒とは思うのだけれど、隊商のみなさんは奴隷として売ります。ただ、あなただけは村娘たちが気に入りましたので、ここで種馬として一緒に暮らしていただきます」

「種馬とはどういうことですか?」

「あなたには色々と協力をしてもらわなくてはならないので詳しくご説明しましょう。
このサブリタ村の住人は、子供を除いて女しかいません。全員がアレクシス市から逃げ出した女たちなのです。
アレクシス市は今の司教になってから、処女権という法律を作りました。この法律は、女が結婚をきめたとき、または恋人を作ると司教に処女を差し出さなければなりません」

テルツァは口調に怒気が混じったものに変わる。やはりパルマの話は本当だったのだな。なんと、羨ましい……ではなく、許せんな。

「もし、司教に処女を差し出さない場合、または処女を失っていたときは、犯罪奴隷として売られてしまいます。女の処女を散らした男の方は処刑されてしまいます」

「そんなことで処刑されてしまうとは驚きだ」

テルツァは火のような憤激に体を震わせながら、さらに語気をあらげた。女にとってはじめての相手とは、人生で1番大事なものだろう。それを法律をたてに奪うなど、許されることではない。

「それに反対する修道士はいなかったのか? 修道士だって娘はいるだろう?」

「法律では修道士には当てはまらないように記載されていますから。むしろおこぼれをもらえる彼らには支持を得ていたようです」

な、なんと! 要約すると、アレクシス市の修道士たちで、市内の処女を独占していたというわけか。そんなことを考えるとか、日本なら鬼畜とか言われてしまうぞ。男も暴走して権力を握ってしまうとろくなことをしないという悪例だな。上昇思考の女があえて権力者との情事を希望するとかなら分かるのだがな。

「そのようなことがあり、ここには権力者から逃げてきた女、処女を奪われて絶望した女、自殺しようとしたが死にきれずにさまよっていたところを保護された女、愛する男との結婚を前に妊娠させられてしまった女。さまざまな苦悩を抱えた女がいるのです」

「妊娠! じゃあこの村にいる子供たちは、まさか」

「はい。全員、修道士たちに輪姦され妊娠させられてしまった、誰の子供かも分からないものたちです」

ひや~。ビックリだよ。異世界に来てある意味1番驚いたな。神都ベネベントで戦った龍などは、VRMMOドラゴンバスターで数万回もやりあっていたから全く驚かなかった。でもこの話はリアルだ。オレは女の悲しみを知り、憐れみの気持ちでいっぱいとなっていた。パックも悲しそうな顔をしている。

「セシル! この人たち可哀想だよ。何とかしてあげてよ!」

パックもこの娘たちの悲劇を哀れんでいる。パルマの件を見たからなおさら感情移入しているのだな。オレはすでにここで暴れる気持ちはなくなっていた。この哀れな娘たちをどうにかして助けよう。エムデンみたいな鬼畜がここにもいたとはな。
この事件が片付いたら、マクファーソンとクレスウェルに、女たちを保護する法律を作らせよう。エロース神様もそうするに違いない。愛の神様だからな。

「そ、そんな同情心などいりません。
そんな状況です。みんなで話し合い、男なしで生きることに決めたのです。ただ子供は欲しい女もいるのです。そこで白羽の矢がたったのがあなたです。どうせ子供を作るなら、気に入った男の子供にしたい。あなたは若いし、顔の作りもいい。あなたにとっても大勢の女の子とできるし、悪い話ではないと思います。協力をしてもらえませんか? 断られてしまうと申し訳ないのですが、あなたも奴隷として売らなければなりません」

「そうだな。確かにオレにとって悪い話ではないな。ただもっ……」

『ガチャッ!!』

突然ドアを開けて男性が部屋に入ってきた。この村に男もいたのか。いないと言っていたのにな。

「テルツァ入るぞ!」

男は一目で怒っていると分かる顔で勢いよく入ってきた。テルツァを見るなり怒声をあげる。

「お前は何てことをしたのだ。あれほどもう少し待てと言っておいただろう!」

「ゴードン様、私たちだってこんなことはしたくなかったのよ。もう何ヵ月もまともに食事をしていないのよ。このままでは子供たちに餓死する子がでそうなの!」

マーカーがもう1つ部屋に近づいて来る。かなり急いでいるようで走っているようだ。

『ガチャッ』

●名前:サーシャ・ラスマン
●年齢:17歳
●種族:ヒューマン
●所属:パルミラ教皇国アレクシス市大司教の娘
●身長/体重:158/43
●髪型:青髪ヘルシーショート
●瞳の色:黒色
●スリーサイズ:78/46/79
●カップ/形:C/三角型
●経験:なし
●状態:悲しみ
●職業:戦士
●レベル:2
●HP:29
●MP:37
●腕力:14
●体力:15
●敏捷:22
●知力:18
●魔力:19
●器用度:15
●スキル
剣術1、エロース神の加護
●称号
パルミラ教皇国アレクシス市、司教の長女
●装備
ショートソード+5、レザーアーマー+5、ブーツ+5

サーシャは健康的な印象を与えてくれる青髪ショートヘアで、大人の色気を際立たせる特徴がある髪型である。瞳の色は黒色で若干吊り目だが、それが人目を引く愛らしい美少女だ。

「テルツァ、あなたたちにこんなことまでさせてしまってごめんなさい。私の不甲斐なさに悲しくなってくるわ」

「サーシャ様の責任ではありません。私たちは話し合った結果、サーシャ様にこれ以上はご迷惑をかけられない。自分たちで食べ物は維持できるように頑張ろうと決めたんです」

「でも盗賊行為はダメよ。あなたたちがお尋ね者になってしまって討伐される危険があるわ」

「……しかし、生き残る道が他になく」

「とにかく今はお父様たちの暴挙を止めるために信用できる仲間を集めているの。だから、もう少し耐えて! 物資の件は、私の私財を売り払ってでも何とかするから」

サーシャはテルツァたちがなんとか生きていけるように頑張っているが、修道士の仲間が集まらなく苦労しているようだった。さっきの話を聞けば集まるはずもないよな。男は処女を労せずいただける美味しい状態を維持したいだろうからな。ここはオレの出番だろう。

「話し合いのところ悪いが、オレの意見を聞いてくれないか?」

3人は一斉にオレの方を向き、誰? こいつみたいな顔でキョトンとしている。

「テルツァ、この方は誰ですか?」

「はい。今日、私たちが捕まえた隊商の護衛です。サブリタ村の人口増加のための種馬として、ここに残ってもらえるよう交渉しておりました。あなたは何か言いたいことがあるのかしら? こちらはアレクシス市司教のお嬢様であられるサーシャ・ラスマン様とその執事ゴードン様よ」

「ああ、これをサーシャが見てくれればすべて解決する」

そういってオレはアイテムボックスからラヴィアンローズの紋章を出し、テルツァに渡した。
その紋章を見た瞬間、サーシャとゴードンは顔から血の気が引くと、ガバッと床に手をついて頭を下げる。いきなり土下座とはラヴィアンローズの紋章も権力がついたものだな。

「あなた様は、も、も、もしかしましたら神の化身セシル様では? 神都ベネベントにいらっしゃるはずでは?」

2人とも驚きで真っ青になっている。テルツァはまだ意味が分からずにポカンとしている。
神の化身セシルが降臨すると、すぐにパルミラ教皇国内のすべての神殿という神殿、他国のエロース神殿に降臨の報告とラヴィアンローズの紋章の形が伝えられていたのだ。この紋章を持つものは神の化身本人か、その代理であるということなのである。

「オレはセシル様ではない、セシル様と偶然にもおなじ名前だったのが縁で側近として可愛がってもらっている。今回はセシル様の使者としてこの地にきた。
セシル様はアレクシス市で処女権というものが横行し、多くの女が不幸になっていることをお知りになられ、大変にお怒りだ。そこでオレを密かに送り、3つのことをすぐに実行するように言っておられた」

「はい、その3つの条件とはどのようなものでしょうか?」

土下座したままの2人のマーカーは、濃い緑薄青ーー畏怖の気持ちが強いようで、立ち上がろうともしない。うむ、水戸のご隠居様の気持ちが分かったな。人が自分に対してひれ伏すなど経験したことがない、これは癖になりそうだ。そりゃ領内をまわるはずだ、楽しいものな。

「1つ、獣耳族の待遇改善。特に暴行、強姦などは絶対に許さない。
2つ、女の地位向上。男女を平等に扱うこと。
3つ、処女権を法律から削除すること。
特に3つ目の処女権という法律にはセシル様は激昂されている。この法律に賛同、または協力、利用をした修道士、商人は理由を問わず即刻を処刑すること。
なお最も罪の多い、法を定めたパブール・ラスマンはテュルダ村にて罪人奴隷として働かせたあと処刑にする。
以上だ。なお、処女権を行使した者は処刑にするが、当人だけの問題として、家はそのまま継続とする。
セシル様からのこの言葉を今からお前たちはアレクシス市に戻り、ラスマンに伝えろ。オレは明日、アレクシス市に入る。それまでに準備をしておけ、いいな」

2人ともあまりの厳しい罪状に、土下座しながら顔面蒼白で体中がガタガタと震えている。立ち上がることもできないくらい衝撃を受けている。

「どうした? 早く行きなさい。今夜は眠ることはできないだろう。恋心と性愛のエロース神様の国で、強姦することを法律化したのだ。
本来ならこの世のあらゆる苦しみを味わいながら処刑すべきところを、苦しまないように即刻処刑するのだ。まさに慈悲深いことだ」

「……はい、承知いたしました」

ヨロヨロと立ち上がると、ゴードンに肩を支えられながら、サーシャは部屋を出ていった。
やっと状況が掴めたのか、今度はテルツァが顔面蒼白となっており、ドスンと崩れ落ちガタガタと震えている。

「テルツァよ、お前たちは悪法で苦しむ中、生き残るために仕方なくやったのだ。オレはお前たちにお詫びこそすれ、咎める気などない。
このあと隊商の皆にお詫びをすれば許そう。仲間の接待はオレに任せておくがいい。明日は神の国の食べ物を皆に振る舞ってやるからな。子供たちの喜ぶ顔が今から楽しみだ!」

「わ、私たちを許していただけるのですか?」

「そうだ、女たちもアレクシス市に帰れるようにしよう。あと仕事がない女には頼みたいことがあり、仕事をオレが与えよう」

テルツァは膝を床につけたまま、両手で顔を覆い、大きな声を出して泣き出す。

「うあああああああああああああ!」

テルツァの肩を抱き寄せてハグしながら背中を撫でてやる。よっぽど追い込まれていたのだろう。長い時間、大声で泣いていた。他の女たちも異変に気がつき部屋に来ている。

「何があったのテルツァ? その方は種馬として了承してくださらなかったの?」

「ち、違うの。違うのみんなぁ~! 私たち……もう隠れて暮らさなくてもいいように、このお方がしてくれたの!」

「どういうことよ!」

テルツァが事情を説明すると、全員が土下座をしてお詫びをしてきた。

「「「申し訳ありませんでした!」」」

「もうよい。隊商の仲間はまだ全員が寝ているのだろう? みんなは疲れていたから寝てしまったで通そう。メコンガにはオレからも言っておくからな。みんなで謝りに行こう」

睡眠薬をレジストできたのはメコンガだけだから、彼さえ事件のことを黙っていれば、すべてをなかったことにできる。あとは明日の朝食でパンケーキを振る舞ってごまかそう。
メコンガに、オレはセシル様の側近だと明かすと、とても驚いていた。事件のもみ消しについては快く承諾してくれる。怪我もリカバリーで治したから、丸く収まった。

そのあと、ワイアットに教えたようにレーモンクッキーの作り方を女たちに教えて、当面の材料費に白金貨を30枚与えた。アレクシス市に帰ったあと、これだけあれば生活がレーモンクッキーを売り、軌道にのるまで自活できるからな。




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