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第1章
第27話 セシルの妹
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朝、目が覚めると横にエミリアがオレを抱き枕にしながら、幸せそうに寝ている。またやってしまった。16歳の体恐るべし。エミリアは間違いなく処女だったが、初回で12回の神液吸収はちょっと罪悪感がある。オレはそのうち女の子をやり殺してしまうんじゃないかと不安になる。
だがあんなに興奮したのは初めてだった。挿れながらビシャッとお尻を叩くと、陰部がキュンっと締まるのはすごい良かった♪
クレタが体の相性は1番と思っていたが、エミリアとの性癖の相性も最高に良かった。もしかしてオレ、スパンキング系の変態行為も大丈夫な人だったのか。いやいや、オレはノーマルだ! と自分に言い聞かせることにしよう。
エミリアは真性M女というやつだ。プレイが終わったあと、スパンキングで真っ赤に腫れたお尻にリカバリー/回復魔法をかけて痛みを治そうとした。
しかし彼女は痛みを治さないでほしい、と何度も懇願してきた。不審に思い、なぜ治さない方がいいのか聞くと、セシル様が私につけた痛みを少しでもながく味わっていたいということだった。マジかよ!!
そのようなところからも、彼女は真性M女だと確定したのだ。そういう性癖がある事は知っていたが、痛いのが好きというその気持ちはよく分からない。
そうだ! 今度夜伽をする時には、カリスマ緊縛師から習得した23の秘術を、エミリアのスレンダーでイヤらしい体で試してみよう。歓喜の涙を流し、喜んでくれること間違いないな。
朝ご飯を食べ終えてゆっくりしていると、紅茶をいれながら、エミリアは今後の予定をどうするか質問をしてきた。
「セシル様、本日はベネベントに帰る予定日でしたが、エムデンの失脚で次にアンカスタード市を治める司教を決めなくてはならないのです。アリシア様や枢機卿から連絡が入ったのですが、2日後にはじまる選挙に出ていただき、次の司教を決めていただきたいということなのです。どうされますか?」
「確かに神の化身セシルが、次の司教を決めれば誰も文句はないよね!」
「そうだな。選挙に出て欲しいとのことだが、了解した。オレに決めて欲しいならば決めよう」
「決めていただけるということですね。ありがとうございます。それまでお時間が空いております。
ルステラ騎士団団長のロックウェルから、聖騎士の訓練をセシル様にお願いしたいとの話が先程ありましたが、どうされますか?」
「空いている時間があるなら、訓練を手伝おう。ベネベントを出発するときの約束を完全に忘れていた。アリシアの誘拐など色々あったからな。
早速、この後に行こう。伝えておいてくれ」
「承知いたしました、セシル様」
ーーーアンカスタード市騎士訓練場
ロックウェルとの約束を果たすために、エミリアとパックの3人で訓練場に出かける。
『ギィン、ギィン、ギィンギィン』
「はぁあああああ!」
「そんなだらしなさでセシル様やアリシア様を守れるのか! お前たち気合を入れろ!」
訓練場に到着すると、神都ベネベントから護衛していた聖騎士50人ほどが、剣やメイスで戦って練習していた。聖女を誘拐されるという大失態をしてしまったこともあり、訓練に熱が入っていた。
何人かの聖騎士がオレに気がつき、その中のルステラ聖騎士団の団長ロックウェルが走ってオレのところに来た。そして聖騎士全員でオレの周囲を囲み、片膝をついて右手を胸に当てるパルミラ流の敬礼をしてくる。
「セシル様! この度は不躾なお願いをお聞きくださり、光栄に存じます! 皆セシル様に訓練をつけていただけるということで、末代まで語ることが出来る栄誉だと士気が上がっております!」
「うむ、それは良いぞ。暇だったしな。ただ、2つ問題がある。オレは実戦以外では戦ったことがない。それゆえ実戦形式で戦うことはできるが、丁寧に教えられるタイプではないということ。
もう1つの問題は、オレの武は敵を滅ぼすもので、手加減が出来ない。今のまま聖騎士と戦うと殺してしまいそうだから、皆と模擬戦をする前に手加減の練習をしたい。
そうだな、そこにある10メートルくらいの巨石で練習してもいいか?」
「その巨石でしたら、仮に破壊しても問題ないです。どうぞお使いください」
ここにいる聖騎士は、訓練と実戦を繰り返してここまで来た猛者なのだろう。だがオレはステータスが圧倒的に強いだけの戦いの素人だ。元々教えられることはないよな。
ただ日本にいたとき、学生時代に多少日本拳法をやっていたことはあるから、完全に素人ではないが実戦など当然、やったことはない。
巨石の前に行くと、アイテムボックスから短剣を出した。
そうだ! その前にジョブチェンジをしておこう。もう魔法はカンストしたから、これ以上あげても意味がないしな。
《ジョブチェンジ/転職、盗賊》
『フォンッ』
これで盗賊になった。なぜ盗賊かというと、盗賊の上級職が忍者だからだ。忍者でレベル7のスキルを覚えて二刀流ってのやってみたい。
初ジョブチェンジ記念に、まずは普通に巨石を切りつけてみよう。巨石の前に立ち、皆が固唾を飲んで見守っている中、短剣を中段に構えた。
『ドガガガガガガガガガガッ!!』
短剣で巨石に剣撃を10発撃ち込むと、10メートルを超える巨石は2958040のダメージを与えられ、跡かたもなく粉々になってしまった。240万オーバーの攻撃力を10発だから当然といえば当然だな。
VRMMOモンスターバスターでは、下級職は7レベルあがるごとに攻撃回数が1発増えていく。上級職は5レベルあがるごとに攻撃回数が1発増えていくのだ。つまりオレはベースレベルが143だったから、1回の攻撃で10発を敵に撃ち込むことができる。ちなみに最大攻撃回数は、攻撃回数を増やす事のできるアーティファクト級の武具がなければ10発となっている。
巨石が豆腐のように刻まれ破壊されたので、聖騎士もロックウェルも口をあんぐり開けて唖然呆然としている。彼はすぐにハッと意識を取り戻す。
「セシル様、今の攻撃は手加減したものなのですか?」
「これでも手をだいぶ手を抜いているのだがな。攻撃をすると撃ち込む手が止まらなくなるのだよ。10発の攻撃回数を1発まで抑えなければ、聖騎士が死んでしまうからな」
《アースウォール/土壁×10》
『ゴゴゴゴゴゴゴゴッ』
目の前に幅10メートルの土壁が盛り上がる。その壁に攻撃を加える。アースウォール/土壁で壁を作っては壊し、作っては壊しを繰り返す。10分ほど練習をすると、やっと1回の攻撃で10発から、1回の攻撃で1発まで加減が出来るようになった。やればできるのだな。
「セシル~、攻撃回数を減らせても、その攻撃力じゃ聖騎士に死者が出るよ! もっと攻撃力を落とせないの?」
「どうしても一撃の威力は落とせないようだ」
「「「…………………………………」」」
聖騎士たちは、みな青ざめた顔でオレの練習を見ている。全員が嫌そうな感、満載だ。
マーカーの色がさっきまで喜びと感動だった。だが今は恐れ、畏怖に変わっている。完全にビビってしまい、オレと戦いたくないのだろうな。神の化身ではなく、魔王のように感じているのかもしれないな。
「ロックウェル殿、セシル様との模擬戦は無理なのでは? 龍を1撃で倒されたのは知っておりましたが、これほどとは」
「……プシャール来なさい。昨日、捕まえたワーベアをここへ連れて来なさい」
「ハッ! 団長、承知いたしました」
プシャールは、首に鎖をかけたワーベアを8人がかりですぐに連れてくる。早速、探査マップ/神愛でワーベアのステータスを見る。
●魔物名:ワーベア
●状態:怒り
●脅威度:D
●レベル:30
●HP:1604
●MP:1523
●腕力:808
●体力:796
●敏捷:768
●知力:755
●魔力:768
●器用度:788
●スキル
噛みつき3、咆哮3、毒爪2、物理無効化
「セシル様、このモンスターはアンカスタード市付近を移動中の隊商を襲っていたので捕まえたワーベアです。お手数ですが、先にこのワーベアと模擬戦を先にお願いできますか?」
「分かった」
~~~戦闘開始
◎ワーベア×1(1)
オレの前でワーベアを解き放つ。短剣を持ったオレを見ると、咆哮をあげながら襲いかかってきた。イニシアティブは当然、敏捷度40万のオレが取る。
「グォォォォオオオオオオオオ」
先程まで練習した手加減攻撃をワーベアに加えなければならない。慎重にワーベアとの距離を一気につめ、短剣で左から右へと一閃する。
『ドォッゴォォオオオオオオオオオオ』
「ガッ!」
セシルの一撃はクリティカルヒットとなった。ワーベアに295431の大ダメージを与え、即死させた。周囲に血しぶきが散乱する。
~~~戦闘終了
哀れなワーベアは一瞬にして視界から消え去ると、コインのように潰れている。クリティカルヒットが出なくても普通に即死だった。全員の顔が青く血の気が引き、あんぐりと口が開いている。
ワーベアは魔法武器、またはエンチャントウェポン/魔法武器化か、ホーリーウェポン/聖なる武器化がないと傷つけることは出来ないのが常識だ。だが、それらを圧倒的に超えるダメージが与えられた場合、無効化する事はできない。
「おお! やっと手加減が成功したぞ。1回の攻撃が1発まで落とせれば模擬戦をできるだろう」
「「「………………無理(ポソッ)」」」
オレの独り言に、聖騎士全員がコインになったワーベアを見て、同時につぶやきながら突っ込みを小声で入れる。オレは耳が良いから聞こえてしまった。
「……ロックウェル殿、やはり模擬戦は無理なのでは?」
エミリアがロックウェルに話す。聖騎士全員がコクコクッと頷く。以前に日本にいた時、お土産で買った赤ベコのようだ。
「ロックウェルどうだろう? このくらいまで加減できたら、聖騎士もなんとか死なずに行けるだろうか?」
「「「……いや、普通に死ぬから(ポソッ)」」」
オレの発言に、またまた団員全員が同時につぶやき突っ込みを入れる。聖騎士たちは、すっかりビビってしまっている。膝がカタカタ震えているものもいる。ロックウェルは模擬戦を頼んだ手前、やはり止めましょうとは言いにくいのだろう。どうすればいいか、悩んでいるようだ。
「セシル様、やはりその1撃が入ると模擬戦の相手をしたものは即死でしょう。少し無理かと考えます」
聖騎士たちは、この中で唯一セシルに意見を言えるエミリアに、(頑張れエミリア!)と心の中でエールを送る。
そうまで言われては模擬戦は無理かと思った。
だが、今、ふと思いついた。攻撃と認識していない行動ならば大丈夫なのではないだろうか?
夜伽で腰をパンパン打ちつけても、女の子のお尻の骨は砕けないしな。もともとお尻は割れてはいるが。
つまり攻撃ではなく、例えばデコピンで相手の斬り込んでくる剣撃を弾くというのはどうだろうか。
龍と戦った時に気がついたことがある。龍は防御魔法などを使わないのにも関わらず、防御膜のようなものでシャロンの剣撃を全て防いでいた。ミスリルの剣で斬ったのだから、数ミリだけでも皮膚を突き破って、龍にダメージを与えてもいいのだ。しかしダメージは0だった。オレがやり込んでいたVRMMOモンスターバスターと全く同じ仕様だったのだ。つまりこの異世界は攻撃力が防御力を上回らなければ、ダメージを与えることができないのだ。
実験してみよう。ワイアットに襲われたときの、毒付きの短剣をアイテムボックスに回収していたから、それをロックウェルに投げてもらおう。
「ロックウェル、この毒付きの短剣をオレの顔に向けて投げてくれ。試したいことがあるから全力で頼む」
「エミリア殿、良いのでしょうか?」
エミリアは少し思案を巡らしながらも、危険はないと考えて頷く。エミリア自身もレベル3神聖魔法を唱えることができるから、万一何かあってもキュア/状態異常回復とリカバリー/回復魔法で治せば、問題ないということだ。
ロックウェルに短剣を渡すと、それをオレに向けて投げる。さすがパルミラ教皇国で最高クラスレベル48の聖騎士だ。凄まじいスピードで短剣がまっすぐオレに向かってきた。
『ビシィ』
「「「セシル様!」」」
短剣が刺さるか刺さらないかのギリギリまで見切り、人差し指を使いデコピンで弾いた。
周囲から、セシル様と叫ぶ声が聞こえる。そんな心配をよそに、予想通り膜みたいなものが邪魔をしてオレの指には傷1つない。もちろんダメージがないので、毒も問題ない。よし、これで誰も死なす事なく模擬戦が出来るぞ!
「実験は成功だ。ロックウェルありがとう。それでは今から模擬戦をはじめる。誰から訓練をするのだ?」
「セシル様、まず私がお相手をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
その言葉にエミリアが反応する。聖騎士たちは、お前が先に行けよ、イヤイヤお前が先に行けよ。という順番で大いに揉めていたからだ。
「ああ分かった。オレはデコピンで攻撃を弾くだけにするから、そうすれば聖騎士は死んだりしないだろう。先程の実験で攻撃が発動しなかったから大丈夫だ。それではエミリアから来なさい」
「はい、承知いたしました。セシル様」
「頑張れエミリア~。オイラが応援しているよ!」
~~~戦闘開始
◎エミリア・マクファーソン×1(1)
エミリアは腰に下げていたメイスをはずすと、中段に構える。イニシアティブはオレが取ったが、待機を選択する。
「パック頑張るわね! それではセシル様行きます。いやあああああああああ!」
『ガガガガガガガガガガ!』
『ビシシシシシシシシシシィ!』
「くぅ!」
敏捷度2番手のエミリアは一気に間合いを積めると、全力で上から下に1回の攻撃で10発振り下ろしてきた。エミリアはオレに1回394で合計3940のダメージを与えてきた。オレは指で受けたのでダメージはあったが、1発で197662、合計1976620という防御力で無効化し、1ターン目が終了した。
~~~1ターン終了
予想通りオレの指は、197662という高い防御力により、エミリアのメイスを弾いても傷1つつかない。いいぞ! これなら大丈夫だ。オレが来た異世界では、首ナイフ問題は解決してしまった。急所を斬られても、防御力を超えられない限りダメージは与えられない。これだったら寝ている時に攻撃されても問題ないだろう。
~~~2ターン目
◎エミリア・マクファーソン×1(1)
2ターン目も当然、オレがイニシアティブを取ったが待機を選択。2番手のエミリアがメイスを振り上げ叩きつけてきた。
『ガガガガガガガガガガ!』
『ビシシシシシシシシシシィ!』
次々にメイスで攻撃を休むことなく繰り出しているエミリアの体力ゲージが、ダメージを受けていないにも関わらず少しずつ減ってきている。この異世界では攻撃するだけでも体力が減っていくようだ。
VRMMOモンスターバスターの世界でも、ダメージがなくても走り続けるとHPが少しづつ減る仕様だ。HPとMPの回復量については、戦闘中ならば1分間で1%で、非戦闘中ならば1分間で5%だ。バッドステータスで部位損失や怪我があると、当然回復量は落ちるし、状態によっては回復しないものもある。例えば、呪いの類や矢が刺さったままの場合などだ。オレの場合はHPが80万程あるから、非戦闘時は1分間で120000ほど回復する。戦闘中でも8000ほどだ。走り続けたり、戦闘し続けたりしても、減るより回復する量のほうが圧倒的に多い。
エミリアとの戦闘で余裕が出来てきたので、攻撃のたびエミリアのDカップが上下に激しく揺れることを見て楽しむ。彼女は必死に攻撃を繰り出しているので、オレの視線に気がつくゆとりはないからバレないしな。ぐふふ♪
その後も数ターン、エミリアが攻撃の手を休めることなく続け、半分くらいに体力ゲージが減ったので止めた。
~~~戦闘終了
「エミリア! 模擬戦は終了だ。体力がだいぶ減ってきたからここまでにしよう」
「はぁはぁはぁはぁ、はい! セシル様ありがとうございます!」
「セシルを相手によく頑張ったね!」
「はぁはぁはぁ、ありがとうパック。でもやっぱりセシル様には私の攻撃は通じなかったわね」
「まあ、そう気を落とすな。とても良い動きであったぞ」
すぐに次の聖騎士が交代し攻撃してくる。最後にロックウェルと模擬戦をして、休憩時間となった。
あたたかい紅茶を、見習い修道女が持ってきた。見習いだから15歳以下の女の子だ。
紅茶を持ってそばまで来ると、ギギギッとぎこちなく笑顔を見せてきた。よく見たら手と膝がカタカタと震えており、とても緊張してこわばっている。歴史上、地上に初めて降臨した神の化身セシルを前に、絶対に失敗してはいけないと緊張してしまうのは仕方のないことだ。ましてや、見たところ10歳かそこらの若い子供では、頭の中が真っ白になっているのではないだろうか?
気を使ってあげるのが大人というものだ。とりあえず探査マップ/神愛でこの娘のステータスを見てみよう。
●名前:ベルベット・パルマンティエ
●年齢:13歳
●種族:ヒューマン
●所属:パルミラ教皇国、アンカスタード神殿見習い修道女
●身長/体重:145/39
●髪型:黒髪セミロング
●瞳の色:青色
●スリーサイズ:72/48/73
●カップ/形:AAA/皿型
●経験:なし
●状態:過緊張
●ベースレベル:9
●職業:レベル9戦士
●HP:259
●MP:230
●腕力:127
●体力:132
●敏捷:135
●知力:112
●魔力:118
●器用度:129
●スキル
戦闘技1、戦棍術1
13歳の見習い修道女ベルベットの髪型は、毛先が肩を少し過ぎた、胸よりも上の長さでロングの中でも1番短めのロングというヘアスタイルだ。瞳の色は青色で、お人形みたいにちっちゃくて可愛い。胸はトリプルAだから、ふくらみはなく乳首だけしかないのか。ま、今後に期待ということだ! オレとしては乳首だけ刺激して立たす事もそそられて楽しい。胸のふくらみがないと、より乳首のエロさが際立つというものだ。ぐふふ♪
「セシル様、紅茶をどうぞ」
「うむ、ありがとう」
なるべく優しい笑顔を作り、ベルベットが緊張しすぎないように紅茶を受け取ろうとした。だが彼女が紅茶を渡そうとしたとき、過緊張から手の震えがMAXになる。
『カタカタカタカタ、ガチャ~ン』
ベルベットはオレの膝に熱い紅茶をこぼしてしまった。熱……くはないな。高い防御力で紅茶の熱さなど問題ではないが、自らの犯した失態に棒立ちで真っ青になるベルベット。周囲の聖騎士たちに緊張が走る。
「な!! セシル様に何ということをするのだ貴様ぁ!」
聖騎士の1人が叫ぶと、ベルベットは恐怖で心の底から蒼白になり昏倒し、べちゃっと地面に崩れ落ちた。そしてハラハラと号泣しながら可哀想になるくらい、全身がガタガタと震えている。この娘の今後が気になるので久しぶりに聞いてみよう。
《サポート》
ベルベットの罪状はどうなるのか教えて?
【死刑】
え? この娘はこれで死罪になってしまうのか。マジか! まったくガチ宗教国家は困ったものだ。神の化身が大事な存在だということは分かるが、紅茶をこぼしてしまった程度で死罪とはな。オレの周りの修道女が特別優しすぎるから、すっかり忘れていたよ。パルミラ教皇国とはこういう国だってな。
ベルベットを逃走防止のため聖騎士が周囲を囲んだ。全員が腰からスラッとメイスを抜いて彼女に向けている。
「セシル~、早く止めないとあの娘がまずいよ!」
ベルベットを連行しようと、聖騎士2人が逃走防止に両脇をおさえつける。あんなに小さな女の子にも容赦がないのだな。まあ、犯罪とはそういうものか。国の信仰する神への無礼だからなおさらだろう。
急に物凄く強い視線を感じ、チラッと見ると、エミリアがオレをジトーッと睨んでいる。分かってるって、そんなに睨むなよ。
「待て! ベルベットをここへ」
「「「はっ! セシル様!」」」
ベルベットはオレの前に連れてこられる。足がガタガタ震えて、まともに立っていることができない。腰が砕けて両膝をドカッと地面に打ちつけてしまう。
「セ、セシルしゃまお許しくじゃしゃひぃ」
ベルベットは額を地面につけ、土下座しながら許しをこう。神の化身を傷つけてしまったことで、自分が死刑か良くて重罪になることを分かっている。パニックを起こして声にならない。
「うむ、許す。立ち上がってオレの膝の上に座りなさい」
「決してわざとじゃないんで……え?」
土下座状態のベルベットはビックリして顔をあげる。涙も鼻水まで出ていてグシャグシャだ。その姿からは女性の尊厳など微塵も感じない、可哀想に。
「いいからセシルの膝上に座りなよ~オイラが安全を保証するよ!」
腰砕けになってしまっているので、聖騎士の助けを借り、ちょこんと後ろ向きにベルベットは座った。彼女の下腹部に両手を回し、優しくハグをする。
「うむ、小さくて可愛いな。オレはラティアリア大陸に降臨して、家族をほしいと思っていた。ベルベットがオレの妹になってくれないかな?」
「「「え? ええ!?」」」
ベルベットやパック、周囲の聖騎士たちも、オレの妹発言に困惑している。エミリアも予想外だったのか、相当驚いた顔をしている。
「ベルベットはオレの妹になることは嫌か? うん?」
急なオレの提案に、しばらく呆けていたベルベットだが、ようやく事態を飲み込めたようだ。
「いいえ、セシル様がお望みなら妹でも、神聖娼婦にでも何にでもなります。まだ子供を孕むことができない身ですが……」
だから妹って言ってるのにな。まだパニクっているらしい。それに13歳で夜伽させたら、日本では世間を騒がす大犯罪者だし、この国でも普通に犯罪だろ。大事な修道女たちにロリコン野郎と蔑まれるに違いないしな。
「承知してくれてありがとう。これからはオレをお兄様というのだぞ、言ってみろ」
今、お兄様と言えと云われても困るかもしれないが、それによって彼女の命を助けられるならいいだろう。
「お、お、おにい……様」
おお! スッゴい恥ずかしそうだ。めっちゃ可愛いな。妹じゃなくて愛人にすれば良かったか。もちろん手を出すのは、16歳の大人になってからだがな。
「セシル嬉しいでしょ。初妹ゲットだね~。ベルベット、オイラはセシルの相棒で妖精族のパックというんだ。パックって呼び捨てでよろしくね!」
「OK。ベルベットは長いな。ベルって呼ぶぞ。じゃあエミリア、そういうことでベルが神の化身セシルの妹になったことを、各神殿に伝えておいてくれ」
「はい、セシル様、承知いたしました。そのように各神殿に伝えます」
いきなり妹ができたぞ。日本では一人っ子だったので、兄弟という存在は全く分からない。初めてできたのが、可愛い女の子で嬉しい。
あとは修道女たちに、この娘の今後については任すことにしよう。
だがあんなに興奮したのは初めてだった。挿れながらビシャッとお尻を叩くと、陰部がキュンっと締まるのはすごい良かった♪
クレタが体の相性は1番と思っていたが、エミリアとの性癖の相性も最高に良かった。もしかしてオレ、スパンキング系の変態行為も大丈夫な人だったのか。いやいや、オレはノーマルだ! と自分に言い聞かせることにしよう。
エミリアは真性M女というやつだ。プレイが終わったあと、スパンキングで真っ赤に腫れたお尻にリカバリー/回復魔法をかけて痛みを治そうとした。
しかし彼女は痛みを治さないでほしい、と何度も懇願してきた。不審に思い、なぜ治さない方がいいのか聞くと、セシル様が私につけた痛みを少しでもながく味わっていたいということだった。マジかよ!!
そのようなところからも、彼女は真性M女だと確定したのだ。そういう性癖がある事は知っていたが、痛いのが好きというその気持ちはよく分からない。
そうだ! 今度夜伽をする時には、カリスマ緊縛師から習得した23の秘術を、エミリアのスレンダーでイヤらしい体で試してみよう。歓喜の涙を流し、喜んでくれること間違いないな。
朝ご飯を食べ終えてゆっくりしていると、紅茶をいれながら、エミリアは今後の予定をどうするか質問をしてきた。
「セシル様、本日はベネベントに帰る予定日でしたが、エムデンの失脚で次にアンカスタード市を治める司教を決めなくてはならないのです。アリシア様や枢機卿から連絡が入ったのですが、2日後にはじまる選挙に出ていただき、次の司教を決めていただきたいということなのです。どうされますか?」
「確かに神の化身セシルが、次の司教を決めれば誰も文句はないよね!」
「そうだな。選挙に出て欲しいとのことだが、了解した。オレに決めて欲しいならば決めよう」
「決めていただけるということですね。ありがとうございます。それまでお時間が空いております。
ルステラ騎士団団長のロックウェルから、聖騎士の訓練をセシル様にお願いしたいとの話が先程ありましたが、どうされますか?」
「空いている時間があるなら、訓練を手伝おう。ベネベントを出発するときの約束を完全に忘れていた。アリシアの誘拐など色々あったからな。
早速、この後に行こう。伝えておいてくれ」
「承知いたしました、セシル様」
ーーーアンカスタード市騎士訓練場
ロックウェルとの約束を果たすために、エミリアとパックの3人で訓練場に出かける。
『ギィン、ギィン、ギィンギィン』
「はぁあああああ!」
「そんなだらしなさでセシル様やアリシア様を守れるのか! お前たち気合を入れろ!」
訓練場に到着すると、神都ベネベントから護衛していた聖騎士50人ほどが、剣やメイスで戦って練習していた。聖女を誘拐されるという大失態をしてしまったこともあり、訓練に熱が入っていた。
何人かの聖騎士がオレに気がつき、その中のルステラ聖騎士団の団長ロックウェルが走ってオレのところに来た。そして聖騎士全員でオレの周囲を囲み、片膝をついて右手を胸に当てるパルミラ流の敬礼をしてくる。
「セシル様! この度は不躾なお願いをお聞きくださり、光栄に存じます! 皆セシル様に訓練をつけていただけるということで、末代まで語ることが出来る栄誉だと士気が上がっております!」
「うむ、それは良いぞ。暇だったしな。ただ、2つ問題がある。オレは実戦以外では戦ったことがない。それゆえ実戦形式で戦うことはできるが、丁寧に教えられるタイプではないということ。
もう1つの問題は、オレの武は敵を滅ぼすもので、手加減が出来ない。今のまま聖騎士と戦うと殺してしまいそうだから、皆と模擬戦をする前に手加減の練習をしたい。
そうだな、そこにある10メートルくらいの巨石で練習してもいいか?」
「その巨石でしたら、仮に破壊しても問題ないです。どうぞお使いください」
ここにいる聖騎士は、訓練と実戦を繰り返してここまで来た猛者なのだろう。だがオレはステータスが圧倒的に強いだけの戦いの素人だ。元々教えられることはないよな。
ただ日本にいたとき、学生時代に多少日本拳法をやっていたことはあるから、完全に素人ではないが実戦など当然、やったことはない。
巨石の前に行くと、アイテムボックスから短剣を出した。
そうだ! その前にジョブチェンジをしておこう。もう魔法はカンストしたから、これ以上あげても意味がないしな。
《ジョブチェンジ/転職、盗賊》
『フォンッ』
これで盗賊になった。なぜ盗賊かというと、盗賊の上級職が忍者だからだ。忍者でレベル7のスキルを覚えて二刀流ってのやってみたい。
初ジョブチェンジ記念に、まずは普通に巨石を切りつけてみよう。巨石の前に立ち、皆が固唾を飲んで見守っている中、短剣を中段に構えた。
『ドガガガガガガガガガガッ!!』
短剣で巨石に剣撃を10発撃ち込むと、10メートルを超える巨石は2958040のダメージを与えられ、跡かたもなく粉々になってしまった。240万オーバーの攻撃力を10発だから当然といえば当然だな。
VRMMOモンスターバスターでは、下級職は7レベルあがるごとに攻撃回数が1発増えていく。上級職は5レベルあがるごとに攻撃回数が1発増えていくのだ。つまりオレはベースレベルが143だったから、1回の攻撃で10発を敵に撃ち込むことができる。ちなみに最大攻撃回数は、攻撃回数を増やす事のできるアーティファクト級の武具がなければ10発となっている。
巨石が豆腐のように刻まれ破壊されたので、聖騎士もロックウェルも口をあんぐり開けて唖然呆然としている。彼はすぐにハッと意識を取り戻す。
「セシル様、今の攻撃は手加減したものなのですか?」
「これでも手をだいぶ手を抜いているのだがな。攻撃をすると撃ち込む手が止まらなくなるのだよ。10発の攻撃回数を1発まで抑えなければ、聖騎士が死んでしまうからな」
《アースウォール/土壁×10》
『ゴゴゴゴゴゴゴゴッ』
目の前に幅10メートルの土壁が盛り上がる。その壁に攻撃を加える。アースウォール/土壁で壁を作っては壊し、作っては壊しを繰り返す。10分ほど練習をすると、やっと1回の攻撃で10発から、1回の攻撃で1発まで加減が出来るようになった。やればできるのだな。
「セシル~、攻撃回数を減らせても、その攻撃力じゃ聖騎士に死者が出るよ! もっと攻撃力を落とせないの?」
「どうしても一撃の威力は落とせないようだ」
「「「…………………………………」」」
聖騎士たちは、みな青ざめた顔でオレの練習を見ている。全員が嫌そうな感、満載だ。
マーカーの色がさっきまで喜びと感動だった。だが今は恐れ、畏怖に変わっている。完全にビビってしまい、オレと戦いたくないのだろうな。神の化身ではなく、魔王のように感じているのかもしれないな。
「ロックウェル殿、セシル様との模擬戦は無理なのでは? 龍を1撃で倒されたのは知っておりましたが、これほどとは」
「……プシャール来なさい。昨日、捕まえたワーベアをここへ連れて来なさい」
「ハッ! 団長、承知いたしました」
プシャールは、首に鎖をかけたワーベアを8人がかりですぐに連れてくる。早速、探査マップ/神愛でワーベアのステータスを見る。
●魔物名:ワーベア
●状態:怒り
●脅威度:D
●レベル:30
●HP:1604
●MP:1523
●腕力:808
●体力:796
●敏捷:768
●知力:755
●魔力:768
●器用度:788
●スキル
噛みつき3、咆哮3、毒爪2、物理無効化
「セシル様、このモンスターはアンカスタード市付近を移動中の隊商を襲っていたので捕まえたワーベアです。お手数ですが、先にこのワーベアと模擬戦を先にお願いできますか?」
「分かった」
~~~戦闘開始
◎ワーベア×1(1)
オレの前でワーベアを解き放つ。短剣を持ったオレを見ると、咆哮をあげながら襲いかかってきた。イニシアティブは当然、敏捷度40万のオレが取る。
「グォォォォオオオオオオオオ」
先程まで練習した手加減攻撃をワーベアに加えなければならない。慎重にワーベアとの距離を一気につめ、短剣で左から右へと一閃する。
『ドォッゴォォオオオオオオオオオオ』
「ガッ!」
セシルの一撃はクリティカルヒットとなった。ワーベアに295431の大ダメージを与え、即死させた。周囲に血しぶきが散乱する。
~~~戦闘終了
哀れなワーベアは一瞬にして視界から消え去ると、コインのように潰れている。クリティカルヒットが出なくても普通に即死だった。全員の顔が青く血の気が引き、あんぐりと口が開いている。
ワーベアは魔法武器、またはエンチャントウェポン/魔法武器化か、ホーリーウェポン/聖なる武器化がないと傷つけることは出来ないのが常識だ。だが、それらを圧倒的に超えるダメージが与えられた場合、無効化する事はできない。
「おお! やっと手加減が成功したぞ。1回の攻撃が1発まで落とせれば模擬戦をできるだろう」
「「「………………無理(ポソッ)」」」
オレの独り言に、聖騎士全員がコインになったワーベアを見て、同時につぶやきながら突っ込みを小声で入れる。オレは耳が良いから聞こえてしまった。
「……ロックウェル殿、やはり模擬戦は無理なのでは?」
エミリアがロックウェルに話す。聖騎士全員がコクコクッと頷く。以前に日本にいた時、お土産で買った赤ベコのようだ。
「ロックウェルどうだろう? このくらいまで加減できたら、聖騎士もなんとか死なずに行けるだろうか?」
「「「……いや、普通に死ぬから(ポソッ)」」」
オレの発言に、またまた団員全員が同時につぶやき突っ込みを入れる。聖騎士たちは、すっかりビビってしまっている。膝がカタカタ震えているものもいる。ロックウェルは模擬戦を頼んだ手前、やはり止めましょうとは言いにくいのだろう。どうすればいいか、悩んでいるようだ。
「セシル様、やはりその1撃が入ると模擬戦の相手をしたものは即死でしょう。少し無理かと考えます」
聖騎士たちは、この中で唯一セシルに意見を言えるエミリアに、(頑張れエミリア!)と心の中でエールを送る。
そうまで言われては模擬戦は無理かと思った。
だが、今、ふと思いついた。攻撃と認識していない行動ならば大丈夫なのではないだろうか?
夜伽で腰をパンパン打ちつけても、女の子のお尻の骨は砕けないしな。もともとお尻は割れてはいるが。
つまり攻撃ではなく、例えばデコピンで相手の斬り込んでくる剣撃を弾くというのはどうだろうか。
龍と戦った時に気がついたことがある。龍は防御魔法などを使わないのにも関わらず、防御膜のようなものでシャロンの剣撃を全て防いでいた。ミスリルの剣で斬ったのだから、数ミリだけでも皮膚を突き破って、龍にダメージを与えてもいいのだ。しかしダメージは0だった。オレがやり込んでいたVRMMOモンスターバスターと全く同じ仕様だったのだ。つまりこの異世界は攻撃力が防御力を上回らなければ、ダメージを与えることができないのだ。
実験してみよう。ワイアットに襲われたときの、毒付きの短剣をアイテムボックスに回収していたから、それをロックウェルに投げてもらおう。
「ロックウェル、この毒付きの短剣をオレの顔に向けて投げてくれ。試したいことがあるから全力で頼む」
「エミリア殿、良いのでしょうか?」
エミリアは少し思案を巡らしながらも、危険はないと考えて頷く。エミリア自身もレベル3神聖魔法を唱えることができるから、万一何かあってもキュア/状態異常回復とリカバリー/回復魔法で治せば、問題ないということだ。
ロックウェルに短剣を渡すと、それをオレに向けて投げる。さすがパルミラ教皇国で最高クラスレベル48の聖騎士だ。凄まじいスピードで短剣がまっすぐオレに向かってきた。
『ビシィ』
「「「セシル様!」」」
短剣が刺さるか刺さらないかのギリギリまで見切り、人差し指を使いデコピンで弾いた。
周囲から、セシル様と叫ぶ声が聞こえる。そんな心配をよそに、予想通り膜みたいなものが邪魔をしてオレの指には傷1つない。もちろんダメージがないので、毒も問題ない。よし、これで誰も死なす事なく模擬戦が出来るぞ!
「実験は成功だ。ロックウェルありがとう。それでは今から模擬戦をはじめる。誰から訓練をするのだ?」
「セシル様、まず私がお相手をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
その言葉にエミリアが反応する。聖騎士たちは、お前が先に行けよ、イヤイヤお前が先に行けよ。という順番で大いに揉めていたからだ。
「ああ分かった。オレはデコピンで攻撃を弾くだけにするから、そうすれば聖騎士は死んだりしないだろう。先程の実験で攻撃が発動しなかったから大丈夫だ。それではエミリアから来なさい」
「はい、承知いたしました。セシル様」
「頑張れエミリア~。オイラが応援しているよ!」
~~~戦闘開始
◎エミリア・マクファーソン×1(1)
エミリアは腰に下げていたメイスをはずすと、中段に構える。イニシアティブはオレが取ったが、待機を選択する。
「パック頑張るわね! それではセシル様行きます。いやあああああああああ!」
『ガガガガガガガガガガ!』
『ビシシシシシシシシシシィ!』
「くぅ!」
敏捷度2番手のエミリアは一気に間合いを積めると、全力で上から下に1回の攻撃で10発振り下ろしてきた。エミリアはオレに1回394で合計3940のダメージを与えてきた。オレは指で受けたのでダメージはあったが、1発で197662、合計1976620という防御力で無効化し、1ターン目が終了した。
~~~1ターン終了
予想通りオレの指は、197662という高い防御力により、エミリアのメイスを弾いても傷1つつかない。いいぞ! これなら大丈夫だ。オレが来た異世界では、首ナイフ問題は解決してしまった。急所を斬られても、防御力を超えられない限りダメージは与えられない。これだったら寝ている時に攻撃されても問題ないだろう。
~~~2ターン目
◎エミリア・マクファーソン×1(1)
2ターン目も当然、オレがイニシアティブを取ったが待機を選択。2番手のエミリアがメイスを振り上げ叩きつけてきた。
『ガガガガガガガガガガ!』
『ビシシシシシシシシシシィ!』
次々にメイスで攻撃を休むことなく繰り出しているエミリアの体力ゲージが、ダメージを受けていないにも関わらず少しずつ減ってきている。この異世界では攻撃するだけでも体力が減っていくようだ。
VRMMOモンスターバスターの世界でも、ダメージがなくても走り続けるとHPが少しづつ減る仕様だ。HPとMPの回復量については、戦闘中ならば1分間で1%で、非戦闘中ならば1分間で5%だ。バッドステータスで部位損失や怪我があると、当然回復量は落ちるし、状態によっては回復しないものもある。例えば、呪いの類や矢が刺さったままの場合などだ。オレの場合はHPが80万程あるから、非戦闘時は1分間で120000ほど回復する。戦闘中でも8000ほどだ。走り続けたり、戦闘し続けたりしても、減るより回復する量のほうが圧倒的に多い。
エミリアとの戦闘で余裕が出来てきたので、攻撃のたびエミリアのDカップが上下に激しく揺れることを見て楽しむ。彼女は必死に攻撃を繰り出しているので、オレの視線に気がつくゆとりはないからバレないしな。ぐふふ♪
その後も数ターン、エミリアが攻撃の手を休めることなく続け、半分くらいに体力ゲージが減ったので止めた。
~~~戦闘終了
「エミリア! 模擬戦は終了だ。体力がだいぶ減ってきたからここまでにしよう」
「はぁはぁはぁはぁ、はい! セシル様ありがとうございます!」
「セシルを相手によく頑張ったね!」
「はぁはぁはぁ、ありがとうパック。でもやっぱりセシル様には私の攻撃は通じなかったわね」
「まあ、そう気を落とすな。とても良い動きであったぞ」
すぐに次の聖騎士が交代し攻撃してくる。最後にロックウェルと模擬戦をして、休憩時間となった。
あたたかい紅茶を、見習い修道女が持ってきた。見習いだから15歳以下の女の子だ。
紅茶を持ってそばまで来ると、ギギギッとぎこちなく笑顔を見せてきた。よく見たら手と膝がカタカタと震えており、とても緊張してこわばっている。歴史上、地上に初めて降臨した神の化身セシルを前に、絶対に失敗してはいけないと緊張してしまうのは仕方のないことだ。ましてや、見たところ10歳かそこらの若い子供では、頭の中が真っ白になっているのではないだろうか?
気を使ってあげるのが大人というものだ。とりあえず探査マップ/神愛でこの娘のステータスを見てみよう。
●名前:ベルベット・パルマンティエ
●年齢:13歳
●種族:ヒューマン
●所属:パルミラ教皇国、アンカスタード神殿見習い修道女
●身長/体重:145/39
●髪型:黒髪セミロング
●瞳の色:青色
●スリーサイズ:72/48/73
●カップ/形:AAA/皿型
●経験:なし
●状態:過緊張
●ベースレベル:9
●職業:レベル9戦士
●HP:259
●MP:230
●腕力:127
●体力:132
●敏捷:135
●知力:112
●魔力:118
●器用度:129
●スキル
戦闘技1、戦棍術1
13歳の見習い修道女ベルベットの髪型は、毛先が肩を少し過ぎた、胸よりも上の長さでロングの中でも1番短めのロングというヘアスタイルだ。瞳の色は青色で、お人形みたいにちっちゃくて可愛い。胸はトリプルAだから、ふくらみはなく乳首だけしかないのか。ま、今後に期待ということだ! オレとしては乳首だけ刺激して立たす事もそそられて楽しい。胸のふくらみがないと、より乳首のエロさが際立つというものだ。ぐふふ♪
「セシル様、紅茶をどうぞ」
「うむ、ありがとう」
なるべく優しい笑顔を作り、ベルベットが緊張しすぎないように紅茶を受け取ろうとした。だが彼女が紅茶を渡そうとしたとき、過緊張から手の震えがMAXになる。
『カタカタカタカタ、ガチャ~ン』
ベルベットはオレの膝に熱い紅茶をこぼしてしまった。熱……くはないな。高い防御力で紅茶の熱さなど問題ではないが、自らの犯した失態に棒立ちで真っ青になるベルベット。周囲の聖騎士たちに緊張が走る。
「な!! セシル様に何ということをするのだ貴様ぁ!」
聖騎士の1人が叫ぶと、ベルベットは恐怖で心の底から蒼白になり昏倒し、べちゃっと地面に崩れ落ちた。そしてハラハラと号泣しながら可哀想になるくらい、全身がガタガタと震えている。この娘の今後が気になるので久しぶりに聞いてみよう。
《サポート》
ベルベットの罪状はどうなるのか教えて?
【死刑】
え? この娘はこれで死罪になってしまうのか。マジか! まったくガチ宗教国家は困ったものだ。神の化身が大事な存在だということは分かるが、紅茶をこぼしてしまった程度で死罪とはな。オレの周りの修道女が特別優しすぎるから、すっかり忘れていたよ。パルミラ教皇国とはこういう国だってな。
ベルベットを逃走防止のため聖騎士が周囲を囲んだ。全員が腰からスラッとメイスを抜いて彼女に向けている。
「セシル~、早く止めないとあの娘がまずいよ!」
ベルベットを連行しようと、聖騎士2人が逃走防止に両脇をおさえつける。あんなに小さな女の子にも容赦がないのだな。まあ、犯罪とはそういうものか。国の信仰する神への無礼だからなおさらだろう。
急に物凄く強い視線を感じ、チラッと見ると、エミリアがオレをジトーッと睨んでいる。分かってるって、そんなに睨むなよ。
「待て! ベルベットをここへ」
「「「はっ! セシル様!」」」
ベルベットはオレの前に連れてこられる。足がガタガタ震えて、まともに立っていることができない。腰が砕けて両膝をドカッと地面に打ちつけてしまう。
「セ、セシルしゃまお許しくじゃしゃひぃ」
ベルベットは額を地面につけ、土下座しながら許しをこう。神の化身を傷つけてしまったことで、自分が死刑か良くて重罪になることを分かっている。パニックを起こして声にならない。
「うむ、許す。立ち上がってオレの膝の上に座りなさい」
「決してわざとじゃないんで……え?」
土下座状態のベルベットはビックリして顔をあげる。涙も鼻水まで出ていてグシャグシャだ。その姿からは女性の尊厳など微塵も感じない、可哀想に。
「いいからセシルの膝上に座りなよ~オイラが安全を保証するよ!」
腰砕けになってしまっているので、聖騎士の助けを借り、ちょこんと後ろ向きにベルベットは座った。彼女の下腹部に両手を回し、優しくハグをする。
「うむ、小さくて可愛いな。オレはラティアリア大陸に降臨して、家族をほしいと思っていた。ベルベットがオレの妹になってくれないかな?」
「「「え? ええ!?」」」
ベルベットやパック、周囲の聖騎士たちも、オレの妹発言に困惑している。エミリアも予想外だったのか、相当驚いた顔をしている。
「ベルベットはオレの妹になることは嫌か? うん?」
急なオレの提案に、しばらく呆けていたベルベットだが、ようやく事態を飲み込めたようだ。
「いいえ、セシル様がお望みなら妹でも、神聖娼婦にでも何にでもなります。まだ子供を孕むことができない身ですが……」
だから妹って言ってるのにな。まだパニクっているらしい。それに13歳で夜伽させたら、日本では世間を騒がす大犯罪者だし、この国でも普通に犯罪だろ。大事な修道女たちにロリコン野郎と蔑まれるに違いないしな。
「承知してくれてありがとう。これからはオレをお兄様というのだぞ、言ってみろ」
今、お兄様と言えと云われても困るかもしれないが、それによって彼女の命を助けられるならいいだろう。
「お、お、おにい……様」
おお! スッゴい恥ずかしそうだ。めっちゃ可愛いな。妹じゃなくて愛人にすれば良かったか。もちろん手を出すのは、16歳の大人になってからだがな。
「セシル嬉しいでしょ。初妹ゲットだね~。ベルベット、オイラはセシルの相棒で妖精族のパックというんだ。パックって呼び捨てでよろしくね!」
「OK。ベルベットは長いな。ベルって呼ぶぞ。じゃあエミリア、そういうことでベルが神の化身セシルの妹になったことを、各神殿に伝えておいてくれ」
「はい、セシル様、承知いたしました。そのように各神殿に伝えます」
いきなり妹ができたぞ。日本では一人っ子だったので、兄弟という存在は全く分からない。初めてできたのが、可愛い女の子で嬉しい。
あとは修道女たちに、この娘の今後については任すことにしよう。
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