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第1章

第6話 性獣シャロン

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北門に向かって勢いよく走り出す。変わる景色の流れでかなりのスピードが出ていることが分かる。さすが150000オーバーの俊敏度。日本の高速道路を車で走っている時よりも速く感じる。体感で150キロ以上は出ていそうだ。

ルシィルのエキストラスキル、奇跡の祝祷のためにMPを使い切って倒れている神民を避けながらも、あっという間にアリシアが龍と戦っている北門の前に来た。すると守備隊の騎士ともめている女の子がいる。

「私も戦わせて下さい! こう見えて私、凄いんですよ」

「あなたは他国から来たのでしょう。ここは大変危険ですからすぐにお逃げ下さい。戦いは我々パルミラ教皇国の騎士にお任せください」

「でもでも戦闘は聖騎士より暗黒魔法の方が、火力が高いと決まっています。その点、私はお役に立てますから。レベル3暗黒魔法まで使えるのです」

この女の子はレベル3暗黒魔法を使うのか。暗黒魔法を使える人に会うのははじめてで、なんとなくステータスが気になり、《探査マップ/神愛》で見る事にした。

●名前:ニーナ・ヴァンダウォール
●年齢:17歳
●種族:ヒューマン
●所属:アルル公国サムライ第一部隊見習い
●身長/体重:155/46
●髪型:赤髪ベリーショート
●瞳の色:青色
●スリーサイズ:78/60/86
●カップ/形:AA/三角型
●経験:なし
●状態:やや興奮
●ベースレベル:38
●職業:レベル8サムライ
●HP:1531
●MP:1433
●腕力:760
●体力:771
●敏捷:721
●知力:712
●魔力:724
●器用度:733
●スキル
暗黒魔法レベル3、剣術1、杖術2、生活魔法、ヘカティアの加護
●装備
魔力の杖+4、ローブ+3、魔術師の帽子+3

このラティアリア大陸ではこのくらいのステータスで割と強い方なんだろう。自分で、私って凄いんです、と言うくらいなのだ。やはりアリシアが別格強いだけなんだろうな。この異世界の基準が少し分かってきた。

ニーナはショートカットの中で一番短くしたカットである。横は耳上で切り揃えていて、後ろは刈り上げているのが特徴的な赤髪ベリーショートの地味系少女だ。瞳の色は青く、若干吊りあがっていて真面目さが顔ににじみでている。

ついでにパルミラの騎士も見てみよう。雑魚キャラの基準がわかるだろ。

●名前:ボルグ・ヒューブルグ
●年齢:23
●種族:ヒューマン
●所属:パルミラ教皇国神都ベネベント、ルステラ騎士団
●身長/体重:184/76
●経験:多数
●状態:不安
●ベースレベル:12
●職業:レベル12戦士
●HP:90
●MP:58
●腕力:132
●体力:126
●敏捷:130
●知力:114
●魔力:118
●器用度:116
●スキル
戦棍術1、盾術1
●通り名
北門のアイドル
●装備
鉄の兜、鉄のブレストプレート、鉄の籠手、鉄の剣

やはりこのクラスが下級騎士のステータスなのだな。
顔は割とイケメンだな。むむむ、北門のアイドルだとぉ! 女子にモテまくりの女子が好きそうなトークでいただいちゃうタイプだろ! 絶対そうだ。経験も多数とか書いてあるしな。リア充はオレの敵決定だな。

「何があったんだ?」

守備隊の騎士はオレを見ると困ったような顔をする。

「この娘は龍との戦闘に参加したいと言って聞かなくて困っています。あなたもここは危ないからすぐに逃げなさい。この北門の向こうでは龍が守備隊と戦っているのです。ここもいずれ突破されるでしょうから」

タラシのイケメンのくせに意外にも良いやつだった。すぐ目と鼻の先で龍と戦っているので、ここは死亡率100%の場のはずだ。女の子にモテてるイケメンに妬んでました。すいません。

それにしてもニーナはレベル3暗黒魔法が使えるのか。龍との戦闘で彼女の助けがあった方が有利かもしないな。オレはレベル1だし、ぜひ来てもらおうか。
オレはこの異世界に来て初戦闘になる。初陣でレベル800オーバーの龍とかどうなんだ。無理ゲーどころか糞ゲーといっても過言ではない。

ただステータス的には楽勝だ。なにせ龍の100倍くらいステータスの差があるからな。だがオレの力も未知数だ。エロース神様は基本的にモンスターバスターと同じと言っていたが、
このラティアリア大陸で戦ったことがないからな。転移前はリアルで喧嘩もしたことないくらいだ。だから、保険でニーナは連れて行きたい。

「オレは神の化身セシルである。オレとこの娘を通しなさい」

騎士ヒューブルグはその言葉にキレたのか、剣を抜き、切っ先を向けてきた。

「セシル様はすでに都市を脱出されたと報告が入っている。この国で神の化身を騙るとは許されることではないぞ!」

まあ、真面目な騎士ならそうくるのは仕方ないか。オレへの忠義ご苦労様。もう面倒だから強行突破だな。今のところ生きているが、ミニウィンドウに写っているアリシアも心配だ。

ん? 誰かが龍と戦っている。アリシア用のミニウィンドウに城壁の外で戦っている戦士が写っている。龍が暴れているところに降りてやりあおうとするとは勇気あるな。

●名前:シャロン・グランディエ
●年齢:19歳
●種族:猫耳族
●所属:ヴァルビリス帝国正規軍大将
●身長/体重:176/64
●髪型:オレンジ髪ミディアム
●瞳の色:青色
●スリーサイズ:84/62/86
●カップ/形:G/皿型
●経験:多数あり
●状態:恍惚
●ベースレベル:73
●職業:レベル43サムライ
●HP:3540
●MP:3376
●腕力:1752
●体力:1788
●敏捷:1678
●知力:1698
●魔力:1664
●器用度:1731
●スキル
暗黒魔法レベル5、両手剣術5
●エキストラスキル
アレスの寵愛/戦闘狂
●通り名
帝国の双璧、性獣、帝国の戦闘狂
●装備
ミスリルのツーハンデッドソード+5、ミスリルのプレートメイル+5、ミスリルの兜+5、ミスリルの籠手+5、ミスリルの盾+5

こりゃ強いわけだ、アリシアクラスだ。うわっ、称号に戦闘狂って付いてる。それに……性獣……だと! なんと豪気な通り名をつけられているのだ!

シャロンはショートとロングの中間のオレンジ髪のミディアムである。あごのラインから肩にかかるほどの長さで、少しフェミニンな印象となっている。瞳の色は青色の色気系猫耳美女だ。

アリシアもチャンスと見て城門から下に飛び降り、2人で共闘している。知り合いなのか? アリシアが防御と回復中心に、シャロンが攻撃中心にって感じで戦っている。

「いい加減に去らないと本当に斬るぞ!」

騎士さんマジギレしそうだ。ミニウィンドウを見てて、こいつの事をすっかり忘れていたな。さっさと行かなくてはと、オレはニーナを抱きしめる。

「え!? ちょ、ちょっと急に何を? ヒャァァアアアアア!」

ニーナはいきなり抱きしめられて真っ赤になって驚いている。オレはニーナを抱きしめたまま大ジャンプをした。30メートルくらいの城壁をひとっ飛びに頂上まで来た。

「ちょっと合図が欲しかったです~」

ニーナの言葉には耳を貸さずアリシアたちを見ると、壮絶な戦いを繰り広げていた。龍を相手に一歩も引いていない。
特にシャロンの攻撃力は破壊力がある。1回の攻撃で25発もドラゴンを斬りつけている。

ドラゴンバスターでは下級職業の戦士、魔術師、神官、司教、盗賊は5レベル上がるごとに、攻撃回数が1回増える。
上級職業の狂戦士、サムライ、聖騎士、賢者、忍者は3レベル上がるごとに、攻撃回数が1回増える。
シャロンはレベル43サムライなので、レベル5暗黒魔法を使用でき、ベースレベルが73だから、攻撃回数が25回ということになる。

龍を切り刻んでいて見た目結構いけそうな感じだが、やはり龍を相手にはダメージは与えられていない。龍の防御膜を突き破るためには、攻撃力が32000は最低でもないとダメージ0だ。

逆に龍の攻撃を2人が一発攻撃をもらったら絶命だ。今のところ2人が無事なのは、アリシアが6倍ホーリーシールド/神の盾を使用しているからだ。魔力ポーションが切れれば、そこで詰んでしまう。理不尽だが、それがモンスターバスターの世界だ。いずれにしてもこのままじゃ負けるな。

「下に降りるぞ」

オレはニーナを抱え、そのまま城壁を飛び降りた。さりげなくニーナの双丘に手を引っ掛け、柔らかな感触をもみもみと楽しみながら。ぐふふ♪ 彼女はAAとはいえ気持ち良い♪ ニーナは30メートルほどの城壁を飛び降り、落下する恐怖で胸を揉まれても、気にする余裕はないらしい。

「うっひゃ~!」

ニーナの両目は白目を剥き、鼻は大きく広げ、口は限界まで開けている。ニーナはすでに女の子の顔をしていない。こんな顔、結婚前の女の子がしてはいけないぞ! とか心の中で微妙に突っ込む。

『ズダッ』

城壁を飛び下りると、そのままの勢いでアリシアの方へダッシュをする。
全力で走りながらアリシアの横を通りすぎるときにニーナをおろす。

そして、龍との距離を一気に詰めて腹の辺りに蹴りを入れる。龍はものすごい勢いで数百メートルも吹っ飛んだ。さすが50万オーバーのパワーだ。

「ヴギョオオオオオオオオオオオォォォ」

龍は腹を蹴られ、とても痛そうな叫び声をあげ、地面でのたうちまわっている。骨の5、6本は折れたのは確実だ。これで少し時間を稼げる。

クルッと振り返ると、すたすたアリシアに向かって歩き出す。そして、目の前まで来るとアリシアは驚きのあまり両目をカッと見開いた。

「セ……」

名前を言い終わることなく、アリシアは抱きついてきた。オレが来るとは、想像もしていなかったのだろう。驚きすぎて言葉にもならなかったようだ。そしてオレの胸に顔を埋めながら、号泣している。

「セシル様ぁ~セシル様ぁ~セシル様ぁ~」

アリシアは迫りくる死への恐怖を心の中で必死に押し殺していたのだろう。パルミラ教皇国の象徴、聖女としてどんなに怖くても逃げる事はできなかったのだ。オレの胸の中で歓喜の涙を流している。段々とオレを抱きしめる力が増していく。

おいおい、オレじゃなかったら背骨が折れてしまうぞ。ってくらい強くメリメリ音を出しながら抱きしめられる。
それはハグじゃなくベアハッグっていうプロレス技だアリシア。
まあ良い。気を取り直していくか。やっとアリシアが泣き止んだことだしな。

「……なぜここへ? いえ、セシル様はお体が動くことができるようになられたのですか?」

「ルシィルのおこした奇跡により動けるようになったのだ。ここに来た理由は決まっているだろう。世話になったアリシアを助けるためにオレは来た! さあ、さっさと龍を倒すとしようか」

「はい!」

アリシアはとても嬉しそうにニコッと微笑む。今までで一番晴れやかで良い笑顔だった。

「ニーナとアリシアは独断でオレをバックアップ。猫耳族のお前はダメージが大きすぎるから1回休憩な」

「了解いたしました。あたしの暗黒魔法が炸裂するところ見てね」

「はい! セシル様承知いたしました」

「私はまだ戦えるわよ。これくらいで壊れるやわな身体してないわよ」

「分かってるが、片腕が千切れたその体ではマズいだろ。まずはアリシアに部位欠損を治してもらってくれ」

オレは龍の前に立つ。アイテムボックスから神剣エロースを取り出すと、構えもせずにおもむろに龍に向かって歩き出す。後ろからニーナとアリシアの魔法が聞こえる。

《エンハンスメント/身体強化》
《エンチャントウェポン/魔法の武器》
《バリア/魔力壁》
《ホーリーウェポン/聖なる武器》
《バトルソング/鼓舞》
《ホーリーシールド/聖なる盾》

「グオオオオオオオオォォォォォ」

過去から未来まで、あらゆる人類の恐怖の対象でしかない龍の咆哮だ。龍はようやく蹴りの痛みが和らぎ、咆哮を吐く余裕ができたらしい。MMORPGをやり尽くしたオレとしては、このリアルで龍と戦える場にいれるとは興奮する。まさか本物の龍が見れるとは嬉しい。だがそれももう終わりだ。早く倒さないと大事な女の子たちの命が危ないからな。

オレは神剣エロースに魔力を注ぐと、神剣の刀身が10メートル級に大きくなる。そしてオレは龍に向かって駆け出した。

MMORPGモンスターバスターで戦闘のイニシアティブは、敏捷度が一番高い者が先に取ることができ、攻撃ができるというシステムだ。その後は2番目に敏捷度が高い者、3番目に敏捷度が高い者と、順番に攻撃していくのだ。

龍は敏捷度が15000と少し。一方オレの敏捷度は15万オーバーある。当然、イニシアティブはオレが取ることに成功した。

神剣エロースを龍に向け、上段から下段に一閃した。

『ドガッ』

~~~1ターン終了

「ギャオオオオオオオオオオオオオオオ…………………………」

オレのレベルはまだ1だが、攻撃力が龍のHPを遥かに超える。一撃でHPの10倍ものダメージを与えられた龍は、綺麗に真ん中で縦に真っ二つになり、断末魔をあげて絶命した。

その後、アイテムボックスに龍の死骸を回収したが、驚いたことに一瞬で巨大な龍は消え、アイテムボックスの中に収納できた。30メートル程ある大きな龍が一瞬で収納出来るとは、アイテムボックスは凄いな。

龍が討伐されたのを遠目に見ていた城壁の騎士たちから、地が割れるような大きな歓声が聞こえる。守備隊は両手で弓矢を頭上に突き上げ、国難が去った喜びを表現していた。

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

ニーナ、シャロン、アリシアは一撃で龍が真っ二つにされるという、歴史上、ありえない現象を目の前の特等席で見た。全員、驚愕のあまり口をぽかんと開け、固まっていた。

3人の中で一番はじめに正気に戻ったアリシアが、オレに向かって走ってくるとジャンピングハグで抱きついてくる。

「セシル様! セシル様! セシル様! セシル様ぁ~」

オレの名を連呼しまた泣き出す。泣き虫な娘だな~。って思いながらも、背中と頭をナデナデする。聖女という地位の高さから国難に対し、己の命をかけなくてはならないという重圧がかかっていたのだ。助かった、ということで気が一気に緩んだのだ。

「よく頑張って耐えたな」

シャロンも近ずいてくる。

「信じられない! あなたは強いのね。こんなに強い人は初めてみたわ。龍を一撃なんてありえない! あ! 私は猫耳族のシャロンっていうのよろしくね」

そう言うとシャロンは妖艶な笑みを浮かべてペロリと舌なめずりをする。オレはシャロンの魔的なエロさにゾクッと背筋が凍った。だが初猫耳族登場にちょっとテンション上がってる。本当に猫耳があって可愛い♪ それにこの娘は奴隷じゃないみたいだな。隷従の首輪をしていないから、誰の所有物ではなく自由なのだ。

「ああ、シャロンか。オレはセシルだ。よろしくな」

ニーナが来ないので、どうしたのだろう? とその方向を見ると彼女は地面に座っている。何かあったのかと、よくよく見るとお尻の下に水溜りが出来ている。さきほど龍が咆哮をあげたとき、お漏らししたのだった。

アリシアもシャロンも見てみなかったフリをしているようだ。女子力高いな。

《クリーン/清浄》

さりげなくクリーン/清浄で、失禁した証拠を消してあげるあたりオレは優しいな。なんて思っていたら、アリシアがジト目になってる。シャロンは苦笑いをしていた。

あ、クリーン/清浄なんてかけたら失禁したのに気づいてましたって言ったようなものか。やば。
女の子は配慮がめんどいな。これからは気をつけよう。

「シャロン様はパルミラ教皇国の神民ではないですわよね。わたくしはパルミラの聖女アリシア・クレスウェルと申します。あなたが来て下さらなかったら、セシル様が到着する前に龍は城壁を超えられていたでしょう。お礼の褒賞を差し上げたいのですが、1度神殿にお越しいただけないでしょうか?」

「これはご丁寧なご紹介をありがとうございます。ただ私は龍の谷での特訓中に、たまたま通りかかっただけですので、褒賞はお気持ちだけで結構です。龍と戦えるなど良い鍛錬にもなりましたしね」

と言ってペロッと舌を出す。片腕を一度無くしたというのに、武人って凄いな。アリシアのレベル5神聖魔法フルリカバリー/完全回復魔法で治っているが。部位欠損って本当に治るのだな。

「でもそう言うわけには……セシル様どうしましょう?」

「いいのかシャロン。この功績は大きいから国に色々もらえるぞ。もし他にもオレに出来ることなら言ってくれ。可能な限り要望に応えるぞ」

「本当になんでもいいの?」

オレとアリシアがコクリと頷く。

「じゃあ、遠慮なく言わせてもらおうかしら。セシルに抱いてもらいたいわ」

と言って頰がポッと赤くなり、左下に視線を向ける。
別の意味でカァっと顔が赤くなり、血圧が急上昇したアリシアが即答で反論する。

「そ、そ、そ、それは無理ですわ!」

「あら? でもあなたはなんでもいいって言ったじゃない。セシルも出来ることなら言ってくれって言ったわ。抱くことは簡単でしょう。でも私の器量や体が好みじゃないって言うなら諦めるわ」

「好みです」

やべ! 即答で本音が出ちまった。そーっとアリシアを横目で見ると、真っ直ぐオレをジト目で見ている。今日2回目。超絶美少女がダメですよ。そんな目をしちゃ。

「ほらほら、セシルも私が好みだと言ってくれているし、褒賞はその線でよろしく。楽しみね、セシルほどの強者に陰部を貫かれるって、最高に気持ち良さそうね♪」

「ええ! そ、そんな~。シャロン様も良いのでしょうか? 女性が会ったばかりの男性に、簡単に抱かれてしまうなどということはどうなのでしょうか?」

「あら、アリシアは強い男に抱かれる喜びっていうものを知らないのかしら? 聖女だからまだ男を知らないのかしらね。私は修行で色々なところに行っているけど、セシルほどの強者は聞いたことがないわ。龍を一刀両断にする力を持つ剛の者よ。私の膣内も一刀両断にしてほしいわ」

「……………………………」

カァっとアリシアは耳まで真っ赤になる。あけっぴろげなシャロンの発言を聞き、恥ずかしさに沈黙した。お! アリシアは、聖職者の弱点を突かれて負けたな。

「これだから男を知らない女はだめね。男が、女に与える快楽の気持ち良さを知らないとわね。それに強い男に抱かれると自分も影響を受けて少し強くなれるのよ。それはあなたも知っているでしょう?」

「……はい。知っておりますわ」

な、なんと! 強い男に抱かれると強くなるのか?そのような夢のシステムがあるって本当なのだろうか?

《サポート》
格上のものと夜伽をすると、強くなるって本当なのか?

【加護を持っている者は限定の特権がある。ステータスが高いものが低いものと夜伽をすると、低いものの全ステータスが0・01%あがる。
また、神の化身セシルが夜伽相手の体内で神液を直接放出し、吸収させると全ステータスが1%あがる】

おお! シャロンの言うことはマジだったのか。異世界限定の神制度に興奮するぜ。しかも、神の化身はさらに特別待遇で上昇率が高いのだな。

それに神液って精液のことでいいのだよな。それを体内で直接、神液を放出って、ま、まさか、中出しだということか! なななななんと! シャロンはオレに中出しして欲しいと言ったのか! そりゃまだ処女で未経験のアリシアは赤くなるよな。

シャロンは自分の希望を強くアリシアに求めてきた。絶対にそれ以外のものは拒否をする、という強い決意のあらわれた顔をしている。

「国を救うお手伝いをしたのだから、そのくらいの褒賞はほしいわ」

アリシアもそれだけは避けたいと、しばらく黙って考えていたが、ハッと何かに気がついたようだ。

「あ! それではとても貴重な転移のスクロール辺りで手を打つというのではいかがでしょうか? 何かあってもイメージした一度行った場所であれば、すぐに帰れますわ。1個しかない国宝クラスのスペシャルなアイテムです。とってもとっても貴重なのですわ。ね! そうしましょう!」

「……交渉しようとしても無駄よ。私は自分の強さと快楽にしか興味ないもの」

ぶっ、そうなんだ? 自分の強さと快楽と言い切るなんて漢だな。男じゃなく漢と書く方の。さすが称号に性獣と書いてあるつわものだな。

「……そこまで言うなら分かりましたわ。ただ、この件はわたくしだけでは決めることが出来ないのです。報酬をお支払いただくセシル様が良いと言うのならば褒賞はそれにしましょう。セシル様はそれでも良いのでしょうか? お嫌ですわよね! ね! ね! 当然そうですわよね!」

アリシアは最後の砦に、オレが断ってくれることを期待して最終決定をたくしたようだ。すっごいジト目の超絶美少女だ。すでに眼光は威圧の域に達している。

オレがこの女を抱くことが本当に嫌なんだろうな。う~む、どうしよう。オレ的にはシャロンは女性的色気むんむんのモフミミ美女だから、気軽にOK♪ と言いたいが、アリシアからあのようなジト目で見られると言いにくい。

アリシアがさらに笑顔で、断ってください、とプレッシャーをかけてくる。顔圧力とでもいうような。器用なことをするよな。

そうだ! 考えてみたらオレは神に選ばれた神の化身だ。万人に平等な愛を与えるのもオレの使命だ。恋心と性愛を司るエロース神様の化身だしな。それに思った通りにやっても、オレに真正面から文句を言うような人はいないだろう。なんたって神の化身だから。よし、決断した。

「OK♪ 褒美にシャロンを抱くよ。今日の夜、寝室に来なさい。アリシア、シャロンを聖域に連れてくるように手配しなさい」

アリシアはガーンって顔をしている。ご主人に捨てられた子犬のような顔になってる。ちょっと罪悪感だが、オレは転移してから好きなようにやると決めているからな。それにDT といっても器用度や体力も15万以上あるのでシャロンを満足させることは出来るだろうから、気軽に楽しもうか。ぐふふふふ♪

「まあ、本当にいいの? うふふ、嬉しいわ。今夜はタップリ可愛がってね」

そう言って腕に手を巻きつけてきた。巨大な双丘を腕にムニムニと押し付けられて、気持ち良い♪ だがこの場の微妙な空気に耐えられなくなってきたし早く戻ろう。そろそろニーナも精神的に回復した頃だろうしな。

「ニーナ?」

「……私は弱いです。どうしたらセシル様のように強くなれますか?」

そんなこといきなり聞かれてもな。オレだって初めての戦闘だしな。自分と龍の間に圧倒的な差があったから、普通にやれただけだしな。そうだ! 漫画でこんなこと言ってたな。それを引用しよう。

「守りたい人を思い浮かべなさい。そうすれば強くなれる。我の強さではダメだ。そして仲間を作ってみんなで鍛えなさい。そうすればお互いに切磋琢磨して強くなれることだろう」

ニーナはパァっと顔が明るくなって嬉しそうだ。

「はい! アドバイスありがとうございます! 仲間を作って頑張ります! いつか強くなったらもう一度セシル様に会いにきます。ぜひ強くなった私をご覧ください」

「うむ、その時が来るのを待っているぞ。じゃあみんな戻ろう」




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