初夜の翌朝失踪する受けの話

春野ひより

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追いかけてきた攻めにつかまった受けの話

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 時間は最上の薬らしい。

「失恋 立ち直り方」「好きな人 忘れ方」で検索したらそう書いてあった。
 信じられないけど、ほとんどのサイトにそう書いてあったからそういうものなんだろう。信じられないけど。

「はあ…」

 いつもの通り目覚ましより早く起きた俺は布団の中で大きな溜息を吐いた。しばらくみの虫のように布団にくるまってじっとしていると、ピピピ…とアラームが鳴り出す。腕だけ布団から出して目覚ましを止めると、もう一度大きなため息を吐くとのそりと起き上がった。途端に襲ってきた冷気にぶるりと体を震わせる。毛布を体に巻きつけながら寝る前までは枕元にあったはずのエアコンのリモコンを探した。

「さっむ。ほんとにストーブ買おう……うわこんなとこにあった」

 何故かベッドの下にあったリモコンを使ってエアコンの電源をつける。暖かい風が頬を撫でてほっと息を吐いた。段々と頭がスッキリしてくる。
 顔を洗って完全に覚醒した俺は朝ごはんはどうしようか、なんて考えながらキッチンへと向かった。

「食パンってまだあったけ……卵がない」

 冷蔵庫を開けた俺はあれ、と首を傾げて、すぐにああ、と頷いた。消費期限が近づいていたから昨日のオムライスにあるだけ使ったんだ。ということは、つまり今日の朝ごはんはトースト一枚だけということになる。俺は思いっきり顔を顰めた。
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