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第63話食堂3

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「まあ譲り渡してしまったものはしょうがないですが、私達主流派は彼ら外野……と言うか主流派と外野に居る反クローリー派に隙を見せる訳には行かないのです。あなたもクローリー家の一員であるのならあなたの一挙手一投足が注目されているその自覚を持ちなさい。次回から気を付けるように……外野の首魁であるメイザース家の娘とのコネは、あなたの武器となるでしょう。だから今回はそのミスを追及はしません。これは当主の判断です」

 叔母上は「当主の判断だ」と宣言した。
 クローリーは国内に幾つもある騎士団の創設から運営に関わっているため、その当主は例外なくとある仇名を持っている。一族内では総帥、他家からは騎士団長などとも恐れを込めて呼ばれている。
 そんな権力を持つ当主が一族の前で叱咤し、許しを与える事で一族からの表立った非難を避けれるようにしてくれたという事だ。
 叔母上の言いそうな言葉で言うのなら「貸しですからね、必ず返してくださいよ?」と言った所だろう。全く末恐ろしい人に貸しを作ってしまった。

「寛大な処置に感謝いたします」

 頭を下げて恭順の意思を示した。

「良いのです。私の兄の息子なのですから……私は是非あなたの打った新作を見たかったのですが、刀と言う物は何本も試作をし一番良いモノを客に渡すと聞いています。影打ちでしたか? それでも良いので見せてください」

 やけに俺の剣を気にしているな……どこかの大貴族から剣の注文でも入ったのだろうか? 
 
 クローリーのブランド力は高く、他国の王侯貴族から剣を打ってくれ! と言う依頼が多い。大体は既に剣士を退いた祖父母世代モノがクローリーのブランドで販売され、一門の鍛冶師や領地の鍛冶師の作品は、初代にあやかってアレイスターと言うブランドで売られている。

「叔母上申し訳ございません。天啓が降りたように一心不乱に一所懸命に槌を振った所、一作目で満足に足りうる刀が生まれたのです。ですから影打ちすらないのです」

「なおの事一度見て見たくなりました。近いうちに学園のある都市に向かいますのでその際にその剣を見せてください」

「分かりました、彼女に伝えておきましょう。しかし叔母上が学園都市に参られるという事になると、煩わしい講演会や有力者の挨拶周りに付き合わされる事になりますが……」

「ぐっ、背に腹は変えられれません。セレネも連れて行きますから覚悟しておいてください」

「お母様をつれてくるのですか?」

「叔母の私が行くのです。あなたの生みの親を連れて行ってもおかしなことはないでしょう、もしかしたら縁を結ぶ可能性もあるのですから嫁姑問題は重要でしょう? そうなると、小姑アトナ年下の大叔母ミーネルもかしらそうすると、女子会でメリルも呼ぼうかしら」

 メリルと言うのは、祖父の兄弟の一人娘で叔母上や父母とも仲のいい友人でもある親戚の女性だ。

「ソーナ様。流石にお戯れが過ぎます」

 ミーネルが声を上げた。

「そうね楽しくて悪戯が過ぎたわ、きっとお酒のせいよ叔母上・・・には怒られるばかりだわ」

「人が気にしている事を……自分よりも二回り以上年上に叔母扱いされたくないです!!」

「折角私が楽しく妄想している所に水を差すんですもの、これくらいカワイイ仕返しだと思ってください」

 こうして俺たちは楽しい食事を楽しんだ。



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