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第16話

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 呪符を作らされるのが二番目の試験。
 そして三番目の試験は……


「まさか術比べとは……」


 広大なフィールドに立っているのは俺と彼女だけ。
 

「天才と称される吉田に相手して貰えるとは嬉しい限りだ」

「それはどーも」

「祖神を日之精賀茂建角身命カモタケツヒコノミコトとする中島栗花《なかじまツユ》だ」

賀茂建角身命カモタケツヒコノミコトを祖とする降魔師の家系は鳥を用いた術が得意だと伺っています」


「その通り霊体、実体問わず使役していてね。各地にある花鳥園や鳥の飼育員、焼き鳥屋は、我々鳥使いの家がやっていることが多い」


 鳥使いだから鳥に関わっていることが多いのだろうか?


「私を含め一族の中にはどうしよもない使い手も居てねぇ私はメジロしか操れないんだ」

「……もしかしてハシビロコウしか操れない人もいるんですか?」

「ん? ハシビロコウはいないけれどペンギンだけの人はいるね。飼育員としてペンギンの繁殖に努めているよ」

日本でペンギンが増えている理由はお前らかよ!

「海なら無敵に近いのでは?」

「確かに……幽霊船なんかの対処には便利そうだ今度打診しておくよ。さてそろそろいいだろうか?」

「どうぞ」


 腰を落とし足を開くと木刀を正眼に構える。


「天まで昇れ真紅音マックイン

「オリジナルの呪文!?」
 

 詠唱が終わると、ゴウゴウと音を立ててメジロは炎を纏うその姿はまるで小さな不死鳥のようだった。
 火行の業火を纏いし雀ほどの大きさな小鳥は、勇猛果敢に突撃する。

 呪符を投げ呪文を唱えた。


臨兵闘者皆陣列前行りんぴょうとうしゃかいじんれつぜんぎょう急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう!」

 
 発動したのは、近接戦闘を得意とする武家系の陰陽師にとって、基本中の基本『身体能力強化』の術だ。

 身体能力強化の術意外を使うことなく、呪力を込めた木刀で攻撃を捌く。
 態勢を立て直すためか、呪力を補給するためかは判らないがメジロは一度術者の元へ戻る。


「やはり真紅音マックインでは火力不足か……ならば! 燃えろ上腕二頭筋! 羅射行《ライアン》! 想い願う彼方その先へ憧辺流《ドウベル》」


 自身の手でメジロを投擲し足りない速度を補う。
 それに加え回転を加えることで安定して飛び立つ。
 二重……否、三重の加速によって飛翔するメジロの速度は数十倍にも跳ね上がる。

 流石に不味い。

 刀身が届く間合いより二倍ほど長く呪力を巡らせ簡易的な結界を敷く。

 武家系の術師の本質は、対人と対魔。守りと攻め。と言う相反する二つ。
 呪術は暗殺にも用いられてきた。

 結界と言っても、メジロの攻撃から防御するような防御力も無ければバフやデバフ効果がある訳でもない。
 侵入者を探知する赤外線のような簡素なモノ、それ単体では殆ど意味がない。
 しかし、刀剣と呪術を融合させてきた技は立てではない。


「円《マドカ》!」


 
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