妾の子だった転生勇者～魔力ゼロだと冷遇され悪役貴族の兄弟から虐められたので前世の知識を活かして努力していたら、回復魔術がぶっ壊れ性能になった

第三章

第108話

「では俺達の聖戦ケンカを始めましょう」

　と言ってもやることは簡単だ。
　『呪怨瓶じゅおんへい』から産まれるモンスターを聖属性魔術が弱点だからだ。

　今世で回復魔術が仕えたからもしかしたらと思ったが、聖属性魔術も使えるようになっていた。
　それが判ったのはこの準備期間の間、神殿に通い魔術の訓練をしていたのだ。

　多少割高とはいえ勧誘などの煩わしさを喜捨カネで黙らせられるのだからいい買い物だった。
　神殿は聖人の名声を利用でき、俺は言質を取られず実利を得られる。
　まさにウィンウィンの関係だ。

　そして神殿騎士の武具は『聖戦装備』とよばれる特殊なもので破魔の力を有している。
　つまり神殿騎士が居れば『呪怨瓶じゅおんへい』の浄化は不可能でも、『呪怨瓶じゅおんへい』内の魔力を空にして非活性状態にすることは可能なのだ。

「貸し一つというところですかね？」

　ツナーグはポツリと呟いた。

「近年では無用の長物であった神殿騎士と『聖戦装備』の有効性を示せた上に、予算も上げたんですからトントンですよ」

「詳しい話は後にしましょう」

　本当は自分たちだけでも『呪怨瓶じゅおんへい』を無力化できる癖によく言うよ。

（借り一つと言ったところか……）

　モンスターと術者の間に魔力差があれば、某ゲームのように即死魔法になるため殲滅速度は速く、『呪怨瓶じゅおんへい』がモンスターを生み出すよりも早く狩ることができる。

　『呪怨瓶じゅおんへい』の魔力を空にしたうえで聖属性魔術を行使すれば、聖属性魔術を習いたて聖人《ガキ》だって破壊できる。

（ツナーグは俺に何を求めているんだ？）

　ツナーグの目論見通り、聖人である俺を筆頭にした神官部隊による解呪によって『呪怨瓶じゅおんへい』は無力化され、二日間周辺を調査したあとに帰還した。