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第三章

第100話

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 兵士が一日で必要な食事量は最低三〇〇〇キロカロリーという話をミリオタのクラスメイトが話していたことを思い出した。
 ビスケット換算で約八三〇グラム、馬車の積載量は約三〇〇キロと過程すると約361人分の食糧しか賄えない。
 さらに飲み水が一日あたり平時でも二リットル以上必要になる。

 つまり水と食料をこれ見よがしに食べられてムカついたのだろう。
 しかし魔術袋と馬車があれば補給線を考えなくてもよいのに、旨いものを食べたいだなんて欲を出すからこうなるのだ。

「いいか? お前が譜代騎士だろうが知ったことじゃない。俺は妾腹とは言え公爵閣下の血を継いだ男児であり、この世界に数えるほどしかいえない聖人の一人だぞ? せっかく次兄が頭を下げた俺の機嫌をそんなに損ねたいのならハッキリ言えばいいだろう?」

「わ、私は……」

「言い訳を聞くつもりはない。腕の一本か前線に行くか選べ」

 俺の言葉に高位騎士は顔を青くする。

「そ、それだけはご勘弁を!」

「卑しくも主君筋の人間のモノを集り、約束は違えないと譲歩してやっているのだ。それに俺にとってお前の腕一本なぞゴミ程度の価値しかない……」

(俺の性格と権威の証明にはちょうどいいか……)

「全員傾注せよ! この者は我が食事を卑しくも輪を乱されると士気に影響するから供出しろなどと宣った不届き者である。私はこの者を処断する!」

 俺の宣言に周囲がざわつく。
 
「何事ですか?」

「……」

 そう言って出てきたのは今回の調査隊の指揮官である男だった。
 名前は確か――

「ビンセントです」

 名前が思い出せないことを察したビンセントは自ら名乗る。

「貴殿の部下が私に無礼を働いたため私刑に処すところだ」

「……」

 無言で説明を続けてて下さい。と言外に促す。

「私が魔術袋から食材を取り出し料理を食べていたところ、輪を乱されると士気に影響するなどと宣い遠まわしに将官に提供しろと言われたので、提供するぐらいならと自然に返したのです。私は貴族ではありませんが聖人級の回復術師その機嫌をそこねるほどの価値が彼にありますか?」

「十分な食量があるなかでの物資の供出の強要は誠に遺憾であるとしか申せません。責任者としてお詫び申し上げます。しかし私刑だけはご勘弁願えないでしょうか? 愚物とはいえど民の税で禄を食んでいる騎士せめて、意味のある死を賜りたいと思います」

(意味のある死か……ならデモンストレーションに生かしてやろう)
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