上 下
135 / 148
第4章 大会完結編

第131話JSUSA本部1

しおりを挟む
 
 本日は日本特殊地下構造体協会JSUSAジェイスーサ本部に、立花さんと移動中。
 市谷いちがやから少し離れた立地だが、利便性やコストを考えて現在の建物が選ばれた……と嬉しそうに話してくれる。

 個人的に ”市ヶ谷” と言うと自衛隊や靖国神社、それに三島事件のイメージしかなく、ここにくるまで市ヶ谷が新宿にあるなんて全く知らなかった。
 

「東京はゴミゴミしてるけど、その辺に何でもあってやっぱり便利だわ!」


 ――――と二週間と少し振りの東京を満喫しているようだ。
 スマホで調べて見ると、JSUSAジェイスーサの本部がある理由は、防衛省や永田町から近い事もあるようだ。


「ここが本部ビルよ」


 ガラス張りのビルに俺は圧倒される。


「ホラ、おのぼりさん見たいに緊張してないで早く来なさいよ……中学の修学旅行で東京には一度来てるんでしょ?」

「ええまぁ泊ったのは、ヒルトン東京お台場ですけど……」


 遠慮気味に答える。


「ヒルトンかぁ……テレビ局と確かガ〇ダムと東京国際展示場(東京ビッグサイト)が近くにあるわね……」

「コミケ……」


 俺はグラディエーターのせいで、コミケに行けなかった事を思い出して少し悲しくなった。


「コミケはしょうがないじゃない。日程がかぶってたんだもの……」

「ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」


 ぎゅるぐゅると革製の手袋が擦れるような音を口で立てて、少し腰を落とした半身の状態で拳を握り込み、変身ポーズのマネをする。
 探索者の高い身体能力のおかげで、動きのキレは抜群によい。
 それを見て立花さんは「はぁ……」と呆れたように溜息をついた。


「太陽の王子でも、創世王でもいいけどさ……コータロー君って本当に筋金入りのオタクだよね……」

「特撮オタクからは足を洗いましたよ……ライダーは初代~ロケットまでと、飛んで令和一号、黒い太陽までですリメイク版の密林は見てません。光の巨人だって大怪獣バトルまでですし……戦隊に至ってはシンケンまでですから既ににわかですよ……」

「シンライダーだってまだ見てませんし……」と付け加える。

「うん、君が特撮を『好ましくないモノ』だと考えていると理解できたよ。それと君が元特撮オタクでなのが分かったよ……まぁこれならあの人ととも話が合いそうだね……」

「あの人?」

「そう、これから合うお方……ダンジョン庁の外部アドバイザー兼JSUSAジェイスーサの技術顧問なのよ……」


その人物を思い出したのか、心底面倒臭そうな表情を浮かべる。


「……随分と凄い方が会ってくれるんですね」

「私の口添えだけならあの人は出てこなかったでしょうね……君の体質・・あっての事だと思うよ」

「は、はぁ……」


 そんな事を話しながら受付に向かう。
スーツ姿の男女が応対をしており、その所作はホテルマンかと見紛う程だ。
 
 ここって役所の関係だよな?


「ほら行くわよ!」


 そんな事を話していると、受付の女性とのやり取りは終わっていたようでエレベータに向かっている。


「はい行きます」

 エレベーターに乗りこんだ。


………
……



 エレベーターから降りと、廊下に出た。窓を見ると高層ビルの上層階の景色が良く見え、何だか少し自分が偉くなったような気分になる。
 少し豪奢なドアをノックすると、「どうぞ」と短く返事が聞こえて来た。
声音を聞く限りとても老人とは思えない、秘書だろうか?


「失礼します」


 先頭の立花さんがドアを開ける、つい数か月前にやった面接を思い出して丁寧にドアを閉め、ソーファの前に立花さんと同じく立った。


「よく来てくれた。私はナダル・ショーン・スペンサー、この国日本でダンジョンに関わる仕事をしているものだ。
さぁ座ってくれた給へ」


 そう言った男性は、白人とも黄色人種とも付かない肌色と顔付きであった。最もその謎を深めているのは、その尖った耳だった。他に例を上げるとすれば、青や緑と表現するべき瞳の色をしており、金髪の明るい髪色そして、どこの国か分からない民族衣装んみ身を包んでいる点だろうか?
 耳の形状は一応 “美容整形” で納得できる。
肌の色も混血だったりメイクと考えれば一応納得できる。
 緑色の瞳は、北欧や中欧に多いと聞いた事がある。
確か世界で2%ほどしかいないとか……
 民族衣装は、俺の知識がないだけだろう。
 
 冷静に考えてみると、世界人口の2%しかいない緑瞳の色に、エルフ耳の整形手術をしている妙齢の男性がこの地球上にいるのだろうか? と疑問に感じる。


「はっはっはっはっは! どうやら驚いてくれたようだな。
私は異世界よりこの地球に流れ着いた亡命者の一人でね。
この世界ではエルフ族と名乗っている民族の一人だ! 
加藤光太郎くん、君に世界の秘密を教授しよう」


 そう言うと「話は長くなる……コーヒーでもどうかね?」
と言ってくれた。
「ありがとうございます。では頂きます」と答え暫くするとコーヒーが配膳される。
そんな珈琲香る中、エルフ族の男ナダルは話はじめた。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

処理中です...