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第49話調味料とセットメニュー
しおりを挟む前回ハンバーグを作った時には、醤油やソースと言った日本人にとって当たり前のように、身近にあった調味料が何一つなかったので正直に言ってイマイチと言うのが本音だった。
味噌や醬油の原材料である大豆は東アジア原産の食品のため、道理で考えれば汎ヨーロッパ的な気候の王国に大豆は存在しないのだが、食品の買い出しを任されている調理場女中に小遣いを渡し「少量でいいので出来るだけ多くの野菜や穀物を狩って来て欲しい」とお願いしたところ……見事大豆が発見された。
「昔見たアニメだと「この世界でも大豆はポピュラーな作物だ」と言っていたが、間違いなく昔あったて設定されてた。古代文明時にアジアっぽい所から持ってこないと無理だよなぁ……まぁバナナとかコーヒー・カカオまで生えてるしそれは言わない約束か……」
味噌と一言で言っても米、豆、麦と材料は数多あるものの俺自身が東海地方出身のため、俺の場合味噌と言えば赤味噌・八丁味噌(同じ豆味噌で特定の製法で作っているかどうかの違いで名称が変わる)や豆味噌ベースの合わせ味噌が好みだ。しかも醤油は味噌だまりと言う、味噌の上に出来る醤油の原型のようなものを舐めたところ美味しかった事が由来だ。
現代では、布のフィルターで味噌が入らない様にしながら、上に重石を乗せて絞り出しているため味噌と醤油はほぼ同じなのだ。
「発酵食品は傷む可能性もあるし多めに作っておくか……先ずは麹だな」
昔友人の腐女子がこう言っていた。「腐女子って失礼じゃない? 発酵女子と言いなさいよ! 人間にとって有益なのが発酵、熟成。害になるが腐るなの!」と熱弁していた。実際問題腐女子が世間に迷惑をかけているか? と言えば男子オタクとどっこいどっこいのため、801板やVIP板内での罵り合いでしかない。現在もTw〇tterでBLはゾーニングしなくてOKとか言い張っているクソ馬鹿なネット状の女性権利拡張主義者が居るせいで腐女子。ひいてはオタク界隈に迷惑があるのだが……彼女は今元気だろうか?
米を良く洗い15時間程水につけ、3時間水切りして芯が残らいように米を蒸し、人肌程度に冷めたところで偶然見つけたコウジカビを満遍なくふりかけ、30~40度で20時間ほど暖め切るように混ぜ、8時間ほど待って米を盛り布をかけて5時間ほどしまつって、解しさらに二時間後また解し3時間たつとようやく完成し、完成品は栗のような香りがする。
「スンスン。分からん」
これで醤油と豆味噌が出来る。その昔のなろうでは、味噌、醤油、マヨネーズを作らない作品は無かったほどだが、近年作者と読者の古典離れには日本の伝統「誠に遺憾砲」を打ちたくなる……
閑話休題。
先ずは大豆を綺麗に洗って三倍量の真水に18時間程浸水させ、大豆がひたひたになるぐらいの水を大鍋に張る。沸騰してから、弱火(水温が95度以上)で3時間ほどアクを取りながら煮ていき、適宜水を足していく。大豆が人肌程度まで冷めたら豆を潰し、煮汁と麹と塩を入れて混ぜて耳たぶぐらいの硬さに成ったら、球形に成型して密閉された木の桶に入れて、味噌が直接空気に触れない様に紙と落し蓋をして、三倍重量の重石を乗せる事で約一年ほどで完成する。
これが大まかな手順だ。
味噌と醤油の仕込み中。俺はある事に気が付いた。
「ソースには味醂も必要じゃん!」
俺は急いで残っていた米(長粒種)に、砂糖と火酒とよばれるドワーフ族の酒を入れ発酵させる樽を作る。
「簡単ってきいてるから出来てくれ!」といのりつつ、マヨネーズの作成に挑む。
数多の先人たちや有識者達が挑んできたものそれは、〇ンタッキーフライドチキン、コ〇コーラ、マヨネーズと多岐に渡る。
俺もGen〇文庫食堂や、あまたの転生、転移モノでマヨネーズを作っているのをみて、真似したり調べたため記憶には残っている。
知能と文化の破壊する検索エンジン。グー〇ル先生および主観と感想、出典元が不明で匿名で書き込めると、大学教授と、ひ〇ゆきに激怒されそうな電子百科事典Wikip〇diaで調べた事がある。
まぁモンスターが居る関係上生態系の違いがあるから、完全に元の世界と材料が一揃えという訳にはいかない。料理がかなり似通っているとはいえ、完全に同一でない事は忘れてはいけない重量なファクターだ。
「材料は食用油、お酢、卵の黄身、塩が主な材料だったな……」
俺は材料を用意する。
「ねぇなにしてるの?」
「面白そうな事をしているな……」
イオンお兄さまとシャルロット先生が現れる。
「料理……と言うか噂や本で見聞きした異国のソースや既存品を改良できないかなと思いまして……」
あらかじめ考えていた言い訳をする。
「別にお前の趣味をとやかく言うつもりはないが……料理長とお前の母にだけは迷惑をかけるなよ?」
「分かっています」
俺は兄の言葉を肯定する。料理長にとっては自分の聖域を犯される行為に他ならない。だからこうして空き部屋で作っているのだ。
「イオン。面白そうだから見て行っていい?」
「かまわん。俺もちょうど暇なところだシャルロットを使っていいから早く作ってくれ……」
「では軽いお食事も作らせてもらいます」
「じゃぁ私ハンバーグがいいなぁ」
軽い食事って言ったんだけどなぁ……
「はははははっ、わかりました。ちょうどハンバーグにあうソースを作ってますので手伝ってください。すいません料理長にこのメモを渡してください」
そう言ってメイドの一人にメモを渡す。
「やるやる!」
ブリジットさんは元気よく返事をした。
「氷魔術で良く冷やしておいた卵黄2個に対して食油180ml……まぐカップ一杯程度と、リンゴ酢20ml、お酢10ml、からしを小さじ四分の一、塩5グラム、ブイヨンを煮詰め水分を飛ばした物を5グラム混ぜると完成です」
「それで私は何をしたらいいの?」
「風魔術でこの材料を混ぜ合わせて、半固形になるまで混ぜて貰えれば多分固まります。俺はハンバーグを焼きますので、その間はお任せします。ブイヨンは小鍋で貰っているので、風を送りながら炎で暖めて下さい」
「オッケー任せておいて」
シャルロット先生は返事をすると、密閉された壺の中で風魔術を発動させる。
俺はその間に荒引の牛肉と塩、胡椒、ナツメグ、牛脂、牛乳の沁みたパン粉をいれ粘りが出るまで捏ねる。
「肉料理か……だが細かいにくのようだが……」
「これは骨の周りになどについている肉や、庶民が主に食べている部位です。本来は硬い物ですがこの調理法を使えば、歯がない下級市民でも食べられます」
「な、なるほどな……俺は濃いめの味付けが好きなのは知っていると思う頼んだぞ?」
「美味そうじゃないから、味付けを濃くしてくれ」と言われて少し腹が立つが、まぁいい今に見て居ろ……
タネを拳ほどのサイズで取り分けると、空気抜きをしながら成形し小麦粉を軽く降って氷魔術で凍らせて、カンカンに熱した網の上にハンバーグを乗せて、表面をこんがりと焼き上げる。
その間に同時進行で醤油や味噌と同じく、昨日から作成していた。トマトケチャップ(トマトを煮詰めて笠を減らし裏ごししたもの 800g、塩14g、砂糖28g、ワインビネガー28cc、玉ねぎ 140g 、香り付けにローレル適量、シナモン適量、ナツメグ適量、黒胡椒適量、をオリーブオイルで煮る事で作った)を、良く洗って煮沸乾かした瓶に一度詰める。
これを冷暗所で保存すれば、そこそこ持つハズだ。
入りきらなかったをソースに使って、ハンバーガーを作ろ……
「お兄さま炭酸水を戴いてもよろしいでしょうか?」
ハンバーガーと言ったアレだよね。
「かまわん好きにしろ」
「ありがとうございます」
石化した世界で文明を取り戻す作品で見たレシピでみたものと有識者のレシピを合せる。
パクチーの葉っぱ、ライムとレモンの皮と果汁、シナモン、カルダモン、クローブ、コリアンダー、ナツメグを風魔術で細かく砕いて、砂糖とハチミツをベッコウ飴になる寸前まで温めた物を上からかけて香りを抽出し、シロップをグラスに注ぎ炭酸水を入れる。
ハンバーガーにはやっぱりコーラだよね。異論認める。
焼きあがったハンバーグをパンで挟む。一つはチーズが挟まったダブルチーズバーガー。ものもう一つはケチャップとマヨネーズを合せた。オーロラソースで作ったビッグバーガー、最後の一つはケチャップベースのミートソースで作ったモーストバーガーだ。コレを三等分に切って皿にとりわけ簡素なサラダの横にマヨを添える。
「シャオン様お持ちしました」
メイドがフライドポテトを持ってきて来てくれる。
「ありがとう。揚げたもののが余ったら君達で食べていいよ」
俺はイオンお兄さまの前に、ハンバーガーとサラダの乗った大皿とクラフトコーラ、ポテトを置く。
「では、イオンお兄さまお召し上がりください。もしご不安なようでしたらメイドや俺が食べますが……」
「調理過程でおかしなものは、使っていないようだ食べよう……」
そう言って先ずは、フライドポテトをフォークに差して口に運ぶ。
「サクサクとしていて塩気が効いていて旨いな。ふかしたイモよりも美味い。」
「芋に穀物の粉を付けて油で揚げたものです。こちらのケチャップソース、マヨネーズソース、胡椒を賭けても美味しいですよ」
そう言って味変をすすめる。
「ケチャップソースは酸味が加わり食べやすくなり、マヨネーズは少し微妙だがケチャップと二つのソースを組み合わせるとこれはこれで……、胡椒は香りがプラスされていいアクセントだ」
「それは良かったです」
俺はホッと一安心する。
「シャルロット先生も食べていいですよ」
「やったー。これがパンに挟んだハンバーグね」
先ずはケチャップベースのミートソースで作った。モーストバーガーを食べる。
「トマトのフレッシュ感と、このトマトソースの甘味が凄い美味しい」
そう言ってパクパクと食べている。
「イオンお兄さまには、このダブルチーズバーガーをオススメします」
「では、頂くとしよう……これはどう食べればいいのだ?」
「庶民向けの食べ物として考えましたので、包み紙などに包んでサンドイッチのように手で食べて頂いても、ナイフとフォークで切って食べて頂いてもかまいません」
確かに貴族にとって手づかみってどうなんだ? って思われるよな……
「そうか」
兄はフィンガーボウルで指を濯ぐと、手づかみで三等分されたダブルチーズバーガーを手に取り齧りつく。
「肉も柔らかく肉汁が溢れチーズのコクも加わって美味いな……ではこの、奇妙なシロップ漬けも貰おうか……」
そう言ってコーラを口にする。
「炭酸の辛みがガツンと舌を刺激し、多数の香辛料と柑橘系の爽やかな香り焦げた砂糖の苦みと甘味が、複雑に入り組んでいて新しい味わいだ。美味い」
どうやら兄はジャンク舌のようだ。
「確かに凄く美味しい。何て言うか香りが強いけど清涼感があるわね。果汁やホットミルクみたいに話を聞いて、想像できる味って訳でもないし面白い!」
シャルロット先生にも好評のようだ。
「こっちのトマトソースのハンバーガーも美味しい!!」
「確かにトマトソースの甘味とフレッシュトマトと玉葱のお陰で、ジューシーで肉厚なハンバーグがさっぱりとしている。そのままでは水っぽいと感じて終いかねないがマヨネーズが纏めてくれている。そしてマスタードソースがピリリと効いていて食欲をそそる……」
イオンお兄さまには、少し俯いて思考を巡らせる。
「ホントだ! さっぱりしてて美味しい!」
「この料理を次回この屋敷でパーティーを開く予定でな。本来は一流レストランや家の料理人の料理を提供する予定だったんだが……このハンバーガーを食べて俺は思った。「この美味いメシを他の皆にも食べて欲しいと……」と言うわけで近日中に開くパーティーでこの料理を提供したい。シャオンかまわないか?」
「かまいません」
「当日はシャオンに挨拶をしてもらい。今まで支援してくださった方々と旗色を決めていない風見鶏共をあっと驚かせてやろう!!」
こうしてハンバーガーを使った。外交が始まるのであった。
武官系の貴族からはその年にしては、凄まじい腕前だと見なされていたが、文官系の貴族からはお零れや政治で、貴族になったと見なされていたシャオンは、料理と言う通常評価されない者ではあるが、誰にでも分かりやすい形でしかも一人で成果を残す事で一目置かれる事になる。
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