勇者を庇って死ぬモブに転生したので、死亡フラグを回避する為に槍と魔術で最強になりました。新天地で領主として楽しく暮らしたい

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗

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第48話シャオン婚約を申し込まれる

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 今まで滅多に現れる事の無かった伯爵家の美姫を一目見ようと、老若男女構わず伯爵の元に人が集まり始めたところで、俺もイオンお兄さまも席を外す。

「パーティーが終わったら詳しく話せ 良いな?」

 イオンお兄さまは俺の耳元でそう囁くと、パーティー会場から席を外す。立食形式のパーティーであり挨拶をされる側のイオンお兄さまは、グラスワイン以外まともなモノを口にしていない。恐らくは御手洗いに行ったのであろう。

………

……



 カラカラと音を立てて馬車の車輪が回転する、馬車の隅にはランタンが置いてあり夜道での明かりの確保と、車で言う車幅灯ポジションランプ前照灯フロントランプの役割を持っており、どれぐらいの幅があるのかを御者ドライバーに知らせているのだ。
 
「パーティーの後帰っていく順番待ちの時間は少し退屈ですね……」

 俺の言葉にイオンお兄さまが同意する。

「確かに何の生産性もないからな。
 しかし今回は主賓だからな見送らねばならんのだ。」

 兄は咳払いをすると、少し様子を伺うようにこんな事を言って来た。

「リハヴァイン卿の娘を連れだすなど、俺は聞いていないぞ?」

 兄としては俺が勝手に動いたことに対して、いささか不満があるようだ。

「リハヴァイン卿から頼まれました。「娘もそろそろ良い年だ。社交の世界に出ないのは、外聞も悪いし結婚相手も見つかりにくい。娘が外見の事を気にして、表舞台に出てこない事は知っている。年も近い君になら娘も心を開いてくれるのではないか?」――――と」

 ここで俺は善意からの行動ですので、イオンお兄さまにはご報告しなかっただけです。と言い訳をした

「貴様は善人の気質があるが、今回はそれだけではあるまい?」

 海千山千の相手をしているイオンお兄さまには、流石に通用はしないか……

「リハヴァイン卿は、私個人への支援を約束してくださいました。イオンお兄さま経由で、頼む程重要度が高くない事を直接頼もうと思いまして……」

「リハヴァイン卿にそこまで力はない。リハヴァイン家は没落への道を歩いている真っ最中だぞ?」

「それでもやらないよりはマシです。
これが噂になれば俺は人格者としてより名が売れるでしょう……リハヴァイン卿ももしもの時は助けてね? と言う軽い約束で済む。
私は善人として名前が売れる……ウィンウィンでは?」

「確かにそうだな……貴様にも手足となる部下が必要な頃か……」

「では、シャルロット先生を前線都市に派遣してください。
前線都市はかなり大きな城塞都市と聞いています。
戦力としても将としても欲しい人材です」

 ゲームのイベントで龍種と戦う時に、時間制限で敵を倒すイベントがあったその時は大砲や連弩、魔術と陸上戦力で相手をしたがシャルロット先生が居れば戦力が格段に上がる。

「シャルロットは俺の家臣ではない。
好きにしろ……奴が付いていくと言うのなら止めはしない」

「ありがとうございます。
精一杯シャルロット先生を勧誘させていただきます……」

 これでどうどうと引き抜きをかける事が出来る。
主人公が解決してくれるとはわかっていても、備えて置いて損はないからな……今のうちに向こうの資料を取り寄せて置こうかな?

 ドア越しに足音が近づいてくる。

「そろそろ我々の順番ですね」

 暫くするとドアが開き執事がドアを大きく開ける。

「どうやらそのようだな」

 すると白銀の髪を靡かせて、ルナ嬢が部屋に入って来る。

「シャオン様今日はありがとうございました。私は自分の容姿をコンプレックスに思っておりましたが、貴方の言葉に救われました!! よろしければ私と婚約してくれませんか?」

「えっえええええぇぇぇぇぇぇっぇぇぇえっぇえっぇぇっぇぇぇえええッ!!」

 俺は思わず絶叫を上げる。

 う、嘘だろ? こんなにカワイイ女の子が俺にけ、結婚を申し込んで来るなんて……

「ルナ嬢。それは貴方のお父上リハヴァイン伯爵に許可を得ての事かね?」

 兄は冷静な声音で諭すように、ルナ嬢に語り掛ける。

「まだ相談していませが……父上ならきっと理解してくれます」

 どうやら初恋の熱に身を焦がされているようだ。

「酒と初恋でおかしくなっているようだ……今日の所はお引き取り願う。連れて帰ってもらえるかな?」

 兄がそう言うと執事たちは嫌がり抵抗するルナ嬢を、罠にかかった動物を運ぶかのように抱えて運び去っていく……

「いやぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁっぁぁぁッ!! シャオンさあまぁぁぁぁあああああああああああっ!!」

 ルナ嬢は絶叫しながら運ばれていった。

「見てくれは綺麗だし才能があると聞いていたが……まさか男で身を崩すタイプだったとは……人は見かけによらないと言うが本当の事らしい。それでお前はアイツと婚約したいのか?」

「まだ彼女とは出逢ったばかりです。お綺麗だとは思いますがアレを見てしまうと……」

 俺は言葉にしづらい少女の言動のを見て少し……否、正直に言ってかなり引いていた。見た目の美醜って絶対マイナスにはならないと思っていたけど、奇行と言っていい行動をされると冷めるんだな。と案外冷静だった。






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