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第27話逃走戦2

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 俺は町の中を飛翔しながら罠を張る。踏むと火柱がでる魔術や水流が発射される奴を仕掛け、タイラントレックスに警戒心を植え付ける。全力で走れば5分もかからないような距離を警戒しながら進めば、それ相応に時間がかかる俺の目的は本体が来るまでの時間稼ぎであり、あわよくば俺がコイツを倒せれば、レベルが上がる程度でしかない。

「てか早すぎだろ……」

 罠を警戒して全身に防御魔術を掛けて突進してくる。汎用性の高い対魔術、対物理防御を上げているためかあまりダメージは通っていないようだ。

「トラップはダメか……じゃぁコレだな」

 俺は早くも次の手を打つ。

「ファイアーボール」

 俺は後方に火球を放つ。
 しかしタイラントレックスには当たることなく、火球は反れ建造物に当たる。
 ファイアーボールはそのまま爆発し建物が崩落する。

「潰れろ! デカブツ!!」

 建物とは言っても5メール強の大きさだ。奴を押しつぶす程度の重量はあるはずだ。
 しかし、タイラントレックスは風魔術で生み出した風圧と、その体躯に秘められた筋力によって瓦礫の多くを吹き飛ばし、姿勢を崩す程度のダメージしか与えられていない。

「駄目か……なら後はゲームでも苦だった逃走戦を本格的に始めないとダメか……」
 
 逃走戦……それはゲーム時代にあったゲームシステムのようなモノで、敵性亜人や盗賊、モンスターなどから馬車や船を守りつつ戦うと言う、いわゆる拠点防衛戦の一種であり、ゲームとしての目玉要素の一つではあったものの、従来のメーカーファンからの評判は悪く、有料追加ダウンロードコンテンツでは、この逃走戦システム……ファンの通称【敗走戦】システムは撤廃されてしまった。
 俺は苦手だが、目新しくてシステムとしては好きだったので何とかブラッシュアップして欲しかった。

 俺は土属性魔術で金属を加工し、細い糸状にして足元に設置する。これは昔何かで見たトラップで、ティラノサウルス型の恐竜は、大きな頭を長く太い尻尾を使って、シーソーのように釣り合わせているので、重心が崩れてしまえば頭から倒れてしまうのだ。

 それは例えば尻尾を切断する事でもいい。例えば足元にタイラントレックスにしては小さな落とし穴を産み出してやればいい。例えば沼地に奴を誘い出してやってもいい。

 弱点を突く方法は数多くあるだが実現可能なものは少ない。

 ブチン!

 ワイヤートラップは奴の丸太のような太い脚の前には、建物と建物に付き刺した爪状の設置装置は無力であり、力の差をまざまざと見せつけられる。
 俺は移動しながらも力の差を少しでも埋めるために、魔術を使ってモンスターを狩り経験値を溜める。

 目についたモンスター目掛けて、範囲攻撃魔術のライトニングで攻撃する。少し燃費は悪いが範囲攻撃でかつ高速の雷魔術は便利だからだ。

「ライトニング、ライトニング、ライトニングッ
!」

「ギョエー!!」

 時々飛んでくる。タイラントレックスの真空刃を回避しながら、周囲のモンスター目掛けて魔術を放つ。

──『レベルアップ』


====================

名前 シャオン 

種族 ハーフエルフ 

ジョブ 槍使い Lv24 ←【レベルUP】

次のレベルまでの必要経験値xxxxx 

====================


 それから暫くそんな感じの攻防戦が続く……

 するとどこから呼び寄せたのか分からないが、プテラノドンのような翼竜タイプの小型モンスターが表れる。名前は何だったか……

 まぁそんなことはどうでもいい。

「面倒だな……ライトニング、ライトニング、ライトニングッ!」

「ギョエー!!」

──『レベルアップ。』 


====================

名前 シャオン 

種族 ハーフエルフ 

ジョブ 槍使い Lv25 ←【レベルUP】

次のレベルまでの必要経験値xxxxx 

====================


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