勇者を庇って死ぬモブに転生したので、死亡フラグを回避する為に槍と魔術で最強になりました。新天地で領主として楽しく暮らしたい

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗

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第25話竜の息吹《ドラゴンブレス》

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「フン。奴にもこの毒は効くようだな……」

 ジョージさんが矢籠から矢を引き抜いてそんな言葉を言う。

「毒を使う竜種は数多くいるが、この毒は竜種の毒に植物性の毒を配合したオリジナルブレンド……正直ワシにもどんな効果があるのかは、分からんが彼奴にも良く効いているようじゃな……」

 そう言いながら矢を番えて、二射目を放つ。
 しかし、タイラントレックスが発生させた防御魔術によって、矢は弾かれてしまう。

「チッ! 随分と頭が良いな……コレはちと厄介じゃな……マイク! ヴォーギンを殿しんがりにして一時こちらに引け!」

 ジョージさんが声を荒げる。

「しかし!」

 それに負け時とマイクは声を張り何かを訴えようとする。

「馬鹿者め! ワシが気を引く! その間に足を狙い態勢を崩せ。暴竜めが回復魔術を扱えようとも、回復するまでには多少なりとも時間が必要なハズだ! 坊主分かっているな?」

「もちろんです」

 3人で気を引いている間に、槍術士のケヴィンを回収しろと言っているのだろう……

「ゴーレム! ヴォーギンさんとマイクさんをサポートしろ!」

 俺は召喚したゴーレムを前衛二人のサポートに回して、俺は「スキル【敏捷強化(小)】、【筋力増強(小)】、【物理体制(小)】」で耐性値を上昇させケヴィンの方へ走る。
 ハーフエルフは、エルフと人間の良いとこどりをしたパラメータを持っているものの、板金鎧プレートアーマーを着た成人男性を抱えるほどの筋力はまだ無いので、魔術で補強するしかないのだ。
 
「【ラピッドショット】!」
「【地平斬ホリゾンタル・ブレイド】!」
「【インパクトクレイター】!」

 三者三様。各々得な攻撃スキルを放ちタイラントレックスの注意を引いてくれる。
 爆風が吹き上げる最中。ヴィンさんを抱えて走り始める。
 するとタイラントレックスは、息を大きく吸い込み何かの準備を始める。

「不味い。【竜の息吹ドラゴンブレス】来るぞ! 小僧走れ! ワシが注意を引く! 【ブラストアロー】」

 俺は全力で走る。

 BOOOON!!

「チッ! 奴の竜燐りゅうりんは硬すぎる……坊主さっさと何とかしろ! このままだと骨すら焼き尽くされるぞ!!」

 竜燐とはモンスターの体表に現れる。
 まるで金属のような硬さに、革や鱗のようなしなやかさを併せ持った。ある種の外骨格のような部位であり、鋼させ弾く最強の盾であり、一部のモンスターは竜燐を攻撃にも転用する事で知られている。
 人類が天災の化身のような龍種や、上位の竜にも抗えているのは、一重にこの竜燐を防具や武器に転用しているためであろう。

 しかしタイラントレックスの【竜の息吹ドラゴンブレス】が放たれる軌道上からは、逃れる事は出来そうにない。
 防御魔術で耐えられる事を祈るしかないのか……
 俺は絶望に打ちひしがれる……
 しかし、こんな所で死ぬわけにはいかない!! 何か! 何かないのか……そうだ!

「サラマンドラ! 【竜の息ブレス】でタイラントレックスの体制を崩せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええッ!!」

 俺はサラマンドラに聞こえるように全力で叫んだ。
 体長1メートルほどのサラマンドラは、空気を吸い込んで熱線を放つ。

 ドドドドドドドドド――――。

 地面に敷き詰められた石材を巻き上げ、タイラントレックス脚部ではなく巨大な頭。その中でも顎を狙って吹き飛ばす。
 それは人間の顔面を思いっきり殴り飛ばして、顔を横を向かせているみたいだ。
 ピカリと一瞬タイラントレックスの喉が光ると、熱戦と言うべき炎がビーム状に収束され、ゆっくりと炎が吐かれ周囲を焼き尽くす。

 ドドドドドドドドド――――。

 煉瓦は焼け焦げ、木材は瞬時に灰化していく――――。

 サラマンドラのお陰で【竜の息ブレス】は、反れこちらに被害は無いモノの、あんなものを連発されてはたまったモノではない。つい先ほど習った知識で説明するのなら、魔臓によって溜められていたエネルギーなりガスなりを消費し、オマケに奴は喉【竜の息吹ドラゴンブレス】の制御に失敗し、あの莫大な熱量で自分自身の喉を焼いたのだ。暫くの間は喉の回復に魔力を消費すると考えられるので、【竜の息吹ドラゴンブレス】を打ってこないと思いたい。

 速く回復魔術を掛けないと!

「ヒール、ヒール、ヒール」

 回復呪文を唱え。ケヴィンさんを癒す。
 しかし、脳震盪でも起こしているのか、意識を取り戻すことは無い。
 俺はモンスターによって破壊された。町の瓦礫の中に重装に包まれたケヴィンさんを横たわらせ、防御用の魔術を掛ける……俺は柄を縮めていた槍を伸ばし地面に投げ捨てていた盾を取る。

「……まだ息があります。早く終わらせましょう……この戦いを……」



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