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第20話冒険者を救いにいこう
しおりを挟む俺は円陣を描く。コレは典型的にイメージされる魔法陣であり、複数の円と魔術文字で形成されるものであり、ゲーム的なシステムで言えば火、水、風、土、闇、光の六大元素に、爆発、氷、雷などの上位属性をどう配置するかで、効果が変ると言うミニゲームの要素を含んだシステムだった。
ゲーム時代とは異なりゲームUIによる補助システムもない。だが魔術の授業は面白く・現在とは異なり近接戦闘に強い恐怖心を持っていたので、熱心に受けていた……だから俺でも程度の低い魔除けの陣程度なら、問題なく書くことが出来る。
「何と言う速さだ……」
騎士の一人が感嘆の声を漏らす。
陣を書き終わるまでおよそ7分。これは驚異的なスピードで普通の騎士がこう言った魔法陣を書き終えるまでに平均10分。魔術師でも8分が平均と言われている中シャオンは、それよりも圧倒的に早い……それは彼の魔術の教師が優秀だからだ。
宮廷魔術師その中でも指折りの実力者に与えられる称号である。十三杖の元メンバーで現公爵家の魔術師である。シャルロット・オーウェンの数少ない直弟子の中でも取り分け優秀な生徒として彼女は後に語る事になる……
「魔除けの陣は書き終わりました。今から空に魔術を放ちます。もう夕暮れですから炎を放てば屋敷からでも良く視えるでしょう……」
俺はゲームの中では、ネタ枠と言われてた炎系の魔術を空に向かって放つ。
ゲームでは単純に威力が低く。なおかつゲームでは上空にしか放つことが出来ず、コラボや周年記念イベント時には花火替わりにされたり、コラボ側の演出の一部に使われたりしたため、認知度のわりに実用性がないネタ魔術だった。
「ファイヤーワークス」
ヒューっと、言う鏑矢のような甲高い音を立て上空へと昇って行く……
バスケットボールサイズの火球が空へと打ち上げられ、一定の高度に達する事で内部の炎が拡散し、まるで花火のように美しい炎を見せる……今回は汎用的に「モンスターに襲われている救援を求む」と言う意味で知られる救助要請の信号色にした。
不謹慎な言い方だが、こんなものは気休めだ。
屋敷がある町には、冒険者ギルドがあると聞いているが騎士よりも実力が高い冒険者が町程度にいるのか? と聞かれればいると答えられる自信はない。
魔術などを教えてくれるシャルロット先生か、イオン兄さま級の救援が来てくれれば心強いのだが……どうしても移動に時間がかかる……
歴史の話だが、戦場で最も大切なのは士気だと聞いた事がある。
少し奮起を促すために話をしてみよう……
「では、我々は冒険者並びに村民の救助に向かう! 残るモノは皆、一所懸命にその身の限りを持って村人を守れ!」
「「「はっ!」」」
「では、当主でもない俺から君達に贈りたいものがある……」
俺は多少魔力を削ってでも兵を増強する事にした。
「召喚ゴーレム!」
俺は先ほど召喚術で呼び出したゴーレムを、偵察から呼び戻して再び警護に当たらせる事にした。
召喚術は精霊などの幻想生物達を使役する魔術だが、ゴーレムのような人造生命体や契約を結んだ幻想生物は、少し燃費よく呼び出す事が出来き。
一度呼び出している生物は、「召喚〇〇」のコールで呼び出す事が出来る。
「コイツは良き盾、良き鉾《ほこ》として君達と共に戦うだろう……私もこの場にいる事は出来ないが君たちの助けになればと思う……」
俺の演説を聞いて感極まったのか泣き出すものまで現れる……
主人公はキャラクタークリエイトによって性別、見た目が全然変わるから風貌が分からないので、もしものためにここに予備戦力を置いていきたいだけなんだけどなぁ……
何か罪悪感を覚える……
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