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第13話ビガラプファングを探す
しおりを挟む俺はアンレスさんの猛特訓によって彼女から合格を貰った。何度目で合格したのかは聞かないでくれ……
「大分時間がかかったようだな……」
冒険者達のリーダーと思われる男性が、アンレスさんに話しかける。
「問題ないでしょ? ……半日以上かけて仕込むような内容を数時間で仕込むんだからこれぐらいで済んだら短い方でしょ……」
「確かに騎士である我々にとっては、『倒す事』が最重要で冒険者達のように『素材』まで気にしている者は少ないでしょう……だから丁寧に教えて頂いているのですから、多少時間がかかっても仕方がないですよ」
なるほど、騎士は俸禄……固定給+危険手当が付く現実世界で言えば自衛隊員で、冒険者は自営業やフリーターだから金を気にしなければいけないという事か。
騎士も冒険者もそのことが分かっているから、お互いに役割分担をしているんだ。
「幸い。蒔き餌がもう食べつくされているので、まだお目当ての中型種は見つかっていませんが、そうすると本来の目的が達成出来ませんね……」
騎士が考え込んでしまう。
「大丈夫です。ビガラプファングは別名【鶏狗走竜】……犬や狼のように縄張り意識をもってパトロールしていますですから、この辺りも時間がたてば恐らく来るでしょう」
「なるほど……野営とは言いませんが昼食を取って、時間を待ってもいいのではないかと思います」
ビガラプファングは、俺が似ていると思ってた。ジュラシ〇クパーク版のラプトル……生態がヴェロキラプトルで見た目がディノニクスの架空の恐竜にそっくりな見た目をしている。
ヴェロキラプトルもディノニクスも2007年のモンゴルで発見された化石によって、両者共に羽毛恐竜であると言う予想図が主流である。
米国のフレデリクソン博士はこう言っている。「デイノニクスがコモドオオトカゲに似た生活行動をとっていたのではないか」と、歯の化石から動物が食べたものと、水源を炭素と水素の同位体から調査した結果、子供の歯と大人の歯で食べ物のが違うことが判明し、近似種のヴェロキラプトルも同じ事が判明している。
また恐竜に類似するワニや鳥は、集団で狩りをする行動が見られないのでラプトルも集団で狩りをすることは無いと言われている。
もし俺の想像が正しければ、昆虫や小動物に腐肉を漁る事が多いとみられるラプファングも成体と幼体で食べるものが違うのではないか? ゲームやこの世界でラプファング→ビグラプファングとなっているが、本来はベビーポ〇モンのように更に前段階の小動物食がいるのではないだろうか? と考える。
昆虫・小動物食時代や狩りをする成体は、群れると効率が悪いため周辺に集まる程度で中間の個体達は、昆虫でも腐肉でも小型モンスターでも食べる事が出来るため、ゲームでモデルになったジュラシック〇ークの架空恐竜ラプトルと同じように、『群れ』を形成しても中・大型モンスターに襲われ辛いと言うメリットが高いと考えられる。
……このファイアーファンタジークエストのような世界は、ゲームではあやふやだったり設定されていない所の辻褄合わせで、そうなっているのかもしれない。
シュレーディンガーの猫や二重スプリット実験のように、観測者である人間が観測したと時に神のような存在が設定を作っているのかもしれない。もしかしたらそう言った世界の穴埋めをするために、俺がこの世界に入り込んでしまったのかもしれない。
俺はそう思いながらスープと硬いパンを食べた。
「坊ちゃんにとっては美味い物ではないでしょうが、騎士や冒険者はこう言う物を遠征中には食べています。基本的には干し肉や果物、硬く水分が抜いたパンを食べているので圧倒的に塩分が多く野菜が少ないので、遠征などからで帰って来ると皆何よりも新鮮な生野菜を食べるものが多いです。だから坊ちゃんも冒険者にならなくてもこういう人が居るんだ。という事を理解して欲しい」
――――と熱弁されてしまった。この冒険者と騎士のお陰でシャオンが保存食の開発をする事になるのはまた別のお話……
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