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第11話中型を狩る事になりそうです
しおりを挟む「見事です。武器の使い方も判断力も見事でした」
――――と護衛の騎士が認めてくれる。
初陣の時とは違い訓練の成果も相まって、過剰に臆する事無く戦う事ができた。理由は単純で武器には、ゲーム版では付ける事が出来なかった【伸縮】の魔術文字を刻んだ槍があるので、距離を取って戦えると考えたからだ。
防具も優秀な配布装備である【守護者】装備を遥かに上回る装備で、防御・回避性能よりなモノを多く積んでいるものの、火力になるスキルも十分に付いている。
「攻撃スキルの発動がありませんでしたね。若君にとっては余裕という事ですか?」
冒険者パーティーの一人が声をかけて来た。
「いえ。正々堂々と言うことでしたので……攻撃スキルを使ってしまえば、素の実力からは離れてしまうと思っただけです」
そう言ったのは良いものの、本当はただ使うのを忘れていただけだ。ただ槍を振うだけでも、ランスの熟練度が上昇して新しい攻撃スキルが発現するので結果オーライとしよう。まぁ攻撃スキルにも熟練度が存在するため、攻撃スキルを発動した方が良かったのだが……
「なるほど。確かにモンスターは攻撃スキルを持っていても、種類は少ないですからね。同じ条件で戦う。これぞ騎士道と言う訳ですか……」
――――と冒険者パーティーのメンバーは、なるほどと感慨深そうな表情を浮かべている。
「まぁ本来ならそうなんですが、命の奪い合いに正々堂々なんて存在しないですよ」
――――と騎士は苦笑いを浮かべながら補足する。
「なるほど。理想は高くですね、尊敬しますよ……これなら本来の依頼通り中型モンスターに挑んでも問題なさそうですね」
げ、マジかよ……中型モンスターって言うけど一目見て中型モンスターって分からないのもいるし……元々は少し強い程度の小型モンスターが中型モンスターに、後の作品で割り振られたりしているから結構曖昧な定義なんだよなぁ……
本当に何を狩らされるのか分かったモノじゃない。
「そうだな、この辺りに居る中型種種に詳しくないのですが、どこにでもいる奴ならアーマーグリズリーかバイファングボアーですが、走竜系ならラプファングの成体のボス。ビガラプファングぐらいか?」
「まぁそれぐらいですね。も少し山に行けば種類は増えるんですけが、ビガラプファングによく似た個体で、毒を使う種もいるので初戦にはあまりお勧めは出来ません」
「確かに初陣から苦戦を強いるのは、確かにあまりよくないな……」
騎士は割れたケツアゴに握った拳を押し当てて熟考する。
「俺達も冒険者の先輩達に連れててもらった。初の中型は搦手を使わないシンプルなタイプのモンスターでしたから、何かに特化させたいとか搦手に強くなって欲しいとか、そう言う具体的な育成方針が無いのでしたら、ビガラプファングかアーマーグリズリーかバイファングボアーのいずれかが良いかと……」
確かにゲームのチュートリアルでは、操作方法を説明した後に先ず小型モンスターを数体狩らせてその後に満を持して、中ボスとして中型モンスターを一体狩猟させてレベルアップ後のスキルを覚えるシステムの説明をしていた。
この世界では中型モンスターを狩れて初めて、冒険者として一人前として認められると言う設定だからだ。
「では、ビガラプファングかアーマーグリズリーかバイファングボアーのいずれかを捜索してきて欲しい。済まないが解体を教えるために一人だけ残って欲しい」
「分かりました。アンレスお前が教えてやれ」
「……了解です」
アンレスと呼ばれた女冒険者は、不服そうな態度で返事をすると――――
「来て、教えるから」
――――と不愛想に答えた。見た目は前世では美人と言っても差し使いない程に、整っているがこの世界では美男美女が多くいるため、アンレスさんでも恐らくは普通から少し可愛い程度なんだろう。
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