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第41話商人に会おう下
しおりを挟む「では貴殿に相談しよう……私は新しいモノを売りたいと考えている。
その際、貴殿らのような商人を使ってもいいと思い、立ち寄ったのだ。」
驚きの表情こそしていないが、デニスから何か言いたげな雰囲気を感じる。
「なるほど……貴族で公に商売をしている方は稀ですが……
我々に窓口になってもらいたいという事ですか……」
「その通りだ。奴隷を買いその者を解放し自由民とした後に、商人とし物を売らせることを考えているが、それは可能か?」
古代ローマで行われていた方法
~~~貴族が奴隷を買い奴隷に金を渡し商売をさせ、暫くしたら解放奴隷とし、自らの庇護民に加え上前を撥ね自らの一門とし権力を蓄える~~~と言う、現代の株主と起業家のような関係を作って、『裏切るリスク』を軽減できるようにしたいと考えている。
「可能です。納税市民であれば、その生業を変える事は出来ますから……例えそれが元は奴隷であってもです」
ふむ。都合がいいな。
「もしその商品を売る場合、その商品の権利を売るか製造する権利を与え、利益の内の何割かを貰う。特許と言う考え方を提案したいのだが……ジョバンニはどう考える?」
「全く新しい考え方ですな。
通常は職人が考え一門の秘伝とし出来た物を商人が売るのです。
確かに技術はあっても量産は出来ませんし簡素なモノなら模倣されてしまいます。貴族の威光と商人の力で模倣を防ぐと言う訳ですか……」
「その通り」
……理解が早くて助かるよ。
「ふむ。して……扱う品はどのようなモノでしょう?」
乗って来た!このまま食いて突いてくれれば俺の勝ち。
自分で自由に使える資産があると言うのは、この公爵家継承戦で負けた後の食い扶持になるからな……
「基本的に俺が思いついたものを販売しようと考えている。
具体的には木工、金属、食品、建設だ。今既に形になっているのは、ジョバンニがこの建物に入って来る時に見ただろう? 馬車だ。あの馬車は通常よりも揺れが少なくてなソレを売りたいと考えている……」
手広く広げ出来るだけ影響力を拡大したいからな……
「なるほど……でしたらお力になれそうですな。
以前私はここの組合の会長をしておりまして、元々手広く商売をしておりました。伝手も御座います。この老い耄れは息子に跡目を譲ってから暇をしておりまして…そのような大仕事があるのなら是非やらせてください。
人手はどうされるつもりですか?」
人手かぁ……先ずは手堅い所から雇い入れ。
余力が生まれたらスラム街の子供でも雇おうかな……
「当面は馬車を主力商品としたいので、金属加工職人と木工職人を雇い、当商会だけで馬車を作りたい。関わる人間は出来るだけ少なくして漏洩を防ぎたいからな……
それと経営面は全て任せる。正し公爵家内での販売は出来るだけ控えてくれ……叔父上達に見つかって要らぬちょっかいを掛けられたくない。
あとは孤児やスラムの住民を組み立て作業だけでもいい。出来るだけ雇ってくれ」
親の居ない孤児は冒険者や傭兵、ギャングなど総じて領主からすると良い人間にはなりずらい。スラム街の住人などは住民税すら納めていないのだ。
稼ぐ手段を提供し、税を回収できるようにした方が良い。
「よろしいのですか?」
ジョバンニの言葉には警告の色があった。
下賤な民の作った物を高貴な方が買うと思うか? とでも言いたいのだろう……
「実際にモノを売らせる訳じゃない。職人には職人の仕事をさせ簡単な工程は出来るだけ有用な人間を省きたいのだ。俺は安い賃金で治安改善と未来の納税者を手に入れ、労働者は賃金とツテを得られる……Win-WinでWin-Win最高じゃないか…… もし下賤な民の作った物を高貴な方が買うと思うか? と思っているのなら職人は階級として民でも下の扱いだ。我々貴族は奴隷が耕した畑で奴隷が育てた麦を食べている。気にする奴も居るだろうが……知らなければ無いのと一緒だ」
「確かにその通りですな……それで運転資金なのですが……」
おっと忘れていた。
ドン。ズタ袋一杯に入った金貨銀貨の袋を机の上に置く。
「当座の資金にしてくれ……後日馬車と他のアイディアは纏めて渡すから呼び出しがあれば屋敷に来るように、馬車と俺が出すアイディアを形にしてお前の才能で商品を扱え」
独自裁量権も与え金も与える。俺のやる事はアイディアを出す事と上前を撥ねる事だけだ。不労所得最高!!
「はっ。ありがとうございます。それで商会の名前ですがどうされますか?」
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