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第6話

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 酒井忠彦議員は、三代前の内閣総理大臣の下で防衛大臣を務めた男、特にアジア問題に対して対応を迫られた議員だったか……。
 不正献金問題と何かあったか……思い出せない。
 そんなことを考えながら走行していると、ヤクザ御用達のスモークのかかったワゴン車が俺の愛車を取り囲む様にして、三台の車が配置されるのが見て取れるのがミラー越しに確認できる。
 
「チッ!」

 俺はアクセルを踏んで加速する。
 しかしワゴン車も負け時と、加速するカーブに差しかかった時にブレーキを踏みドリフト走行をして、ワゴン車を躱す。
 しかし相手のテクニックもなかなかあるようで、俺の後ろをついてきた。
 公道ではある物の車が少ないためか目の前は、ほとんど空いている。
 まくには速度を上げるしかないと思いアクセルを踏んだ。
 しかしその瞬間目の前には、多くの車がバリケードの様に立ちふさがった。
 俺は焦ってブレーキを踏んだ。ギィィィィいいいいと凄まじい音を立て車が急停止した。
 すると若くお茶らけた男が一人フードをはだけさせた状態で、俺の目の前に向かってゆっくりとゆっくりと歩み寄ってきた。

「よぉお兄さん少し話を聞いてほしいんだけどいいかい?」
「……」

 俺は相手を睨みつける。

「おいおい、そんなに警戒すんなよ……俺はバニーと言う見ての通り半グレの頭目をやっている……これで言いたいことは分かるよな?」
「俺が受け取ったファイルを欲しているって言ったところか……」
「その通りだ」
「俺は依頼を受けていてね依頼者を裏切れば、始末屋《スイーパー》に殺されてしまうからそれは出来ないね」
「そうかい……じゃぁ悪いがボコられて貰うぞッ!!」

 バニーと名乗った青年は部下である10代後半から、20代前半と思われる構成員を嗾《けしか》けてきた。

 刹那。一台のバイクが半グレ集団の間を縫って、仮面ラ〇ダー顔負けの登場の仕方をする。
 身体のメリハリが分かる程体に食い込んだ。黒いライダースーツに、黄色のフルフェイスのヘルメットを脱ぐと、長い金髪がヘルメットの中からサラサラと零れるように、広がった。
 お前は「池袋の首無しライダーか!」とツッコみたくなるのような見た目をしていた。
 彩華はスズキ・カタナを停車させ。鞄の中から特殊警棒を取り出した。

「彩華か遅いぞ」
「何言ってるんですか? これは先輩を使った陽動作戦です。じゃなきゃあの程度で私が怒る訳ないじゃないですか……分かり易かったでしょ?」
「また与党内部のゴタゴタか……」
「えぇ。主民党議員の6派閥による足の引っ張り合いですよ」
「面倒くせぇ……強行突破しかなさそうだな」
「何を言ってるんですか何時もの事でしょうに……」
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