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第2話

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 城南大学法学部一年、星河《ほしかわ》彩華。彼女は、政府と俺を繋ぐパイプ役であり、俺の様な異能者を古来より管理監督する内閣府直属の特務機関【神儀院《じんぎいん》】のエージェントで、現在は俺の監視役で、実家は平安の世から続く旧家に連なる家系で父は外交官、母は英国大使館職員と言う、文字通りの令嬢と言う設定モリモリの後輩ではあるものの。彼女の妙な気安さのお陰か、彼女への気遣いは一カ月程度で失わた。

「わかった。わかりましたよで、どこへ運べばいいんだ?」
「仕事の話の前にご飯でもどうですか?」

 そういえばコイツに電話で叩き起こされ、急いで身支度を済ませた切り朝から何も食べていない

「いいけど何食べる?」
「そうですねぇ……先輩のおごりでせっかくなので、回らない寿司にしましょう私、良いお店知ってるんですよ」
「阿保か! なんで俺が奢ることになってるの!?」
「先輩曲がりなりにも私は、公務員なので固定給と雀の涙ほどの手当しかないんですよ。安月給……とまでは言いませんが花の女子大生って、何かと入用なんですよ。例えば先輩と会うためにしている、化粧品一個幾らすると思います?」

 因みに外部職員扱いの俺と違って、万が一でも切られる心配が少ない事や福利厚生がある分で、どっこいどっこいと言ったところだろうか?

「千円ぐらいか?」
「外れです数千円ですよ、数千円! 美容品は青天井なんですよ」
「でもどこも成分ってそんな変化は……」
「シャラップそれ以上はダメです。皆薄々わかってるので……」
 
 鬼気迫る表情を浮かべ俺の口を物理的に、塞ぎ無理やりにも俺を黙らせた。
 殆どの商品なんて人件費と宣伝費と材料費で構成されているんだから、原価1/3以下と言われるのも納得である。

「まぁ今回は無理やり起こしてしまったのは私なので、仕方ないので経費で落としましょう」
「そうしてくれるとありがたい」
「では、車で行きましょう、案内しますので先輩お願いします」
「はいはい」

 そういって駅前通りの裏道に、停車した車を取りに向かった。

「相変わらず無駄なものが先輩は好きですね……」

 呆れたような口調で、俺の愛車である三菱アウトランダーPHVを無駄と言い切った。

「いいだろ? 自分の金で買ったんだから……誰から咎められる訳でもない……4WDでSUVだぞ! しかもフルオプション!!」

 元の値段が約500万の車それをポンとでは、ないものの買えるだけの経済状況に俺はいた。

「まぁ先輩が年に幾ら稼いでいるかも知っているので、どうせだったら家族に蟹や牛、ワイン、白物家電でも買ってあげれば、いいのにとは思いますけどね………」

 ポツリと彩華が悪態をつく。
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