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第三十話
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両の手で抱え込むようにマグカップに口を付ける。
「暖かい……」
「テレビでも見る?」
「その前に今日買った洋服の組み合わせを作りましょう? 真堂くんの部屋はどこかしら……」
「こっちだよ」
成嶋さんを部屋に招き入れる。
「片付いているのね……」
「まあな……」
実際の所部屋を汚すほど部屋を使っていないと言うのが現状だ。
「クローゼット開けるわよ」
「おう……」
どうぞやってくれと言わんばかりに手をヒラヒラとさせる。
「これとこれは使える……なにこの骸骨ダっサ……」
自分で選んで買った服ではないのだが、妙な既視感があるせいか中高生時の自分のセンスを馬鹿にされたようで心が傷付く。
「なにダメージ受けてるのよ……」
「気にするな……」
「気にするって言われてもねぇ……そう言えばあなた普段服を買うときはどうしてるの?」
「お恥ずかしい話普段は親に丸投げしてる。あとはイベントごとの時にちょろっと買うぐらいだしな」
「丸投げってつまり親御さんに選んでもらってるってことよね」
「ああ……」
「痛々しい洋服をやめれば問題ないだけよ」
「本当は彼女を作る段階とか友人関係とかそう言う基礎的な人付き合いで学んでいくモノなんだけど……」
「ぐふ……辞めろその言葉は俺に訊く……」
「まあ、多少下駄を履いたところで誰も文句は言わないか……でも私だっていつまでも面倒みられる訳じゃないんだから、自分でもファッション誌よんで勉強するか彼女が途切れないくらいになって服を選んでもらうぐらいしないとダメよ?」
「前半は兎も角後半は無茶な……」
……だって俺はラブコメ世界の悪役なんだぞ。と言う言葉は飲み込んだ。
「春と秋モノのの中から使えるものを厳選したわ。セットに使えない洋服は部屋着にするか、捨てるかすると良いと思う……」
「了解」
「それで組み合わせなんだけど……」
「……凄いな夏休み中ほぼ毎日組み合わせを着ても持ちそうなバリエーションだ」
「だから言ったでしょ? 誰だって最初からセンスのある人なんていないわ。雑誌や身近な人を手本にするのだから気にする必要なんてないと私は思うけど。今日だって赤点にならない程度ではあったもの」
「それはどうも」
「……これで、あと一時間と言ったところかしら。ねぇベッドの下除いてもいいかしら?」
「別にいいけど多分埃しかないぞ?」
「エロ本とかAVを隠しているものじゃないの?」
「いつの時代の話だよ……それと固定化された置き場所じゃ隠してるんじゃなくて置いてるだけだろ?」
「言われてみれば確かに……でも私は男の子の部屋に入ったらやって見たかったのよねトレジャーハンティング。インデ〇ージョーンズ見たいに……」
「そんな青少年キラーなインディ〇ジョーンズは嫌だ。素直にクリスタルスカル探して来いよ!」
「……でも見てるし読んでるわよね? 河川敷とかに隠しているのが定番だけど……」
「今時はスマホだよ! 絶対に予測変換と検索履歴だけは友達でも彼氏でも見てはいけない」
「それまたどうして? 彼氏の好きなもを知っておきたいと思うのが乙女心じゃないかしら?」
「世の中には歪んだ性癖を持っている人は存外多いのさ……」
「そんなド変態ばかりなのこの国は……」
「英語圏では変態と言うと日本製エロ作品のことになるらしいぞ」
「可愛いとか津波、過労死とかと同じ扱いなの!?」
「どうやらそうらしい……」
「……」
「……」
気まずい。
「映画でも見る?」
「そうするわ……」
リビングに戻るとテレビを付ける。
チャンネルを一通り回すが予想通り、中高生が面白いと思うような番組はやっていない。
「テレビはやっぱりドラマとかアニメしか見るモノがない」
「最近はゴールデンタイムも予算が掛からなさそうな、クイズ番組とか番付番組とか、歌番組とかが多いですけどね……」
最近のテレビは、取り合えず付けて置くには煩い。
俺はテレビのリモコンを押す。
画面にはスマートテレビ特有のUIが表示される。
「動画配信サービスですか……私も使ってますけど便利ですよね」
「テレビと違って時間に縛られないのが一番いいです」
「例の感染症で外出自体が難しかったですからねあの時に契約したハズ……どんなのが好きですか?」
「流行りモノと海外ドラマが好きです。プリズ〇ブレイクとかウォーキン〇デッドとか……」
「俺も海外ドラマだとその辺ですかね。マー〇ルヒーローは正直作品数が多すぎてどこから見たらいいか……だったらラス〇オブアスとか予算かかって日本じゃできないのがいいですね……」
「ですよね。シリーズものだと話題作でもとっつきずらいものね」
「ドラマは見ないんですか?」
「年に数本ぐらいですかね」
「話題作りに何本か見て置くと良いと思うけど強要はできませんよね」
「特に女の子は共感の生き物だから大変そう……」
「まあ実際大変です。私普段あまりアニメをみないので真堂くんのおすすめを是非見て見たいです」
と、言われも基本的にはアニメや特撮、戦争映画をメインで見る俺にオススメの作品と言われても……一般人受けする作品には明るくない。
恋愛アニメならまだいいか……実写映画もやった有名な作品を付ける。
「じゃぁこれで……」
全十二話のアニメを付ける……
内容としては王道の男女同数の多角関係の作品で互いのスレ違いを描いた作品だ。
………
……
…
「面白かった」
「映画版だと端折ってる内容をそのままやれるのは尺に余裕のあるアニメやドラマ版の強みだよな……」
一番人気があるのは当然、メインヒロインなのだが個人的にはメインヒロインというのは中庸なキャラ……言い方を変えれば作者の性癖が籠っていないキャラが多く二番目、三番目とヒロインが増える毎に作者の癖度とその作品にまだいない属性のヒロインが増えていく……
そして大体俺が好きになるのは、二番目か三番目のヒロインや幼馴染やお姉さんタイプで大体ヒロインレースで負ける。
この作品でも負ける。
そうして作者は、俺のお気に入りを滑り台送りにするのんだ(憤怒)
「映画版があるんですね……そんなに違うものなんですか?」
原作やアニメ版を知らない人間からすれば、唯一のメディア作品である映画版、よしんば見ても原作の漫画版しか見たことはないのだから原作、アニメ、映画版とあってもその細かな違いにまで、知っている人間は少ないだろう。
「よかったら見てみるか?」
「いいの?」
「じゃあ俺は、洗濯物の様子見てきますね」
映画版を再生しリビングを離れる。
ふとスマホに目をやると、そろそろ夕飯の時刻になっていた。
「そう言えばみんなは……」
スマホを見ると父は接待。母は学生時代の友人と外出、妹も友達と外出しているようだ。
「夕飯一応用意しするか……」
「暖かい……」
「テレビでも見る?」
「その前に今日買った洋服の組み合わせを作りましょう? 真堂くんの部屋はどこかしら……」
「こっちだよ」
成嶋さんを部屋に招き入れる。
「片付いているのね……」
「まあな……」
実際の所部屋を汚すほど部屋を使っていないと言うのが現状だ。
「クローゼット開けるわよ」
「おう……」
どうぞやってくれと言わんばかりに手をヒラヒラとさせる。
「これとこれは使える……なにこの骸骨ダっサ……」
自分で選んで買った服ではないのだが、妙な既視感があるせいか中高生時の自分のセンスを馬鹿にされたようで心が傷付く。
「なにダメージ受けてるのよ……」
「気にするな……」
「気にするって言われてもねぇ……そう言えばあなた普段服を買うときはどうしてるの?」
「お恥ずかしい話普段は親に丸投げしてる。あとはイベントごとの時にちょろっと買うぐらいだしな」
「丸投げってつまり親御さんに選んでもらってるってことよね」
「ああ……」
「痛々しい洋服をやめれば問題ないだけよ」
「本当は彼女を作る段階とか友人関係とかそう言う基礎的な人付き合いで学んでいくモノなんだけど……」
「ぐふ……辞めろその言葉は俺に訊く……」
「まあ、多少下駄を履いたところで誰も文句は言わないか……でも私だっていつまでも面倒みられる訳じゃないんだから、自分でもファッション誌よんで勉強するか彼女が途切れないくらいになって服を選んでもらうぐらいしないとダメよ?」
「前半は兎も角後半は無茶な……」
……だって俺はラブコメ世界の悪役なんだぞ。と言う言葉は飲み込んだ。
「春と秋モノのの中から使えるものを厳選したわ。セットに使えない洋服は部屋着にするか、捨てるかすると良いと思う……」
「了解」
「それで組み合わせなんだけど……」
「……凄いな夏休み中ほぼ毎日組み合わせを着ても持ちそうなバリエーションだ」
「だから言ったでしょ? 誰だって最初からセンスのある人なんていないわ。雑誌や身近な人を手本にするのだから気にする必要なんてないと私は思うけど。今日だって赤点にならない程度ではあったもの」
「それはどうも」
「……これで、あと一時間と言ったところかしら。ねぇベッドの下除いてもいいかしら?」
「別にいいけど多分埃しかないぞ?」
「エロ本とかAVを隠しているものじゃないの?」
「いつの時代の話だよ……それと固定化された置き場所じゃ隠してるんじゃなくて置いてるだけだろ?」
「言われてみれば確かに……でも私は男の子の部屋に入ったらやって見たかったのよねトレジャーハンティング。インデ〇ージョーンズ見たいに……」
「そんな青少年キラーなインディ〇ジョーンズは嫌だ。素直にクリスタルスカル探して来いよ!」
「……でも見てるし読んでるわよね? 河川敷とかに隠しているのが定番だけど……」
「今時はスマホだよ! 絶対に予測変換と検索履歴だけは友達でも彼氏でも見てはいけない」
「それまたどうして? 彼氏の好きなもを知っておきたいと思うのが乙女心じゃないかしら?」
「世の中には歪んだ性癖を持っている人は存外多いのさ……」
「そんなド変態ばかりなのこの国は……」
「英語圏では変態と言うと日本製エロ作品のことになるらしいぞ」
「可愛いとか津波、過労死とかと同じ扱いなの!?」
「どうやらそうらしい……」
「……」
「……」
気まずい。
「映画でも見る?」
「そうするわ……」
リビングに戻るとテレビを付ける。
チャンネルを一通り回すが予想通り、中高生が面白いと思うような番組はやっていない。
「テレビはやっぱりドラマとかアニメしか見るモノがない」
「最近はゴールデンタイムも予算が掛からなさそうな、クイズ番組とか番付番組とか、歌番組とかが多いですけどね……」
最近のテレビは、取り合えず付けて置くには煩い。
俺はテレビのリモコンを押す。
画面にはスマートテレビ特有のUIが表示される。
「動画配信サービスですか……私も使ってますけど便利ですよね」
「テレビと違って時間に縛られないのが一番いいです」
「例の感染症で外出自体が難しかったですからねあの時に契約したハズ……どんなのが好きですか?」
「流行りモノと海外ドラマが好きです。プリズ〇ブレイクとかウォーキン〇デッドとか……」
「俺も海外ドラマだとその辺ですかね。マー〇ルヒーローは正直作品数が多すぎてどこから見たらいいか……だったらラス〇オブアスとか予算かかって日本じゃできないのがいいですね……」
「ですよね。シリーズものだと話題作でもとっつきずらいものね」
「ドラマは見ないんですか?」
「年に数本ぐらいですかね」
「話題作りに何本か見て置くと良いと思うけど強要はできませんよね」
「特に女の子は共感の生き物だから大変そう……」
「まあ実際大変です。私普段あまりアニメをみないので真堂くんのおすすめを是非見て見たいです」
と、言われも基本的にはアニメや特撮、戦争映画をメインで見る俺にオススメの作品と言われても……一般人受けする作品には明るくない。
恋愛アニメならまだいいか……実写映画もやった有名な作品を付ける。
「じゃぁこれで……」
全十二話のアニメを付ける……
内容としては王道の男女同数の多角関係の作品で互いのスレ違いを描いた作品だ。
………
……
…
「面白かった」
「映画版だと端折ってる内容をそのままやれるのは尺に余裕のあるアニメやドラマ版の強みだよな……」
一番人気があるのは当然、メインヒロインなのだが個人的にはメインヒロインというのは中庸なキャラ……言い方を変えれば作者の性癖が籠っていないキャラが多く二番目、三番目とヒロインが増える毎に作者の癖度とその作品にまだいない属性のヒロインが増えていく……
そして大体俺が好きになるのは、二番目か三番目のヒロインや幼馴染やお姉さんタイプで大体ヒロインレースで負ける。
この作品でも負ける。
そうして作者は、俺のお気に入りを滑り台送りにするのんだ(憤怒)
「映画版があるんですね……そんなに違うものなんですか?」
原作やアニメ版を知らない人間からすれば、唯一のメディア作品である映画版、よしんば見ても原作の漫画版しか見たことはないのだから原作、アニメ、映画版とあってもその細かな違いにまで、知っている人間は少ないだろう。
「よかったら見てみるか?」
「いいの?」
「じゃあ俺は、洗濯物の様子見てきますね」
映画版を再生しリビングを離れる。
ふとスマホに目をやると、そろそろ夕飯の時刻になっていた。
「そう言えばみんなは……」
スマホを見ると父は接待。母は学生時代の友人と外出、妹も友達と外出しているようだ。
「夕飯一応用意しするか……」
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