上 下
15 / 42
話し合いは大事

全てを映し出す※

しおりを挟む
 鏡は全てをそのまま映し出す。

 目の前に見える蕩け切った琥珀の目も、だらしなく空いた口も、そそり立ち濡れそぼった中心も、赤く熟れた胸の突起を自分で摘むタイガの手も。
 そして、ラビによって大きく開かれた足の奥では、胡坐をかいた膝の上で欲望を美味そうに飲み込む様子もはっきりと見えてしまっている。
 
「ラビ、ほんま、むり、いやぁ」
 
 水音の合間にタイガの涙声が溢れた。
 わざわざラビがベッドの近くまで移動させた大きめの姿見に映った、自らの霰もない姿から目を逸らそうと瞼を伏せる。
 
「タイガ、手が止まってる」
「や、やってこんなん……!」

 嗜めるような声を聞いても、タイガの手は止まったままだ。動かしたくないと、耐えられないと瞳が訴える。
 つい開けてしまったが、互いの裸体が絡み合う様が目に入ってまた目を瞑った。

「恥ずかしい?」

 必死に何度も頷くタイガに、ラビは優しく後頭部に口付けた。

「でも、タイガが言ったんだぞ? 自分でやるから触るなって」

 持ち上げていた足を広げたまま膝に下ろすと、自由になった両手で胸元のタイガの手に重ねる。指先で挟んでいるだけで力なく動かないタイガの手の代わりに、指の上から突起をキュッと摘んだ。

「あぁっ」
「やっぱり俺が触って、ココと後ろだけでイクとこまた見ようか」

 タイガの腰が、声に合わせて跳ねる。
 何度も引っ張って振動を与えると、ポロポロと羞恥と快楽の涙の粒を零しながら首を左右に振ってきた。

「んっ……ややぁ! 見たくなぁ……!」
「そんなこと言いながら、今日はもう何回イッた?」
「か、数えてへん……っ」

 色づいて膨らんだそこを、指先で押し潰し、擦り、捏ねくり回す。タイガの息がどんどん細かく早くなっていく。
 自分の指で触っているような感覚も、羞恥心を煽っているようだ。

「5回だ。タイガはイくのが上手だな」

 緩く腰を動かしながら、爪の先で赤い先端に強く刺激を与えてやる。

「ひ、ぁあん!」
「……っ」

 顎が上を向き喉が反る。
 高い声を発すると共に、白濁が勢いよく飛んで鏡を汚した。
 ナカが大きく収縮して、ラビは眉を寄せる。熱い息を飲み込んで耐えた。

「……は、……六回目。オレ、中はほとんど突いてないから……頑張ればココだけでイけるようになるな」

 付き合うようになってから、すっかり性感帯となった胸の飾り。
 指先で揉むように弄ぶと、達したばかりで焦点の合わない目をしたタイガが身を捩る。
 タイガはすっかり胸から手を離している。行き場の無い手を自らの膝に置き、爪を立てている姿はまるで自分で足を開いているような官能的な光景だった。

「……むり、やからぁ……っ! ん、まだイッとるぅ……っ離し……!」
「タイガがちゃんと自分で弄ったらオレは離す」
「……っ、ん、くぅ……イッとるのに、触れへんってぇ!」

 腰をビクビクと痙攣させながらもなんとか外させようと、片手でラビの手首を掴んできた。だが快楽に溺れきった手は力が入っておらず、ラビにとってはなんの障害にもならない。
 一連の動きが全て鏡に映し出されている。
 バックの体勢では普段見えない恍惚とした表情は新鮮に映り、目じりが下がる。

「ふふ、感じてるタイガの顔がよく見えるな」
「お、お前のスケベ顔も丸見えやから……!」
「他には何が見える?」
「ひぃん……っ」

 摘まんでいた胸の先を両方ともひっぱってから離す。タイガは背中を丸めて目をつむった。

 気丈にも言い返してくるタイガの言う通り、常では見ることのない自分の顔も見えている。
 欲望にギラついた目もタイガを弄ぶ手も、愛しさでだらしなく緩み切った顔も。

 友人にも今までの恋人たちにも、「感情が読みにくい」と言われたものだったが。

 分かりやすく欲情した雄がそこには映っていた。

「タイガ、教えてくれ。お前の綺麗な目には何が見える?」

 改めて同じ言葉を繰り返す。
 何を答えたものかと戸惑って揺れる瞳も、振り返ってラビの顔を直接見ようとする仕草も愛おしい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

不義の澱

深山恐竜
BL
 アルスカは家を出た。彼は14年間一緒に暮らした恋人の浮気を知ってしまったのだ。異邦人である彼は、恋人の愛がないのならばもはやこの国に留まる必要はない。彼は手紙だけを残して、青春時代を過ごしたメルカ国に向かった。そこでは、昔の友人がアルスカを待っていた。友人の手を借りて新しい生活を始めるアルスカだったが、かつての恋人が乗り込んできて…。夢破れ、恋に疲れ、くたびれたおっさんが新しい恋をする。 (おっさん×おっさん) (ムーンライトノベルズにも掲載中)

おっさん部隊長のマッサージ係になってしまった新米騎士は好奇心でやらかした

きよひ
BL
 新米騎士×ベテランのおっさん騎士  ある国の新米騎士フリシェスは、直属の上司である第一部隊長アルターのマッサージ係として毎日部屋に通っている。  どうして毎日おっさんのマッサージなんてしなければならないんだろうとゲンナリしていたある日、男同士の性欲処理の話を聞いたフリシェスはどうしても試したくなってしまい......?  高い声で喘いでいる若い騎士の方が攻め。  カエルが潰れたような声を出して余裕があるおっさんの方が受けです。 ※全三話

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

処理中です...