66 / 134
第二章
『ルース・コロニラ』
しおりを挟む
主な登場人物
主人公の「ルース王子」
婚約者の「隣の国の王女」
王子の幼なじみで親友の「魔術師」
王国最強の男、「剣の騎士」
忠誠心篤い若き騎士団長、「盾の騎士」
明晰な頭脳で王子を生涯導くことになる「賢者」
そして、副題にもある「魔族の王」
あらすじ
昔々ある国に、優しくて賢い王子さまが住んでいました。
隣の国の美しい王女さまとは婚約者同士です。
ある嵐の日、王女さまが魔王に連れ去られてしまいました。
王子さまは王女さまを助けるために、魔王の住む鬼ヶし……魔王の城のある山に向かいます。
王子さまのお供は3人。
魔術師と剣の騎士と盾の騎士です。
3人はとても強いので、王子さまは安心です。
道中、森に住んでいた賢者さまも仲間になってくれました。
山を越え谷を越え海を渡り、雨の中風の中、数々の困難を乗り越えて魔王の城までやってきました。
城の扉を開いたその時です。
盾の騎士が賢者の背中を切りつけました!
なんと、盾の騎士は魔王の手先だったのです!
すぐに剣の騎士が応戦しましたが、盾の騎士は賢者の怪我を治そうとした魔術師を攫って魔王の城に逃げていきました。
王子さまたちは慌てて追いかけます。
城の中にはたくさんの魔族たちがいて、王子さまたちを襲います。
しかし、剣の騎士は最強です。
賢者を負ぶった王子を守ってどんどん魔族を倒していきます。
ようやく、魔王の部屋にやってきました。
そこにいたのは盾の騎士と、連れ去られた魔術師と、檻に入れられた王女さま。
「魔王はどこだ?」
王子さまが呟くのとほぼ同時に、お城に雷が落ちてきました。
大きな音と強い光にみんな目を閉ざします。
そして次に目を開いた時。
魔術師が魔王の姿になっていたのです!
魔王は言いました。
「王子よ、貴様とのお友達ごっこもここまでだ! この国を魔族の国に変えてやる!」
王子さまはショックで動けません。
魔術師は、小さい頃からずっとずっと一緒にいた、王子さまの1番のお友達だったのですから。
しかし魔王は待ってはくれません。
盾の騎士に命令をして攻撃してきます。
剣の騎士が盾の騎士の剣を受けました。
王子におんぶされていた賢者が小さな声で言いました。
「王子、お気持ちは分かりますが、あなたに悲しむ暇はございません。私が王女を助けます。あなたは魔王を倒してください」
魔王の力を少しの間だけ無力化する薬を王子に渡します。
王子は薬を懐に入れ、腰の剣を抜きました。
王子は善戦しますが、魔王の圧倒的な力に追い詰められてしまいます。
もうダメだ!
そう思ったその時、剣の騎士と戦っていたはずの盾の騎士が魔王と王子の間に立ちはだかります。
魔王の刃は盾の騎士を貫きました。
王子と魔王が驚いている隙に、剣の騎士は後ろから魔王を切りつけます。
魔王は倒れ、傷をすぐに回復しようとしましたが、王子は賢者から貰った薬をふりかけそれを阻止しました。
痛みに苦しみながら魔王は言います。
「私はまたこの地に生まれ、貴様の子孫を根絶やしにしてやる」
呪いの言葉を聞いて王子は言いました。
「その時にはまた、私の子孫はお前を殺すだろう」
王子の剣が魔王の胸を貫くと、砂のように消えていってしまいました。
戦いが終わった後、賢者に檻から出してもらった王女が王子のところへやってきて、抱きしめあってめでたしめでたし。
いやめでたくねぇよ。
親友をなくした王子の気持ちは?
盾の騎士どうなった??
賢者の背中の傷はどうした??
と、思うでしょう。
その他ツッコミどころ満載。
なんで魔王は王女攫ったんよ。とか。
でも伝承なんてこんなもんで。
そこを埋めるのが作家の想像力の見せどころだった。
例えば、盾の騎士は魔王に洗脳されてたパターンと自分の意志パターンがある。
それによって台詞とか剣の騎士との関係性も変わる。どちらにせよ最後は剣の騎士に自分の盾を預けて99%死んでしまうんだけども。
今回の演劇でもそうだった。
仲間が死んだ方が物語が盛りあがるからだろうか。
ラナージュはこの辺りから泣いている気配があった。
しかし今回の劇の泣きどころはそのあと、魔王が消えるシーンだ。
通常、この物語の魔王は「なんでかわからんけどとにかく人類を滅ぼしたくて世界征服したい」タイプの悪役である。
が、この劇では王子との友情を相当重視していた。
魔王の最後の言葉は呪いの言葉ではなく。
「私のいない世界で、お前は世界一の王になれ」
と伝え、王子の剣を握って自分で胸を貫き消えていく。
「魔王が消えると魔族も消えます。魔王は王子の治世で魔族が暗躍しないために消えることを選んだのです」
と賢者が王子に伝え、王子は涙を堪えて立ち上がる。
場面切り替えで数年後に戴冠式をして幕。
魔族はとにかく忌み嫌われているので、この手の終わりはありそうでなかった。
おそらくこの世界の人には斬新だったはず。
受け入れられるかは謎だが隣でラナージュが号泣しているところを見ると大丈夫なのだろう。
あとは演技力がものを言ったなー!
アクションも迫力があったし顔が良かったし声は良かったし楽しかったー!
いやそれにしても隣の子は泣きすぎだ。
そろそろ会場を出たいんですけども。
私はラナージュの背中を摩りながら振り返っていく周りの人たちにニコニコする係になっていた。
主人公の「ルース王子」
婚約者の「隣の国の王女」
王子の幼なじみで親友の「魔術師」
王国最強の男、「剣の騎士」
忠誠心篤い若き騎士団長、「盾の騎士」
明晰な頭脳で王子を生涯導くことになる「賢者」
そして、副題にもある「魔族の王」
あらすじ
昔々ある国に、優しくて賢い王子さまが住んでいました。
隣の国の美しい王女さまとは婚約者同士です。
ある嵐の日、王女さまが魔王に連れ去られてしまいました。
王子さまは王女さまを助けるために、魔王の住む鬼ヶし……魔王の城のある山に向かいます。
王子さまのお供は3人。
魔術師と剣の騎士と盾の騎士です。
3人はとても強いので、王子さまは安心です。
道中、森に住んでいた賢者さまも仲間になってくれました。
山を越え谷を越え海を渡り、雨の中風の中、数々の困難を乗り越えて魔王の城までやってきました。
城の扉を開いたその時です。
盾の騎士が賢者の背中を切りつけました!
なんと、盾の騎士は魔王の手先だったのです!
すぐに剣の騎士が応戦しましたが、盾の騎士は賢者の怪我を治そうとした魔術師を攫って魔王の城に逃げていきました。
王子さまたちは慌てて追いかけます。
城の中にはたくさんの魔族たちがいて、王子さまたちを襲います。
しかし、剣の騎士は最強です。
賢者を負ぶった王子を守ってどんどん魔族を倒していきます。
ようやく、魔王の部屋にやってきました。
そこにいたのは盾の騎士と、連れ去られた魔術師と、檻に入れられた王女さま。
「魔王はどこだ?」
王子さまが呟くのとほぼ同時に、お城に雷が落ちてきました。
大きな音と強い光にみんな目を閉ざします。
そして次に目を開いた時。
魔術師が魔王の姿になっていたのです!
魔王は言いました。
「王子よ、貴様とのお友達ごっこもここまでだ! この国を魔族の国に変えてやる!」
王子さまはショックで動けません。
魔術師は、小さい頃からずっとずっと一緒にいた、王子さまの1番のお友達だったのですから。
しかし魔王は待ってはくれません。
盾の騎士に命令をして攻撃してきます。
剣の騎士が盾の騎士の剣を受けました。
王子におんぶされていた賢者が小さな声で言いました。
「王子、お気持ちは分かりますが、あなたに悲しむ暇はございません。私が王女を助けます。あなたは魔王を倒してください」
魔王の力を少しの間だけ無力化する薬を王子に渡します。
王子は薬を懐に入れ、腰の剣を抜きました。
王子は善戦しますが、魔王の圧倒的な力に追い詰められてしまいます。
もうダメだ!
そう思ったその時、剣の騎士と戦っていたはずの盾の騎士が魔王と王子の間に立ちはだかります。
魔王の刃は盾の騎士を貫きました。
王子と魔王が驚いている隙に、剣の騎士は後ろから魔王を切りつけます。
魔王は倒れ、傷をすぐに回復しようとしましたが、王子は賢者から貰った薬をふりかけそれを阻止しました。
痛みに苦しみながら魔王は言います。
「私はまたこの地に生まれ、貴様の子孫を根絶やしにしてやる」
呪いの言葉を聞いて王子は言いました。
「その時にはまた、私の子孫はお前を殺すだろう」
王子の剣が魔王の胸を貫くと、砂のように消えていってしまいました。
戦いが終わった後、賢者に檻から出してもらった王女が王子のところへやってきて、抱きしめあってめでたしめでたし。
いやめでたくねぇよ。
親友をなくした王子の気持ちは?
盾の騎士どうなった??
賢者の背中の傷はどうした??
と、思うでしょう。
その他ツッコミどころ満載。
なんで魔王は王女攫ったんよ。とか。
でも伝承なんてこんなもんで。
そこを埋めるのが作家の想像力の見せどころだった。
例えば、盾の騎士は魔王に洗脳されてたパターンと自分の意志パターンがある。
それによって台詞とか剣の騎士との関係性も変わる。どちらにせよ最後は剣の騎士に自分の盾を預けて99%死んでしまうんだけども。
今回の演劇でもそうだった。
仲間が死んだ方が物語が盛りあがるからだろうか。
ラナージュはこの辺りから泣いている気配があった。
しかし今回の劇の泣きどころはそのあと、魔王が消えるシーンだ。
通常、この物語の魔王は「なんでかわからんけどとにかく人類を滅ぼしたくて世界征服したい」タイプの悪役である。
が、この劇では王子との友情を相当重視していた。
魔王の最後の言葉は呪いの言葉ではなく。
「私のいない世界で、お前は世界一の王になれ」
と伝え、王子の剣を握って自分で胸を貫き消えていく。
「魔王が消えると魔族も消えます。魔王は王子の治世で魔族が暗躍しないために消えることを選んだのです」
と賢者が王子に伝え、王子は涙を堪えて立ち上がる。
場面切り替えで数年後に戴冠式をして幕。
魔族はとにかく忌み嫌われているので、この手の終わりはありそうでなかった。
おそらくこの世界の人には斬新だったはず。
受け入れられるかは謎だが隣でラナージュが号泣しているところを見ると大丈夫なのだろう。
あとは演技力がものを言ったなー!
アクションも迫力があったし顔が良かったし声は良かったし楽しかったー!
いやそれにしても隣の子は泣きすぎだ。
そろそろ会場を出たいんですけども。
私はラナージュの背中を摩りながら振り返っていく周りの人たちにニコニコする係になっていた。
11
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい
こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。
社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。
頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。
オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。
※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる