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なんか弱点ないのか
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空になった色とりどりの酒瓶がテーブルに並び、つまみの皿は空になっている。
心臓の音が早く、体が熱い。
アルコールが完全に回っているディランは、真っ赤な頬に潤んだ瞳で影千代を睨み上げる。
「酒もつええのかよ! なんか弱点ねぇのかお前ぇ……」
本音がダダ漏れになっているディランを見て、影千代はグラスを傾けて目を細めた。
皮肉を交えながらも和やかに会話を交わし、互いに酒を注ぎあった。呑んだ量は変わらないはずだ。
それでも影千代の白い顔は、仄かに頬が色づいてはいるが、背筋はしっかりと伸びて酔っている様子はほとんどない。
「私の弱点を探っていたのか?」
「剣も泳ぎも……お前に負けてばっかだから……今度は、勝ってやろうと思ったのに……」
ディランの目は既に焦点が合わなくなっており、思考がぼんやりとしてくる。
トロリと重くなった瞼を落としていく。
影千代はそのまま寝て行きそうなディランの頭にそっと手を伸ばす。
「あ!」
「っ!?」
指先が髪に触れるか触れないかのところでディランが頭をガバッと上げた。
体を跳ねさせ慌てて手を引っ込めた影千代を、座った目でじっと見つめ真剣な声を出す。
「キスは俺の方が絶対うまい」
「は……っ!?」
言うや否や、ディランは立ち上がる。
影千代の浴衣の合わせ目を鷲掴んで引き寄せた。
突然のことに反応が遅れた影千代に、その勢いのまま噛みつくように唇を重ね合わせた。
「……ん、ぅ」
開いたままの唇を無遠慮に舌で割り開き、アルコールの味の残る影千代の口内へ差し入れた。
慣れた動きで上顎をなぞり、戸惑う舌を絡めとる。
「ふ、……っ」
されるがままになっていた影千代だったが、次第に動きを合わせて角度を変える合間に呼吸をする。
テーブルに片手をついてきちんと立つと、ディランの後頭部に手を添えて髪に指を絡めてくる。
舌が意思を持って動き始め、ディランの熱くなった口の奥まで犯していく。
(気持ちいい……)
夢見心地で唇を喰み、溢れてくる唾液を混ぜあう。
じゅうっと吸って、ゆっくりと唇を離せば二人の間を銀糸が繋いだ。
「っは……」
目の前には、頬を紅潮させて肩で息をする影千代がいた。
自分も酒は関係なく体温が上がり鼓動が早くなるのを感じつつ、ディランは口角を上げる。
「良い顔になってんじゃねぇか」
「お前も、な」
同じように影千代も笑っているが、透き通るような青色の中に欲がちらつくのをディランは見逃さなかった。
朱に染まった首筋に顔を寄せると、皮膚の薄い部分に舌を這わせる。
「……っ」
影千代からくぐもった声が漏れるのを聞き、更に気分を良くした。
息を多く含んだ声で囁きかける。
「ノってきた。ベッド行こうぜ? お前のせいで色々溜まってんだよ責任とれ」
「……飲み過ぎだ」
影千代は甘美な誘惑を振り切るように目を閉じ、唸るように呟く。
「酔った勢いも大事だ……わぁっ」
行儀悪くテーブルに乗り上げ追い打ちを掛けようとしたディランは、逞しい肩に抱え上げられすぐ隣にある広いベッドへと移された。
心臓の音が早く、体が熱い。
アルコールが完全に回っているディランは、真っ赤な頬に潤んだ瞳で影千代を睨み上げる。
「酒もつええのかよ! なんか弱点ねぇのかお前ぇ……」
本音がダダ漏れになっているディランを見て、影千代はグラスを傾けて目を細めた。
皮肉を交えながらも和やかに会話を交わし、互いに酒を注ぎあった。呑んだ量は変わらないはずだ。
それでも影千代の白い顔は、仄かに頬が色づいてはいるが、背筋はしっかりと伸びて酔っている様子はほとんどない。
「私の弱点を探っていたのか?」
「剣も泳ぎも……お前に負けてばっかだから……今度は、勝ってやろうと思ったのに……」
ディランの目は既に焦点が合わなくなっており、思考がぼんやりとしてくる。
トロリと重くなった瞼を落としていく。
影千代はそのまま寝て行きそうなディランの頭にそっと手を伸ばす。
「あ!」
「っ!?」
指先が髪に触れるか触れないかのところでディランが頭をガバッと上げた。
体を跳ねさせ慌てて手を引っ込めた影千代を、座った目でじっと見つめ真剣な声を出す。
「キスは俺の方が絶対うまい」
「は……っ!?」
言うや否や、ディランは立ち上がる。
影千代の浴衣の合わせ目を鷲掴んで引き寄せた。
突然のことに反応が遅れた影千代に、その勢いのまま噛みつくように唇を重ね合わせた。
「……ん、ぅ」
開いたままの唇を無遠慮に舌で割り開き、アルコールの味の残る影千代の口内へ差し入れた。
慣れた動きで上顎をなぞり、戸惑う舌を絡めとる。
「ふ、……っ」
されるがままになっていた影千代だったが、次第に動きを合わせて角度を変える合間に呼吸をする。
テーブルに片手をついてきちんと立つと、ディランの後頭部に手を添えて髪に指を絡めてくる。
舌が意思を持って動き始め、ディランの熱くなった口の奥まで犯していく。
(気持ちいい……)
夢見心地で唇を喰み、溢れてくる唾液を混ぜあう。
じゅうっと吸って、ゆっくりと唇を離せば二人の間を銀糸が繋いだ。
「っは……」
目の前には、頬を紅潮させて肩で息をする影千代がいた。
自分も酒は関係なく体温が上がり鼓動が早くなるのを感じつつ、ディランは口角を上げる。
「良い顔になってんじゃねぇか」
「お前も、な」
同じように影千代も笑っているが、透き通るような青色の中に欲がちらつくのをディランは見逃さなかった。
朱に染まった首筋に顔を寄せると、皮膚の薄い部分に舌を這わせる。
「……っ」
影千代からくぐもった声が漏れるのを聞き、更に気分を良くした。
息を多く含んだ声で囁きかける。
「ノってきた。ベッド行こうぜ? お前のせいで色々溜まってんだよ責任とれ」
「……飲み過ぎだ」
影千代は甘美な誘惑を振り切るように目を閉じ、唸るように呟く。
「酔った勢いも大事だ……わぁっ」
行儀悪くテーブルに乗り上げ追い打ちを掛けようとしたディランは、逞しい肩に抱え上げられすぐ隣にある広いベッドへと移された。
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