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 玄関の扉を開けた瞬間から漂ってくる味噌と出汁の香り。

「おかえり!」

 と、満面の笑顔で迎えてくれる二階堂。

 ひらめく白いエプロンが日焼けした肌に映える。
 剥き出しの引き締まった二の腕や素足が眩しくて、八田は目尻を下げた。

「ただいま」

 すぐに抱きしめたかったが、夜とはいえ外は蒸し暑い。
 その中を急ぎ足で歩いてきた八田の体にはじっとりと汗が滲んでいて、肌着がへばりつくのを感じるほどだった。

 すでに風呂を済ませているであろう二階堂に触れるのは気が引ける。
 だがそんなことを考えているうちに、二階堂の腕が首に絡んできた。

「いつも遅くまでお疲れさん!」

 高身長の八田と低身長の二階堂は、20センチほど身長差がある。
 二階堂は精一杯背伸びをして八田に抱きついていた。
 柔らかい毛質の髪が鼻を擽り、八田は唇を緩ませる。

 愛おしさに任せて、遠慮なく抱きしめ返した。
 頬に唇を寄せると二階堂も同じように返し、蠱惑的な瞳を向けてくる。

「……八田、やる気満々って顔してんな」
「あんな写真送られたら、当たり前だろ」

 ここまでは、妄想通りだったのだ。

「二階堂、我慢できないもうこのまま1回だけ……ん?」

 しなやかな背中から腰まで手のひらを滑らせた八田は、その感触に眉をひそめた。

 途中まで間違いなくしっとりとした素肌の感触だったはずが、腰から下には明らかに布がある。
 八田は二階堂の肩越しに、その正体を確認した。

「なんでパンツなんて履いてるんだ」

 しかもトランクス。
 色気の欠片もない遊園地のマスコットキャラクターがでかでかと描かれている。

 視線を二階堂に戻すと、悪戯が成功した子どものような顔で見上げてきていた。

「履いてないなんて一言も言ってねぇけど?」

 口の片端を上げて、するりと八田の腕から抜け出していく。
 完全に確信犯である。

(許さん)

 八田の目が据わったことに気が付かない二階堂は、背を向けてダイニングへと歩いて行った。

 白いリボンが可愛らしいエプロン姿に、肩甲骨の浮いた色気のある背中。
 だというのに、形のいい双丘は無粋なパンツに覆われている。

「飯食うだろ?『準備』しといたぜ」

 しれっと言う二階堂は、二人掛けのダイニングテーブルの椅子を引いて座るように促してくる。

「……えっ?」

 が、八田は座らず、背後から二階堂の腰を抱き寄せた。
 驚く二階堂をすっぽりと包みながら、耳元に唇を寄せる。

「履いたままがいいと、そういうことだな?」
「……っ」

 直接耳に声を吹き込むと、二階堂の背筋が跳ねる。
 反応に気を良くして、八田は耳に濡れた舌を這わせた。
 形を辿るようにゆっくりと動く舌。
 熱い吐息をこぼして耐える二階堂が体を捩る。

「んっ……」

 腰に片腕を腕を巻き付け逃げられないようにし、エプロンの上から胸に触れる。
 まだ何も反応をしていない突起を的確に摘むと、指先で柔らかく揉む。

「ぁっ……ん……」
「エプロンの上からでも感じるんだな」
「ぁあっ」

 中指と親指でつまみ上げ、突起の天辺を人差し指で押しつぶすと高い声が上がった。
 二階堂は涙目で膝を擦り合わせ、見上げてきた。

「……っ、八田、やるならちゃんと……」

 布越しではもどかしいのだろう。
 腰を支える腕を、行き場の無い両手が握りしめてくる。

 肌を赤く染めて八田に小さな体を預けている様子から、二階堂が既にその気になっていることは一目瞭然だった。
 八田は、色づいた頸に唇を寄せて吸い上げる。

「ちゃんとって?」
「……っ! お前、性格悪いぞ……んぁっ」
「言えよ、やってほしいこと」

 白いエプロンを擦り付けるように突起を弄り、八田は口端を上げた。
 二階堂の息が本格的に乱れ始めた。

「だ、から……っ、直接触って……」
「どこに? ここか?」
「やぁっ」

 エプロンを押し上げている二階堂の中心に、腰を支えていた手を伸ばす。
 大きな手で鷲掴みにすると、布越しにもかかわらず二階堂の甘い声が響く。
 下着もエプロンも、無いものかのようにそのまま揉みしだいた。

「あ、パンツ擦れ……っ」

 衣擦れの音を立てながら、熱を持った二階堂の中心を扱く。
 だんだんと手がしっとりとしてきて、先走りが溢れてくるのを感じる。

「エプロンまで、湿ってきたな?」
「分かってる、なら! 触ってくれよ……っ」

 自分で触れようとしても八田の手はそれを許さない。
 結果、二階堂はただひたすらレースエプロンの裾を握り締めるしかなかった。
 その様子も上がる矯声も、八田の支配欲を満たし興奮させてくる。
 すっかり猛った自分自身を、リボンのついた腰にぐりぐりと押し当てる。

「あ、当たってっ……ぁあんっ」

 責める手を緩めず腕の中の反応を堪能していると、二階堂が本気で抵抗を始める。
 腕に爪が食い込んできた。

「まって、イきそ……っパンツ脱ぎたぃいっ」
「このままイけよ」
「そんなのヤダぁっ!」

 最早脱いでも脱がなくても同じなほど下着は汚れているというのに、必死で首を振り涙声で訴えてくる。
 しかし、それは八田を煽るだけだった。

 手のひらで二階堂のモノの先端を、強く擦り付ける。

「ぁっンッ……!」

 両手の甲で口を抑え、体を大きく跳ねさせた二階堂。
 太腿が痙攣し、立っているのがやっとな状態だ。

 そして、エプロンにジワリと広がるシミ。
 八田が押さえつけているせいで、通常よりも白濁が布によく染み込んでいく。

「う、ぁ……っ、こんなの……」

 快楽の証とはいえ、粗相をしたかのような光景だ。
 達したばかりで恍惚とした目をしているのに、まだ残る理性が二階堂を羞恥に震えさせる。

「パンツ、履いたままイけたな? ぐちゃぐちゃなんじゃないか?」

 耳に歯を立てて八田が笑む。
 二階堂は何も答えずに鼻を啜った。
 引いていた椅子を退け、まだ何も運ばれていなかったテーブルに二階堂の手をつかせる。

「ぁ……、まだ? 飯は……」

 されるがままになりながらも、八田を気遣う言葉を紡ぐ二階堂に愛しさが募る。
 ズボンを持ち上げている猛ったモノを、双丘に押し当てた。

「俺のこれを、放っておく気か?」
「ほんとにやる気満々じゃねぇか……」
「当たり前だ。飯のことなんて頭にないくらいだったのにお前ときたら」

 憎々しいキャラクターが笑う下着の上から、今度は双丘を掴む。
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