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一章
7話 お詫び⭐︎
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「よし、大丈夫そうだな。ピング殿下……あれ?」
リョウイチがアトヴァルを追いかける足音が遠ざかるのを聞きながら、ティーグレはずっと腕の中にいたピングの顔を覗き込んでくる。
「な、な、なんで……」
バクバクと、心臓が嫌な音を立てている。
見聞きしてしまったことが、あまりにも衝撃的過ぎて。
好いた相手と弟が触れ合って、教室で背徳的な行為に興じていたなんて。
そんな二人の行為に見入ってしまったなんて。
自分が信じられない。
震えるピングの細い体を、ティーグレは宥めるように抱き締め直す。ふわりといつものように頭を撫でられた。
「すみません、巻き込んで。絶対に邪魔が入らないようにホワイトタイガーに見張らせてたんですが……まさかピング殿下が」
「リョウイチと、アトヴァルは……恋仲だったのか……」
「いやまだその段階じゃないですけど」
一緒に覗き行為をしていたくせに、ティーグレは罪悪感すら感じていないようだ。普段とまったく変わらない様子で、リョウイチとアトヴァルの関係をあっさりと否定した。
ピングは納得がいかずに、ティーグレの胸元を掴む。
「あ、あんなこと! 恋仲じゃないと」
「まぁ媚薬イベなんで不可抗力ですよ」
「ま、また意味の分からないことを」
「ところで、ピング殿下」
状況把握しようと必死なピングの言葉をさらりさらりと流してしまったティーグレ。
眉を寄せて詰め寄ろうとするピングの腰を撫でながら、じっと見つめてきた。
ピクリと腰を緊張させながら、ピングは負けじと睨み付ける。
「な、なんだ」
「もしかして、興奮しちゃいました?」
「え? ……ぁっ!?」
口端を片方だけ上げたティーグレが、膝でピングの中心をグッと押してきた。思わず高い声を上げてしまったピングは、慌ててティーグレから体を離して自分の下半身を確認する。
指摘の通り、ピングの中心は狭そうにズボンを押し上げていた。
二人の行為を見て、浅ましく反応してしまった証拠がソコにある。
ピングは混乱しながらも慌てて手で隠し、床にペタンと座り込んだ。
「ち、違う、これは……!」
「何が違うんです?」
ティーグレはしゃがんでピングに目線を合わせ、追い打ちをかけるように首を傾げてきた。
「アトヴァル殿下とリョウイチ、気持ちよさそうでしたもんね」
「か、関係ない……! これは」
「隠さなくてもいいですよ。ああいうこと、したくなったんでしょ?」
「そんなわけないだろ! あんな、あんな……ゃぁっ」
今にも泣きそうな青い瞳に微笑み掛けながら、ティーグレはピングの中心を掴んできた。
「お詫びにしてあげます」
「おわ、び……っ!?」
これのどこがお詫びなんだ、と抗議したかったのに言えなかった。
長い指に中心をやわやわと揉まれて、腰が跳ねる。布の上からなのに、ピングの体は的確に快感を拾った。体から力が抜けていってしまう。
「ぁ……ぁ……っ」
「この方がやりやすいかな」
「へ……?」
低い声でティーグレが呟いたかと思うと、ふわりと体が浮いた。そのまま、床に胡座をかいたティーグレの足に乗せられる。
こんな状況でも、慣れたぬくもりに包まれるとほっとしてしまうピングだったが。
ズボンの中に手が入ってきて正気に戻った。
今更ながら、ジタバタと足や手で抵抗する。
「待て待て! ……っ正気になれティーグ……んんっ……」
大きな声を出したのも束の間、後ろから耳に歯を立てられて口を閉じた。背筋に電流が走ったかのように体が震える。
「リョウイチも言ってたでしょ? このままじゃ動けないって」
「ひ……ぅ……っ」
聞き慣れているはずの深い声が、この状況下では凶器のようだった。耳元で話されるだけでも、腹の奥が熱くなる。
更に耳を濡れた舌でじっとりと舐め上げられてしまえば、ピングはティーグレの腕の中で身悶えることしか出来なくなった。
「耳、弱いですよね」
「な……んでっ」
自分でも知らなかった弱点を、ティーグレは難なく暴いてくる。
リョウイチがアトヴァルを追いかける足音が遠ざかるのを聞きながら、ティーグレはずっと腕の中にいたピングの顔を覗き込んでくる。
「な、な、なんで……」
バクバクと、心臓が嫌な音を立てている。
見聞きしてしまったことが、あまりにも衝撃的過ぎて。
好いた相手と弟が触れ合って、教室で背徳的な行為に興じていたなんて。
そんな二人の行為に見入ってしまったなんて。
自分が信じられない。
震えるピングの細い体を、ティーグレは宥めるように抱き締め直す。ふわりといつものように頭を撫でられた。
「すみません、巻き込んで。絶対に邪魔が入らないようにホワイトタイガーに見張らせてたんですが……まさかピング殿下が」
「リョウイチと、アトヴァルは……恋仲だったのか……」
「いやまだその段階じゃないですけど」
一緒に覗き行為をしていたくせに、ティーグレは罪悪感すら感じていないようだ。普段とまったく変わらない様子で、リョウイチとアトヴァルの関係をあっさりと否定した。
ピングは納得がいかずに、ティーグレの胸元を掴む。
「あ、あんなこと! 恋仲じゃないと」
「まぁ媚薬イベなんで不可抗力ですよ」
「ま、また意味の分からないことを」
「ところで、ピング殿下」
状況把握しようと必死なピングの言葉をさらりさらりと流してしまったティーグレ。
眉を寄せて詰め寄ろうとするピングの腰を撫でながら、じっと見つめてきた。
ピクリと腰を緊張させながら、ピングは負けじと睨み付ける。
「な、なんだ」
「もしかして、興奮しちゃいました?」
「え? ……ぁっ!?」
口端を片方だけ上げたティーグレが、膝でピングの中心をグッと押してきた。思わず高い声を上げてしまったピングは、慌ててティーグレから体を離して自分の下半身を確認する。
指摘の通り、ピングの中心は狭そうにズボンを押し上げていた。
二人の行為を見て、浅ましく反応してしまった証拠がソコにある。
ピングは混乱しながらも慌てて手で隠し、床にペタンと座り込んだ。
「ち、違う、これは……!」
「何が違うんです?」
ティーグレはしゃがんでピングに目線を合わせ、追い打ちをかけるように首を傾げてきた。
「アトヴァル殿下とリョウイチ、気持ちよさそうでしたもんね」
「か、関係ない……! これは」
「隠さなくてもいいですよ。ああいうこと、したくなったんでしょ?」
「そんなわけないだろ! あんな、あんな……ゃぁっ」
今にも泣きそうな青い瞳に微笑み掛けながら、ティーグレはピングの中心を掴んできた。
「お詫びにしてあげます」
「おわ、び……っ!?」
これのどこがお詫びなんだ、と抗議したかったのに言えなかった。
長い指に中心をやわやわと揉まれて、腰が跳ねる。布の上からなのに、ピングの体は的確に快感を拾った。体から力が抜けていってしまう。
「ぁ……ぁ……っ」
「この方がやりやすいかな」
「へ……?」
低い声でティーグレが呟いたかと思うと、ふわりと体が浮いた。そのまま、床に胡座をかいたティーグレの足に乗せられる。
こんな状況でも、慣れたぬくもりに包まれるとほっとしてしまうピングだったが。
ズボンの中に手が入ってきて正気に戻った。
今更ながら、ジタバタと足や手で抵抗する。
「待て待て! ……っ正気になれティーグ……んんっ……」
大きな声を出したのも束の間、後ろから耳に歯を立てられて口を閉じた。背筋に電流が走ったかのように体が震える。
「リョウイチも言ってたでしょ? このままじゃ動けないって」
「ひ……ぅ……っ」
聞き慣れているはずの深い声が、この状況下では凶器のようだった。耳元で話されるだけでも、腹の奥が熱くなる。
更に耳を濡れた舌でじっとりと舐め上げられてしまえば、ピングはティーグレの腕の中で身悶えることしか出来なくなった。
「耳、弱いですよね」
「な……んでっ」
自分でも知らなかった弱点を、ティーグレは難なく暴いてくる。
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