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作戦③

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 リリアムは相手に魅了魔法がかかっている事を確認して、内心ガッツポーズをする。
 人相手には初めてだったので、成功するか半信半疑であった。
 もし、失敗したらすぐさまカシムを呼び、逃げるつもりだった。

「聞きたい事って言うのは、ゲルガについてです。最近おかしなところ等ありませんでしたか?」

 そう問われ、ソーシウスは顎に手を当て少し考える。
 魅了されてるとは言え、通常の思考は出来るようだ。

 眉間に皺を寄せていたが、何か思い付いたのだろう。
 パッと表情が明るくなった。

「役に立つ情報かはわからないが、ゲルガの手が異様に冷たかった気がする。あとは、毎日同じ時間に研究室に入る」

 少年王曰く、今までその様な事は無かったらしい。
 手は熱いほどだったし、同じ時間に何かをやるということもなかった。

 これは裏が取れるかもしれない。
 そう思い、ゲルガが研究室に行く時間を聞く。

 すると……。

「もうじきその時間になる。この城は迷路の様になっているから僕が案内しよう!」

 少し興奮気味に案内を申し出る。
 有難いが、魅了が効きすぎたか?と少女は苦笑いした。


 ーーーー


 案内があると無いとじゃここまで違うのかというぐらい、すぐに目的地についた。

 まだ、件の男は来ていないらしい。
 2人は息を潜めて、扉を見守る。



 数分後、ゲルガが研究室に入っていった。
 それを確認すると少女は少年に自室に戻る様促す。
 正直、このまま一緒にいられると邪魔にしかならない。

 だが、リリアムが心配だからと動こうとしない。
 仕方がないので、何かあった時、王が庇ってくれるならと承諾をする。
 作戦の邪魔にはなるが、王が近くにいれば不測の事態が起きた時、言い訳がきく。

 中の者に気付かれない様、音を立てない様扉を開け、研究室へ入る。
 そこそこ広い部屋には、魔物の標本や何かの液体がゴポゴポと泡立っている。
 書類は高く積み上げられ、散乱しているものもあった。
 薄暗いので、身を隠して進むには都合が良い。

 ゲルガはどこだろう。
 腰を低くして、男を探す。

 声を出さない様に口を押さえていた少年王が突然、驚いた表情でリリアムの肩を叩き、視線の方向を指さす。
 少女は指された方を見て、思わず息をのみ目を見開いた。

 その先には、液体が入った水槽の中にゲルガが浮かんでいるのが見えた。
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