16 / 84
第1章 高校1年生 1学期
第15話 体育祭。(中編)
しおりを挟む
体育祭当日は雲ひとつ無い晴天だった。
夏の足音はまだずっと遠く、過ごしやすい気温だ。
そう。
絶好の体育祭日和である。
「お前ら、準備はいいか?」
校庭の片隅で私たちは円陣を組んでいた。
「2位以下は論外だ。狙うは優勝のみ。先輩たちもぶちのめして、焼きそばパンかっさらうぞ。いいか!?」
「「「おー!」」」
体育祭が始まった。
◆◇◆◇◆
まずは徒競走。
これは運動能力測定の倍の距離、100mをクラス全員が1人づつ走る。
うちのクラスは結構足の速い人が多い。
「ナキくん速いよね」
「仁乃さんや実梨さんもなかなかだったし」
「これは結構いいところまで行くんじゃない?」
私?
訊かないで。
私のことはどうでもいいとして、波乱もあった。
「冬馬が負けた!」
「あの人誰!?」
「真島だろ。B組の」
「カッコイイねー」
総大将の冬馬が負けたのだ。
負かしたのは眼鏡武士こと――真島 誠。
激しい運動をするためか、今日は眼鏡を掛けていないのでちょっと違うか。
とにかく、速かった。
「くっそ……。また負けた……。カッコわりぃ……」
「相手が悪かったんや。2着でも十分やって」
「そー、そー」
落ち込む冬馬をナキといつねさんが慰めている。
私は息切れで死んでいて、仁乃さんに心配されていた。
少々、予定が狂った部分もあるが、それでも私たち1年A組は全学年18クラス中、4位につけた。
前に言ったチーム分けについてもう少し詳しく説明しておこう。
3学年6組計18クラスを、競技ごとに1つの学年が1つずつ含まれるようにランダムで6チーム作るのだ。
例えば先ほどの徒競走、私たちのクラスの所属する桂馬チームは3年D組、2年C組との合同チーム。
飛車チームが1位となったので、そこに所属する3クラスが全て1位のポイントを獲得し、私たちは2位のポイントを獲得した。
初戦だけ紛らわしいが、1位のチームが3クラスあるので、私たちは全体では4位ということになる。
次の競技ではまたチームの組み合わせが変わって、これを繰り返すという訳である。
生徒全員が出場してしまうなら運営はどうするのか、と疑問に思う人もいるかもしれない。
実は専門の業者に頼むのだ。
イベント関係を手がける業者が、企画段階から絡んでいる。
当日の運営も彼らが行う。
実況もプロが行うので、その盛り上がりたるや推して知るべしである。
生徒の自主性を育むということで、これ以降の学校イベントは学生主体で運営も行われるが、体育祭だけは特別扱いなのだ。
閑話休題。
4位ならばまずまずの出だしである。
今後のがんばりで1位も夢ではない。
もっとも、まだ第1種目。
まだまだ先は分からない。
第2種目は綱引き。
これもクラス全員参加だ。
「オーエス、オーエス!」
3年生(今度はB組)の掛け声に合わせて、私たちも必死に綱を引く。
余談だが、3学年総勢90人同士、計180人で引く綱は大変長い。
重さも相当なものである。
この縄は百合ケ丘開校当初から受け継がれているものらしい。
というか、こんなの体育祭の時にしか使い道ないよね。
綱引きの結果、私たちのクラスの順位は8位に転落。
半分よりは辛うじて上だが、優勝は遠のいた。
「2、3年生にもっとパワーがあればな……」
「わいらのクラスかてパワーよりスピードやからしゃーない、しゃーない」
「手が痛いです」
「お姉さま、消毒ですわ」
「にののん、準備がいいねー」
第3競技は借り物競争。
「みのりん、ガンバレー」
「ふぁいとー!」
スタートラインに着く実梨さんに、佳代さんと幸さんが声援を送る。
実梨さんはひらひらと手を振り返していた。
「よーい……」
パン!
ピストルの音とともに全者一斉に走りだした。
実梨さんはいいスタートだ。
好順位で借り物を書いた紙の所まで辿り着く。
紙を読んだ実梨さんは、キョロキョロもせず、一目散にこちらへ走ってきた。
「え? 僕?」
実梨さんは柴田先生の手を取ると、ゴールに走っていった。
そして見事一着でゴール。
「やったね、みのりん」
「指定はなんだったの?」
「えーと……。音楽の先生」
「あー。なるほど」
丁度よく担任だった訳だ。
でも、紙を後ろ手に隠すのはどうして?
「次は佳代ちゃんとさっちゃんだね。頑張って!」
「任せときなさい」
「がんばる」
和気あいあいと話しながら歩いて行く3人を見送る。
佳代さんと幸さんは待機、実梨さんは近くで応援するのだろう。
ふと、何か白いものがひらりと落ちた。
拾ってみる。
どうも先ほどの借り物競争の紙らしい。
開いてみて、ニヤリとする。
そこには、好きな人と書かれていた。
へー。実梨さんがねー。ふーん。
順位は6位に上昇。
勢いに乗りたいところだ。
第4種目は障害物競争。
麻袋飛び、網くぐり、跳び箱、平均台の4つの障害を乗り越えて走る競技である。
事前練習が難しい競技なので、出場者のセンスが問われる。
佳代さんと幸さんは健闘して2位だった。
網くぐりまでは2人とも1位だったのだが、佳代さんは平均台、幸さんは跳び箱でつまづいた。
「2人ともお疲れ様!」
「ごめん」
「許せみのりん」
「2位でも上出来だよ! 冬馬様やナキくんだって2位だったじゃない」
2人を慰めるつもりで言ったのだろうが、それを耳にした冬馬とナキがずーんと肩を落とした。
彼らも1位になれなかったのだ。
徒競走で1位を取っていたナキはともかく、冬馬はかなり不本意のようだ。
「冬馬様も音頭を取るにしては不甲斐ないですわね」
「いやいやー。頑張った方だよー」
まあ、障害物競走は単に足が早いだけではダメだしね。
先程も言ったが、センスが必要なのだ。
っていうか、出場種目の組み合わせ、本当に熟考した結果なのだろうか。
順位は変わらず6位。
まだ優勝を狙える位置だが、順位を上げたい。
そしていよいよ第5種目。
いつねさんと私が出場する二人三脚である。
「和泉ー、がんばれー!」
「いつねちゃんも、気張りやー!」
「お姉さま、お怪我だけはなさらないでー!」
「和泉様、いつねちゃん、頑張って!」
冬馬、ナキ、仁乃さん、実梨さんの応援を耳にしながらスタートラインに向かう。
「いずみん、リラックスリラックス」
「……そうですね」
足元が近いいつねさんが足を結んでくれた。
緊張も解きほぐしてくれる。
「練習通りにやれば大丈夫だって」
「ええ」
「とーまくんには悪いけど、1位になれなくたって平気だから」
「ええ」
「最初の足は?」
「内側から」
「よし!」
下から見上げてくる丸い顔がにっこりと微笑んだ。
私はこくりと頷いた。
スタートラインに着く。
ドキドキする。
それほど長い時間ではなかったはずなのに、私には随分と長く感じた。
パン!
ピストルが鳴り響くと同時に内側の足を出す。
スタートは――問題ない。
「いっち、に。いっち、に」
呼吸を合わせて走る、走る。
無我夢中だった。
タイミングをあわせることに集中する。
いつねさんの足の動きから、鼓動まで伝わる感じがする。
「いずみん、あと少し!」
「!」
いつねさんの声で我に返る。
練習の甲斐あってか、他の走者からそれほど遅れていない。
いや、むしろリードしている。
「いけるよ!」
そういつねさんが口にした瞬間――。
彼女の体制が崩れるのが分かった
「っ――!」
とっさに腕を回していつねさんを支えた。
少しスピードが落ちたものの、私たちはそのまま走りきり、そして――。
「いずみん、やったよ!」
「はぁ……。はぁ……」
肩で息をする私に、頬を紅潮させたいつねさんが抱きついてくる。
「……やりましたね」
「うん!」
結果は1着であった。
「いずみん、ありがとう!」
「……何がですか」
「あたし、転びそうになった時、いずみんが支えてくれたでしょう? いけるって思ったら、油断しちゃって」
「言ったじゃないですか」
「?」
「共同責任、でしょう?」
「! ……うん!」
いつねさんは一層強く抱きついて来た。
「暑苦しいです」
「えへへ……」
「いえ。えへへじゃなくてですね……」
「ツンデレ乙」
「冬馬くんも、来るなり何を言っているんですか」
「いや、よくやった。オレは信じていたぞ」
「よく言いますね。捨て駒とか言っていたくせに」
「お二人さん、よーやったな!」
「お姉さまから離れなさい!」
「やりましたね!」
冬馬が、ナキが、仁乃さんが、実梨さんが、祝福してくれた。
「……疲れました。座って休んできます」
「あたしも一緒に行くー」
「どうぞ、ご自由に」
「ツンデレ乙」
「黙れ万年2位」
「ぐはっ」
くたくただ。
1着なんて別に嬉しくない。
一刻も早く座りたい。
でも。
不思議と、悪い気分ではなかった。
夏の足音はまだずっと遠く、過ごしやすい気温だ。
そう。
絶好の体育祭日和である。
「お前ら、準備はいいか?」
校庭の片隅で私たちは円陣を組んでいた。
「2位以下は論外だ。狙うは優勝のみ。先輩たちもぶちのめして、焼きそばパンかっさらうぞ。いいか!?」
「「「おー!」」」
体育祭が始まった。
◆◇◆◇◆
まずは徒競走。
これは運動能力測定の倍の距離、100mをクラス全員が1人づつ走る。
うちのクラスは結構足の速い人が多い。
「ナキくん速いよね」
「仁乃さんや実梨さんもなかなかだったし」
「これは結構いいところまで行くんじゃない?」
私?
訊かないで。
私のことはどうでもいいとして、波乱もあった。
「冬馬が負けた!」
「あの人誰!?」
「真島だろ。B組の」
「カッコイイねー」
総大将の冬馬が負けたのだ。
負かしたのは眼鏡武士こと――真島 誠。
激しい運動をするためか、今日は眼鏡を掛けていないのでちょっと違うか。
とにかく、速かった。
「くっそ……。また負けた……。カッコわりぃ……」
「相手が悪かったんや。2着でも十分やって」
「そー、そー」
落ち込む冬馬をナキといつねさんが慰めている。
私は息切れで死んでいて、仁乃さんに心配されていた。
少々、予定が狂った部分もあるが、それでも私たち1年A組は全学年18クラス中、4位につけた。
前に言ったチーム分けについてもう少し詳しく説明しておこう。
3学年6組計18クラスを、競技ごとに1つの学年が1つずつ含まれるようにランダムで6チーム作るのだ。
例えば先ほどの徒競走、私たちのクラスの所属する桂馬チームは3年D組、2年C組との合同チーム。
飛車チームが1位となったので、そこに所属する3クラスが全て1位のポイントを獲得し、私たちは2位のポイントを獲得した。
初戦だけ紛らわしいが、1位のチームが3クラスあるので、私たちは全体では4位ということになる。
次の競技ではまたチームの組み合わせが変わって、これを繰り返すという訳である。
生徒全員が出場してしまうなら運営はどうするのか、と疑問に思う人もいるかもしれない。
実は専門の業者に頼むのだ。
イベント関係を手がける業者が、企画段階から絡んでいる。
当日の運営も彼らが行う。
実況もプロが行うので、その盛り上がりたるや推して知るべしである。
生徒の自主性を育むということで、これ以降の学校イベントは学生主体で運営も行われるが、体育祭だけは特別扱いなのだ。
閑話休題。
4位ならばまずまずの出だしである。
今後のがんばりで1位も夢ではない。
もっとも、まだ第1種目。
まだまだ先は分からない。
第2種目は綱引き。
これもクラス全員参加だ。
「オーエス、オーエス!」
3年生(今度はB組)の掛け声に合わせて、私たちも必死に綱を引く。
余談だが、3学年総勢90人同士、計180人で引く綱は大変長い。
重さも相当なものである。
この縄は百合ケ丘開校当初から受け継がれているものらしい。
というか、こんなの体育祭の時にしか使い道ないよね。
綱引きの結果、私たちのクラスの順位は8位に転落。
半分よりは辛うじて上だが、優勝は遠のいた。
「2、3年生にもっとパワーがあればな……」
「わいらのクラスかてパワーよりスピードやからしゃーない、しゃーない」
「手が痛いです」
「お姉さま、消毒ですわ」
「にののん、準備がいいねー」
第3競技は借り物競争。
「みのりん、ガンバレー」
「ふぁいとー!」
スタートラインに着く実梨さんに、佳代さんと幸さんが声援を送る。
実梨さんはひらひらと手を振り返していた。
「よーい……」
パン!
ピストルの音とともに全者一斉に走りだした。
実梨さんはいいスタートだ。
好順位で借り物を書いた紙の所まで辿り着く。
紙を読んだ実梨さんは、キョロキョロもせず、一目散にこちらへ走ってきた。
「え? 僕?」
実梨さんは柴田先生の手を取ると、ゴールに走っていった。
そして見事一着でゴール。
「やったね、みのりん」
「指定はなんだったの?」
「えーと……。音楽の先生」
「あー。なるほど」
丁度よく担任だった訳だ。
でも、紙を後ろ手に隠すのはどうして?
「次は佳代ちゃんとさっちゃんだね。頑張って!」
「任せときなさい」
「がんばる」
和気あいあいと話しながら歩いて行く3人を見送る。
佳代さんと幸さんは待機、実梨さんは近くで応援するのだろう。
ふと、何か白いものがひらりと落ちた。
拾ってみる。
どうも先ほどの借り物競争の紙らしい。
開いてみて、ニヤリとする。
そこには、好きな人と書かれていた。
へー。実梨さんがねー。ふーん。
順位は6位に上昇。
勢いに乗りたいところだ。
第4種目は障害物競争。
麻袋飛び、網くぐり、跳び箱、平均台の4つの障害を乗り越えて走る競技である。
事前練習が難しい競技なので、出場者のセンスが問われる。
佳代さんと幸さんは健闘して2位だった。
網くぐりまでは2人とも1位だったのだが、佳代さんは平均台、幸さんは跳び箱でつまづいた。
「2人ともお疲れ様!」
「ごめん」
「許せみのりん」
「2位でも上出来だよ! 冬馬様やナキくんだって2位だったじゃない」
2人を慰めるつもりで言ったのだろうが、それを耳にした冬馬とナキがずーんと肩を落とした。
彼らも1位になれなかったのだ。
徒競走で1位を取っていたナキはともかく、冬馬はかなり不本意のようだ。
「冬馬様も音頭を取るにしては不甲斐ないですわね」
「いやいやー。頑張った方だよー」
まあ、障害物競走は単に足が早いだけではダメだしね。
先程も言ったが、センスが必要なのだ。
っていうか、出場種目の組み合わせ、本当に熟考した結果なのだろうか。
順位は変わらず6位。
まだ優勝を狙える位置だが、順位を上げたい。
そしていよいよ第5種目。
いつねさんと私が出場する二人三脚である。
「和泉ー、がんばれー!」
「いつねちゃんも、気張りやー!」
「お姉さま、お怪我だけはなさらないでー!」
「和泉様、いつねちゃん、頑張って!」
冬馬、ナキ、仁乃さん、実梨さんの応援を耳にしながらスタートラインに向かう。
「いずみん、リラックスリラックス」
「……そうですね」
足元が近いいつねさんが足を結んでくれた。
緊張も解きほぐしてくれる。
「練習通りにやれば大丈夫だって」
「ええ」
「とーまくんには悪いけど、1位になれなくたって平気だから」
「ええ」
「最初の足は?」
「内側から」
「よし!」
下から見上げてくる丸い顔がにっこりと微笑んだ。
私はこくりと頷いた。
スタートラインに着く。
ドキドキする。
それほど長い時間ではなかったはずなのに、私には随分と長く感じた。
パン!
ピストルが鳴り響くと同時に内側の足を出す。
スタートは――問題ない。
「いっち、に。いっち、に」
呼吸を合わせて走る、走る。
無我夢中だった。
タイミングをあわせることに集中する。
いつねさんの足の動きから、鼓動まで伝わる感じがする。
「いずみん、あと少し!」
「!」
いつねさんの声で我に返る。
練習の甲斐あってか、他の走者からそれほど遅れていない。
いや、むしろリードしている。
「いけるよ!」
そういつねさんが口にした瞬間――。
彼女の体制が崩れるのが分かった
「っ――!」
とっさに腕を回していつねさんを支えた。
少しスピードが落ちたものの、私たちはそのまま走りきり、そして――。
「いずみん、やったよ!」
「はぁ……。はぁ……」
肩で息をする私に、頬を紅潮させたいつねさんが抱きついてくる。
「……やりましたね」
「うん!」
結果は1着であった。
「いずみん、ありがとう!」
「……何がですか」
「あたし、転びそうになった時、いずみんが支えてくれたでしょう? いけるって思ったら、油断しちゃって」
「言ったじゃないですか」
「?」
「共同責任、でしょう?」
「! ……うん!」
いつねさんは一層強く抱きついて来た。
「暑苦しいです」
「えへへ……」
「いえ。えへへじゃなくてですね……」
「ツンデレ乙」
「冬馬くんも、来るなり何を言っているんですか」
「いや、よくやった。オレは信じていたぞ」
「よく言いますね。捨て駒とか言っていたくせに」
「お二人さん、よーやったな!」
「お姉さまから離れなさい!」
「やりましたね!」
冬馬が、ナキが、仁乃さんが、実梨さんが、祝福してくれた。
「……疲れました。座って休んできます」
「あたしも一緒に行くー」
「どうぞ、ご自由に」
「ツンデレ乙」
「黙れ万年2位」
「ぐはっ」
くたくただ。
1着なんて別に嬉しくない。
一刻も早く座りたい。
でも。
不思議と、悪い気分ではなかった。
0
お気に入りに追加
341
あなたにおすすめの小説
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
臆病な元令嬢は、前世で自分を処刑した王太子に立ち向かう
絃芭
恋愛
マリー・ヴァイス公爵令嬢は幼いころから両親に高圧的に育てられた影響で、極めて臆病な少女だった。王太子に異国から召喚された聖女を貶めたと無実の罪を着せられても、反論のひとつもあげられなかったほどに。失意と諦めのなかで短い人生に幕を下ろしたマリーだったが、気がついたら日本という国で高校の授業を受けていた。教室には苦手意識があった聖女と同じ黒髪の生徒が溢れていて、思わず飛び出してしまう。
そこで出会ったのは髪を金色に染めた、所謂ヤンキーという存在だった。穏やかな時間を過ごしたのも束の間、前世の王太子の魔の手が静かに忍び寄っていて──。
※主人公はとても臆病で気弱な性格です。なので王太子のざまぁを期待している方には物足りない作品だと思います。ご了承くださいませ
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
悪役令嬢の生産ライフ
星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。
女神『はい、あなた、転生ね』
雪『へっ?』
これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。
雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』
無事に完結しました!
続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる