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学校の怖い噂
学校の怖い噂2 呪われたベートーベン
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「ねえねえ、知ってる?」クラスメートの高梨さんが今日も怖い話をしにきた。
「なになに」今日はどんな怖い話だろう。楽しみである。
「美術部の子に聞いたんだけどね」と話始める。
呪われたベートーベン。
放課後、遅くまで吹奏楽部が練習していた。
練習が終わった後に一年生の生徒が、先輩に言われて居残り練習させられたの。大会が近づいていたからね。
一人の生徒がみんなが帰った後も、自主練をしていた。
夢中になって練習している間に、辺りはいつの間にか暗くなってしまった。
早く帰らないと…。片付けている時に誰かの視線を感じた。
後ろを振り返ったけれど、もちろん誰もいない。
音楽室には自分ひとりだけだ。
でも、ずっと視線を感じる。
その感じが気持ち悪くて、不安になった。
後ろには音楽家の肖像画があるだけ。
その時目が合った。
肖像画のベートーベンの目がジロリと動き、私を睨みつけていた。
家に帰るとお姉ちゃんがおやつのバターサンドを食べていた。「あんたも食べる?」
「食べる!」甘いものは大好きだ。
口の中いっぱいに、バターサンドの甘い味が広がる。
私はおやつを食べながら、音楽室のベートーベンの話をした。
「ベートーベン?モーツァルトじゃなくて?」
「ベートーベンだよ」
「音楽室にベートーベンの肖像画は飾ってなかったはずだけど、その代わりモーツァルトならあったな、たしか…」
「そうだっけ?」
ベートーベンがあったのか覚えていない。
そう言えば。音楽室の肖像画なんて気にしたことなかった。
私は夜の学校に向かう。
校舎にはすでに高梨さんが待っていた。
音楽室に入ると背面の壁をみる。
モーツァルト、バッハ、メンデルスゾーン、ショパン、ドビュッシーの肖像画がかけられている。姉の言う通りだった。
「ベートーベンだけないね」
「ない。でもこれだけそうそうたるメンバーの肖像画があるのに、ベートーベンだけないのは逆におかしいと思わない?」
「確かに…」高梨さんの言うとおりだ。
「何処かにしまってあるのかも…」
でも、音楽室にも準備室にも探したけれど、ベートーベンの肖像画はなかった。
肖像画がしまってある場所。
私達は思案する。
絵を保管する場所…。美術室だ!
私達は夜の美術室に向かう。
今夜は満月。
月明かりがあるとはいえ、美術室には沢山の彫像や絵があり、肖像画を探すのが大変そうだ。
視線を感じる…。
視線の感じる先をみると…。あった。
ベートーベンの肖像画が壁に飾られている。
「高梨さん、あれ…」私は指をさす。
私は目が離せないでいた。噂は本当であった。
ベートーベンの肖像はじっと私を睨みつける。私が視線から逃げようとしても、目で追ってきた。
「やだ、本当に目が動いてる…」私は逃げ惑う。
「ウフフ…」それをみて高梨さんは笑っている。
「アッハッハッハ」美術室に響く笑い声。気でも触れてしまったのだろうか?
なんで?なんで急に笑うの?高梨さんまでおかしくなったのだろうか。
「アッハッハッ、ごめんごめん、だってこの絵…」
ベートーベンの肖像を壁からはずし、私に絵をみせる。
「ほら、よく見て。目の部分がへこんでいる」
ベートーベンの目の部分を切り抜き、三角すいの形の紙を貼り付けてある。そこに瞳が描いてある。
みる角度によって瞳の見え方が違う。まるで…。
「トリックアートだよ」と高梨さんが言う。
「どの位置から絵をみても、目があうように細工されてるね」
私達は美術部に一杯食わされたのだ。
騙されたのと安心からか私達は笑ってしまった。
そんな私達を呪われたベートーベンはじっと見つめていた。
「なになに」今日はどんな怖い話だろう。楽しみである。
「美術部の子に聞いたんだけどね」と話始める。
呪われたベートーベン。
放課後、遅くまで吹奏楽部が練習していた。
練習が終わった後に一年生の生徒が、先輩に言われて居残り練習させられたの。大会が近づいていたからね。
一人の生徒がみんなが帰った後も、自主練をしていた。
夢中になって練習している間に、辺りはいつの間にか暗くなってしまった。
早く帰らないと…。片付けている時に誰かの視線を感じた。
後ろを振り返ったけれど、もちろん誰もいない。
音楽室には自分ひとりだけだ。
でも、ずっと視線を感じる。
その感じが気持ち悪くて、不安になった。
後ろには音楽家の肖像画があるだけ。
その時目が合った。
肖像画のベートーベンの目がジロリと動き、私を睨みつけていた。
家に帰るとお姉ちゃんがおやつのバターサンドを食べていた。「あんたも食べる?」
「食べる!」甘いものは大好きだ。
口の中いっぱいに、バターサンドの甘い味が広がる。
私はおやつを食べながら、音楽室のベートーベンの話をした。
「ベートーベン?モーツァルトじゃなくて?」
「ベートーベンだよ」
「音楽室にベートーベンの肖像画は飾ってなかったはずだけど、その代わりモーツァルトならあったな、たしか…」
「そうだっけ?」
ベートーベンがあったのか覚えていない。
そう言えば。音楽室の肖像画なんて気にしたことなかった。
私は夜の学校に向かう。
校舎にはすでに高梨さんが待っていた。
音楽室に入ると背面の壁をみる。
モーツァルト、バッハ、メンデルスゾーン、ショパン、ドビュッシーの肖像画がかけられている。姉の言う通りだった。
「ベートーベンだけないね」
「ない。でもこれだけそうそうたるメンバーの肖像画があるのに、ベートーベンだけないのは逆におかしいと思わない?」
「確かに…」高梨さんの言うとおりだ。
「何処かにしまってあるのかも…」
でも、音楽室にも準備室にも探したけれど、ベートーベンの肖像画はなかった。
肖像画がしまってある場所。
私達は思案する。
絵を保管する場所…。美術室だ!
私達は夜の美術室に向かう。
今夜は満月。
月明かりがあるとはいえ、美術室には沢山の彫像や絵があり、肖像画を探すのが大変そうだ。
視線を感じる…。
視線の感じる先をみると…。あった。
ベートーベンの肖像画が壁に飾られている。
「高梨さん、あれ…」私は指をさす。
私は目が離せないでいた。噂は本当であった。
ベートーベンの肖像はじっと私を睨みつける。私が視線から逃げようとしても、目で追ってきた。
「やだ、本当に目が動いてる…」私は逃げ惑う。
「ウフフ…」それをみて高梨さんは笑っている。
「アッハッハッハ」美術室に響く笑い声。気でも触れてしまったのだろうか?
なんで?なんで急に笑うの?高梨さんまでおかしくなったのだろうか。
「アッハッハッ、ごめんごめん、だってこの絵…」
ベートーベンの肖像を壁からはずし、私に絵をみせる。
「ほら、よく見て。目の部分がへこんでいる」
ベートーベンの目の部分を切り抜き、三角すいの形の紙を貼り付けてある。そこに瞳が描いてある。
みる角度によって瞳の見え方が違う。まるで…。
「トリックアートだよ」と高梨さんが言う。
「どの位置から絵をみても、目があうように細工されてるね」
私達は美術部に一杯食わされたのだ。
騙されたのと安心からか私達は笑ってしまった。
そんな私達を呪われたベートーベンはじっと見つめていた。
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