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その他
学校の怖い噂 トイレのヨシミさん1
しおりを挟む「ねえねぇ、知ってる?旧校舎の怖い話」
休み時間に話しかけてきたのは、クラスメートの高梨さんだった。
彼女は怖い話が大好きで、そんな話をどこからか仕入れてきては、教えてくれる。
「え、知らないよ」と私は返事する。
そんな私も怖い話は嫌いではない。
どちらかというと興味津々だ。
「これは部活の先輩に聞いた話なんだけど…聞きたい?」とウズウズした顔で聞いてくる。
話したくてたまらないのだ。
私は頷いた。
高梨さんは一息吸うと話始めた。
トイレのヨシミさん。
旧校舎の女子トイレの右から3番目の個室は、開かずのトイレと言われている。
その個室には幽霊がでる。
この学校に通っていた生徒の幽霊で、虐めを苦に自殺したらしい。
それはトイレのヨシミさんと言われていた。
深夜十二時に旧校舎のトイレにいき、右から三番目の個室のドアを三回ノックする。
すると、ノックの音がかえってくる。
「ヨシミさん、ヨシミさん、いらっしゃいますか?」と言うと誰もいないはずの、個室から微かな声で「はい…」と返事が返ってくる。
ドアを開けるとずぶ濡れの女生徒がいる。
彼女に捕まるとトイレに引きずり込まれ殺されてしまう、と言われている。
もし、逃げ延びたとしても、彼女に関わったものは永遠に呪われてしまうのだ。
それが彼女が教えてくれた怖い話であった。
好奇心は猫を殺す。でも猫は好奇心旺盛なものである。
深夜の旧校舎に高梨さんと私は来ていた。
時刻は11時55分、もうすぐ12時になる。
携帯電話のライトの明かりを頼りに、旧校舎の女子トイレの右から3番目の前まできた。
時間になった。
「どうする?ノックしてみる?」私が聞くと高梨さんは返事を待たずにノックする。
「トントントン」
…何も起きない。
「何も起きないね。」
「…トントン」
「え、」私達は顔を見合わせた。今微かにノックの音がした。
「ヨシミさん、ヨシミさん、いらっしゃいますか?」私達はトイレに声をかける。
返事はなかった。
「ギィィィィ」トイレのドアが少しずつ開いていく。
隙間からみえる個室内は、漆黒の闇が広がっている。
「誰か、いるのか!!」
トイレに懐中電灯のライトが照らされる。
「ヤバい、逃げるぞ」高梨さんの声に呼応して、出口に向かって走る。
先生は入口の前を塞ぐように立っている。高梨さんと私は先生に思い切り体当たりをすると、そのまま、廊下を走り抜ける。
「うわあああああ!!!」
後ろで倒れた当直の先生の叫び声が聞こえる。
私達は後ろも振り返らずに逃げた。
学校を出て、近くの公園まで全力で走る。
私も高梨さんもはあ、はあ、と息をつき、ベンチにへたり込む。顔を見合わせると、先ほどの先生の情けない叫び声を思い出し、笑いが込み上げてきた。
「アッハッハッハ!あー楽しかった!」
「ヨシミさんでたのかな?」
「わからない。でもドアが開いた時、凄くゾクゾクした!」
先生がいるので、ヨシミさんの確認はもう出来ない。
今日は遅いのでもう帰宅することになった。
次の日、理科の先生が急病でお休みした。
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