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その他
紫陽花
しおりを挟む庭の紫陽花は鮮やかな青色に咲いた。
去年までは紫色の紫陽花が咲いていたが、今年は青色に咲いた。
そのことを不思議に思い、クラスメートに聞いてみると。
「青い紫陽花の下には死体が埋まっている」
と本を読みながら教えてくれた。
「紫陽花の花色は、土壌の酸性度やアルカリ性度によって変化する。一般的に、酸性の土壌では青色、アルカリ性の土壌では赤色、中性の土壌では紫色になる…」
携帯で検索すればすぐ出てくる情報だよと教えてくれた。
青い紫陽花の下に死体が埋まっている。
その言葉はとても恐ろしく、そしてドキドキした。
それって家の庭に死体があることになる。
月明かりの下、こっそり家を抜け出し庭に出る。
小さいながらもシャベルはあった。
梅雨の雨で湿った地面は柔らかく、掘るには充分であった。
地面を掘り進めると骨が出てきた。
人間にしては骨が小さい。
動物の骨。この頭蓋骨は犬?
予想に反してそれは人の死体ではなかった。
散歩中に逃げて、行方不明になった犬のしろたろうだ。
「何してるんだ!」振り向くと父親がたっていた。
父親が仕方ないと私に教えてくれた。
「しろたろうは散歩中に車にひかれ、交通事故でなくなった。それをまだ幼いお前に伝えるのが忍びないので、逃げたと嘘をついたのだ」
父の話しを聞きながら、紫陽花をみる。
庭の隅の紫陽花も青く咲いている。
では、あちらには何が埋まっているのだろう?
家出したはずの母の荷物はずっと残されている。
それが気になって仕方ない。
お母さんは、案外近くにいるのかも知れない。
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