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その他
朝霧小夜子の憂鬱
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朝霧小夜子は洗面台で歯を磨く。
「あ、また濃くなってる」顔を近づけ、目の下の隈を確認する。最近寝ても疲れが取れないだけでなく、隈がどんどん濃くなっていく。
「ふぁぁぁあ…」歯ブラシをくわえたまま背伸びする。
それにやたらと眠いのだ。
眠いまま登校し、学校でも眠気はとれない。
教室は春の陽気でポカポカしてさらにウトウト眠くなるのだ。
「こら!朝霧!」先生のチョークが額に当たりハッと目が覚める。
「痛~」クラスでドッと笑いがおきる。
そのあまりの眠さに…。また眠ってしまう。
「朝霧さん、朝霧さん…」
誰かが私の体を揺する。せっかく気持ちよく寝てたのに…。
目が覚めると放課後になっていた。
「う~ん…」
体を起こして背伸びをすると目の前に見知らぬ女生徒がいる。
「もう、放課後だよ」とその子は言う。
「そうか、ありがとう。えと…」名前が出てこない。
「隣のクラスの高崎早苗です。昨日のお礼がいいたかったの。ありがとうね、朝霧さん」
「どういたしまして…」
身に覚えのないお礼を言うと、高崎さんは帰宅してしまう。
昨日?何のことかサッパリわからなかった。まあ、いいや。
そういうことが何回か続いた。
「姉ちゃんさ、夜中に何処にいってるの?」
「はあ?あんた何言ってるの?」小突いてやろうとしたら弟が携帯の動画をみせる。
「ほらこれ」
画面には私が夜フラフラと出かけている様子がうつされている。夢遊病のように歩いている。
「何これ…」
動画の中で私を画面が追っている。
不良に絡まれている女の子が現れる。
嫌がる女の子の手を不良が無理やり引っ張っている。
私は足元のレンガを掴むと、後ろからガンッと不良の頭をぶっ叩く。連続でもう一人にはハイキックをくらわす。蹴りは不良の顎に当たり、相手はそのまま崩れ落ちる。
そしてお礼も聞かずに、走り去っていく。
私の知らない私がそこにいる。
弟はその動画をキラキラした目で見せてくる。
弟のこんな目は久しぶりにみた。
そして、私は寝不足の理由を理解した。
治療のため病院で医者に診てもらう。
「夢遊病ですね。おそらく精神的ストレスかホルモンバランスの乱れが原因でしょう」
薬を処方してもらう。これで少しは症状もよくなるだろうと、思っていたが、一向に治る気配がなく、寝不足が続いた。
そうだ。私は名案を思いついた。
私は夜に寝ないで遊びまわった。
遊んで遊んで遊びまわった。
明け方近くまで遊ぶと私は寝る。
これで学校へは夢遊病になった私が代わりに行ってくれるだろう。
昼の私と夜の私を逆転させる。
まさに逆転の発想。
勉強など睡眠学習で充分だ。
目が覚めると時刻は16時過ぎをまわっていた。
まだベッドの中である。学校にいった様子はない。
ま、そうなるよね。
ご飯を食べに階下に降りるとお母さんにこっぴどく叱られた。
「あ、また濃くなってる」顔を近づけ、目の下の隈を確認する。最近寝ても疲れが取れないだけでなく、隈がどんどん濃くなっていく。
「ふぁぁぁあ…」歯ブラシをくわえたまま背伸びする。
それにやたらと眠いのだ。
眠いまま登校し、学校でも眠気はとれない。
教室は春の陽気でポカポカしてさらにウトウト眠くなるのだ。
「こら!朝霧!」先生のチョークが額に当たりハッと目が覚める。
「痛~」クラスでドッと笑いがおきる。
そのあまりの眠さに…。また眠ってしまう。
「朝霧さん、朝霧さん…」
誰かが私の体を揺する。せっかく気持ちよく寝てたのに…。
目が覚めると放課後になっていた。
「う~ん…」
体を起こして背伸びをすると目の前に見知らぬ女生徒がいる。
「もう、放課後だよ」とその子は言う。
「そうか、ありがとう。えと…」名前が出てこない。
「隣のクラスの高崎早苗です。昨日のお礼がいいたかったの。ありがとうね、朝霧さん」
「どういたしまして…」
身に覚えのないお礼を言うと、高崎さんは帰宅してしまう。
昨日?何のことかサッパリわからなかった。まあ、いいや。
そういうことが何回か続いた。
「姉ちゃんさ、夜中に何処にいってるの?」
「はあ?あんた何言ってるの?」小突いてやろうとしたら弟が携帯の動画をみせる。
「ほらこれ」
画面には私が夜フラフラと出かけている様子がうつされている。夢遊病のように歩いている。
「何これ…」
動画の中で私を画面が追っている。
不良に絡まれている女の子が現れる。
嫌がる女の子の手を不良が無理やり引っ張っている。
私は足元のレンガを掴むと、後ろからガンッと不良の頭をぶっ叩く。連続でもう一人にはハイキックをくらわす。蹴りは不良の顎に当たり、相手はそのまま崩れ落ちる。
そしてお礼も聞かずに、走り去っていく。
私の知らない私がそこにいる。
弟はその動画をキラキラした目で見せてくる。
弟のこんな目は久しぶりにみた。
そして、私は寝不足の理由を理解した。
治療のため病院で医者に診てもらう。
「夢遊病ですね。おそらく精神的ストレスかホルモンバランスの乱れが原因でしょう」
薬を処方してもらう。これで少しは症状もよくなるだろうと、思っていたが、一向に治る気配がなく、寝不足が続いた。
そうだ。私は名案を思いついた。
私は夜に寝ないで遊びまわった。
遊んで遊んで遊びまわった。
明け方近くまで遊ぶと私は寝る。
これで学校へは夢遊病になった私が代わりに行ってくれるだろう。
昼の私と夜の私を逆転させる。
まさに逆転の発想。
勉強など睡眠学習で充分だ。
目が覚めると時刻は16時過ぎをまわっていた。
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