ホラーの詰め合わせ

斧鳴燈火

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道案内

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地方に左遷され、職場の歓迎会に参加した。
場所は駅から近い居酒屋だ。
上司はお酒がお好きな方で、俺の酒が飲めないのかと、飲めない私に無理やり酒を飲ませてくる。すでに上司との相性が最悪なのを感じていた。
飲み会が終わるころには、グデングデンに酔っ払っていた。
フラツク足取りで、家に向かう。
引っ越して来たばかりでまだ道に慣れていない。
駅から家まで十分くらいなのだが、一本道を間違え、住宅地に迷い込んだ。
同じメーカーの建売住宅なのだろう。同じような家が立ち並び、同じ景色が並んている。
歩いているうちに、来た道までわからなくなった。どうしよう。すっかり道に迷ってしまったようだ。
携帯電話の地図アプリで確認するが視点の焦点が定まらず地図がよく見えない。
困っていると。道の先に人影がみえる。
こんな夜更けだというの。
「あの、すみません」
声をかけると老人は振り返った
道を尋ねると。
「ああ、そこなら知ってますよ。案内しましょうか」
と言う。
「ついて来てください」
道だけ教えてもらえれば充分であったが、老人の親切を無下には出来ない。
老人の後についていく。
「こっちです」老人は指を差す。
薄暗い路地裏に誘導される。
本当に大丈夫なのかといぶかしんだが、ついて行くしかない。
どれくらい歩いただろう。
老人の歩みが遅いので時間が長く感じる。
「あの。あとどれくらいでつきますか?」
「もうすこしでございます」
ここで引き返すわけにもいかない。
すでに方向感覚も現在地もわからなくなっていた。

「ここでございます。迎えがきますのでここでお待ち下さい」そう言うと老人は立去った。
は?どいうこと?突然1人残される。
しかも、周りには明かりがない。
文句を言おうにも老人は消えてしまった。
途方に暮れて、空を見上げると満天の星空だった。

二つの光が近づいてくる。
迎えの車のライトだろうか。
「…おしっこ」
急に尿意を感じ、砂利道を降りて草むら前にいく。
「おーい!なにしてる!」「こっちだ!こっち!」
「迎えがきたぞ!」
先ほど消えたお爺さんが呼んでいる。
さっきまで自分がいた場所だ。
だが、ちょっとだけ待ってほしい。
近づく光がだんだん大きくなる。電車だとわかった時には老人をはねていた。体はバラバラに吹き飛ぶ。
ガタンゴトンと貨物列車は通り過ぎていく。
老人の首がコロコロ転がり、目の前まで転がる。
「動くなってあれほどいっただろ!」
その恐ろしいまでの恫喝。
言うまでもなく下半身はビショビショになった。




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