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その他
立て籠もる男
しおりを挟むお腹が痛くなって急いでトイレに入った。
「フー」間に合った。あと少し遅かったら危ないとこだった。急に腹痛が襲ってきたのだ。下痢だ。しばらくはここから動けないだろう。すぐに次の余波が襲ってきていた。
「トントン」トイレの扉を叩く音がする。ドアの外に誰かいるみたいだ。だが、今は使用中だ。
「トントン」と扉を叩いて返事する。
腹の痛みが引かずそのまま立て籠もり犯のようにトイレに篭っていた。
しばらくして、また「トントン」と音がする。
外で待ってる人が痺れを切らしたのだろう。何度か叩いてくる。「入ってます!」と大きな声で伝えると音は止んだ。
お腹の痛みが収まらない。
チョボチョボと用を足すと一息つく。
「トントン、トントン」まただ。
トイレを叩く音が鳴り止まない。イラッとしてきた。
「いい加減にしろ!入ってるって言ってるだろ!」
それでもまだ扉を叩く音は止まない。
何かがおかしい。そうだ。このトイレに個室は3つある。自分が入る時、他のトイレは使用されていなかった。何故このトイレを使おうとする。空いてるトイレを使えばいいではないか。なんの嫌がらせだ。
「トントン、トントン、トントン」
レバーを押すが水が流れない。こんな時に!
「トントン、トントントントン」
我慢の限界だ!「いい加減にしろ!」
扉をあけると外には誰もいない。
他のトイレも使用されてすらいない。
開いた窓から風がはいってくるだけだ。
「トントン」音がした。
後ろを振り向くとドアノブに札がかけられている。
風に煽られた札がドアにぶつかり、トントンと音を立てていたのだ。
札には故障中と書かれていた。
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