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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり
第242話 お皿洗いを任せちゃう、ぽっちゃり
しおりを挟む「「ごちそうさまでした!」」
アリアちゃんとイリアちゃんにわたし自慢のお弁当を試食してもらってから十分ほどが過ぎたところで、二人が同時に手を合わせながら言った。
対面に座る二人の前には、綺麗に完食された空っぽのお弁当箱が置かれていた。
わたしは見習い姉妹たちに、にこりと微笑む。
「お粗末様でした! お弁当の味はどうだったかな?」
「とっても美味しかったです! 見たことない料理も多くて、新鮮でした!」
「わ、私もすごく美味しかったです! 色々と勉強になることも多くて、とっても学びになる料理の数々でした! ただ、梅干しはちょっとビックリしちゃいましたけど……!」
アリアちゃんとイリアちゃんは口々にお弁当の感想を言ってくれる。
イリアちゃんの方はまだ梅干しショックから抜け出せていないようだけど、素直な感想が聞けて嬉しいよ。
「そう言えば、アリアちゃんの方は梅干しは大丈夫だった?」
「梅干し? ああ、あの酸っぱくてしょっぱい果実ですか? 最初はちょっとビックリしましたけど、慣れると結構美味しいんじゃないかな? って思います!」
「そ、そうなんだ。アリアちゃんは強い女の子なんだね」
「さ、さすがお姉ちゃんだよ!」
「えへへ、そうかなぁ。全然そんな大したことじゃないですよ」
否定の言葉を口にしながらも、アリアちゃんは照れ臭そうにくねくねと腰を動かした。
隠しきれない嬉しさが伝わってくるね。
「それじゃ、一旦お弁当箱とスプーンとかは回収しちゃうね」
そう言ってアリアちゃんとイリアちゃんのお弁当箱とスプーン、フォークを回収しようとすると、二人が同時に待ったをかけた。
「あっ、待ってください! コロネさんには料理を提供していただいたので、せめてお弁当箱くらいは私たちに洗わせてください!」
「そ、そうです! 貴重なお店の料理をいただいたのにも関わらず、そのうえ自分達が食べた食器まで任せるなんて料理人の端くれとしてできません!」
「えっ、そ、そう? うーん、まあそこまで言うなら、洗い物だけお願いしちゃおうかな?」
「はい! 任せてください!」
「こ、こう言うのも何ですけど、お皿洗いは日頃からずっとしてきたお仕事なので、とっても得意なんです!」
アリアちゃんとイリアちゃんは、ぐっと拳を握りながらやる気を見せてくれる。
そう言えば、二人は料理人の見習いなんだったね。
普段はラグリージュにある別のお店で働いているみたいだけど、まだ経験が足りないからかあまり包丁を握らせては貰えないとか言ってたっけ。
その代わりとして、お皿洗いや掃除、ウエイトレス業務などを中心に働いているらしく、お店の雑事の処理はかなり手慣れているようだ。
二人を雇ったのは一応料理を作るサポートをしてもらおうと思ったからだけど、お皿洗いとか配膳とかがスマートにできるならかなりありがたいね。
「それじゃあ、一旦厨房に案内するよ。そこに大きなシンクがあるから、そこでお皿洗いをお願いしようかな」
「はい! わかりました!」
「つ、ついに厨房に向かうんですね。ちょっと緊張してきました」
わたしは席から立ち上がり、二人を引き連れて厨房へと向かっていく。
すると、アリアちゃんとイリアちゃんだけでなくナターリャちゃんやエミリーなんかも一緒についてきた。
窮屈というほどでもないけど、決してめちゃくちゃ広いってわけでもない店内に、ぞろぞろと数人の女子と従魔を率いて歩いていく。
よく考えたら異様な光景に苦笑しながら、わたしは努めて気にせず歩みを進める。
あ、そうだ。
せっかく厨房に入るんだし、お皿洗いのついでにアリアちゃんとイリアちゃんに軽く料理の仕方とか教えてみてもいいかもしれないね。
もしトントン拍子に進んだら、今日早速お弁当一つを完成させられるところまで教えられたら最高だ。
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