ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第224話  店舗経営とは何かを教えられちゃう、ぽっちゃり

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 ドルートさんから持ちかけられた提案に、わたしは目を丸くする。
 一体どんな話をされるのかと思っていたけど、店舗の開店準備に必要な物品を提供してくれるってことかな。

「だけど、わたしもお店で出す商品の食材とかは一応買い込んでおいたよ? それなりにストックがあるから問題ないんじゃないかと思ってたんだけど」
「そうなのですね。ちなみに、コロネさんはどのような商品を販売されるおつもりなのか伺っても?」
「あんまりここら辺じゃ馴染みがないかもしれないけど、お弁当っていう料理をメインで出そうかと思ってるよ。ああ、あとサイドメニューとしてポテトもね」

 そう答えた瞬間、ドルートさんの目がカッと見開かれる。

「そうですか! この間は少し渋っておいででしたが、ついにあのポテトを販売する気になられたのですね!」
「ま、まあね。初めはお弁当だけを売ろうかと思ってたんだけど、熱烈なポテト支持者がいたもんで……」
「ふふん!」

 わたしがジト目でナターリャちゃんを見ると、可愛らしいドヤ顔で応えてくれた。
 ナターリャちゃんみたいな小さな子がポテトの悪魔的美味しさを知ってしまってちょっと心配だけど、そこは節度を持って食べさせてあげたらいいだろう。

「それはそれは素晴らしいお店になりそうですな! 私もあのポテトの味を知ってしまった身として、再び味わえると思うと楽しみですよ」
「いやいや、別にドルートさんはその気になったら自分でポテトくらい再現できるでしょ? ジャガイモを切って油で揚げただけなんだしさ」
「ううむ、たしかに調理工程自体はシンプルですし、扱っている食材も市場に流通している物で賄えますが……なんと言うか、やはりコロネさんがお作りになられるポテトは違う気がするのですよ」
「そ、そうなの? わたし、別にポテト作りが得意ってわけでもないんだけど……」

 なんだったら、この前ドルートさんたちに振る舞ったポテトか多分わたしが初めて作ったポテトだよ。
 初めてだったからむしろ味の心配をしていたくらいなんだけど、まさかそんなに喜んでくれるとは驚きだ。
 てかドルートさんくらいのレベルになったらいくらでも美味しいものや高級料理を食べられるから無理にジャンキーなわたしのポテトなんて食べなくてもいいような気もするんだけどね。

「ポテトを商品として売り出すおつもりならば非常に嬉しいのですが、もう一つ仰られていた『オベントー』というものは? ……たしかヤマト国にも似たようなものがあったような気もしますが」
「おお、さすがはドルートさん。情報網が広いね。大体はドルートさんが言っていたようなヤマト国のお弁当と同じかな? ちょっとだけわたしなりのアレンジを加えてはいるけど」 

 まあ、正直ヤマト国のお弁当がどういった感じのものなのかはよく知らない。
 ラグリージュの市場にもお弁当屋さんは見当たらなかったしね。
 ヤマト国としても、わざわざ他国に売り出しにいくほど特徴的でキャッチーな料理じゃないと思っているのかもしれない。

「なんと、そうでしたか。コロネさんのアレンジが加わった料理とあれば、きっとそのオベントーというものも絶品なのでしょうなぁ。いやはや、機会があればぜひとも食してみたいものです」
「あはは。まあ、それは良かったらわたしが開店しに来た時にでも食べに来てよ。あ、でもドルートさんみたいな著名人は一般のお店とかにはあんまり来ないかな?」
「そんなことはありませんよ。私は市場調査もかねて日頃からラグリージュの市場は見回っておりますし、一部の貴族の方々も少し値は張りますが一般的なレストランなどにお越しになられることもあります。ただ、私はあくまで一介の商人に過ぎないので貴族様と比べるのはおこがましくはありますがな」

 ドルートさんは自嘲げに笑うと、こほんと咳払いをした。

「それで、本題に戻るついでに先ほどのコロネさんの疑問にもお答えいたしましょう。たしかに飲食店を経営するにあたって食材のストックは間違いなく重要な要素を占めるものでしょうが、それだけではまだ不十分かと思います。いかに食材が揃っていようとも、その食材を調理して商品として売り出す人員と、せっかく訪れていただいたお客様を飽きさせず、リピートさせるに至るまでの店の雰囲気・内装。それらも食材や商品同様、気にかけた方が良いポイントかと」
「……うーん、まあたしかに一理あるかも?」
「さすがはコロネさん、理解が早いですな。それではまず初めに、コロネさんのお店で雇い、働いてもらう『人材』を集める――そのお手伝いをさせていただくというのはいかがでしょうか?」
「え、人材集め?」

 全く想像していなかったその言葉に、わたしはオウム返しで小首をかしげた。



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