ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第221話  部屋に招いちゃう、ぽっちゃり

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 ホテルの豪華ディナーを食べまくって満腹になったわたしたちは、最上階のスイートルームに皆で集まってまったりとしていた。
 ただ、わたしたち、とは言ったものの、実際にディナーを食べに行ったのはわたしとサラだけだ。
 他の皆はわたしのお弁当を試食したせいでお腹がいっぱいになっていたから、もうこれ以上は食べられないとのことだった。
 そう言えばポテトも追加で食べてたしね。
 お弁当よりもホテルの豪華ディナーの方が希少価値が高いんじゃないかとも思って申し訳ない気持ちがあったんだけど、ナターリャちゃんたちはわたしのお弁当が食べられただけで大満足と言ってくれたからちょっと救われたよ。
 その一方で、サラも同じようにわたしのお弁当やポテトを食べていたはずなのに、へっちゃらな様子でホテルの料理を食べていたね。
 ペットは飼い主に似るというけれど、もしかしたらサラもわたしに似て食欲旺盛になっているのかもしれない。

 ただ、このまま食後にまったりとしている訳にもいかない。
 なにせこの後、わたしはある大物との密会が控えているからだ。
 ディナーを食べ終わった一時間後くらいに来てほしいとは伝えておいたんだけど、まもなくその時刻になる。

 ――――コンコン。

 そんなことを考えていると、控えめなノックが響いた。

「おっ、来たのかな」
「コロネ様、お出迎えでしたら私が……」
「んや、いいよ。わたしの方が扉に近いし」

 代わりに来訪者を出迎えようとするエミリーをやんわりと断り、わたしは玄関まで歩いていく。
 そして、シンプルながら高級感漂う大きな扉をガチャリと開けた。
 そこには、想像通りの人物が立っていた。

「こんばんは、コロネさん」
「待ってたよドルートさん……って言うと上からになっちゃうかな? まあまあ、とりあえず入ってください」
「ははは、言葉遣いなどはどうぞお気になさらず。失礼いたします」

 ドルートさんは笑いながらわたしに返すと、頭を下げながら中に入ってきた。
 さすがは高級ホテルというべきか、ここの扉は閉めたら自動的に魔力で施錠される仕組みになっている。
 いわば異世界流のオートロックだ。
 なので特に鍵をかけることなどはせず、ドルートさんの入室を確認したわたしは玄関に背を向けた。

「本日はお忙しい中、突然のスケジュールなのにも関わらず、ご都合をつけて下さりありがとうございます」
「いやいや大丈夫ですよ。忙しいって言っても観光してラグリージュの街を回ってただけですから」

 お弁当屋さんに関することなど、一部観光ではなく思いっきりビジネスに関わるような活動もしていたけどね。
 そして、このタイミングでのドルートさんの訪問。
 果たしてこれは偶然か。

 そのままドルートさんと二人で廊下を歩いていると、やがてリビングの開けた空間に出た。
 中に設置されている豪華で大きなソファには皆がそれぞれのリラックスした体勢で寝転がっている。
 唯一、エミリーだけがやや緊張した面持ちでソファの横に立って使用人らしく控えていた。
 ただ、今のエミリーはメイド服ではなく部屋着だからあんまり使用人感はないんだけどね。

 部屋の中にわたしのパーティーメンバーと使用人がいるのを見たドルートさんは、少しだけ目を見開いた。

「おやおや、これは皆さんお揃いで」
「ドルート様。本日はこちらまでご足労いただきありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらないでください。会いたいと申し出たのは私の方なのですから。むしろこうしてお会いいただいていることだけで僥倖の極みですよ」

 ドルートさんは、柔和な笑顔でエミリーに返答した。
 それに対してエミリーは恐れ多いのか何も返さず頭だけを下げる。

「それでドルートさん、今日は何の話があって来たの? わざわざ、わたしたちの観光エピソードを聞きにきたってわけじゃないんでしょ?」
「ははは、コロネさん方の観光話も興味は尽きないのですが、私がお話させていただきたいことは一つです」

 ドルートさんは笑顔のまま、スッと目を細めると。

「時にコロネさん。たまたま風の噂で聞き付けたのですが、きた海豊祭かいほうさいに向けてご自身の飲食店の準備を行っているというのは本当でしょうか?」

 やっぱりそれがメインテーマか!
 わたしのお弁当屋さんの開業を決定したのは今日なんだけど、この豪商どんだけ耳が早いのさ……。



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