224 / 265
交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり
第218話 メニューが決定しちゃう、ぽっちゃり
しおりを挟むサラに協力してもらい、ポテチ作りに取りかかったわたし。
調理工程としてはポテト作りとあんまり変わらないけど、ジャガイモを切る作業はサラの簡易解体のスキルが非常に役に立つからね。
今回もサラに大量のジャガイモを取り込んでもらって体内で解体してもらい、薄くスライスしたジャガイモを油に投入する。
いい感じに揚げれたら油から取り出し、ポテチの表面についた余分な油を落とす。
そして最後に上からパラパラと塩を振りかけて軽く混ぜれば――――
「よーし、これでポテチの完成だ!」
「ぷるーん!」
わたしはお皿の上に盛られたポテチを頭上に掲げ、堂々と宣言する。
料理を手伝ってくれたサラも嬉しそうに飛び跳ねている。
「コロネお姉ちゃん! ポテチできたのー!?」
「初めて作ったからちょっと自信はないけど、とりあえず完成はしたよ!」
「わーい! 楽しみ~!」
ポテチが盛られたお皿をテーブルの上に置いた。
まだ揚げてから時間がたっていないので、ポテチは熱々だ。
他の皆も興味津々といった様子でそれぞれの方向からポテチを覗き込んでいる。
「これがポテチなんだー! さっきのポテトとは全然違うね!」
「本当ですね。同じジャガイモを切って揚げた料理とは思えないです」
「でもめっちゃええ香りしとるで~……! これは激ウマに違いあらへん!」
「ぷるーん!」
「それじゃあ、早速食べてみようか! わたしもまだ試食はしてないし!」
みんなに試食を促すと、喜んでそれぞれがポテチに手を伸ばした。
そして全員が一枚ずつポテチを手にすると、一斉に口に入れた。
パリッ! と小気味いい音が鼓膜を楽しませる。
「んんんっ!!? こ、これは紛うことなきポテチだ! 塩を振りかけただけのシンプルな味付けだけど、全然美味しいね!」
「ナターリャ、ポテチも大好き!!」
「本当に美味しいですね~! 私もこの作り方を教えてほしいくらいです!」
「わいもや! こりゃ止まらんで!」
「ぷるるーん!!」
わたし的にはイメージした通りのポテチが完成していて少し感動すら覚えたんだけど、他の皆も同じ感動を味わっているようだ。
特にわいちゃんは小さなボディを活かしてお皿の真横にぼてっと座り、高速でポテチを取りながらバクバクと食べまくっている。
分かる……分かるよ、その気持ち!
ポテチって一度食べ出すと止め時が分からなくなるくらい無限に食べれちゃうんだよね……!
「コロネお姉ちゃん! このポテチは絶対に商品リストに入れるべきだよ! ポテトとポテチの二つをどんどん売り出していこう!!」
「い、一応このお店はお弁当やさんだからポテト系の料理はあくまでサイドメニューとして提供するけどね……?」
ナターリャちゃんは熱くポテチの商品化を望んでいるようだけど、まるでこの店のメイン商品を決定しようとしているんじゃないかと錯覚するくらいの熱量だ。
あくまでもここはお弁当屋さんだから、メインはお弁当にするからね?
今からポテト屋さんに路線変更する気はないからね?
「……まあでも、そこまで言ってくれるならこのポテチも一緒に売り出そうかな。サラの手伝いがあればそこまで作るのに手間がかかるって訳でもないし」
ポテトにしろポテチにしろ、もはやサラの『簡易解体』のスキルなしには作れないと言ってもいいだろう。
それくらい、これらの料理はサラの協力に助けられている。
ただ、逆に言えばサラが手伝ってくれている限りはポテトでもポテチでも作るコストはそんなに変わらない。
どっちも同じジャガイモを元にした料理で、使用する調味料なんかもほとんど同じ。
違う点と言ったら本当に形状だけなんじゃないかと思う。
「それじゃ、ポテチも商品メニューに追加決定だね!」
「……分かったよ! もうこうなったら、お弁当もポテトもポテチも全部一切合切売り出しちゃおう!」
「やったー!!」
こうして、お店のメニューが決定した。
お弁当屋さんとポテチ屋さんが融合したようなお店になりそうだけど……まあ異世界ならではってことで良しとしよう。
全てはお客さんの笑顔のため、だからね!
242
お気に入りに追加
1,198
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

異世界で婚活したら、とんでもないのが釣れちゃった?!
家具付
恋愛
五年前に、異世界に落っこちてしまった少女スナゴ。受け入れてくれた村にすっかりなじんだ頃、近隣の村の若い人々が集まる婚活に誘われる。一度は行ってみるべきという勧めを受けて行ってみたそこで出会ったのは……?
多種多様な獣人が暮らす異世界でおくる、のんびりほのぼのな求婚ライフ!の、はずだったのに。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる