ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第212話  試食してもらっちゃう、ぽっちゃり

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 皆でテーブルを囲み、お弁当の試食タイムが始まった。
 わたしは皆に食べ始めるよう進める。

「それじゃあ、皆! お弁当箱を開けちゃおう!」
「うん!」
「ありがとうございます!」
「了解や!」
「ぷるーん!」

 わたしの言葉に皆が一斉にお弁当箱をご開帳した。
 その瞬間、おおっと歓声があがる。
 いの一番にナターリャちゃんが声をあげた。

「すごーい! ナターリャのお弁当、おっきなお魚がいるー!」

 ナターリャちゃんが開けたお弁当箱を見てみると、中に大きなシャケが乗っかっていた。
 どうやらナターリャちゃんはシャケ弁を引いたみたいだ。

「それはシャケ弁だね! ラグリージュの市場で買ったお魚だからでっぷりと脂がのってて美味しいと思うよ! なんたってラグリージュは海に面していて魚介類は特産品の一つだからね!」
「わーい! 早速食べちゃってもいい!?」
「うん! ぜひ食べて食べて!」

 わたしが促すと、ナターリャちゃんはフォークでシャケを一刺しした。
 シャケを持ち上げると、シャケに染み込んだ醤油がたらりと流れる。
 ナターリャちゃんとは少し離れているけど、わたしの方にもふわりと醤油の匂いが漂ってくる。
 その醤油の香りを楽しんでいると、ナターリャちゃんがぱくりとシャケにかぶりついた。
 その瞬間、ぱぁぁっと満面の笑顔になる。

「んん~~! これとっても美味しいよ、コロネお姉ちゃん!!」
「ほんとっ!? それなら良かったよぉー!」

 ナターリャちゃんはシャケをもぐもぐと頬張ると、今度はスプーンでお弁当箱の左側につめていたご飯をすくって口にいれた。
 しばらく咀嚼をしていると、やがてごくんと飲み込む。
 ナターリャちゃんはめちゃくちゃ満足そうな雰囲気で表情を緩ませて、ぱくぱくとお弁当を食べていく。
 自分が作った料理をこんなに美味しそうに食べてくれるのを見るとこっちまで嬉しくなるね。
 わたしは微笑ましく思いながらナターリャちゃんの食べっぷりを眺めていると、その隣に座るエミリーが声をあげた。

「コロネ様! 私のお弁当は黒っぽいのですが……これは海苔でしょうか?」
「おっ、そうだね! エミリーはのり弁を引いたみたいだねっ!」

 今回はお弁当ガチャと称して中身を伏せた状態で皆にお弁当を選んでもらったけど、エミリーはのり弁を引いたみたいだ。
 のり弁もメインの海苔はラグリージュの市場で仕入れたものだけど、売っていたのはヤマト国の商人だったからラグリージュ近海で取れたというわけではなさそう。
 だけどこの海苔も格別に美味しいはずだから、味には自身があるよ!

「それでは私もいただきます!」

 エミリーはスプーンでご飯をすくった。
 ご飯の上は海苔で覆われていて、黒と白のコントラストが美しい。
 のり弁の横にはちょっとしたおかずも用意してあるけど、エミリーはまず海苔とご飯だけを口にいれた。
 もぐもぐも咀嚼しながら、ゆっくりと顔が笑顔になっていく。

「んん、これは美味しいですね。ご飯と海苔だけなのに、物足りなく感じることがないです! 海苔に少し甘じょっぱい味付けがされているからでしょうか?」
「そうだね! その海苔自体にもほのかに味があるから、それだけで食べても美味しいんだと思うよ!」
「なるほどです。それに海苔の風味も強いのでとても美味しいです。のり弁を引いて正解でした」

 言いながら、エミリーもお弁当を頬張っていく。
 ナターリャちゃんに引き続き、エミリーからも好評だったのは嬉しいね!
 しかも海苔というラグリージュの住人にあまり馴染みのなさそうなものが美味しいと言ってもらえたのは料理人冥利に尽きるよ!

 わたしはナターリャちゃんとエミリーがぱくぱくと食べる姿を眺めていると、二人の対面に座るわいちゃんが声をあげた。

「ほんなら次はわいのお弁当やな! ご主人、何が出るか見ててぇな!」

 わいちゃんはもふもふの体を丸っこくしてテーブルの上に座りながら、小さい身体にはやけに大きく見えるスプーンを握ってぱたぱたと羽を動かした。


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