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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり
第211話 お弁当を配っちゃう、ぽっちゃり
しおりを挟む長きにわたる食材集めと料理タイムを終え、ついに完成したお弁当たち。
テーブルの上には木製の箱が四つ置かれている。
箱の表面にはうっすらと木目も浮かんでいて、少しリッチ感もあるね。
「コロネお姉ちゃん! これで完成なの!?」
「うん! とりあえず四種類のお弁当を一つずつ作ってみたから、みんな好きなのを選んでよ!」
「ですが、フタが閉じられた状態ではどれがどれか分からないのではないでしょうか?」
「ふっふっふ、わかってないなぁエミリー。それは自分の直感に従って選ぶんだよ。中身が隠されてた方がどれが出るかわからないっていうガチャ感があっていいでしょ!」
「ガ、ガチャ? というものはよく分かりませんが、そういうものなのですね」
「ほんなら、わいはこれをもろてもええやろか?」
わいちゃんは自分の一番近くにあったお弁当箱を取った。
「じゃあ、ナターリャはこれにする~!」
「そ、それでは私はこれで」
「ぷるーん!」
わいちゃんに続き、みんなも続々とお弁当箱を選んでいく。
テーブルはあっという間にキレイになった。
そんなにわたしの作ったお弁当を楽しみにしてくれていたのかと思うと嬉しくなるね。
そう思いながら満足げにみんなを見ていると、ナターリャちゃんが何かに気づいたようにハッとした。
「あっ! でも、コロネお姉ちゃんは食べないの?」
「わたしたちのものを少しお分けしましょうか?」
皆がお弁当を分けてくれようとするけど、わたしは手を振って断った。
「いや、大丈夫だよ! 最初から四つしかお弁当を作るつもりはなかったから、みんなに一つずつ分けたらわたしの食べるものがないことは気づいてたからね。だからさっき各種お弁当を作っている最中に、ひそかに自分の分のおかずも作っておいたんだ!」
そう、さっきだし巻き玉子を食べられなかったという反省を活かして、今回は余分なおかずを多めに作っておいたのだ!
わたしはアイテムボックスを発動させて余ったおかずが入れられたお皿をテーブルの上に出現させた。
だし巻き玉子やウインナー、シャケや野菜炒めなど豊富なラインナップが勢揃いだ。
わたしはキッチンの食器棚から一つのお茶碗を取り出しながら、余計な気を回さないよう皆に説明する。
「炊飯器の中にご飯はまだかなり余ってるし、わたしは普通にご飯とおかずで食事を楽しむことにするよ。お弁当っていう形じゃないだけで、みんなと食べてるものは同じだからわたしに気を遣わず試食してくれていいよ!」
「そ、そうですか。それでしたら私たちはコロネ様のご厚意に甘えることにいたします」
炊飯器の魔道具の元までいき、開閉ボタンをぽちっと押す。
パカリと開いた炊飯器のフタと同時に熱々の湯気が立ち上った。
そこからわたしはしゃもじを使って炊きたてご飯をお茶碗によそっていく。
いっぱい食べるから、ちょっと多めにいれておこう。
これで、全ての準備は整った!
わたしは長方形のテーブルの端に座った。
会議でいうなら、議長が座る席だ。
そして他の四人がそれぞれ二人ずつ隣り合う形で着席した。
「いよいよお待ちかねの実食タイムだ! みんな、思う存分お弁当を味わってね!!」
「ありがとう、コロネお姉ちゃん!」
「ありがとうございます!」
「わいらのために作ってくれておおきにやで!」
「ぷるーん!」
皆から一斉にお礼の言葉を言われたわたしは照れ臭くて、にへら、と笑顔で返す。
そして両手を合わせて、満面の笑みで口を開いた。
「「「「「それじゃあ、いただきま~す!!」」」」」
いままで散々待たされた今回のお弁当の実食タイム。
わたしが作ったお料理だけど、全力で味わい尽くすぞ!!
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