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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり
第210話 お弁当が完成しちゃう、ぽっちゃり
しおりを挟むおかずを完成させたのもつかの間、ご飯がまだ炊けていないというまさかの致命的なミスを犯してしまったことに気づいたわたし。
どうしようかと思ったけど、おかずのだし巻き玉子やたこさんウインナーはもうできあがってしまったので、このままご飯が炊けるまで放置していたら冷めてしまう。
まあこういう手作りお弁当とかは冷めた状態で食べることも多いから別にいいんだけど、やっぱりできるだけ温かい状態の方が美味しさも増すからね。
とりあえずこのおかずはお弁当ごとアイテムボックスにしまっておくことにする。
だけど、わたしはこれで終わりということはしない。
炊飯器型の魔道具を見てみると、タイマーには三十分ほど数字が表示されている。
炊けるまでまだちょっと時間がかかりそうだから、わたしは別の種類のお弁当作りに取りかかった。
いま作ったのは簡易的なお弁当だったけど、他にも何種類か特徴的なお弁当を作って品揃えを増やそうかと考えている。
まずはシャケ弁とかのり弁、そしてわたしオリジナルのスタミナ弁当なんかも作る予定だ。
これで今の通常弁当と合わせて計四種類。
早速お弁当作りに取りかかりまして――――
「――ってなわけで、四種類分のおかず作りが完成したよ!!」
「すごーい!!」
ドドン! とテーブルの上に置かれた四つのお弁当箱。
右側に色とりどりのおかずが入れられ、左側は空っぽになっている。
あとはここにご飯を入れたら完成だ!
すると、いいタイミングで炊飯器からピーっと音が鳴った。
ご飯が炊けた合図だ。
「お、グッドタイミングだね! どんな感じに炊けたかな~?」
わたしはキッチンからしゃもじを手に取り、炊飯器の開閉ボタンをポチっと押した。
ご開帳した炊飯器から、ほかほかのご飯と湯気がもわっと上がる。
「「「おおおお~! 美味しそうに炊けてる~!!」」」
わたしの周りに集まってきていた皆が一斉に同じ感想を口にした。
それくらい、目の前のご飯は完璧な炊き加減だ!
米粒はつやつやと光沢があり、硬すぎることもなく、ふっくらとちょうどいい柔らかさで炊けている。
わたしは手にしていたしゃもじで炊飯器内のご飯を切り込み、ほぐすように混ぜていく。
しばらくすると、ご飯がいい感じにほぐれてきた。
「それじゃあ、ご飯を詰めていくよ!」
わたしはテーブルに置いていたお弁当箱を一つ手に取り、空いているスペースにほかほかご飯を入れていく。
隙間なくご飯を敷き詰められたら、フタをして完成だ。
同じように、残りの三個のお弁当箱にもご飯を入れていく。
「コロネお姉ちゃん、これから食べるのにフタを閉めちゃうの?」
「一応ね。お弁当は本来フタをされた状態なのが普通だから。お弁当箱を開けるっていうのも、楽しみの一つなんだよ」
「そうなんだ~! じゃあナターリャ、フタを開ける時も意識しておくね!」
ナターリャちゃんはふんす、と拳を握りながらやる気を出している。
そう真面目になるのも違うような気もするんだけど、せっかくナターリャちゃんが頑張ってくれているのであえて水を差すこともないかな。
わたしは最後のお弁当箱のフタを閉めて、高らかに宣言した。
「よーし! これで全部のお弁当を作り終えたよー!! あとは皆で実食だー!!」
「「「やったー!!」」」
「ぷるーん!!」
通常弁当、シャケ弁、のり弁、スタミナ弁当。
計四つのお弁当の試作品が完成したので、わたしたちは皆で喜びを分かち合った。
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