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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり
第208話 一工夫を加えちゃう、ぽっちゃり
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だし巻き玉子は皆の反応から察するに結構上手くできていたみたいだから、次は別の料理を作っていこう。
わたしはアイテムボックスからお目当ての食材を取り出す。
キッチンの上にあった適当なお皿を持ってきて、そこにアイテムボックスを発動させる。
そのお皿の上に現れたのは、大きな数本のウインナーだった。
緩やかに湾曲した形状と、ぷりぷりのお肉が詰まった太めのウインナー。
今から料理をしていく、メインとなる食材だ。
このウインナーもラグリージュの市場で仕入れたもの。
その他にもお肉やお魚も買っておいたんだけど、今回はとりあえず焼くだけで美味しそうなこのウインナーを使ってみようと思う。
「今回は普通のフライパンで炒めようか。使い終わったフライパンは一旦流しの方へ移して、っと」
だし巻き玉子作りに役立ってくれた四角いフライパンを、コンロ型の炎の魔道具が設置されている隣にある流しへと移動させた。
フライパンの中に付着した油や卵をさっと水で洗い流し、そのまま放置しておく。
代わりに使用するのは、このキッチンに最初から用意されていた通常の丸い形のフライパンだ。
それをコンロの上に置いて、油をたらして火をつけた。
それを見ていたナターリャちゃんが、おもむろにやって来る。
「コロネお姉ちゃん、今度は何を作るの?」
「次はウインナーを炒めていくよ。だけど、このまま普通に炒めて終わりっていうのも味気ないから、一工夫してみようかな」
まずはウインナーを一本お皿からつまみ、まな板の上に横向きで乗せる。
そしてウインナーの真ん中あたりを指で押さえ、包丁の刃を通していった。
ザクン、と包丁でウインナーの右半分だけを切ると、くるりと半回転させて同じ要領でもう一度包丁を入れる。
これを何回か繰り返し、合計でウインナーの足が五、六本くらいに分けられたら完成だ。
同じ工程を他のウインナーにも行い、全部で八本ほどのウインナーに切れ込みを入れ終わった。
フライパンを確認してみると、弱火でいい感じに温まっている。
「よし! それじゃあこのウインナーたちをフライパンに投入!」
まな板の上で寝ていたウインナーたちを、ぼとぼととフライパンの上に転がしていく。
その瞬間、熱した油と反応してじゅうじゅうとお肉が焼けるいい音が響いた。
そのままフライパンの上でウインナーを転がしながら炒めていると、徐々にわたしが切れ込みを入れた箇所が外側にぺろ~んと広がっていく。
「わあ! ウインナーの先っぽがくるんってなった!?」
隣で眺めていたナターリャちゃんが驚いたように声をあげる。
ふっふっふ、これぞわたしのアレンジ、たこさんウインナーだ!
わたしが見た感じ、この世界に来てたこさんウインナーとは出会ったことがないから、きっとあまり見ない類いの料理だろう。
ただ、ウインナーに切れこみを入れて焼いただけなんだけど、見た目が変わってて面白いから興味をひくよね。
わたしは途中で塩コショウをしながら、炒める。
「うーん、もうそろそろかな」
外側にくるんと跳ねてタコの足のようになったウインナーたちを立たせて、軽く足の内部の部分も火を通しておく。
ここまできたら十分だろう。
わたしはささっとフライパンをお皿の横に移動させ、たこさんウインナーを移していく。
そして軽く見映えを整えたら――――
「たこさんウインナーの完成だーー!!」
「すごーい!!」
皆は不思議なものを見るような目をしているけど、ナターリャちゃんは人一倍嬉しそうな反応を見せた。
やっぱり子供にはたこさんウインナーが効くみたいだね。
まあ、実際はナターリャちゃんはわたしの何倍も年上なんだけど、見た目は年下だから心の中で子供扱いしても許されるだろう。
わたしははしゃぐナターリャちゃんと共にお皿の上に立ち上がったタコさんたちを眺めて、思わずじゅるりと垂れてくるよだれを拭いた。
わたしはアイテムボックスからお目当ての食材を取り出す。
キッチンの上にあった適当なお皿を持ってきて、そこにアイテムボックスを発動させる。
そのお皿の上に現れたのは、大きな数本のウインナーだった。
緩やかに湾曲した形状と、ぷりぷりのお肉が詰まった太めのウインナー。
今から料理をしていく、メインとなる食材だ。
このウインナーもラグリージュの市場で仕入れたもの。
その他にもお肉やお魚も買っておいたんだけど、今回はとりあえず焼くだけで美味しそうなこのウインナーを使ってみようと思う。
「今回は普通のフライパンで炒めようか。使い終わったフライパンは一旦流しの方へ移して、っと」
だし巻き玉子作りに役立ってくれた四角いフライパンを、コンロ型の炎の魔道具が設置されている隣にある流しへと移動させた。
フライパンの中に付着した油や卵をさっと水で洗い流し、そのまま放置しておく。
代わりに使用するのは、このキッチンに最初から用意されていた通常の丸い形のフライパンだ。
それをコンロの上に置いて、油をたらして火をつけた。
それを見ていたナターリャちゃんが、おもむろにやって来る。
「コロネお姉ちゃん、今度は何を作るの?」
「次はウインナーを炒めていくよ。だけど、このまま普通に炒めて終わりっていうのも味気ないから、一工夫してみようかな」
まずはウインナーを一本お皿からつまみ、まな板の上に横向きで乗せる。
そしてウインナーの真ん中あたりを指で押さえ、包丁の刃を通していった。
ザクン、と包丁でウインナーの右半分だけを切ると、くるりと半回転させて同じ要領でもう一度包丁を入れる。
これを何回か繰り返し、合計でウインナーの足が五、六本くらいに分けられたら完成だ。
同じ工程を他のウインナーにも行い、全部で八本ほどのウインナーに切れ込みを入れ終わった。
フライパンを確認してみると、弱火でいい感じに温まっている。
「よし! それじゃあこのウインナーたちをフライパンに投入!」
まな板の上で寝ていたウインナーたちを、ぼとぼととフライパンの上に転がしていく。
その瞬間、熱した油と反応してじゅうじゅうとお肉が焼けるいい音が響いた。
そのままフライパンの上でウインナーを転がしながら炒めていると、徐々にわたしが切れ込みを入れた箇所が外側にぺろ~んと広がっていく。
「わあ! ウインナーの先っぽがくるんってなった!?」
隣で眺めていたナターリャちゃんが驚いたように声をあげる。
ふっふっふ、これぞわたしのアレンジ、たこさんウインナーだ!
わたしが見た感じ、この世界に来てたこさんウインナーとは出会ったことがないから、きっとあまり見ない類いの料理だろう。
ただ、ウインナーに切れこみを入れて焼いただけなんだけど、見た目が変わってて面白いから興味をひくよね。
わたしは途中で塩コショウをしながら、炒める。
「うーん、もうそろそろかな」
外側にくるんと跳ねてタコの足のようになったウインナーたちを立たせて、軽く足の内部の部分も火を通しておく。
ここまできたら十分だろう。
わたしはささっとフライパンをお皿の横に移動させ、たこさんウインナーを移していく。
そして軽く見映えを整えたら――――
「たこさんウインナーの完成だーー!!」
「すごーい!!」
皆は不思議なものを見るような目をしているけど、ナターリャちゃんは人一倍嬉しそうな反応を見せた。
やっぱり子供にはたこさんウインナーが効くみたいだね。
まあ、実際はナターリャちゃんはわたしの何倍も年上なんだけど、見た目は年下だから心の中で子供扱いしても許されるだろう。
わたしははしゃぐナターリャちゃんと共にお皿の上に立ち上がったタコさんたちを眺めて、思わずじゅるりと垂れてくるよだれを拭いた。
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