ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第197話  大人買いしちゃう、ぽっちゃり

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 壺の中に入っている梅干しを全部購入することを告げたわたし。
 その発言に店主であるアグネスさんはしばし唖然とした後、びっくり仰天といった様子で何度もわたしに間違いがないか確認してきた。
 その度にわたしが問題ないです、と答えると、アグネスさんは驚きつつも壺ごと梅干しを売ってくれた。

「え、えっと、この壺一つで大金貨三枚になります。申し訳ございません、壺ごとのお買い求めとなっておりますので、梅干しの値段にプラスしてこちらの壺の値段も合わさっている金額なのですが……」
「わかりました! 全然大丈夫ですよ! ちなみに、梅干しが入ってる壺ってこの一つだけですか?」 
「いえ、一応あと二つほどありますね。梅干しは保存が効きやすいので少し多めに在庫を持ってるので」
「あ、じゃあその二つもください。もちろん壺ごとで」
「え、えーと、そうなると大金貨九枚になってしまうのですが――」
「はい、問題ないです!」

 大金貨九枚になってしまうのですが大丈夫ですか? と聞かれる前に、わたしは質問を先回りして答えた。
 そんなに何度も確認してくるなんて、そんなに信用されていないのかな?
 大金貨一枚が日本円でだいたい十万円くらいだから、それが九枚だと九十万円でしょ?
 つまりアグネスさんから見たら、わたしは閑古鳥が鳴いているなか突然やってきたお客さんで、しかも梅干しだけを九十万円分購入しようとしている。
 うん、十分に非現実的な買い物をしているね。
 アグネスさんが何度も入念に確認してくる理由も頷ける。
 普通に考えても、梅干しに九十万円も出す人なんていないだろうしね。
 わたしが逆の立場だったとしても信じられない発言すぎて何回も確認するだろう。

 だけど、わたしがそれだけの梅干しを購入しようという意思があるのは本当だ。
 だからもっともわかりやすい方法で、わたしの意思を示そうと思う。

 わたしはアイテムボックスを発動させ、中から白金貨一枚を取り出した。
 白金貨は大金貨のさらに上の硬貨で、一枚あたり百万円ほどの価値がある。
 単純に、大金貨十枚で白金貨一枚と同じ値段だからね。

「こ、これは白金貨!?」
「あれ、足りるよね?」
「は、はい! 問題ございません! 少々お待ちください」

 アグネスさんは白金貨を受け取り、レジを打つ。
 そして、お釣りの大金貨一枚を返してきた。
 わたしはそれをアイテムボックスにしまう。

「えっと、こちらの壺はどういたしましょう? こんなに一括でご購入いただいたので、もし住所などお教えいただければ後日配送させていただきますが……」
「ありがとうございます! でも大丈夫です! アイテムボックスにしまうんで!」

 言いながら、わたしはアイテムボックスを起動してお店に並べられていた梅干し入りの壺をしまった。
 アグネスさんはその光景にさらに驚きを露にする。

「す、すごいですね。これほど大きな壺を三個も軽々と収納できるなんて、商人用のアイテムボックスですか?」
「あはは、まあそんな感じです」

 本当は神さまからもらったチートスキルの一つなんだけど、真実を言うわけにはいかないので適当に誤魔化しておく。

「あ、そうだ。この壺って、一個あたりどれくらいの梅干しが入ってるものなんですか?」
「正確に個数を数えて入れているわけではないので概算になってしまって申し訳ないのですが、大体千個くらいはあると思いますよ」
「そっか……ならそれが三個で三千個か。これだけあれば少なくともお弁当の具材として使用する分には在庫切れが起こるような心配はないかな」

 これでお弁当に使う梅干しの問題はクリアだ。
 梅干しがあれば日の丸弁当みたいなシンプルな商品も作れるし、単純に他の食材と合わせてご飯のお供として彩りを加えるエッセンスにもなるだろう。
 梅干し一つあるだけでやっぱり一気にお弁当っぽくなるからね。

 わたしは未来のお弁当を脳内でイメージしながら、美味しそうな出来映えにワクワクと胸が高鳴るのだった。



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