ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第161話  結果発表を待っちゃう、ぽっちゃり

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 MCがけたたましい宣言をした後、第二回戦が終了する。
 ゴングが鳴ると同時、ナイフとフォークを置くように指示された。
 これ以上追加のステーキを食べさせないためだろう。
 指示に従って食器を置くと、奥から係の人がぞろぞろとやって来た。

 すると、隣の巨漢がサングラスを光らせながら水を飲む。

「おいおい嬢ちゃん、ずいぶんと食ったみてぇじゃねぇか。ここまで骨があるとは予想以上だぜ。これなら本気で俺とタメ張れるかもしれねぇな」
「まあわたし、優勝目指してるからね。言ったでしょ。王者の座から落ちる覚悟はできた? って」
「あの時はただの口だけのパンピーだと思ってたが、今なら認めるぜ。間違いなく、この大会で俺と同じレベルにいるのはお前だけだ」
「それはどうも。一応、褒め言葉として受け取っておくよ」
「もちろん、褒め言葉さ。嬉しいぜ、俺は」

 ジャイアント・ボブはガッハッハと豪快に笑う。
 一々リアクションがでかい男だ。
 その上、図体も大きいんだから、存在感が強すぎる。
 できることならあんまり隣にいて欲しいタイプの人ではない。

 何がおかしいのかずっと笑ってるジャイアント・ボブを無視していると、司会の人が勢いよくマイクを取った。

『ただ今、係の方々が参加者それぞれの食べたステーキの枚数、すなわち石皿の数を数えていただいております! 今回の第二回戦を勝ち上がれば、次回はいよいよ決勝戦! しかし! その決勝戦に勝ち上がるにはこの第二回戦で上位三名の成績に入っていなければなりません!!』

 奥からぞろぞろとやって来た人たちは、どうやら石皿を積んだ枚数を数えるために来たみたいだ。
 係の人がお皿の枚数を数えている間、わたしは全体の参加者の様子を眺めた。

 向こう側に座っている参加者たちを見てみると、何だかみんな顔色が悪い。
 頑張ってステーキを詰め込んだんだろう。
 中には口を両手で抑えて必死にキラキラを吐かないようにしている人もいるね……。
 大丈夫かなあの人……。

 それにしても、ついさっきジャイアント・ボブが『俺と同じレベルにいるのはお前だけだ』とか言ってたけど、これはあながち本当かもしれない。
 ざっと見たところ、この第二回戦を終えて明らかにピンピンしているのはわたしとジャイアント・ボブくらいだ。

 まあさっきホットドッグも六十個くらい食べた上での今回のステーキ何十人前とかだから、常人の胃袋ならはち切れているだろう。
 フードファイターとして訓練している人でも、中々厳しい量なのかもしれない。

『ただ今、石皿の枚数を計測中です! 中には圧倒的に皿を積み上げている方もいらっしゃいますが、果たして上位三名に食い込むのは一体誰なのか! 最後一分のラストスパート、それがどのように響いてくるのか非常に楽しみであります!』

 ギャラリーも固唾を飲んで結果を待つ。 
 ナターリャちゃんたちも、祈るように手を合わせていた。
 わたしが決勝に勝ち上がることを祈ってくれているんだとしたらとても嬉しい。

「ハッ、心配すんな。俺とお前は決勝にあがるのは確実だ。なんせ、去年は俺の圧勝だったからな。多少は骨のあるやつもいたが、到底俺には及ばなかった。だが、今回の大会は楽しめそうだ」
「…………」

 さっきからなにかと話しかけてくるけど何なんだこ男は。
 わたしがジト目でジャイアント・ボブを見ていると、参加者全員の皿の枚数が計測し終わった。
 結果報告を聞いたMCは、驚愕に目を見開く。
 そんなにすごいことが起こったのかな?

 不思議に思っていると、上位三名に入賞した人間の名前が発表された。
 まずは第三位の人。
 名前を呼ばれたけどどの人かわからない。
 いや、不穏な顔色で口を手で押さえているフードファイターが、小さくガッツポーズをしている。
 さっきめちゃくちゃリバースしちゃいそうだったあの人が第三位なのか!
 でもあの人、もう決勝戦で戦える余力ないんじゃない?

『さて、次は第二位の発表になるのですが、ここで皆さんにお知らせしなければならないことがあります! なんと! 今回、第二位と第一位は積みあがった皿の枚数が同数となっていました! よって、今から読み上げるお二方を同率一位として決勝戦進出確定とします!!』

 まさかの出来事にギャラリーたちが興奮しだす。
 いや、ちょっと待って。
 その同率一位の二人ってもしかして……!

『一人目の方は、やはりこの方! 前回王者のジャイアント・ボブ! そして二人目はなんとなんとぉ~! 本日、急きょ飛び入りで参加した謎のダークホース、コロネさんだぁあああああああ!!』

 MCの叫びに、ギャラリーの熱狂も最高潮に達する。
 至るところから指笛や声援が飛んでくるのが聞こえた。
 いや、それよりもやっぱりわたしたち二人だったのか……!
 わたしも結構食べたつもりだったけど、まさか同率一位とは思わなかった。

 これがジャイアント・ボブ。
 前回王者の実力というやつらしい。


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