ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第141話  明日に備えちゃう、ぽっちゃり

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 人生の大先輩であるナターリャちゃんへの接し方に思い悩んだ結果、逆にナターリャちゃんを悲しくさせてしまうことに気づいたわたしはひとまずこれまで通りの態度を貫くことにした。
 そうしてしばらく皆でゆっくりしていたんだけど、時間も頃合いだったから一人ずつお風呂に入ることになった。
 そう、なんとこのログハウス、お風呂までついているのだ!
 とはいえ、現代日本のように蛇口をひねれば冷たい水や温かいお湯が出てくるわけではない。
 そもそもこのログハウスに水道管とか通ってないしね。
 だからわたしが直々にお風呂場まで赴き、水魔法と炎魔法を組み合わせて風呂釜にお湯を投入。
 シャワーに関してはまたまたドルートさんの浴室用品の魔道具を借りて、魔力を流せばお湯が流れてくるように設置を完了させた。

 お風呂場には風呂釜とシャワースペースがある程度だったけど、浴場全体が結構広かったね。
 二、三人くらいなら問題なく一度に入れるくらいの大きさだ。
 一人で入ったら広々としてて気持ちいいね!

「いやぁ~、即席とは思えないほどいいお湯だったね~」

 わたしは体からほかほかと湯気をまとわせて広間へと戻った。
 皆のためにお風呂のセッティングはしたものの、わたし自身がお風呂に入るのはちょっとめんどくさかったからどうしようかと思ったけど、入って正解だった。
 めっちゃ気持ちよかった~!

「あ、コロネお姉ちゃん出てきた!」
「コロネ様、お水をどうぞ」
「わあ、ありがと!」

 広間のソファで待っていてくれたナターリャちゃんが笑顔で振り返ってくれる。
 そしてエミリーも気を利かしてグラスについだ水を差し出してくれた。
 わたしは手渡されたグラスを受け取り、グビグビと水を飲み干した。

「ごく、ごく……ぷはぁ~! 生き返る~!」
「ふふふ、良い飲みっぷりですね」

 風呂上がりのお水は体に染み渡るね!
 これがコーヒー牛乳とかだったらもっと最高だったかもなぁ。
 ……ふむ、コーヒー牛乳か。
 また機会があったら作ってみてもいいかもしれないね。

 空のグラスをエミリーが受け取ってくれると、ふと端のソファに座るドルートさんに目がいった。

「あれ、ドルートさんは入らないの?」

 わたしは女性陣の中で一番最後に入ったので、まだお風呂に入っていないのはドルートさんだけだ。
 ドルートさんは微笑みながら答える。

「はい。私は遠慮させていただきます。さすがにコロネさんのログハウスでお風呂までお借りしてしまうのは……妻の目が少し怖いので」
「あー……なるほど。まあ、この中でドルートさんだけ男だしねぇ」
「なに、一日くらいお風呂に入らずとも問題ございません。それに後でお湯につけたタオルで体も拭きますから、お気になさらず」
「うーん、それじゃあせめてこういうのはどう? クリーン!」

 わたしは魔力を集中させ、ドルートさんにクリーンの魔法を放った。
 クリーンは体から汚れを取り去る魔法だけど、その効果は口内や着用している衣服にも及ぶため、歯磨きと洗濯が不要になる優れものの魔法だ。
 わたしがこの異世界に来たばかりの頃はよくお世話になった魔法でもある。

 白い光が柱のようにドルートさんを包み、やがて光は消失する。
 パッと見じゃ違いはわからないけど、よく見るとドルートさんは身綺麗になっていた。
 
「おお、これは素晴らしい!! もしやこれは、光属性の魔法ですかな!?」
「うん、多分そうかな?」
「そうですか! 光属性は扱える者が少ないと聞きますが、さすがはコロネさんですね。風や水などの魔法を軽々と使用されますが、扱える魔法属性の数には驚きます」

 まあ、わたし全属性の適性持ってるんで。
 水や風どころか、ゴブリンロードが撃ってきた破壊光線すら再現できたからね。
 チートスキルをありがとう、神さま。

 改めて神さまに感謝していると、エミリーが心配そうな表情をしていた。

「それにしても、御者さんたちは外で大丈夫でしょうか……?」
「御者さん? ああ……わたしも中で寝ていいよって誘ったんだけどね。馬の面倒を見たいからって言って外に停めてある馬車で寝ることにしたみたいなんだよ」

 ドルートさんの馬車を運転していた御者さんと、わたしたちの馬車を運転していたライツさん。
 二人はそれぞれの馬車に繋がれた馬を管理するため、馬車の中で寝るようだ。

「しかし、もし夜間に魔物などが現れたら……」
「あ、それは大丈夫だよ。わたしがログハウスを中心として全方位にかなり強力なバリアを張ったから。《魔の大森林》にいるくらいの魔物じゃ何体集まってもビクともしないよ!」

 それこそ、ゴブリンロード級の激ヤバの魔物でも出てこない限りは大丈夫。
 万が一ゴブリンロードみたいな魔物が来たとしても、三発分くらいの攻撃には耐えられるようバリアに魔力を注ぎこんでいる。

「そ、そうですか。それなら良かったですぅ」
「……ふわぁ。ナターリャ、眠たくなってきちゃった」
「そうだね。それじゃあそろそろ寝ようか。あ、ドルートさん。わたしたちは二階の部屋で寝るけど、ドルートさんたちは空いてる部屋を自由に使っていいからね」
「ありがとうございます。妻と娘は先に寝室に行ってしまったようなので、私も後ほど休ませていただきます」
「わかった! それじゃ、わたしたちは寝るね。おやすみなさーい」
「はい。お休みなさい」

 ドルートさんに最後に挨拶を交わして、わたしたちは二階の寝室へと向かっていった。

 さあて、いよいよ明日はラグリージュに着く日だ。
 気合い入れていかないといけないから、今日はしっかり爆睡しとかないとね!
 わたしは来るラグリージュに思いを馳せながら、薄暗い廊下を進んで自分の寝室へと入っていった。


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